ヒーロー殺しの少女たち  〜ヒーローの輝く裏で〜   作:ゴウ・フェトア

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テストがががががががががが


始まるヒーロー殺し 三

「おいおい、一体何がどうなってやがる!」

 

 そうぼやくのは街の警戒を頼まれたプロヒーローの一人。

 時刻が9時を迎えるまでは平和そのものだった町並み。不審者らしい不審者もおらず本当にオールマイトを狙う敵がいるのかすら怪しんでいた。

 

 それが、その気持ちが楽観的すぎたということに気づいたのは9時を過ぎてからだった。

 

 突然の轟音、それが混乱の幕開けとなる。

 

 町の至るところで不意に起こった個性の違法使用、それに端を発してあちこちで事件が起こっていた。

 

 消火が得意なヒーローはその鎮火にあたり、捕縛が得意なヒーローは暴れる一般人の捕獲にまわり、誰しもが状況の読めない中で自分にできうる最善を尽くそうと努力する。

 

 しかし、効率はどうしても悪い。理由は単純。この街に集まったヒーローのまとめ役である根津、彼との連絡がつかないのだ。最初連絡を試みた時点では会見の最中だったのだろうから仕方がないだろう。

 

 けれど、最初の事件からすでに二十分が経過しているのだ。流石におそすぎる。

 

 ないものは仕方がない。根津との連絡を諦め各々が前述の通り動いているのだがやはり、連携がお粗末になってしまう。

 

 

 そしてそこを、ヒーロー殺しは狙っていた。

 

「あれ、連絡がつかなくなった?」

「おじさん、誰に連絡しようとしてたの?」

 

 無線機をいじるヒーローに、少女が声をかける。振り向いたヒーローはあまりの恐ろしさに悲鳴を上げてしまった。

 

「貴様、ヒーロー殺し!!! 必ず捕まえて……そ、その手に持っているのは!!」

「ああ、さっき襲われそうになってね。正当防衛ってやつ?」

 

 彼女が手に持っていたのは、ヒーローの生首だった。ちょうど連絡をしようとして、連絡がつかなかった彼の知り合いの生首。

 あたりはまだ混乱している。応援に他のヒーローを呼ぼうにも皆が手一杯。

 さらに、民間人の避難も全て終わってるわけではない。そもそもどこに避難させるべきなのかも被害の全体像がわからない今では示しにくい。

 

「あ、そうそう。私から逃げるならそこら辺にいる一般人さんはみんな殺すよ」

 

 ギラリと、生首を持っていない左手で大太刀を見せびらかす。おそらく、ヒーローの首を刈り取り続けているのだろう。

 

「くそ……」

 

 逃げることも叶わず、戦おうにもヒーロー殺しの戦闘力の高さはすでに周知されている。曰く必ず一人で戦うな、と。

 

 しかしそれでも彼は、絶望的な中で一般人が逃げる数秒を稼ぐためにオウタカへの特攻をしかけ

 

「カプリっ、じゃん!」

 

 仕掛ける前に、その首をコウモリに噛まれ、魅了に落ちた。

 

 

「おいおい、一体どうなってやがる!」

 

 おそらく誰もがそう思うのだろう。この街に到着した緑谷たちも同じ感想を持った。発言したのは切島。

 

 時刻は9時30分。街の様相は刻々とひどいものへと変わっていく。

 

「一体どうやったらこんなことが……あっ」

 

 思考を巡らそうとした緑谷だが、それが打ち切られる。なぜならば怪我をした男性が道路に倒れていたから。

 

 そしてその男のことを緑谷は知っていた。

 

「太鼓ヒーロー『ドン』!!」

「あ、ああ? 俺の事……知ってんのかい……」

 

 苦しそうにしながらも駆け寄った緑谷たちの声に反応するプロヒーローの男。

 

 しかし、その体は重症そのものであった。

 

「はい! 僕たち雄英高校のヒーロー科です! 一体何が」

「はやく……逃げろ……。あいつが来るぞ……」

「あいつ……? まさか、ヒーロー殺しが?!」

「おいおい、どんだけ人数がいるんだよぉ! 女の子数人じゃなかったのかよぉ!!」

 

