そして死神は何を思う   作:いーぐれっと

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あけましておめでとうございます。で投稿しようと思っていたのですがどうにもやる気が出ず引っ張った結果ここまで伸びましたことをお詫びいたします。反省はしていません


Verdict Day

メインシステム戦闘モード、起動。

死神は闇のような深い黒の装甲を身につけた躯体を起こす

グリフィンのダミーリンクシステムを応用した遠隔操作。奴らの力量は見た。雑兵を蹴散らし『候補』になり得る者達は残った

満足気に鼻を鳴らすと同時に財団の声が聞こえた

「J肩慣らしは終わったかい?」

 

 十分だ。

 

「それじゃあ始めよう。そして教えてあげなよ、彼女たちに可能性なんて無いんだって事をね!ハハハ!」

 

 

死神はこれから起こる戦いに武者震いをし飛び立った

ーーー

ーー

 

「遅れて来たところ悪いけど大した事なかったわよ」

UMP45が肩を竦めならがM4達に振り返った

「ほんとにこんなのに苦戦したの?私達だけでも充分だったけど?」

「ええ、コイツのせいで私達の部隊は半壊しかけました。」

M4は死神の残骸にチラリと目を向ける。違和感。何かは分からないが小さな違和感を感じ「…本当にソレは、あの時の死神なんですか?」

「ええ、反応も前に確認した時と同じだったわよ」

「コアは?」

「そこまで疑うの?まあ、待ちなさいよ、今確認するわ」

 

M4達は残骸へと向かい歩き出した所でエリザからの通信が突如として響く

『そいつは違う!ダミーだ!!ファンタズマが来る!!構えろ!!!』

皆、空を見上げた黒い怪物が、黒き審判者が、緑色の輝きを放ちながら舞い降りた

「昔話をしてあげるよ。これは僕たちが候補者を殺していた頃の話だ。

 

僕たちは人類を否定していた。可能性なんてない、とね。

 

僕たちは考えた。

人類はなぜ無駄に足掻くのかって。

 

でも自称管理者共は、人類に可能性を見出そうとしたんだよ。

だから、候補者を見つけ出して、殺すことにしたのさ。

 

なにもかもを黒く焼き尽くす、死を告げる鳥。

そんな『黒い鳥』なんて眉唾だって妄言だって否定してやろうとしたのさ!」

別の男の声がそう狂気的に言い終えると死神は俯いた頭を上げる。

赤い光がギラギラと光る

 

 

未だ降り止まない雨のような絶望を(In a rainy day)お前達の手で殺してみせろ。(let's fight for counter)

 

 

「撃て!!!!」

M4の怒号が響くと同時にAR小隊のメンバーが一斉に砲火した。それに続くようにMGの人形が、SMGの人形が、RFの人形がHGの人形が、恐怖を押し殺すように一心不乱に引き金を引いた

死神は踊るように、建物の間からその間へとライフルを撃ちながら滑るように消えては現れる。その度に人形達への被弾が増えていく

「早く起こして下さい!あなた達(404小隊)の切り札なんでしょう!」

M4が焦燥した声でUMP45へと怒鳴る

「やってる!ぶっ飛ばされた時に頭打ってるみたいだから再起動には時間掛かるわよ!」

M4は舌打ちをすると移動の命令をしていたRFの別動隊へと指示を出す

ーーー

ーー

「M4からの指示が来たわ。総員構えて!…撃て!!」

WA2000達は引き金を引いた、放たれた弾丸は死神のPAを貫通し装甲へと突き刺さる

死神の視覚センサーがギロリとスコープの反射光へと向き凄まじい速度で接近を開始した

 

やはり、今の弾はお前か…この時を待ち望んでいたぞスナイパー!

