ヒーロー殺しの少女たち  〜ヒーローの輝く裏で〜   作:ゴウ・フェトア

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ほんとにいつも誤字報告ありがとうございます……
そして感想もほんとにありがとうございます……(皆様とヒロアカ世界についていろいろ話せるの楽しいです)
では、ちょっと過去の話ですがどうぞ


事実

 帰ったら、全てが終わっていた。

 

 道場主であり、オウタカの師匠である朝空は事件の日、外部との話し合いに参加して、そして帰ったらすべてが終わっていたのだ。

 

「よお! お前さんがこの家の主かい? ちょっと俺ら困っててよ」

 

 カナが死んでいた。

 

 抵抗したのだろう。将来、ヒーローをやりながら花屋をやりたがっていたその少女の腕は2つともちぎられ絶命していた。

 

「いやぁ、いきなりで悪いんだが金貸してくれ、あとこの家に隠れさせてもらおうかな」

 

 ユウタロウが死んでいた。

 

 抵抗したのだろう。俺にはよく分からなかったが野球ヒーローというものを目指すと言っていた。オウタカは面白そうだね、と言っていたか。

 その彼は目を潰されていた。

 

「返事がねえな。あ、こんなことした理由か? いやな、俺らだって鬼じゃねえんだ。別に危害を加えるつもりはなかったぜ」

 

 ミカンが死んでいた。

 

 抵抗したのだろうか、いや、彼女はしなかっただろう。けれど後ろにカズヤがいた。守ろうとして、立ち塞がって、殺されたのだろう。彼女はオウタカを除けばこのこの孤児院で一番姉として振る舞っていた。

 

「けどよ、個性使って暴れられたらしょうがねえってもんだろ? おかげで俺たちの何人かも死んじまってるんだ。おあいこってもんだろ?」

 

 カズヤが死んでいた。

 

 ミカンの後ろに隠れる位置だった。彼は気弱な少年だった。ミカンに助けを求めたのだろう。一緒に殺されてしまったが……。

 ヒーローじゃなくてサイドキックになりたいと言っていたか。どっちにせよヒーロー免許は必要だった気はするが。

 

「おい聞いてるか? てなわけで、だ。俺たちに医療費と当分の活動資金をよこしてほしいんだ」

 

 ダイキが死んでいた。

 

 外に出て助けを呼ぼうとしたのか、血が室内から屋外まで続いていた。

 そしてその背を刃物が貫いた状態で、うつ伏せになって倒れていた。刺されている位置は心臓。せめて苦しまなかったことを祈るしかない。

 

「具体的にはそうだな、とりあえず一千万くらい欲しいんだわ。こんだけでかい道場やってるんだ、そのくらい出せるだろ」

 

 ユメが死んでいた。ウタと一緒に。

 

 怖かったのだろう。血は繋がっていなくとも仲のいい姉弟だった。ホラー映画を見たときも同じように身を寄せて震えていたか。

 

 二人は抱き合うようにして死んで……その横には見知らぬ男が倒れていた。相打ちに持ち込んだのだろうか。

 

「あとはそうだな……もしヒーローが来ても俺らのことは知らないとか言っといてもらえるか?」

 

 ショウが死んでいた。かくれんぼするときはいつも同じ場所に隠れていた彼は、やはり、いつもの逃げ場所である押入れの奥まで逃げたのだろう。しかしそこは行き止まり。見つかり、腹を割かれて死んでいた。

 

「あー、そういや名乗ってなかったな。この家にテレビがなさそうだしな。俺らは最近売り出した強盗敵連合よ! どうだ、怖じ気づいたか!」

 

 コウタが死んでいた。

 

 孤児院の中でもっとも年上だった彼はいつ頃からだったか、道場に通い始めたオウタカに恋慕の視線を向けるようになったか。本人が意識しているのか、はたまた、彼女の方も気づいているのかは知らないがもう叶うことはあるまい。

 きっと他のこのために勇敢に戦ったのだろう。体の傷は一番ひどく……願うならオウタカがこの姿を見ないことを祈る。

 

