機動戦士ガンダム「野獣の一年戦争」   作:早起き三文

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第34話「陽光の元で」

  

「ニューヤーク、いつの間に攻め落としたんだ、ダンケル?」

「俺が知るもんかよ、ラムサス」

 

 メキシコ地域にとある連邦の軍事基地、そこでヤザン部下の二人は、新型ジムを見上げながらとりとめのない話をしている。

 

「おっ、アイネ」

 

 その二人の元へ、整備員アイネがその姿を表し。

 

「どうしたんだ、おい」

「コマンドタイプの整備ですよ、ラムサスさん」

「そんな事より、少し俺とお茶でもしないか?」

「不真面目な人、あたしは嫌いっす」

「フン……」

 

 そうコナをかけて両方を竦めたラムサスを、アイネは少し冷たい目で見つめながら、そのジムの脚にとあるコネクタへと、コンピュータのコードを繋ぐ。

 

「アイネ、ジムコマンドの様子はどうかしら?」

「まだ、未知数っすよ、メイリー少佐」

「ジムのバージョンアップという触れ込みだけど?」

 

 どうやら、メイリーもこの狭いハンガーに機体のOS関連の機器調整の為に訪れたらしい。その彼女の言葉にアイネは顔をしかめながら。

 

「ただでさえ、前のジムが未完成だったのに、バージョンアップも何もないでしょうに……」

 

 その愚痴めいたアイネの言葉には、メイリーも苦笑するしかない。実のところ彼女も同じ事を思っていたからだ。

 

「まあ、キャリフォルニアを攻めるまでには、間に合わせるしかないわね……」

 

 そういいながら機体にと取りつくメイリーを横目で見ながら、ラムサスは埃っぽいハンガーから強く陽が差す外にと出る。

 

「ありゃ、ライトアーマーと」

 

 この土地特有の乾燥した空気、それに加えて強い陽射しにその顔をしかめつつに、ラムサスは模擬戦を行っているモビルスーツ達を。

 

「ヤザン隊長のストライカー、それにドミナンスか」

「そうですね、ラムサスさん」

 

 隣へと駆け寄ってきたカタリーナと共に、その細い目をより細くして砂煙に覆われたモビルスーツ三機を実と見る。

 

 

 

――――――

 

 

 

「ミデアでまず、このビッグ・トレーにまで行き」

 

 ベルカが地面に棒で描きながら、ヤザン達にと説明をしながら。

 

「そこの部隊に加わり、キャリフォルニアへの尖兵となります、ヤザン隊長」

「結局、最前線か」

「ヤザン隊長でも、嫌ですか」

「まさか、ベルカ……」

 

 そう言ってヤザンはベルカ通信兵にコーラを渡してやりながら、その地面に描かれた下手くそなビッグ・トレー、陸上戦艦の横にと鼻歌を歌いながらモビルスーツらしきものを描く。

 

「腕がなるぜ、ちくしょう」

「腕がなってその絵ですか、隊長」

「あのな、ベルカ……」

 

 ストライカーの整備が順調なのに気を良くしているヤザンは、普段は柄にもない事をしているのは解っているが。

 

「最近、お前生意気だぞ?」

「すみません、どうも……」

「あんまり、俺を怒らせるなよ?」

 

 別に、そのヤザンの声は愉快げな物が混じったものではあった、だがそれにベルカ通信兵は額にと汗を流す。

 

「隊長の顔で言われたら、たとえ冗談でも恐いんですよ……」

「またまた、何か言ったか?」

「いえいえ、何でも!!」

 

 またしても、その首がちぎれんばかりに振り回すベルカに、ヤザンは口の端を歪めるしかない。

 

「ヤザン」

「おう、ギャリー」

 

 その時、暑い太陽の光をバックにギャリー・ロジャースがコーラを二人へと持ってきてくれる。

 

「ありがとうよ、コーラ」

「あんまり、ボーヤを苛めんなよ」

「苛めてねぇの……」

 

 缶の蓋を開け、その中身を旨そうに飲んでいるヤザンはそう笑いながら、ギャリーにと。

 

「ジムコマンド・ライトアーマーな、言いづらいな?」

「俺もそう思うさ、ヤザン」

「でも、コマンドのパーツを補強させただけだろう?」

「それでも、性能はかなりアップしている」

 

 チーム・ヤザンの戦力は着実に上がってきている。このベルカの乗るホバートラックですら、彼によれば使いやすくなっているという事だ。

 

 ピッピィ……

 

 その時、ヤザンの持つ通信端末が、召集の音色を上げる。

 

「ほら、いくぞベルカ!!」

「ま、待ってくださいよ、隊長」

 

 コーラを未だ飲み干していないベルカは、そのヤザンの急かす声に激しくむせて。

 

「だから、あんまり若いのを苛めるなと……」

「いいっての、ギャリー」

 

 ギャリーがその強面の顔にも似合わず、ベルカの背を擦ってやった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「あたしのジムキャノンも」

 

 話し合いが終わった後、出発の準備をしている傍ら、カタリーナはその可愛い口先を尖らせ。

 

「コマンドタイプになるんですか、メイリー少佐?」

「そうよ、現地で」

「それは、大したもんです」

 

 ただ、メイリーやギャリーが聞いた話では、この好待遇は。

 

「ヴァースキ君のお陰ですね」

 

 仕事が終わり、イヤホンを耳へと差し音楽を聞いているヴァースキ、彼の影響があるらしい。どうやらそのカタリーナが皮肉を言った当の相手ヴァースキは、ある研究所との繋がりがあるらしい。

 

「オーガスタ研究所の、新型機か……」

「本当なんですかね、メイリー少佐」

「確かよ、ある新型システムを搭載しているという噂の新型機」

 

 情報通のギャリー・ロジャースによれば、その新型機のパイロットには最初、このヴァースキ少年が選ばれるはずであった。だが、とある部隊にその機体は譲られてしまった、そうギャリーは言っていたのだ。

 

「確か、対ニュータイプ用の何とかという……」

「EXAMですよ」

「エグザム?」

「ええまあ、メイリー少佐……」

「ふぅん……」

 

 どうやらイヤホン越しに話を聞いていたヴァースキが、そのシステムの名をややに低い口調で言う。

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