ヒーロー殺しの少女たち  〜ヒーローの輝く裏で〜   作:ゴウ・フェトア

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協力者

「今すぐに敵として叩くべきだ! こうしている間にもいつ再び個性が暴発するかもわからんのだぞ!」

「待て! 個性の暴発はそれイコールで敵というわけではないのだぞ!」

「双方落ち着け、感情を剥き出しにするな」

「そうですよー。時間は有限なんですから」

「だからといって悠長に話す時間もない。個性が暴発してるだけだとしてもこれ以上時間をかければできたこともできなくなる。鹵獲するにしても殺してしまうにしても迅速な判断が必要だ」

 

 話し合いはまとまらない。

 当然だ。ほとんどのヒーローはすでに彼女を敵として見れていない。

 

 姉と慕うものが、自殺。それを見て恐慌状態に陥った、としたならば、誰がそれを敵として裁けようか?

 

 それに、相手は年端も行かない少女。仮に敵として殺すならその実行は誰がするのか。

 

 決めるべきことがたくさんあり、その全てが煩雑である。

 

「だが……このままでは何も決まらんぞ……」

 

 それは皆が思うこと。

 

「くそ……こんなときにオールマイトがいれば……」

 

 それも、皆が思うこと。

 

 

 今はもういない大ヒーロー。その不在を彼らが真っ先に実感するのであった。

 

 

 ビリリリリリリリリ

 

 

 そんな、暗雲とした空気。それを切り裂くように電話の着信音が響く。

 

「あー、すみません。ちょっと席外しまーす」

「ホークス、こんなときに携帯の電源を切らないとは……」

「いやー、事情がありましてねー」

 

 軽い空気で流しながら会議室を出ていくホークス。それを止めるものはいない。

 引き続きスイをどうするかの会議が続くのであった。

 

 

 

「はーい、こちらホームズです」

「あなたは何をふざけているの」

 

 電話の相手は呆れた声を出す。が、すぐに切り替える。

 

「指令よ。九時までに解決できない場合あの少女を殺しなさい」

「俺にヒールになれと?」

「あなたの力ならバレないように首を跳ねる程度できるでしょ、相手は子供よ」

「相手は子供でしょ。そっくりそのまま返しますよ」

 

 軽い感じを残しながらも、そこに譲れぬ一線を感じさせる口調でホークスは返す。

 

「ならば解決しなさい。時刻は九時まで。それまでに解決できなければ決行よ。カモフラージュくらいしてあげるわ」

 

 要件だけ言われ電話は切られる。はぁ、とため息を吐きながらホークスは会議室に戻るのであった。

 

 

 

「分かった」

 

 ホークスが部屋に戻ったときサーナイトアイの発言が全体に響いた。

 

「意見は聞き終えた。これ以上話し合っても平行線なことも分かった。故に私の独断で決定する」

「な、何を勝手に」

「私が最もこの中のメンバーの個性を把握し、合理的な作戦を組み立てることができると愚考するが……あなたのほうが適任か?」

 

 煽るようなサーナイトアイだがその言葉は事実。彼が仕切ることに反論しようとしたヒーローたちは全員黙り込む。

 

「これより私に従えないものはこの部屋から出て行くことです。でないと邪魔になりかねない」

 

 彼はギロリと周囲を見渡し……反論は出ない。

 

「ほう……意外とうまく行きそうですね。やはりリーダーがいるかどうかで変わりますか」

 

 そこに感心したような少女の声が響く。

 

「そうだねぇ……ってえええええ!?」

 

 その声を聞いたヒーローたちが驚き距離を取る。

 

「嫌です……そんなに警戒しないでください。呼んだのはそちらです?」

 

 その少女は電動車椅子に乗ったままいつの間にか部屋にいた。

 

 四肢はなく、その操縦は首についたチョーカーの傾きで行っているらしい。

 

「なんならブキちゃんと呼んでくれてもいいですよ? 勿論、私の両親逮捕に関わったヒーローは呼ぶの禁止ですが」

 