 

撃て!ともう一度指示が飛ぶ今度はWA2000以外の弾は擦りすらしなかった

放つ、放つ、放つ。銃身が焼けるまでマガジンが最後の弾丸を吐き出すまで。WA2000の弾はその度に死神を貫くが構わずライフルを撃ちながら肉薄する。ようやく他のRF人形の弾が当たる頃にはその多くは倒れ、被弾したWA2000の目の前まで迫って来ていた

ライフルの銃口は既にWA2000へと向いていた

「さああああせるかってーーーの!!!」

焼夷手榴弾と自身の得物(Vz 61)を構えたスコーピオンが死神の頭部へと強烈な飛び蹴りを入れる

「ワルサー!退避して!」

焼夷手榴弾を投げ付け銃を撃ちながらスコーピオンは叫んだ。

だが死神は燃え上がる炎を振り払いスコーピオンを蹴り飛ばした

足を引き摺りながら退避をしようとするWA2000へともう一度銃口を合わせた

WA2000は目を瞑った。銃声は聞こえない、代わりに重い金属音が響いた

「さっきのお返しだよ」

死神の腹部の装甲へ深々とパイルバンカーが突き刺ささっていた

「時間稼ぎありがとう!あとは私たちがやるよ!」

UMP9がそう言いながらパイルバンカーを引き抜き退避すると同時にスモークとフラッシュが焚かれM4の撃て!という声が響いた

「ワルサー、今うちに、下がろう」

よろよろといつの間にか起き上がってきたスコーピオンがWA2000へ肩を貸す

WA2000は悔しそうな顔をしながら分かったわ。と頷いた

ーーー

ーー

 

反応が遅れたか…損傷は想定内だが、あのスナイパーの一撃一撃、その全てが的確な射撃だったようだ…。だが、直ぐの復帰は不可能だろう。先にこの者ら(他の候補者達)を片付けてからでも仕留めるのは容易い

 

 

クツクツと笑いながら体勢を整え、射撃を避けるため建物の陰から陰へと移る

たが、その動きもライフルの精度も先程と比べ鈍く、粗くなっていた

死神は着実に追い詰められている、数刻前と同様にだ。しかしそれは相手も同じ事であった

私が受けている攻撃は全く変わっていない。だが、崩せない。先程よりもより鋭く、私を殺そうとしている。

 

いいぞ…これこそが闘争だ!だが!私はまだ死んでていない!私の頭部を砕け!コアへと刃を突き立てろ!雨は、まだ止んではいないぞ!

ハリー!ハリー!!ハリー!!!(今だ!今だ!!今だ!!!)

 

 

M4達に追われるように後退と射撃を繰り返していた死神は自身が誘導されている事に気が付いた。背筋に冷たいものが走り次の瞬間には無意識にPAの出力を全開にしていた

「今」

M4が指示を出すと仕掛けておいたC4を一斉に点火した

爆音と共に煙が舞う

「これならあの障壁であっても耐えられる筈がないでしょう」

M4はただ呟いた

「それじゃナイン、よろしく」

頃合いを見たUMP45が指示を出すとUMP9は元気な声で返事を返しながら爆発の中心で膝をつく死神を爆煙ごと貫いた。

UMP9がすぐさまに飛び退くと人形達による掃射が始まった

 

「J、キミはここで終わるのかい?」

 

まだだ、本当の終わりは、まだ…!

 

「なら!!この程度!!想定の範囲内だよ!!!ハハハッ!!!」

 

起動音が鳴る。

システム、再構築。

戦闘モードを再起動。

「J行きなよ!これが最後の切り札さ!」

あの時と同じだ。ならば…

 

 

ならば、言葉は既に意味を成さない。な

 

 

緑色の粒子が収束する

「総員!物陰へ!」

M4が叫ぶ

煌めき、輝き、そして閃光のように炸裂した

 

