そして死神は何を思う   作:いーぐれっと

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仕事がやや落ち着いてきたので仕上げました
難産でした…
あと1、2話でなんとか終わらせたいですね
近日中に仕上げられるようぼちぼちやります


審判

ただ戦うために

ただ死ぬために

もっと戦火を、もっと戦果を

この身が焼き切れるまで闘いを

 

 

瓦礫の山、残骸の群れ、焦げた香り、硝煙の風が吹く

 

 …。

 

炎が舞う惨劇の後に死神はただ佇んでいた。まさしく最後の戦いに挑まんとする重武装と装甲だった。

数刻、遥か彼方を眺め終えるとVOBは爆炎と轟音を響かせ死神と共に地平線へ、最後の戦場へと飛んで行った。

 

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

「死神がやってくる」

エリザがポツリと言葉を溢した

それと同時に部隊長であるM4に観測のSR人形から敵影の接近が伝えられた

「来ましたか。全部隊に通達、交戦を開始してください。ここで仕留めます」

 

 

 

徹甲弾の雨が降る

迫る弾丸を強固な装甲で弾きながら死神は迫る

使用限界を迎えたVOBをパージするとその勢いのまま狙撃ポイントの建物に体当たりをした

 

 

 

各隊からの通信を聞きM4は舌打ちをする

悲鳴と怒号が通信越しに聞こえると同時にブツリと途切れた

「AR小隊総員へ、我々も向かいましょう」

 

 

 

「た、たすけて…」

たった数瞬で部隊が壊滅した。信じられなかった。

仲間だった者達の循環液で全身を真紅に染めた目の前の鉄血は間違いなく死神だった…

「こないで!」

護身用のハンドガンは無常にも装甲に弾かれて意味をなさない

砂煙が晴れず援護射撃すら来ない

砂煙が晴れ始めて間もなく「ぎゃあ」と悲鳴が鳴り静寂が訪れる

「鉄血の姿は!?」

MGの人形が叫びその返答に 見えない。と返ってくる

「いいから探して!」

MGの人形がそう返した時、煙の壁の向こうから青白い光が迸った。

 

 

 

 

 使用限界か…パージする。

 

 

大量の棒が付いた大きな装甲のような物をゴトリと落とす

瓦礫も残骸も人形だったモノも融解し崩れて転がっている

オーバードウェポン、マルチプルパルスによる計130門のパルスキャノンの一斉掃射。鉄血の技術によって不完全ながら再現されたそれは強烈な閃光と共に死を振り撒いた

一つ息を整え次の武器を構える

巨大な筒を右手に、フジツボのような凹凸のついた装甲を左肩に構える

オーバードウェポン、ヒュージブレードは次の瞬間に超高出力の火炎を噴き出した

 

 

救援に駆けつけた人形達は死神の姿を捉えると同時に絶望した。全てを焼き尽くさんとする火炎の刃から逃れられないと無慈悲にも高性能な演算が答えを導き出した

 

「そこまでだよ〜」

声と共に死神の右腕に走る強烈な衝撃

轟音が弾けヒュージブレードの軌道が逸らされた。が死神も即座に反応をする。逸れたそれ(ヒュージブレード)を自身の膂力にモノを言わせて振りかぶった

「416!」

目の前の人形がそう叫ぶと自身との間に何かが落ち…弾けた

目の前にいた人形、UMP9は一瞬にして姿を消し同時に死角からの銃撃を受ける事になった

先程の衝撃を左肩に受けエラーの信号が鳴り響く、同時に砕けた左肩の装甲に正確な射撃を浴びた

 

 

 左肩が動かなくなった、か

 

 

頭部装甲の下で口角を上げた死神が愉快そうに呟くとヒュージブレードの出力を最大にまで上げ地面へと突き刺した

熱波と砂煙が舞う。射撃は止まない、だが…

薄煙の向こう側で金属がひしゃげる音が、何かが地面を削りながら回転する音、それに伴う轟音が響く

「416!避けて!」

先程とは別の声が叫んだ時ドリルのように回転するブレードを構えた死神が飛び出し先程まで416の居た建物を粉々に砕き塵にした

「分かってるわよ。私は完璧なんだから」

416は銃を構えグレネードランチャーを放つ

「じゃあ私も!もういっぱーつ!」

反動で硬直した死神の背面の装甲に弾頭が直撃し剥がれた装甲を縫ってパイルバンカーが叩きつけられた

ーーー

ーー

 

 

 

 コアは損傷、全ての武装は損壊。まだ、まだ終わってはいない

 

 

自身が衝撃で吹き飛ばされた事に気付き瓦礫の山から身を起こす。

全身から火花が散り、循環液が地面を染める。

だが、砕けた装甲の隙間から覗く顔は戦いを純粋に楽しむ者の顔をしていた

メキメキと音を立て巨大な瓦礫を持ち上げる。それと同時に人形達が驚愕の声を上げた

「デタラメ過ぎるわよ、コイツ…」

416は忌々しげに呟きながらアンダーバレルに付けられたグレネードランチャーをリロードし、銃口を死神へと向け放つ

それと同時に他の人形達も一斉に引き金を引いた

マズルフラッシュが輝き弾丸が死神を貫く、しかし止まらない。死に体とは思えない膂力で巨大な瓦礫の塊を振り抜き叩きつけるがコアの損傷と度重なるダメージが死神の動きを緩慢にしていた

自身に必殺の一撃を放たんとするUMP9に標的を定め振り抜いた攻撃はいとも簡単に避けられた

「最期の一呼吸が終わるまで」

正確無比な416の弾丸が右肩の装甲を貫き剥がしそれを追うようにG11の弾丸が関節を砕いた

「チェックメイトよ」

UMP45は自身の銃の引き金を引き剥き出しのコアへと弾丸を叩き込む

「ナイン!」

「まっかせてよ45姉!」

次の瞬間には重い金属音が響き、それと同時に死神が膝から崩れ落ちた

「らくしょーう!」

UMP9は高らかにVサインを掲げた

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