機動戦士ガンダム「野獣の一年戦争」   作:早起き三文

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第13話「熱砂激闘(後編)」

  

「これが連邦のクローン技術とやらか?」

「ああ、そうだな」

 

 特殊光学迷彩服にその身を包んだ男たちは。

 

「それ、善は急げだ」

 

 外での陽動作戦が終了しない内に、急いで基地の機密が納められている場所から立ち去った。

 

 

 

――――――

 

 

 

「ロイ、後は頼むぜ!!」

「おう、任せろ!!」

 

 後退したトーマス・クルツ機と入れ替わるようにして、砂上スキー器具にと乗っているザクが、ヤザン達の元へと迫り来る。

 

「ラムサス、俺の後につけ!!」

「了解!!」

「ギャリー、お前もだ!!」

「解った!!」

 

 射程距離外から100mmを牽制として放ちつつ、ヤザンは仲間たちにと陣を組むように伝える。そのヤザン達の上空から、カタリーナ機によって撃ち落とされた攻撃機、それからザクが飛び降りてくる。

 

「ダンケルは避難したか、ラムサス!?」

「したようです、隊長!!」

「よし!!」

 

 その落とされたザクの背後には、砂上スキーに身を任せている砂漠用ザクと数多のジオン製戦車、そして。

 

 バゥ!!

 

 もちろん、お馴染みの「ザク」の群れが、ヤザン達を目掛けて襲ってくる。

 

「まずいな、ヤザン」

「じゃあ逃げるか、ギャリーさんよ?」

「それも出来ないだろ……!!」

 

 そう愚痴をこぼしながらギャリーは盾、脆弱な装甲をカバーするためのジム用大盾を構えつつ、ジオン軍勢の先頭機へとバズーカを発射する。

 

 ザァ!!

 

 その先頭機は砂上スキーを切り離し、そのまま腕部からヤザン達に向かってミサイルを発射する。それをヤザンは小型盾を使い捨てる覚悟で叩き落としつつ。

 

「本日二度目、骨のありそうなジオン!!」

「このロイ・グリンウッド!!」

 

 ザク・デザートタイプのヒートホークと自機のビームサーベルで鍔を合わせた。

 

「地の理を活かした戦いなら負けん!!」

「今日は俺の御褒美の日だな!!」

 

 ボゥ!!

 

 そのヤザン機達の背後でラムサス機とギャリー機は敵戦車と射撃戦を始めだし。上空では、これまたお馴染みのドップ戦闘機とテキサン・ディミトリー達との戦いが始まる。

 

「味方増援、到着!!」

 

 そのベルカ少年兵の声は余裕のないヤザン達には届かない、その代わりに。

 

「連邦のモビルスーツです!!」

「何ぃ!?」

 

 陸戦艇、それにと大出力戦闘機コルベットにと吊るされたジム達が、空中から攻撃を加える姿が基地のカタリーナ達の目に止まる。

 

「どこの部隊……!?」

 

 この基地の他にはイェメンには名が知れている基地はない。ザニーの砲弾が尽きた事もあってか、カタリーナはコクピットを開き、望遠鏡でその増援部隊達の姿を確認しようとする。

 

「完成度の高そうなジムに見えるけど……!!」

 

 その通り、そのコクピットに吊るされたジム達は、少なくともダンケルが乗っていたジムの完成品とも見てとれた。そのまま彼女カタリーナは望遠鏡をヤザン達にと向け。

 

「凄い、ヤザン隊長……!!」

 

 一瞬で手を出そうとした一機のザクを切り倒し、そのまま敵のエースと格闘戦を繰り広げるヤザンを見て、カタリーナは感嘆の声を上げる。

 

「こちら、陸戦艇ギャロップ!!」

「くそ、ラッツリバーが切れた!!」

「聴こえているか、グリンウッド!?」

「聴こえている、撤退か!?」

「作戦は完了した!!」

 

 ドゥア!!

 

 夕闇が迫る中、基地の61式も支援にと回り、その砲弾による弾幕がジオンを圧倒し始めた。

 

「また会おう、連邦のエースよ!!」

「まだ、俺はもの足りねぇな!!」

「ならば!!」

 

 突然のザクからのキック、それを身軽にかわしたヤザン機ではあったのだが。

 

「くそ、脚が!!」

「笑ったようだな、連邦!!」

「このベンケーの泣き所、見抜いていたか!!」

 

 先のトーマス機との戦いで、ヤザン機は機体内部にと異常をきたしていたのだ。

 

「ヤザン隊長!!」

 

 ラムサスが振り払ったビームサーベル、それを敵のザクは身軽にかわし。

 

「さらばだ!!」

 

 そのまま、砂漠用ザクは手榴弾を数発、ヤザン達にとばらまく。

 

 バゥ、ア!!

 

 その手榴弾はギャリーの大型シールドにより防がれたが、その衝撃でギャリー機ライト・ザクは大きく吹き飛んだ。

 

「敵が撤退していくぞ!!」

 

 上空のセイバーフィッシュ達の声がヤザン達の機体内へ響くと同時に、ジム達が。

 

「テネス隊、撤退する……」

 

 連邦の不明機、コルベット・ジム達もまた、ジオンの陸戦艇からその身を引く。

 

「何もんだ、奴等は……?」

 

 頓挫した陸戦型ジムから見上げるその味方不明機達の中にも煙を噴いている機体もある。陸戦艇か戦闘機か、やはり無傷という訳にはいかなかったようだ。

 

「敵支援部隊も、撤退していきます……」

 

 その通信兵ベルカの声を聞くまでもなく、キャノン付きザクや戦車隊が退却していく姿がヤザン達にも見えた。

 

「追撃、できねぇだろうな……」

 

 悔しそうにそう呟くヤザン。彼の言葉の通り、味方で力を温存しているのは61式戦車隊のみである。相手には「ザク」が大勢いたのだ、つまり。

 

「引いてくれた、か……」

 

 その壊れかれたライト・ザクにと乗るギャリーの言う通り、今回の戦いはまさしくジオンが「引いて」くれた戦いである。いくらヤザンが戦いを望んでいても。

 

「まだ、連邦のモビルスーツは完成品じゃねえ……」

 

 モビルスーツ技術はジオンに、一日の長があるのだ。

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