ヒーロー殺しの少女たち  〜ヒーローの輝く裏で〜   作:ゴウ・フェトア

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今日は三話投降するのだ(多分
そして戦闘ばっかで済まない……


VSオールマイト

「死ね! オールマイト!」

「それは困るな!」

 

 オウタカの師匠にも戦いの最中、同じことを言われたなと思い返すオールマイト。

 

 オールマイトの告白を経て、オウタカの動きはますます激しいものへと変わっていく。当然、それに合わせてオールマイトもギアをあげていく。

 しかし、オールマイトの頭によぎるのは自身の時間制限。活動限界そのもので言えばまだ余裕があるはずだがオウタカの動きは並みの敵ではない。当然残り30分もなかった残り時間はがりがりと削られていく。

 

 自分は目の前の少女を捕獲できるのかと自問する。だが「できない」という選択肢はない。自分の敗北はヒーロー社会の、ひいては日本全土の抑止力の敗北と同義。

 

 できるならば、彼女の師匠と同じように……殺してしまうのは避けたい。だが、それが許されるのは自分に余裕があるときのみ。

 

 どうしたものかと、戦いながら悩むオールマイトであった。

 

 

 

 

 ここで突然だが放送局の関連の動きを紹介したい。

 

 相澤は自分とオールマイトが捕縛し、洗脳が解けているヒーローをまとめ協力しながら、建物内に残っていた人物の避難を行っていた。

 

 オウタカの刀が鉄筋の柱を叩き斬り、オールマイトの拳がコンクリートの壁をやすやすと破壊する。

 そんな戦闘が行われればこの建物が倒れるのも時間の問題だった。

 さらに、これもヒーロー殺しが狙ったのかはわからないがこの建物はいつもより人が多かった。

 

 普段の従業員に加え、雄英高校の謝罪会見のために訪れた記者たち、さらに防衛のために動いていたプロヒーローたち。

 彼らの避難誘導は確かにヒーローとしてやらねばならないだろう。誘導される彼らもここに居続けることが危ないというのは戦闘の音を聞いていれば分かるので大した混乱は起こらずその作業は進んでいく。

 

 

 だが、それとは違う動きをするものが一グループ存在した。

 

 それはプロヒーローか? 否

 

 それはヒーロー殺しの更なる一味か? 否

 

 それは……

 

 

 

 

「こら! カメラ構えて撮って撮って! ヘリももっと寄せて!」

「姉さん、無理言わないでください。これ以上寄ったら巻き添えですよ。なんか斬撃みたいなの飛んでるの見えません?」

「静かに! 今音拾います!」

 

 一つの放送ヘリが放送局外縁を飛んでいた。

 

 

 

 全国への生中継が始まっていた。

 

 第二のヒーロー殺し。彼女たちに殺されたヒーローの家族へ伝えるために。

 

 ヒーロー社会を揺るがさんとする悪鬼の姿をとらえるために。

 

 そして、それを打倒せんとするオールマイトの姿を全国へと届けるために。

 

 

 

「死ね! ヒーローに殺された人たちに……地獄で謝れ!」

「女の子がそんな言葉使うもんじゃないよ! おっと」

 

 鋭さが増していくオウタカの刀筋。技の一つ一つもどんどん早くなっていく。

 

 にもかかわらず、形勢は徐々にオールマイトが有利な方へと向かい。先ほどの心配とは別に余裕を見せ始める。

 

 オウタカの切れが怒りのせいで鈍っているわけではない。

 

 その速度に、オールマイトが追いついていっているだけだ。

 

 もとより、オールマイト自身が超速度で動けることに加え、その天才的な戦闘センスはオウタカの使用した技を、その構えを、その速度を、完全に見切っていた。

 

 そして、技を見切ることができたならば話は簡単だ。どんな刀筋が襲い掛かってこようとそれが来ない場所によけ、打つべき時に己の拳を打ち出せば容易く少女の体を捉えることができる。

 

「かはっ」

 

 オールマイトの、全力ではないとはいえ、ワンフォーオールの残火を宿すその拳は少女一人を吹き飛ばすのには十分すぎる。

 

 胃から昼に食べたものを吐き出しながら少女は激突した壁を頼りに立ち上がる。

 

 

「ああ……ほんと……うらやましいですよ……その個性……。無個性だったんでしょう? いいなぁ、うらやましいなぁ!」

「本当に……それに対して言い返す言葉を私はもたない。しかし、だからこそ私たちはこのことを秘密にしているのだ。それに、なにもいいことばかりじゃない。これを受け継いだからにはこの個性に宿る宿命も一緒に受け継ぐということなのだから」

