ヒーロー殺しの少女たち  〜ヒーローの輝く裏で〜   作:ゴウ・フェトア

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(´Д⊂グスン……ぐすん……(4000字消えた


真実

 オールマイトは目をそらしたりはしなかった。

 

 抜刀の構えを少女がとったとき彼はすぐさま半歩引き、来るであろう神速の抜刀を警戒した。

 

 

 全てが無駄であった。

 

「ん?」

「『鷹』」

 

 チャリン、と音がなった。

 

 ついにくるかと身構えたオールマイト。

 

 しかし、おかしい。

 

 オウタカが今やっているのは納刀の所作だった。

 

 瞬間、腹部に襲いかかるのは一条の灼熱感。

 

 見れば横に一筋、刀が通ったのであろう傷があり、血がどくどくと流れ出る。

 

「シット!」

 

 更に距離を取り、止血を試みるオールマイト。

 

 どうやら致命傷には至っていないようだがそれでも焦りが彼の心を支配する。

 

 彼は一時も目を離したりはしなかった。

 

 動体視力が悪いわけでもない。

 

 なにか視線誘導がなされたわけでもない。

 

 ただひたすらに、速かったのだ。

 

「あれ……これは凹むんだけど……さすがはオールマイト?」

 

 再び抜刀の構えを取るオウタカ。その目はギラつき、狙うはオールマイトのその命。

 

「今のは……朝空君の技かな……?」

「え……?」

 

 しかし、オールマイトのその言葉でオウタカは一瞬止まる。

 彼の口から出たのはオウタカにその技術を教えた師匠の名前。

 

「君の言うとおり、私は彼と戦った。そして彼を殺したのは間違いなく私だ。言い訳はしない」

「なら……」

「君の怒りは正当なものだ。だけれど、君の非道を看過することはできない」

 

 そう言って今度はオールマイトが構える。目の前の間違えまくった少女を止めるため。

 

「正当なのに非道……? 何を分けわからないことを」

 

 先に動き出したのはオウタカ。壁や柱を切り飛ばしながらオールマイトに向かって突撃する。

 

「非道だとも! 誤った正義を振りかざし他者に暴力を振るう! これを人は敵という!」

「あなたこそ考えたことがあるのか! 心を許せる人を殺された悲しみが! それもみんなが信じてるようなヒーローに!」

 

 一太刀でフロアの床が両断される。

 一つの打撃で壁に大穴が開く。

 

 激しく争い、徐々に互いの体に傷がつく。

 

 オウタカには打撲痕が。

 オールマイトには切り傷が。

 

 互いに決定打にはならずとも疲労はたまっていく。

 

「言え! なんで師匠を殺した!」

 

 大振りの刀がオールマイトの首へと吸い付くように迫りゆく。

 

「聞きたいならじっとしてくれないかな!」

 

 それをブリッジするようにしてかわすオールマイト。

 そしてそのまま蹴り上げるようにしてオウタカの手を弾く。

 

 再び距離が開く両者。

 

「では教えて下さい。その間手を出しません」

「そうかい……」

 

 構えを解かないままオールマイトは語る。オウタカの師を殺したときのことを。

 

「彼の道場、君が武道を習っていたところに敵が侵入したところまでは知っているかな?」

「そうですね。その殆どが道場内で死体となって発見されたというのは聞きました」

 

 そして、それを為したのがおそらく自分の師匠であるということも聞いている。

 

「ああそうだ。恐らく君の弟、妹たちに手を出したあと朝空君に殺されたのだろう」

 

 ここで、言いにくそうに言葉が詰まるオールマイト。

 

「まず確認だ。私も確証があるわけではない」

「なんですか?」

 

 疑いの目で見ながらも彼の質問に応じる少女。

 