 ヒーロー殺し、敵名「無垢なる武器商人」。

 

 紫綿場紫吹がそこにいた。

 

 

 

「サーナイトアイ! これはどういうことか!」

「私が呼んだのです。今彼女がそう言ったでしょう」

 

 さっ、と紫吹から距離を取るヒーローたち。だがサーナイトアイが手を上げ混乱を制する。

 

「彼女から対象の少女スイの個性についての情報を聞き出します」

「司法取引というやつですよ。私はあなた達に情報を渡す。あなた達は私を海外へ見逃し、スイを保護する。シンプルでは?」

「そ、そんな提案が通るわけ」

「私が通したのだ」

 

 驚き、理解できなかったヒーローがくい下がろうとするがそれはもう邪魔でしかない。サーナイトアイが断言することで静かになる。

 

「民間人の命と、一人の敵を見逃すことを天秤にかけただけだ。他に代案があるなら聞こう」

 

 あるわけがない。スイの個性は『衰弱』という名前と体力を奪う、という個性登録されている程度の情報しかないのだ。

 

「いいですか。それでは伝えましょう」

 

 

 一つ、その個性は対象の体力を奪う。

 

「詳細な化学反応などを調べたわけではありませんがカロリーなどのエネルギーがそのまま肉体の外へ熱エネルギーとして放出されている、というのが一番イメージに近いかと」

 

 一つ、その個性は敵味方の判別を無意識に行っている。

 

「すでに死にましたがオウタカ、またここにいないもう一人のヒーロー殺し、そして私、この三人は彼女の個性を受け付けません。彼女が無意識のうちに味方と判断しているためでしょう。同様に彼女に味方と判定されれば近づくことはできまるかと思われます」

 

 一つ、その個性の有効範囲は一定の体積を持つ空間である。

 

「体積自体は感情の起伏によります。ここまで大きくなっているのは初めてみましたが一定の体積を操っているというのが私達の見解です。故に一方向に引きつけることができるならば他の方向は手薄になるでしょう」

 

 一つ、彼女が寝ている間、その効果範囲は球状に保たれる。

 

「ですのでアジト探すの大変だったんですよねー」

 

 一つ、少女は生命力を感知している。その範囲は上述の体積による。

 

「安心してください。実際に衰弱の個性が有効になるのはその10分の1程度です。ですので今は1キロ圏内に入ったら危ないと考えておいてください」

「これで、以上かね」

「はい」

「トラスト」

 

 サーナイトアイが確認したのは個性『嘘感知』を持つプロヒーロートラストに確認する。

 

「はい、彼女の言葉に嘘はありません」

 

 返ってくるのは肯定。

 

「分かった。それではスイを保護できしだい敵『無垢なる武器商人』を開放する。それでいいかね」

「ええ、それが終わってからで構いません。私も見届けておきたいですから」

 

 電動車椅子を動かし、部屋の隅に移動しながら彼女は返事する。

 

「一応確認するがもう何も隠してはいないな?」

「はい、と言っても乙女の秘密はたくさんありますし……聞かれたことには正直に答えたつもりです。どうせこのままあなた達がうまく行かなければスイは死ぬのでしょう?」

「トラスト」

「はい、嘘はありません。すべて真実の言葉です」

 

 顎に手を当て思考にふけるサーナイトアイ。5分ほどすると結論を出した。

 

「あんまり疑わないでくださいな。私だって彼女の忘れ形見を守りたいという気持ちはあるんですよ」

「ふん、分かった。これより! ヒーロー殺しスイの捕縛作戦を開始する。参加するメンバーは……」




頑張れ……ヒーロー……(可愛そうになってきた(爆弾を準備しながら)

どっちが読みたいです…?(どっちにせよヒーローたちはえらい目に会います)

  • オウタカ生存ルート(比較的ハッピーエンド
  • オウタカ死亡ルート(悪に一切の救いなし
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