「無個性でいることよりそっちのほうが万倍ましですよ!」

 

 悔しそうに、口から血を吐き出しながらオウタカは吠える。

 

 再び突進、そしてそこから伸びる突き。

 

 『啄木鳥』という技だが、しかし残念。すでにその技はオールマイトは体験した。一度目こそ頸動脈をかすりかけるという致命傷になりかけたがその技も、二回目、三回目となれば躱せないオールマイトではない。

 

 わき腹に鈍い痛みが走らなければ。

 

「んんん??!!」

 

 突然腹部に走った激痛に目を向けてみれば胃の手術痕に寸分の狂いもなく瓦礫がめり込んでいる。

 出血こそしていないがかなりの衝撃が走り、それが激痛となって知覚できたに違いない。

 なぜ、この場所をピンポイントで、と思う間もなく、オウタカの音速を超える突きがオールマイトに襲い掛かる。

 すでに回避は不可能な間合い。

 

 とっさに左腕をオウタカの刀の通り道に置き、刺さった瞬間、無理やり軌道をずらすことで一命をとりとめる。

 

「いたたた……随分ピンポイントに狙ってきたね……」

「だって、ずっとそこを庇うようにしてましたから。何かあるのかなーと思って。例えば弱点とか古傷とか、ね」

 

 苦笑いするしかないだろう。

 オールマイトはオウタカの技を観察し、対処でき始めていた。

 

 しかし、観察していたのはオウタカも同じ。オウタカの放つ20以上の技の対処の仕方で、彼が時折見せるわずかな体重移動の違和感。

 

 事前の血水の蝙蝠による情報収取では音声情報がメインだったために知ることはなかったがこれだけ刃と拳を合わせ続ければ一定以上の実力者ならば誰もが気付ける。

 

 であれば、刀を構え、オールマイトがオウタカの出す技に対処した動きに合わせて、周囲に散らばるがれきを踏み出すその足でけり上げればいい。

 

「『雀』『孔雀』『百舌鳥』」

 

 オウタカが仕掛け続ける。

 彼女の技というのは基本的にはとっておきの奥の手扱いともいえる。言うまでもなくその超速の技は少女の体に大きな負担をかける。

 

 しかし、すでに単発であればオールマイトは見切れるレベルにまで達してしまっており、無理をして連続で様々な技を出すのはそのためだ。

 もちろん、一度撤退するなどして多少時間をオールマイトに使わせれば簡単に倒せるようになるかもしれない。

 だがそのためには周囲のプロヒーローが集まってくるかもしれないというリスクに加え、ないと思っているがオールマイトが逃げる可能性だってある。

 そのすべてを加味したうえで、少女は今、自分が彼を殺しきることこそが最適解と結論付けた。

 

「うおおおおお!! さあ来い! オウタカ少女!」

 

 対してオールマイト。先ほどの一撃により左腕が迎撃には使えない。しかし右手一本で応戦することは不可能。

 であれば応戦せずに、建物内すべての空気を丸ごと目の前の少女にぶつけるテキサススマッシュを無理して連発する。

 もちろん、制限時間はすでに限界を迎えつつある。放つことができる拳もあと数発が精々だろう。

 

 逃げればいい。周囲には自分に及ばないながらも、例えば遠距離攻撃中心のヒーローを連れてくることがでいれば少なくとも自分よりは有意に立ち回ることができるだろう。

 

 だが、それでいいはずがない!

 

 かつて、事件が起こり、ある子供が人質に取られた。

 

 現場のヒーローたちは「自分では相性が悪い」と応援を待った。

 

 その中で駆けだしたのは誰だったのか!

 

(相性のいい悪いじゃない……。大事なのは……その心持ち!)

 

 悪を倒さんとするその気概。

 

 そして何より、自ら作り出してしまった被害者、目の前の少女を助けなければという彼の心からの思い。

 

 己の罪の象徴、ゆえに、助けなければならない。己の手によって!

 

 

「『鶯』!」

「デトロイト! スマッシュ!!」

 

 

 何度目かわからない衝突が放送局内で渦巻いた。

 

どっちが読みたいです…?(どっちにせよヒーローたちはえらい目に会います)

  • オウタカ生存ルート(比較的ハッピーエンド
  • オウタカ死亡ルート(悪に一切の救いなし
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