「彼は……朝空くんは人を殺すような男だったかい?」

「そんな危ない人ならもっとたくさん人を殺してると思いますよ」

「ああ、そうだろう。けれど……道場にいた子どもたちが殺されたからか、それとも敵にそういう暴走させる個性を持っている敵がいたのかもしれない」

「何を言って……」

 

「私が気づいて向かったときにはすでに敵の殆どが死んでいたよ。そして、私に襲いかかってきたのはその襲撃犯ではなく、君のお父さんだった」

 

 当時のことを思い出しているのか、オールマイトの頬に冷や汗がながれる。

 

「その時のことはもう思い出したくもないくらいに恐ろしかったね……。なにせ理性が全く残っていない人が突然襲いかかってきたんだ……」

「師匠が……?」

「ここからは推定でしかないことを肝に銘じてくれ。恐らく、君の師匠は子どもたちを殺されたことで我を失った。私が敵の仲間に見えるくらいには」

「は?」

「私が道場に降り立った際、一番最初に攻撃してきたのは朝空くんだった……というか朝空君以外の気配はすでに道場からは消えていた。恐らくタイミングも悪かったのだろう……。敵の増援のように見えたのかもしれない」

「そう……ですか……」

 

 戦闘の理由さえわかればもうオウタカは続きを聞く気をなくす。なにせ自分に武道を叩き込んだのは師匠であり、自分で拮抗状態にあるオールマイトが彼相手に手加減できるはずもない。

 

 師がオールマイトを殺す気であったならば尚更だ。

 

「そういうわけだ……。だから人を恨むなとは言わない。むしろ私のことは恨んでくれて構わない。だから……せめて無関係なヒーローたちを殺すのをやめてくれないか」

 

 少しうつむくオウタカにここぞとばかりに説得をかけるオールマイト。

 

 オールマイト自身、この出来事が、道場で戦闘した朝空と目の前のオウタカの関連を知り、第二のヒーロー殺しの発端となる出来事だと今はっきりと自覚した。

 だからこそ、なんとしても自分がこの少女を止めねばならないと言う考えで頭が埋め尽くされる。

 

 ゆっくりと、オールマイトは少女の次の言葉を待つ。

 

 オールマイトは信じていた。必ず目の前の少女のような、悪に堕ちてしまった者でも目を覚ましてくれると。

 

 泣いているのか、肩を震わす少女に向けてオールマイトは手を伸ばす。

 

「オウタカ少女……目を覚ますんだ」

 

 うつむきぎみであった少女は少し顔を上げるとその手を眺める。

 その表情はオールマイトからは見えない。

 

 しかし、彼の耳に信じられないものが聞こえてくる。

 

「はは……あはははははは!」

 

 オールマイトの手がパシリと払われる。

 

「そっかぁ……勘違いかぁ……師匠も馬鹿だなぁ……」

 

 泣きながら、笑っている。それが今のオウタカだった。

 

 危険を感じオールマイトはとっさに後退する。

 

「ありがとう、オールマイト。教えてくれて」

 

 オールマイトは勘違いしていた。

 事実を知れば少なくとも、その憎悪を一身に受けることができると思っていた。

 

「それじゃあ、続き、しよっか」

 

 しかし、そんな予想が成立しないくらいにはすでに少女は壊れていた。

 




不幸その一
オールマイトが師匠と戦闘
その時に駆け寄ってきた女の子をその家の娘と判断
死体が見つからなかった家の子は久慈谷衰のみ。よってオールマイトはここでこの少女に謝るべく探す。(見つからず)
結果、オウタカの動機に関しては全くわからないままであった……
オウタカの名前が分ってればすぐに彼女の家(両親健在姉一人)に行って謝罪くらいはできたかもしれない……まだ堕ちてないときなら止められたかもしれない……(かもしれない……


もう遅いけどね!

どっちが読みたいです…?(どっちにせよヒーローたちはえらい目に会います)

  • オウタカ生存ルート(比較的ハッピーエンド
  • オウタカ死亡ルート(悪に一切の救いなし
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