アブソリュート・デュオ -特異点-   作:九牙タイト

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プロローグ

美羽姉(みうねえ)・・・?」

小学生の時。雨降る夜に俺は13歳も歳が離れている従姉弟の美羽姉に再会した。

・・・血塗れの姿で。

倒れている美羽姉の先には1つの黒い影。傘もささずに俺たちを見ていた。

恐怖はなかったと思う。疑問で覆われていたから。

何故この街に1年近く会っていなかった美羽姉がいるのか。何故血塗れなのか。目の前にいる影は何者なのか。

と、影が近付いてくる。手には長刀のようなものが。

「・・・て」

「・・・美羽姉?」

「逃げ・・・て・・・」

そんなことを言われても足は動かない。なにより怪我をしている美羽姉を置いて逃げるなんて。

でも相手は大人。勝てる道理はない。

どうする?どうすればいい?

逃げるのか?戦う?でも相手は刃物を持っていて。

と、俺の胸に美羽姉の手が触れた。

「巻き込んで、ごめんね・・・」

「え?」

疑問に思う暇もなく何故か美羽姉の手が光る。

それと同時に身体が燃えるが如く熱くなった。いや、覚えている限りでは本当に炎に包まれていた・・・気がする。

何が起こっているのかわからない。でも理由はわからないけど、魂がある言葉を叫べと急かしてくる。

けど、その言葉を言ってしまえば戻れなくなる気がした。家族や友人と笑い合える、普通の生活に。

だったらどうやってこの状況を脱する?逃げても追いつかれるだけだぞ。

・・・覚悟を、決めた。美羽姉を置いていく訳にもいかないし。それに。

少しづつ沸き上がる感情を自覚する。

ああ、俺は怒ってるんだな。そして、泣いていた。

ごちゃ混ぜになった感情のまま俺はその(ほむら)の中で何かを叫んだ。

「━━━ッ!」

そして俺は━━━

 

 

━━━再び焔に包まれていた。

目の前にはゴシック衣装の少女。焔に包まれている俺を見て、愉悦している・・・ように見える。

俺はそんな様子を見ながら、焔に包まれているのに落ち着いていた。

確かに熱は感じる。だが、この焔は俺の()()()()。恐怖なんてある訳がなかった。

目を閉じる。ここに来た意味やその覚悟を再び確認するために。

そんな中に今までの生活が流れてくる。でも、俺はその中で浮いていた。

ずっと、美羽姉のことを考えていたから。

余計な事だった。覚悟なんて、とうの昔に決まっている。俺は・・・俺は全てを知るためにここにいる。

目を見開くと同時にゴスロリ少女が何か言ってくる。

「願わくば・・・特異点(エスペシャリー)の貴方が、絶対双刃(アブソリュート・デュオ)へと至らんことを━━━!」

知らない単語を並べられながらも魂に従う。そう、うろ覚えのはずなのに、魂にしっかりと刻まれたあの言葉を━━━

 

「《焔牙(ブレイズ)》━━━!」

 

 

 

Next episode『始動(ビギニング)

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