「うーん、お前さんあれか? 耳が聞こえてないのか? 言う事聞いてくれるなら『はい』、聞かないならとっとと死んでくれや」

 

 スイの死体は見つからなかった。

 

 彼女の個性は『衰弱』。運が良ければ近づいてきた者をそのまま殺せるだろう。しかし知覚できない遠距離攻撃、例えばものを投げられるだけでも彼女は対処できなくなる。どこかにうまく隠れていてくれることを祈る。

 

 

 

 で、さっきから喋っているこいつはなんだ。

 

 

○○

 

 

「な、何なんだお前は……」

「殺す」

 

 風が吹いた……ようにその道場を襲った敵の頭は感じた。

 

 それが攻撃であると予感して、左右に控えさせていた手下に支持を出すが……すでに二人は上半身を両断され、事切れていた。

 

 男がなにかしたのは間違いなかった。しかし、男は手に何も持っておらず何をしたのかすら分からなかった。

 

 何かの個性か、とも一瞬考えたがここの主は無個性だと聞いている。

 

「ひっ……お、お前ら! やっちまえ!」

 

 だが、男の部下は二人だけではない。外でヒーローがやってこないか確認していた者や、道場内を物色していた者もいる。

 部屋の中だけでもまだ6人いる。

 

 子どもたちとの戦闘で動ける人数が減っていたとはいえ男一人に大してなら過剰な戦力と言える。

 

 はずだった。

 

 拳銃を構えた部下は指に引き金をかけた瞬間に頭に穴が空いていた。貫通だ。

 

 驚いて何が飛んできていたのか確認するとただの十円玉だった。頭蓋を貫通して威力が落ちてもなお壁にめり込み大きなヒビを作っていた。

 

(一体、何をどうやったら十円玉が頭蓋を貫通すると言うんだ!?)

 

 決して表には出さない男たちの動揺。だが出さないところで意味はない。

 

 今度は刀を持っていた男が接近戦を挑み、直後崩れ落ちる。

 

 だが脱力して崩れ落ちたのではない。体がみじん切りとなって、文字通り崩れ落ちたのだ。大量の血を撒き散らしながら。挽き肉の塊となって。

 

 

「お前達は……どうしてここを狙った?」

 

 低く、ドス黒い何かを伴うその声に男たちは一歩後退る。失禁しなかったのは敵の意地か。

 

「い。いや、俺達は……ひ」

 

 何も聞き出せないと判断されたのか、口がパクパク動くだけになった男はその瞬間、首を切られた。そのままボトリと床に生首が落ちる。

 

「お前はなにか知っているか?」

 

 次に目を向けられたのは気弱そうな男。ガタガタと歯を鳴らしながらも懸命に答えようとする。

 

「は、はいぃ! ここならヒーローもすすすす少なくて、ひ、人質にしやすい子供が、たくさ、んいるから……と」

「それは、誰に聞いた?」

 

 その隙をついたつもりだったのか。窓の外から狙撃なのか、弾丸が飛んでくる。

 

 それを素手で弾くと、その跳弾は他の男へと飛んでいった。

 

「そこでじっとしていろ」

 

 窓の向こう、庭に隠れていた男に圧をかける。その瞬間、弾丸を放った男は口から泡を吐き倒れ付す。

 

「済まない、邪魔が入った。続きを聞こう」

「は、はい……し、信じてくれなくても仕方がないんですが……じ、じつは俺らのバックにオール」

 

 その瞬間、男の頭が爆ぜた。なんの個性か、それとも物理的に爆弾でも仕掛けられていたのか。道場主である男、朝空には判断つかなかったが死んだことだけは間違いなかった。

 

「ふむ、オール、か。続きを知っているものは?」

 

 視線を残っている男に投げかける。

 

 が、彼らはもう諦めてしまっていた。

 

 正直に言おうが、言うまいが自分たちの命はここを襲撃した時点で終わっていたのだ。

 

「ふむ、だんまりか。それもそれでよかろう」

 

 朝空がそう判断した瞬間、すでに行動は終わっていた。

 

 男たちとの距離は数メートルは離れていた、というのに彼らの体はまるで切り裂かれたかのようにバラバラにされていたのだ。

 

