機動戦士ガンダム「野獣の一年戦争」   作:早起き三文

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第35話「キャリフォルニア奪回戦」

  

「よし、一機上がり!!」

 

 ジム・ストライカーのスピアがそのグフを切り裂くと同時に、彼ヤザン機の背後ではラムサスのコマンド、ジム・コマンドタイプがバズーカへの装弾を行っている。

 

「ラムサス、次が来るぞ!!」

「了解、ヤザン隊長!!」

 

 ちょうど半年位に前の連邦退却戦、それの意趣返しでもするかのように、連邦のモビルスーツ部隊は、熱砂の中でキャリフォルニア・ベースにと順調に駒を進めていた。

 

 ドゥ、ウ……!!

 

 その砂漠地帯をあたかも耕すかのように、チーム・ヤザンにと所属しているカタリーナ、それを筆頭に彼女のコマンドキャノンを含む砲撃部隊がジオンの、これまた砲戦部隊と火力を放ちあっている。

 

「こちら、モルモット隊!!」

 

 ヤザン達と同じくジム・コマンドを駆っている連邦兵が、ダンケル機にと狙撃ビームを発射しようとした、旧式ザクの改良タイプにとビームガンを連射しながら。

 

「支援につくぜぇ!!」

「おう!!」

 

 大型シールドを構えつつに、オーバーヒートの懸念も気にせずにビームガン、ビームスプレーガンの改良銃器をジオンのモビルスーツに向かって放ち続ける。

 

「おめぇ、確かペキンにいた奴だな!?」

「フィリップ・ヒューズ、覚えときなヤザンさんよ!!」

「そうかい!!」

 

 そのフィリップ機ともう一機のコマンド、そしてラムサス達を含めた計四機のジム・コマンドによる支援を受けながら、ヤザンは背後にヴァースキのドミナンスを連れて、ストライカーにて敵の陣営に切り込んでいく。

 

「よし、いけるぞ!!」

 

 味方の砲戦部隊の火力はますます増強してきている。その火力を心強いと思ったのか、ヤザンのややに離れた場所ではギャリー・ロジャースが率いるライトアーマーがグフの部隊と交戦している様子だ。

 

「敵の数が少ないです、ヤザン隊長!!」

「それでも気を抜くなよ、ヴァースキ!!」

「了解!!」

 

 ドミナンスのビーム砲で撃ち抜いた敵機が水中用モビルスーツ、やけに手が長い、妙な機体だということにヴァースキは少し油断してしまったのかもしれない。そのヴァースキ機に向かって。

 

「油断だぞ、ヴァースキ!!」

 

 その手からビーム砲を放つ水中用機の姿を見つけたヤザンは、僅かに被弾したヴァースキの方は見ずに、機体の懐からスプレーガンを取り出して、それを牽制にと使いつつ。

 

 ザァ!!

 

 砂漠の熱によりオーバーヒートを起こしたそれを投げ捨て、両手でビームスピアを構えそれを水中用機、確かズゴックとかいう機体の改良型にと、その穂先を向けた。

 

「やるな、こいつ!!」

 

 槍による二撃を連続して放ったストライカーから身をよじるようにしてかわしたそのズゴックは、その手先のクローアームをヤザン機にと突きだした、が。

 

 ボゥフ……!!

 

「カタリーナ達、良い仕事をしているぜ!!」

 

 ややに後方の砲戦部隊からの攻撃をその身に受けたズゴック改良型はその身体を大きく吹き飛ばされ、そのまま立ち上がらなかった。

 

「ダンケル、ラムサス、無事か!?」

「問題ありません、ヤザン隊長!!」

「よし!!」

 

 そのダンケルの気迫に満ちた声を聞きながら、ヤザンは背後のヴァースキに自らの横にと立つように言う、そのまま彼はスピアを構え。

 

「切り込むぞ、ヴァースキ!!」

「りょ、了解!!」

 

 火力支援が優勢な今の内に、敵陣地へと機体を突き進ませようとする、その時。

 

 ヴォン!!

 

「な、何だ!?」

 

 その時、一陣の「蒼い」風がヤザン機ジム・ストライカーを撫で、そのままその味方の不明機らしき機体は、猛スピードで目前のドムを切り裂いていく。

 

「なんだ、ありゃあ……?」

「ブルーディスティニーですよ、ヤザン隊長」

「知っているのか、ヴァースキ?」

「オーガスタ研究所の経由で、ムラサメにいたときに聴きました……」

 

 その、やや暗い口調で話すヴァースキに疑問の気持ちを抱きながら、それでもヤザンは周囲の警戒を怠らない。

 

「そこのジム・ストライカー!!」

「何だ!?」

「ハイゴッグが来ます!!」

 

 無線信号からして、先のフィリップ機と同僚と思しきコマンドからの、若い男の警告の声と共に。

 

 ギィン……!!

 

「うわっと!?」

 

 ヤザン機達の目の前に三機の「ハイゴッグ」とやら、腕がやや長く前傾姿勢である水陸両用のモビルスーツと思わしき機体がその手のひらからビームをヤザン達にと放つ。

 

「くそ、やってやるぜ!!」

「ラムサス、気を付けろよ!!」

「解ってますって、隊長!!」

 

 そのビームはすでに旧式化が始まっている陸戦型ジム、ヤザン達の背後にいた他部隊のそれを撃ち抜き、そのままの勢いでチーム・ヤザンへと接近をする。

 

「ドムもいるしビームもある、数も質も充分だな!!」

 

 何か、そう喝采に満ちた声を上げながら、ヤザンはヴァースキ機ドミナンスの放ったビーム砲で相手が怯んだ隙に、ストライカーを敵機の群れへと突入させた。

 

 

 

――――――

 

 

 

「オーガスタ研究所?」

「はい、ヤザンさんを名指しで」

「フゥン……」

 

 キャリフォルニア・ベースを奪還し、その基地の近くて野営テントを張っている連邦軍兵舎。そこで夕食後の酒を飲んでいるヤザンは、ヴァースキからのその言葉に、自らの眉を軽くひそめる。

 

「どっちかっていうと、お前の管轄なんじゃねえか?」

「確かに僕にも用件があるみたいですが、オーガスタはヤザンさんに目をつけたみたいです」

「フン……」

 

 何か不明なその理由に、ややヤザンの機嫌は悪くなる。

 

「ちょっと、アイネの所へ行ってくる」

「はい?」

「少し、ストライカーに施されたコーティングの調子が悪いみたいだ」

「はあ……」

 

 話をはぐらかそうとしている、そんなヤザンにヴァースキはジトリとした目を向けながら。

 

「僕が、ヤザン隊長の事を言ったんじゃないんですからね!!」

 

 月夜の中、ヴァースキ少年に背を向けたまま軽く手を振るヤザンに、彼ヴァースキはそう大声で叫んだ。

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