ヒーロー殺しの少女たち  〜ヒーローの輝く裏で〜   作:ゴウ・フェトア

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始まるヒーロー殺し ニ

 緑谷は、否、緑谷たち雄英高校一年A組の全員が、引子がいなくなった緑谷宅に集まっていた。

 

 理由は緑谷に集まってほしいと懇願されたためだ。夕方の相澤の今後を心配する話が脳裏に焼き付いていた彼らはすぐさま駆けつけた。

 

 そして、出迎えたのは緑谷。

 

「会見が狙われるかもしれないんだ!」

 

 開口一番、そう言った彼を落ち着かせるのにかなりの時間を要したA組の生徒たち。(爆豪は入院中のためいない)

 

 最初は理解できない、あるいは唐突すぎる情報に疑問符を頭に浮かべた彼ら。しかし、緑谷の母親である引子が襲われ、さらには会見での犯行を仄めかす言動を説明されると彼らは一気に沸き立った。

 

「おい! こんなところで説明聞いてる場合じゃねえじゃねえか! 会見まであと何分だよ!」

 

 即座に動き出そうとした切島を始め、男子生徒たちはすぐさま会見の場所へと向かおうとする。

 

 しかし、冷静な生徒たちはそれを引き止める。

 

「落ち着いてくださいみなさん。会見の場所にはオールマイトがいますわ。私たちがそこに駆けつけても無駄、むしろ迷惑になるのは間違いないかと」

「ケロロっ、私も同じ意見よ。それに雄英が襲撃されたときの相手を忘れたの? 私たち、あのまま戦ってたら何人も殺されてるわ」

 

 八百万と蛙吹。この二人は冷静に事態を観察することに努めていた。

 なにより、彼女らにあるのはオールマイトに対する厚い信頼。彼が負けるはずなどないという絶対なる確信。

 

 その言葉を受け、逸る気持ちになっていた男子たちもおとなしく座る。けれどここで声を荒げたのは緑谷だった。

 

「駄目なんだ! オールマイトは……オールマイトは……」

「な、なんだ? 言いたいことがあるなら言えよ?」

 

 砂藤が緑谷の様子に驚きながらも先を促す。が、緑谷の言葉は続かない。

 なぜならこれはオールマイトと緑谷だけの秘密。オールマイトの活動時間の制限。誰にも知られてはいけないそれはクラスメイトにすら軽々に語っていいものではない。

 

 黙る緑谷。クラスメイトたちは何も言わない緑谷に対してどのように反応していいか決めかねていた。

 

 もとより彼は嘘をつくような性格ではない。普段から信頼も勝ち得ている。しかし、緑谷の言葉にただ従うというのはヒーロー免許なしにヒーロー活動をするという違法行為。

 

「緑谷さん、なにか事情があるのはなんとなくではありますがわかりますわ。けれど……それが言えないようでしたら私は協力するわけには行きません。あなたがやろうとしているのは立派な犯罪で敵と何も変わりませんの」

 

 否定的な八百万。彼女の言葉は全て正しい。そして、続く。

 

「むしろ、それこそがヒーロー殺しの目的だとは考えないのですか? 天下の雄英高校の、ヒーロー科が、違法行為を行った。これだけでヒーローを社会的に殺したと言えるのではありませんか?」

 

 これにようやく緑谷はハッとした面持ちになる。

 

 だがここで助け舟を出したのはまたしても切島だった。

 

「なあ、それならヒーロー活動をしなけりゃ、個性を使わなきゃいいって話じゃねえか?」

「それだ!」

 

 緑谷の思考がつながる、が八百万は意図が読めない様子だった。

 

「どういうことですの? 個性も使えないのであればまともなヒーロー活動は……」

「そうじゃないんだよ。確かに戦闘はやっちゃダメだし蛙吹さんのいう通り僕たちが戦っても間違いなく負けちゃう。けど、オールマイトが思いっきり戦えるように避難を誘導したりはできると思うんだ!」

 

 その言葉にハッとし始めるクラスメイトたち。

 

 会見が狙われるならば当然犯行の現場はテレビ局付近。当然ながら民家もあれば商店街だってある。

 そしてオールマイトの力は莫大すぎるが故に使いづらい。簡単に周囲の人や物を巻き込んでしまうからだ。物ならばまだいいだろう。けれど人を巻き込むのは避けなければならない。

 

「そういうことなら……俺は手伝う」

 

 今まで黙っていた轟が、そして他の生徒たちもどんどん協力の姿勢を見せていく。

 

「ケロォ……」

 

 その中でただ一人、困ったような顔をした少女がいた。

 

「つゆちゃん、どうしたん?」

 

 様子がおかしいことに気づいた麗日は声をかける。

 

「私は……やっぱり反対だわ。みんなに危険な目にあって欲しくないもの」

 

 その言葉に、クラスメイトたちは固まる。

 

「緑谷ちゃんオールマイトを心配する気持ちや嘘がないというのは分かるわ。けどやっぱりみんなには危ない橋を渡って欲しくないの」

 

 そういうと彼女は立ち上がる。

 

「ど、どこいくのさ」

 

 耳郎が呼び止めるが蛙吹は気にしない。

 

「帰るのよ。私は……多分これからあなたたちの話し合うことに一切の協力ができないわ。ケロロ。ならもう……いない方がいいわ」

 

 言いたいことを言って、彼女は緑谷宅を後にする。

 

 爆豪が不在、そして蛙吹も帰り、18人となったA組は気まずい空気に押しつぶされそうになりながらひとまずテレビ局のある街まで移動を開始するのであった。

 

 

 そして、彼らは混乱に陥る街を目にすることとなる。

どっちが読みたいです…?(どっちにせよヒーローたちはえらい目に会います)

  • オウタカ生存ルート(比較的ハッピーエンド
  • オウタカ死亡ルート(悪に一切の救いなし
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