イナズマイレブン〜To the bone   作:Rêve

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うん。ゆっくり投稿していくと前話の前書きで語った。
でも、筆が乗ったんです。書けちゃったんです。
なお、今回イナイレ要素はあまり無いです。
一応、この作品はクロスオーバーなのです。


転生能力(役立たず)の使い道

初めてのサッカーから数日が経った。あれから刃はしばらくサッカーをすることにしたらしく、薫と一緒に練習したり、壁に向かって蹴って、跳ね返ったボールに飛びついたりと謎の練習をしたりしていた。

もっとも、薫との練習は薫の体力が少なすぎるのであまりできないのだが。

 

ちなみに、ボールは刃が勝手に購入した。まぁ、両親から無視されてるようなものなので、こっちが勝手にやってもいいだろうみたいな論理である。

 

それはともかく、刃は一つの問題に立ち向かっていた。『転生特典』の扱いである。

 

いくら世界観にあってはいないとはいえ、せっかくの贈り物なのである。これを利用する手はないと考えた刃だが、予想以上に使い道が無い。そもそも人に見られてはいけないことを考慮すると使うことすら憚れる。

 

さらに言えば、あくまで能力を使えるだけであり、使うための技能や身体能力などは一切得て無いのである。使うのにも習熟が必要となれば使い道はほぼ無いと言っていいだろう。

 

無論、彼とて何も考えが無いわけではなかった。最初は必殺技として使おうと考えていたのだ。

 

この世界のサッカーにおいて重要になってくるのが必殺技である。これがあるのとないのとではかなりの差があり、必殺技を使わずに必殺技を防ぐにはかなりの実力差が無ければ防げないほどである。——ゲームだとナイスパスで突破できるとかは禁句でおる。

 

しかし、この刃の『UNDERTALE』( 魔法 )の力は、どう頑張っても人を傷つけるための力である。一切のダメージを与えないだとか、最小限に抑えるだとかは、本来の力の持ち主たちですら難しいものだったというのに、使い方しか知らない刃にはそんな芸当不可能だろう。

 

もう一つの『並行世界』(AU)の力に関してはもはや何に使うんだと言える。軽く世界破壊できる能力もあるというのにどうすればいいのだ。

 

考えれば考えるほどに日常生活で辛うじて使えるものが『近道』(ショートカット)——瞬間移動のようなもの——しかなくなった刃は頭を抱えることになる。

 

と、ここでふと閃く。この世界では必殺技がある。しかし、能力は危険すぎて使えない。ならば、参考程度にして自力で必殺技を編み出せばよいと。

 

これは刃にとっての仮説になるが、『必殺技は強いイメージと選手の身体能力によって生み出されている』という考えである。

 

しかし、刃は転生者。前世の常識がこの世界のことを知っていたとしても、刃がこの世界に馴染まなくしている要因でもあった。

 

なので、能力を使い参考にすることでイメージ力を強化し、この世界に早く馴染めるようにしようという素晴らしい案であった。

 

これはいける気がすると笑みを浮かべる刃であったが、一つ問題がある。能力を知られるということは絶対にあってはならない。そのため、この特訓は誰にも見られてはいけないということだ。つまり、この家でやるには寝静まった深夜にやる他ないのだ。

 

ここで塵山家のことについて触れておこう。刃も暮らしているこの家は割りかし豪邸と言ってもいいかもしれない家である。しかし、両親が何をやっているかはよくわからない。そして、刃のみがネグレクトを受けているという奇妙な家庭である。——理由としては左目が気味悪がられたことなのだが。

 

一応、この家に地下があるということを刃は知っている。しかし、入り口が見当たらない上に、両親が利用してる可能性が高いので見つけたとしても使用は出来ないかもしれないのだ。故に深夜にやる他ないと刃は結論付ける。

 

刃が時計を確認すれば今は夜7時。深夜までは時間があった。薫は今は疲れて寝ているので明らかに暇になってしまっている。刃はこの時間をどう潰すのかを先に考えなければならなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜0時。きっと大体の人が寝静まったであろう真夜中。それを見計らったかのように部屋の扉を開け、周りを伺う人影があった。

