ヒーロー殺しの少女たち 〜ヒーローの輝く裏で〜 作:ゴウ・フェトア
路地裏のヒーロー殺し 一
「そこまでだ!!
薄暗い路地裏に一人の毅然とした声が響き渡る。そして同時に彼の周囲から地面を割ってつるが現れ、彼が追う『敵』を捕まえるべく凄まじい速度で伸びる。
『ヒーロー』。超人社会において『個性』を使い『敵』を捕縛することを目的とした職業。
今声を上げていたのがまさにヒーロー。個性によって現れたつるはこのヒーロー、ジューモクの最速を誇る捕縛術。
「ふふふ、こんなので捕まえるつもりだったの? ヒーローって情けなーい」
だが、捕縛は失敗した。伸びたつるは敵に近づいた瞬間に先端が切り落とされ、制御を失い、地面に落ちる。
「あ、煽っちゃだめよ……冷静に、冷静に殺そ?」
彼が追いかけていた敵は二人組。声はまだ若く未成年であることすらあり得る。そんな女たちの声。
だからといって彼は侮ったりしない。なにせジューモクがこの敵を追うのはその罪を知っているから。
「その剣技……やはり貴様らはヒーロー殺しで間違いないな!」
その罪は殺人罪。このジューモクが把握しているだけでもこの二人によるヒーローの死者数は五人。ヒーローに関係ない人も含めれば二十人近くの人命を殺めた恐ろしい存在。
「あ、私達有名になってきたのかしら? 未成年だからかあんまり騒がれなくて退屈してたのよね」
「有名になったっていいことないもん……」
のんきな見解を述べる敵たちにジューモクは警戒する。そして同時に背中に回した通信機で応援を頼む。
これ以上被害を出さないために彼がしなければいけないのは敵をこの場所に足止めすること。そして応援が到着するまで生きのこ
ザス、と鈍い音が響く。
「はい、おしまい」
「は……?」
唐突に、ジューモクの後ろから声が聞こえる。だがそれは第三者の声ではない。先程までジューモクの目の前にいたはずの少女の声だった。
「おじさん、私達悲しいよ? こんな美少女が二人もいるのに他の人を呼ぼうなんてさ。私達だけで楽しもう?」
その手に握られているのはジューモクが今さっき連絡を入れていたはずの通信機。
「貴様! いつのまに……がふっ」
そして、もう片方の手に血の滴る大ぶりの刀。
「あ、動かないほうがいいよ……って遅かったかな」
ジューモクが振り向いた瞬間、彼の口から多量の血が溢れる。そして同時に首から大量の血が噴き出る。
「一体……どうやって……」
消えゆく意識の中、ジューモクは自身に何があったのかすら理解せずにその生涯を閉じたのであった。
「ふふふふふふ」
「あははははは」
光があれば闇がある。
ヒーローがいれば同じだけ敵も育つ、
今日も新たな犠牲者を出しながら敵は活動する。