機動戦士ガンダム「野獣の一年戦争」   作:早起き三文

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第24話「オデッサ・デイ(前編)」

  

 オデッサとは、地球圏有数の鉱山地帯である。その為かジオンの「地球降下作戦」の第一目標とされた。

 

 ヒュウゥ……

 

 今、真昼の太陽の中で地上のジオン戦車「マゼラ・アタック」隊にと爆弾を振り落とすフライマンタ、デプ・ロッグなどの攻撃、爆撃機の群れを生産、維持などをするための資源などが、コロニー国家であるジオン公国には無い為だ。

 

「こちら第三菱形、攻撃終了」

 

 フライマンタにと乗ったダンケルが所属する第三「菱形」とは、三機編成かける四の編隊を維持している、航空機の対モビルスーツ戦術の事である。

 

「第十二から三十菱形、モビルスーツに対して攻撃を遂行せよ」

「了解」

 

 そして、その陽光を浴びて輝く航空支援の元。

 

「こちらタンク第八十菱形、橋頭堡を確保した」

「だめだ、撤退しろ!!」

「なぜだ、ここまで来たのに!?」

「グフの群れがそちらに向かっている!!」

「くそ!!」

 

 砂ぼこりを上げつつに地上部隊、61式戦車を中核とした陸戦部隊も進攻を進めているが、その歩みは遅々として進まない。

 

「ガンタンクの弾が切れた!!」

「カタリーナ機、ただいま補充に向かう!!」

「了解!!」

 

 そして、その空いた「穴」を縫うように連邦製のモビルスーツ「ジム」が、それらの立ち往生した機体を救うべく、逐次投入させる。

 

「六機撃墜!!」

 

 編隊、または独立部隊として単独飛行している戦闘機もまた、穴を埋める為に投入されているが。

 

「七機め!!」

 

 ジオンにもドップ、あるいはド・ダイといった航空機はある。ギャリー・ロジャースのようなエースパイロットとコア・ブースターのような最新鋭機の組み合わせで無い限り、そうそう連邦の思う通りにはいかない、が。

 

「トップ機、被弾!!」

「こちらアス、助けてくれ!!」

 

 圧倒的な連邦の物量の前に、ジオン驚異のメカニズムうんぬん以前の段階で、パイロットの疲労と。

 

「弾が無くなったザクは、岩を投げて戦え!!」

 

 弾薬燃料、それらが枯渇していく。

 

 コゥア……!!

 

「グフ付きのド・ダイ、これで二機め!!」

「無理はするなよ、テキサン!!」

「可愛い子がね、ベルファフトに居るんでね!!」

 

 部分的にも連邦はジオン機の質を上回っている面もあり、ジオンの象徴たるモビルスーツが、どんどん行動不能となっていく。

 

「僕も、負傷さえしていなければ……」

 

 連邦軍総指揮官「レビル」が座乗するビッグ・トレーで休養をとっているヴァースキ少年の、その心理は複雑である。

 

「兄さんに、顔向けしたい……」

 

 

 

――――――

 

 

 

 全くバルカン、そしてビームスプレーガンが通用しなかった、両の手にバルカン砲を構えた重装甲のグフ・タイプが。

 

「エネルギー、チャージ始めます!!」

 

 一機だけしか投入されていない、ジムのスナイパーカスタムと呼ばれる機体によってその身体を撃ち抜かれる。その中。

 

 ドゥ!!

 

 縦横無尽に戦場を駆け回っていた、ホバー機能を備えていると思われるジオンのモビルスーツが、その手に持った大筒で陸戦型ジムを粉砕する。

 

「ドムだ、ドムを狙え!!」

「言われなくても、解ってます!!」

 

 ギュウ、ア……!!

 

 強烈に照りつける太陽を背にしながらの天頂、空からの強烈なビーム光がそのドムを溶解させた。

 

「あれが噂の白い奴か!?」

 

 先のジムが行った捨て身の攻撃でその右腕を失ったトーマス・クルツ機ことグフは、その機体を遠目に確認して、微かに戦慄する。

 

「トーマス、聞こえるか!?」

「なんだ、ロイ!?」

「南に逃げろ、ユーコン潜水艦がある」

「オデッサを捨てろってか!?」

「すでに独断で敗走している連中もいる!!」

「くそ!!」

 

 急遽配備された儀礼用のグフ、所々に金で縁取りされた豪奢な機体の残骸をチラリと横目で見ながら、トーマス・クルツは自機を軽く後ずさりさせる。

 

「くそ!!」

 

 遠目に見える謎の艦、コードネーム「木馬」を睨み付けながら、トーマスは自機を後退させようとする、しかし。

 

 ドゥン!!

 

「この距離で遠距離砲撃かよ!?」

 

 その木馬の随伴モビルスーツからの砲撃に対して、慌てたような声を出したトーマスは、今までの往生際の悪い後退ではなく、本格的にグフを撤退させた。

 

 

 

――――――

 

 

 

「レビル将軍」

「うむ……」

 

 敵、ジオン軍総指揮官からの「脅し」に対して将レビルは。

 

 スゥ……

 

 その指を振り上げ、無視するようにと周囲の人間に示した。

 

「では将軍、これで……」

 

 その指示を受け、モビルスーツで構成された特殊部隊を率いるテネスは、その場から席を外す。

 

「デプ・ロッグ大隊、援軍が到来しました!!」

 

 そのTINコッドに護衛された大規模な爆撃機の部隊、それが間に合ったということは。

 

「たとえ、核で部隊が半壊しても、これでジオンには勝てる……」

 

 目を瞑ったまま、レビルはそう一人言葉を紡ぐ。

 

 

 

――――――

 

 

 

「今ごろ、なあ……」

「なあに、ヤザン中尉?」

 

 自分の脇で横たわるメイリーの裸の胸を見つめながら、タバコを吹かしているヤザンは静かな声で、そう言葉を吐く。

 

「オデッサ、ダンケル達はどうしているだろうか?」

「解るはずないわよ、そんなの……」

「だよな……」

 

 そう言いながら、ヤザンは再びメイリーの身体をその腕にと抱く。

 

「ヴァースキ……」

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