 あいつ、と聞いて緑谷が思い浮かべたのは当然オウタカ。宣言したとおり、ヒーローの殺害を実行したと考える。

 

「違……う……」

「え……?」

 

 だが、このヒーローに重症を追わせたのはヒーロー殺しではなかった。

 

「じゃあ……誰が……」

「俺だ」

 

 ハッとした緑谷たち。声がしたのは頭上。道路横に並ぶ住宅街、その屋上。

 

 筋骨隆々な、片目が潰れた大男だった。

 

「だ、だれ……」

 

 一瞬気圧されそうになる緑谷たち。男は面倒くさそうにするだけだった。

 

「血ぃ、見せろや」

 

 不気味な笑みを浮かべながら、大男は個性を使用する。

 

 筋肉の繊維を纏う敵。

 

 彼らが知るはずのないその敵名。それは「血狂いマスキュラー」。

 

 緑谷が死力を尽くしてようやく倒せる相手である。

 

「皆! 逃げ」

「はああああああああああああああああ!!!!」

 

 緑谷が言い終わる前に、マスキュラーは地面に降り立ち立ちすくむヒーロー科の面々に殴りかかる。

 

 最初に狙われたのは後方にいた耳郎。全力で殴られたら命が危ぶまれるその一撃。

 

「あぶねぇ!」

 

 それをかばったのは砂藤。砂糖によるドーピングをすでにしていた彼はマスキュラーのその一撃を受け止め、

 

 そして、吹き飛ばされた。

 

「う、おおおおおおお!??!!」

「砂藤くん!?」

 

 吹き飛ばされた彼を心配するクラスメイトの面々。だがそんな余裕はすぐに奪われる。

 

「ほぅらぁ! もういっちょおおおお!!!」

 

 振り向きざま、マスキュラーの裏拳が振るわれる。対象は切島。だが、硬いだけでそれに耐えきる腕力が彼にはなかった。

 

「う、おおおおおおお!?」

 

 やはり、同じように吹き飛ばされる。マスキュラーの表情には少しばかり苛立ちがまじる。

 

「おいおいなんだよ。ぶっ殺せると思ったのによぅ。どいつもこいつもいい個性持ってんじゃねえか!」

 

 更に振るわれる腕。しかしここでようやく轟の氷が間にあった。

 クラスメイトたちを守るようにドーム状に作られる氷の盾。マスキュラーを上空に追いやる形で展開する。

 

「お、おい緑谷! どうすんだよぉ!」

 

 一瞬の安息の場所を確保され、峯田が叫ぶ。ガンガンと氷を叩き潰そうとする音が聞こえる中緑谷が叫ぶ。

 

「逃げる! 皆! 近くにいる人と組んで逃げて! 僕と轟くんで時間を稼ぐ!」

 

「おーい、相談はすんだかぁい?」

 

 ひび割れた氷、その隙間からマスキュラーの隻眼が覗く。

 

「ひっ…」

 

 誰の悲鳴なのか、判別が緑谷にはつかなかった。

 

 けれど、立ち向かう勇気を彼らは持っていた。緑谷は怖じ気つかずに、一歩を踏み出し

 

「なんでひよっこがこんなところにいるんじゃ?」

 

 のんきな声とともに、マスキュラーが吹き飛ばされた。

 爆速で飛んできたのは小さな人影。

 

「ぐ、グラントリノ?」

 

 氷に張り付いていたマスキュラーを蹴り飛ばしたのは緑谷の職場体験の師、グラントリノ。個性による加速からその体からは考えられないような力をひねり出したのであった。

 

「おう? お前さん、誰だったかな」

 

 緑谷に向け、にこやかな笑みを浮かべるヒーローがそこにいた。

どっちが読みたいです…?(どっちにせよヒーローたちはえらい目に会います)

  • オウタカ生存ルート(比較的ハッピーエンド
  • オウタカ死亡ルート(悪に一切の救いなし
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