システム、オーバーロード。

警告音が頭の中で鳴り響く、だが、不思議と心地が良い

損壊した武装と装甲を破棄、パージ。そしてブレードを展開する

役目を果たしPAとしての機能を失った緑色の粒子は空に舞い散り煌めいていた

死神が動いた、残る人形の中で最も危険な存在であるUMP9へと標的を定める

捨て身のアサルトアーマーに巻き込まれていた筈のUMP9だが、フラフラとしながらも瞳に憎悪を燃やしながら立ち上がり

「よくも45姉を!!!!!」

パイルバンカーとブレードがぶつかり合う。が直ぐに死神が押し返し蹴りを入れる

うめき声を上げ体勢を崩したUMP9へブレードの切っ先が迫るがすんでの所で416にグレネードランチャーを撃たれ阻止される

お互いが爆発により距離が離れたがUMP9は倒れたまま動かない。もう一度狙いを定めた

「させない!」

416が物陰から飛び出し射撃をする

それに合わせるようにM4とSOP2が引き金を引いた

死神は片方のブレードで露出し半壊したコアを庇いながら的を絞らせないよう右へ左へと動きながら詰め寄る

416を狙ったように見せかけクイックブーストを用いてM4の方へ急速に方向転換し刃を振りかぶった

「M4!」

SOP2は咄嗟にM4を突き飛ばしその一撃からM4を守った

回避行動の後すぐさま体制を整えた416の射撃は命中しているが止まらない

よくも!と怒号を上げもう一度刃を振り下さんとする死神に対し背中に担いだケースを盾にする様に押し出した

既に砲身は展開している。弾き返した刃がもう一度振り下ろされる前にケースの銃口を死神のコアへと向ける

紙一重。死神は切っ先を振り下ろす事をやめ弾かれた方へと身体をずらす事でコアへの直撃を回避した

砕け散った左腕とその破片が舞う中、クイックブーストで体勢を整え再度の発射を試みるM4へ残る僅かなブーストをチャージし、蹴る。

確かな質量と僅かながらの瞬間的な加速による一撃は見事にM4を吹き飛ばした

 

416は焦りながらも冷静に頭を回転させる。自身が持つナイフではコアを切り裂けない。そして落ち着けるように「私は完璧よ」と幾度も頭の中で呟く。

(!!9!借りるわよ!!)

意識の途切れた9が持つパイルバンカーを回収し死神へと飛びかかる

 

 

一瞬の殺気を感じブレードを背後へと払えばパイルバンカーのぶつかり合い激しく火花を散らした

 

見事だな。咄嗟にしては良い判断だ。

 

直後に416の腕からミシリと嫌な音が鳴りパイルバンカーを振るった右腕が砕けた

倒れた416を見ることなく死神は起き上がり息を整えるM4の方へと振り返る

 

 

 

信号がエラーを吐き出し身体が思うように動かない。この時ばかりは人間と似せられた存在である事を恨んだ

震える足で立ち上がれば416は倒れ死神の刃はもう一度こちらへと向いていた

鈍く光を反射する切っ先がゆっくりと迫ってくる。火花を散らす身体を揺らしながら、動かぬ脚を引き摺りながら、割れた装甲から覗く瞳に殺意を滾らせながら

 

 

終わりだ。

 

 

刹那、青い閃光がほんの一瞬輝いた

風を切り裂く音が鳴り死神のコアを貫いたのだ

 

M4も、死神も目を見開く

 

 

そうか、お前(WA2000)か…。

 

くつくつと小さく笑いぐらりと大きく揺れ膝を突き崩れた

 

 

ああ、これで…いい…これ、で…。

 

 

死神の赤い瞳が色を失って、消えた

 

 

 

ーーー

ーー

「言ったでしょ。アンタを仕留めるのは私だって」

アーキテクトが修復したヒュージキャノン改を見つめながらWA2000は呟いた




これで完成となりますが番外編と後日談もやります。要らないと言ってもやります。
あと本編最後の締め方考えるのが面倒になったのでこれで勘弁ください。
今後とも指揮官出てきませんので各自で補完、妄想張り巡らせて下さい
お付き合い頂きありがとうございました
またこの場にはなりますが過去話の誤字報告感謝致します
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