 

「……誰もいないな」

 

もちろん、刃である。誰もいないことを確認すると音を立てないように扉を閉めて、そのまま外を目指す。幸いにも刃の部屋は……というより空き部屋を勝手に使ってるだけだが、2階とはいえ階段のすぐそばなので、外への道のりは短かった。

 

「よし、どうにか外に出れた。さて、早速使ってみるか」

 

苦も無く外に出れた刃は深呼吸した。使い方は感覚で分かっているが、初めて使うのだ。ある程度の心の準備は必要だろう。

 

「……………ッ!!」

 

集中力を高めて、使いたい魔法を頭に思い浮かべる。瞬間、刃から少し離れた地面から大量の骨が突き上がったではないか。

 

「……ッ!?思った以上に疲れるなこれ……」

 

膝をついて呼吸を荒くする刃。どうやら大量の骨を出したことが原因らしい。まぁ、使用するTPを指定せずに使えるだけ使ったようなものなのでそれは当然とも言える。

 

「今度は数を減らすのと……位置を指定して…!!」

 

再び同じ骨魔法(仮称)を思い浮かべて、今度は量と位置を指定する。———だが、始めたばかりの初心者にいきなりそんなこと出来るはずが無く。

 

「へぶぅ!?」

 

ある程度減らすはずがたった1本の骨だけが突き出てきた——指定した位置とは全く違う、刃の足元から。

突き出た骨が顎にクリーンヒットし、宙を舞う刃。

 

「……そ、そう上手くいかねぇよな……」

 

飛びかけた意識を気合で現実に引き戻し立ち上がる。その目は転生直後の絶望した目では無く、なにかを固く『決意』した目だった。

 

「上等だ…!何がなんでも使いこなして、イメージ力を鍛えてサッカーに役立ててやる…!」

 

ついでに、吹き飛ばされれば体も鍛えられると前向きに心で思う。もはやこのことに関して、刃が止まることはないだろう。なぜなら『決意』したのだから。

 

その後も真夜中の秘密の特訓は続いた。無論何度も吹き飛んだのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「——ゃん!——ちゃん!」

 

「うぅ……?」

 

「お兄ちゃん!!」

 

「うわっ!?」

 

微かに聞こえていた声から、突如大きな声に変わったため目を覚ます刃。気がつけば鳥のさえずりが聞こえるほどの清々しい朝だった。しかし、自分を見ている薫の目には涙が浮かんでいた。

 

「起こしに行ったらお兄ちゃんがいなくて!外にいるのかなって、外に出たら傷だらけで倒れてたんだよ!?……ひぐっ……えぐっ……」

 

どうやら無作為に出した骨をどうにか片付けたあと、倒れて眠ってしまったらしいと気づく刃。薫も心配で仕方なかったのだろう。遂には泣き出してしまう。そりゃ、自分の兄が傷だらけな上、外で倒れてたら泣くだろう。

 

「あー、ごめんな薫。ホントごめん。次からはほどほどにする」

 

「ひぐっ……ホントに?」

 

「ほんとだよ。だから泣くなって」

 

起き上がって薫を抱きしめて頭を撫でる刃。流石に今回はやりすぎたと自覚はあるらしい。それでも、やめる気は無い。

 

しかし、刃は倒れる前に思ったことを思い出した。

 

「やれやれ……骨折り損にならなきゃいいけど。骨だけに」

 

——クッソどうでもいいジョークである。しかし、本来の能力の持ち主が言っていたことと、刃も前世で諦観からよく言っていたためか、彼にとっては馴染み深いものだった。もっとも、前世ではそれすら言えなくなるほどに追い詰められていくのだが。

 

しかし、それが再び言えるようになったのだ。案外、精神的に回復してきたのかもなと考える刃。本来の能力の持ち主の物真似と言われるかもしれないが、これからも言ってみるといいかもと考え始める。

明るいことを考えはじめたそんな刃を祝福するかのように、朝の空は晴れ渡っていたのだった。




刃が膝をつくほど疲れたのは本文内の理由だけではなかったりする。
それは今は秘密ということで…
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