「悔しかろう……悔しかろうな……」

 

 自分が育ててきた子どもたちに思いを馳せる朝空。

 

 皆がヒーローとしての活動を目指し、あるいはその援助を目指して勉強も、武道武術も頑張っていた。

 

 彼自身、親がいない彼らに対して父親として接することができたかどうかに自身はない。

 

 しかし、そんな子どもたちが訳のわからない襲撃で命を落としたことに悲しみと、そしてまだぶつけ足りない怒りが彼の中で渦巻いていた。

 

 

 その時だった。部屋に衝撃が走る。続いて部屋にやってきたのは大柄な男。テレビがなくとも、この超人社会であれば誰もが名前を知っている男。

 

「私が来た! が…、どうやら遅かったようだね。これでも通報があってからすぐに駆けつけたんだが」

 

 凄惨な殺人現場。明らかに犯人は目の前にただ一人立っている男。

 

「オール……まさかあなたのこととは思いませんでしたね。オールマイト」

「はて……何を行っているのかは知らないが申し開きはあるかね。私が見る限り君がこの現場の犯人のようなのだが」

「なるほど、確かに私が彼らを殺しましたが……。そうですか、そういうシナリオですか」

 

 朝空の中ですでに話は見えていた。

 

 彼自身、ヒーローたちから良くない目で見られているのは知っている。ヒーローたちが手の届かないところで個性を使うことなく悪を成敗(目に見える怪我や殺人はしていない)している彼は近所の人からの人気は高い。

 そして、無個性なのだから当然、ヴィジランテとして捕まることもない。

 

 だからちょくちょくヒーローからは諍いをふっかけられてきた。

 

 お前はヒーローじゃない、でしゃばるな、と。

 

 しかし、とうとうついに今日。こうしてヒーローから報復されたと彼は理解した。納得はしていないが人間、裏に何を抱えているのかわかったものではない。

 

 それがよりにもよって、子どもたちが夢見ていたオールマイトだったとは流石に予想外だったが。

 

 きっと、こうして私が殺人犯として捕まることまでがストーリーなのだろう、と結論を出した。

 

 出してしまった。

 

 それに、直前の「オール」という言葉。途中で切れこそしたが、喋った彼の怯え様と、そして恐らく口封じのための爆発から真実の一端だと判断する材料になっていた。

 

「シナリオ? 何を分けのわからないことを。気でも触れているのか」

 

 警戒するオールマイト。仕方が無い。なにせ部屋にはどうやってそれを成したのかがわからないような死体がわんさかあるのだ。

 

 挽き肉になった者。頭に穴が空いたもの。体がぱっくりと左右に別れた者。

 

 目の前の男が異常者であると考えても仕方が無い。

 

「気が……触れているかもしれんな。俺はもうお前を殺したくて殺したくて仕方が無い」

「やめるんだ。罪が増えるだけだぞ!」

 

 オールマイトからしたら目の前の男の実力はわかったものではない。なにか謎の個性を持っている可能性すらある。

 

 一方で朝空からすればきっと自分が捕まったら似たような境遇のオウタカが、そして、もしかしたら生き残っているかもしれないスイが目撃者として消されるかもしれない。

 

 その憂いを立つためにも

 

「私は朝空。朝空太陽。オールマイト。娘のためだ……その命、もらうぞ」

「ふむ、抵抗するならば仕方がない。怪我くらいは覚悟しておいてくれよ」

 

 彼は戦ったのだった。




仕方がなかったんや!(棒)
きっとオールマイトは悪くない!(全力で目そらし)
部屋にたくさんわけのわからない死体があったんだから冷静さを失ってたんだよ!(きっと)
あと目の前の敵がわけわからない強さな上、殺意満々だったからね!手加減なんてできなかったんだよね!(めいびぃ)

あと別件ですがオールマイトには匿名で事件を知らせる電話があったそうですがだれだろなー()

どっちが読みたいです…?(どっちにせよヒーローたちはえらい目に会います)

  • オウタカ生存ルート(比較的ハッピーエンド
  • オウタカ死亡ルート(悪に一切の救いなし
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