ヒーロー殺しの少女たち 〜ヒーローの輝く裏で〜 作:ゴウ・フェトア
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午後八時、場所はとあるバー。
薄暗い中でも雰囲気を醸し出すその場所は二人の男がいた。
一人は闇の靄に包まれる黒霧と呼ばれる男。
もう一人いは敵連合の首魁、死柄木弔。
「黒霧ぃ、こんな時間に何の用だよ」
この場所に死柄木がやってきたのは黒霧のほうから話がしたい、と言われたからだった。
「今夜、ヒーロー殺し、夜原たちが動きます。目的はオールマイトの殺害。私はワープゲートで指定の場所まで運ぶよう頼まれました」
「で? それが俺に関係あるのか。頼まれたならやればいい。俺はそんな小さい人間じゃない」
「そうではないのです。死柄木、よく考えてください。オールマイトを殺害するということの重大さを」
「なに?」
彼らのいくつかある目的、オールマイトの殺害はその一つでもある。彼の存在は社会の安心と平和を約束し、一方で敵の脅威、抑圧として君臨している。
それを取り除けるのであれば敵連合としてプラスに働くだろう、と死柄木は考えていた。
だが、黒霧は、見逃すわけにはいかなかった。
「はい、もちろんオールマイトを殺害することができれば敵連合はその活動を増やすことができるでしょう。各地で燻っていた敵も蜂起するかもしれません。しかしです。オールマイトを殺害するのが私たちでないのは不味い」
「ちっ、そう言うことかよ」
苛立ったように理解する死柄木。
もし仮に、このままヒーロー殺しであるオウタカたちがオールマイトまで殺すことになったときに起こる問題。
それは敵連合の求心力の低下だ。
集団というのはカリスマや、力を持つ人物に集まりやすい。敵なんてやっている連中ならば余計にそういった傾向がある。
であれば、各地から集まる敵はどこに向かうのか。
当然、オールマイトを殺した人物の下につくだろう。
「てことはあれか? あいつらがオールマイトを殺す前に俺たちが動かなきゃならねえのか」
「いえ、そう焦らずに。いいですか死柄木。あなたはボスなのです。この敵連合を束ねるリーダーです。直接動く必要はなく、首謀者であればいい」
「動かなくていい……?」
「はい、このオールマイト殺害計画。これが私たち敵連合の作戦であればいいのです。であればたとえヒーロー殺しの彼女らが実行犯であっても、敵連合は旗頭になれます」
「なるほど……そう言うことか」
にやり、と死柄木は笑う。その時、備え付けられていたテレビが発光する。
「フフフフ、ご機嫌なようだね。自分が今何をするべきなのか理解したようで僕は嬉しいよ」
気持ち悪い声が、しかし死柄木にとっては安心を与えてくれる声が、テレビから聞こえてくる。
「先生ぇ」
声の主はオールフォーワン。死柄木の恩師にして、オールマイトの宿敵。
「そうだ、君が今からしなければいけないのはこれから行われるオールマイト殺し、その首謀者であるように見せかけることだ。首謀者となり、敵連合としての爪痕を残すこと」
「分かってるよ……。大丈夫、やれる……俺はやれる……」
「ふふふ、いい感じだね。自信は大事だ。それがなければうまくいくこともうまくいかなくなる」
満足そうな声がテレビから聞こえてくる。死柄木は首を掻きながらテレビに向かう。
「先生……俺上手くやるからさ……見ててよ」
「ほう?」
死柄木の、いつもとは違う様子にオールフォーワンは驚く。
いつもは実行のための脳無を準備するのはオールフォーワンで、人員の協力も含めかれは無償で協力してきた。
それは死柄木が望んだから。
けれど今回、その「お願い」はなかった。
「いいのかい? 脳無の準備ならできてるものがいくつもある。言ってくれればいくらでもあげるよ?」
「いや……今回はいい。見ててくれればそれで」
その様子に今度こそ、ワンフォーオールは満足する。彼が成長していることを実感して。
そして、自身で動こうとするその姿を止める理由はワンフォーオールには存在しなかった。
「分かった。今回はおとなしくしているよ」
それだけ言うと、テレビは光るのをやめ、声もしなくなった。
「黒霧」
「はい、なんでしょう」
「この前集めたメンバーがいるよな。そいつらを呼べ」
「開闢行動隊ですね。少々お待ちを。彼らを動かすので?」
「ああ、ヒーロー殺しと一緒に暴れれば敵連合の存在も目立たせることができる……。今回参加させるはそいつらだ」
〇
同時刻、場所は路地裏。三人の少女が話し合っていた。
「オウタカさん、今日スイは休みですか?」
「うん、そうだよ。今日ばっかりは少し危ないからね」
「今までさんざんヒーロー殺しておいてそのセリフはマジウケルじゃん?」
紫綿場紫吹。個性『紙武器変換』。武器をお札に、お札を武器に変換できる。
夜原鶯鷹。個性なし。武術を一通り収めている。
血水鬼子。個性『吸血鬼』。吸血鬼らしいことはできるが腕力はないため強くはない。
今夜オールマイトを殺すべく集まったのはこの三人だ。
「それで鬼子。プロテックの事務所とやらはどうなったの?」
「ああ、あれ? 掌握済みじゃん」
得意げに携帯を見せる鬼子。画面に映し出されるのはプロテックの事務所から送られてくるメールの数々。
吸血鬼の魅了。それを使った結果、プロテックの事務所の全員が今、鬼子の手足として動き、得た情報はすべて彼女に送られていた。
当然、雄英高校の教師陣と話し合った警備の最新の内容も。
「おっけー。あと鬼子、それ私の方にも来るように設定しておいて」
「了解じゃん」
携帯をいじり始める鬼子。なお、その指の動きはオウタカをしても全く追えない。
「オウタカさん。今夜の武器で何か追加はありますか?」
武器商人のように紫吹がオウタカに尋ねる。恐らく頼めば何でも出てくるのだろう。そう思いながらオウタカはあるものを頼む。
「わかりました。こちらですね」
「ちなみにこれいくら?」
武器を受け取りながらオウタカは尋ねる。
「そうですね。この前の大太刀も含めて二千万に行かないくらいですよ」
「だ、大事にするね……」
見た目だけであればただ大学生の女子会のようにしか見えない。
けれど場所は路地裏、そして内容は殺害計画について。
時間は進む。決して後戻りはしない。
テレビ局の放送まで……あとわずか。
どっちが読みたいです…?(どっちにせよヒーローたちはえらい目に会います)
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オウタカ生存ルート(比較的ハッピーエンド
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オウタカ死亡ルート(悪に一切の救いなし