ヒーロー殺しの少女たち  〜ヒーローの輝く裏で〜   作:ゴウ・フェトア

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話どっちにするか自分で決められなくてアンケートやってるのでどうぞよしなに……
(両方書くことになりそうならその順番決めのために使います)


最終章 ヒーロー殺し
ヒーロー殺し スイ


 とあるマンションの一室。

 

 一人の少女が外の喧騒とは対象的に静かに泣いていた

 

 その少女の名前は久慈谷衰。ヒーロー殺しの一人。

 

 

 この少女がこの場に残っている理由。

 

 それはオウタカの願いであった。

 

 ヒーロー殺しの際、オウタカはほぼ常に彼女を連れていた。

 彼女の個性で一瞬衰弱させ、そしてその一瞬のうちに命を刈り取るのが彼女たちのいつもの方法。

 

 たまに気づかれて交戦にもなるがオウタカとスイのコンビであれば勝てる相手はほぼいない。

 

 当然、スイはオールマイトとの戦いにも連れて行ってもらえると思っていた。自分と姉が組んだときこそ最強の布陣となるのだから。

 

 しかし、現実は違った。

 

 スイは戦いの場に連れて行ってもらえなかった。

 

 オウタカが言ったのだ。

 

「スイちゃん、今日はここに残ってて」

 

 当然、抗議した。今まで一緒にいたじゃないかと。

 

 けれどオウタカは首をふるだけ。スイの願いが聞き届けられることはなかった。

 

 だが、理由は明らかだった。

 

 万が一負けたとき、スイをヒーロー殺しとして捕まえさせないためだ。

 

 何を今更、と思うかもしれない。彼女がオウタカとともにヒーロー殺しに同行していたことはすでにバレている。

 

 しかし、彼女がヒーロー殺しの実行犯であるという証拠は、実は何一つないのだ。

 

 

 彼女の役割は目標の人物を弱体化させること。であれば、その個性を食らった人物が殺されている限り彼女が関与したことは一切バレないのだ。

 

 

 唯一、彼女と遭遇し生き延びたヒーローもいる。だがそれは抹消ヒーローイレイザーヘッドだ。彼女の個性はくらっていない。すなわちあくまでも「ただ同行していただけ」という言い訳が可能なのだ。

 

 故に、少女は今部屋でおとなしくしている。

 

 

 とオウタカは考えていた。

 

 オウタカの間違いはただ一つ。

 

 スイがオウタカのことを、彼女が思う以上に慕っていたということだ。

 

「お姉ちゃんたちが戦ってるんだもん、私もなにかやらないと……」

 

 彼女は年齢で言えば中学三年生。電車に乗り隣町に行くことなど簡単にできる。

 

 身支度を整え、彼女は緑谷の家に向かったオウタカを追いかける。もちろん尾行などしたら気配でバレるため全くの別ルートでその場所へ向かう。(彼の住所はすでにヒーロー殺しで共有されている。プライバシーなどない)

 

 携帯のマップ機能を頼りにしながら少女は彼の家にたどり着くのに大きな障害はない。

 

 そして彼女が緑谷の家に着いたのは夜の8時。

 

 オウタカが緑谷宅を訪れ撤退した後、クラスメイトたちが集まっている時間帯である。

 

「この人たちは……確かヒーロー科の生徒さんたち……」

 

 もしかしたら、自分の先輩となっていたかもしれない彼らを前にして少女は逡巡する。

 

 彼女にとってヒーローというのは自分たちを守ってくれなかった力なき存在でしかない。言い換えればオウタカほどの殺意はないのだ。勿論、弱いのにヒーローなんていう大層な名前を名乗ることに対する怒りはあるが。

 それに今まで彼女自身が手を下したこともない。殺人幇助とその殺人とでは罪の意識としてかなりの違いがある。

 さらに言うなら、ヒーロー殺しに同伴するときはいつだってスイのそばにはオウタカがいた。その存在がいるかいないかで彼女の心の安寧は大きく変わる。

 

 窓から覗くと見えるのは自分と学年が一つしか違わない存在。

 彼らを殺すことは間違いなくオウタカの喜ぶことではある、がその実行をするにあたっての度胸が彼女にはなかった。

 

「お姉ちゃん……うん……わたし頑張るよ……!」

 

 だが、やはり彼女がオウタカを思う気持ちは強かった。視界に映る18人を殺そうと彼女の個性『衰弱』を全力で使

 

「けろ……? あなた、そこで何をやっているのかしら?」

 

 

 その時、突然に声をかけられた。

 

 周囲の道路には誰もいなかった。

 

 その声の主が出てきたのはまさに、緑谷の家。

 

 みんなには協力ができないと言っていままさに帰ろうとしていた蛙吹だ。

 

 

 スイは驚く。かつてないほどに驚く。

 

 生まれて初めて人を殺そうとしているその興奮と恐怖から一転、バレた、逃げなきゃ、というものに変わっていく。

 

 蛙吹からしたら緑谷の家を出たら白髪の、自分と同じくらいの少女が家の中にいる緑谷に熱心な視線を向けていたので彼がいつぞや助けたのかと思ったりしていたくらいなのだが……。

 

 しかし、

 

「こ、来ないで! き、来たらあの人たちを殺すよ!」

 

 その一言で蛙吹はその少女がヒーロー殺しの一人であると知った。

 

「ケロロ……落ち着いてほしいわ。私は蛙吹梅雨。あなたはだあれ? そこで何をしているのかしら?」

 

 両手を上げ、努めて冷静に振る舞おうとする蛙吹。しかし、冷静でないのはスイの方だった。

 

(まずいまずいまずい。見られた。殺す? この人を? 今出てきたってことはきっと彼らの仲間……わたしのこと伝えられたら困る! それに、ヒーロー科なら殺さないと……ダメダメなヒーローはいないほうがいいもん……。オウタカお姉ちゃんはいつもなんて言ってたっけ……、そう……確か……ヒーローを相手にするときは人質を取りなさい、とかなんとか……これでいいのかな)

 

 むっちゃ動揺していた。

 

 蛙吹が冷静な分、それが逆にプレッシャーとなって彼女を襲っているというのもある。

 

「うーん、だんまりだとわからないわ? あなたの目的はなあに? そこの人たちを殺すことなの?」

「そ、そうです。あ、いや、殺されたくなかったら私の言うことを聞いてください」

 

 彼女は頑張って考える。この蛙少女が自分のことを黙り、かつ、自分の目的のために動かす方法を。

 

「わ、私をお姉ちゃんのところに連れて行ってください!」

 

 苦し紛れに出たのは完全に迷子の子供のような言葉だった。




多分次からルートはいります(そういうの嫌いな人いたらごめんなさい
ヒーローはどのみち大変な目に合わせる(決意)ので許して

どっちが読みたいです…?(どっちにせよヒーローたちはえらい目に会います)

  • オウタカ生存ルート(比較的ハッピーエンド
  • オウタカ死亡ルート(悪に一切の救いなし
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