初代勇者な賢者と嫁な女神、ハッピーエンドの後に新米勇者の仲間になる   作:ケツアゴ

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パンダにとっての誰かの死

あはははは! あはははははは! あはははは! アンノウン心の俳句(季語無し)  

 

 突然出て来たフェリルの戦士。どうやら敵だと間違われ、レリッ君が立ち向かう。吐いた台詞はチンピラ丸出し! さてさて、これからどうなるの?

 

 

「……好きだ」

 

「お前、私達のこの父親になれ。二人目が居ても問題無い」

 

「……どうしてこうなった」

 

 どうしてこうなったって言ってるけれど、僕達はこの展開を予想していたよ? だって強い相手を配偶者に選ぶ傾向が強い獣人で、更にフェリルの生き方を考えればさ。

 

 えっと、経緯を振り返るとね。レリッ君がフェリルの戦士に勝って、服がボロボロになった相手に勝ち誇って、まだ疑ってたから(レリッ君の希望を考慮して出会いの記憶を少し改竄した)クオに説明をお願いしたんだ。自分の相棒でもないのにツイーグルの見分けが出来るとか凄いよね。

 

 フェリルって脳味噌筋肉みたいで実は脳味噌筋肉じゃなくて、でも微妙に脳味噌筋肉だし、映像だけで簡単に信じちゃって、自分を倒したレリッ君に両側から抱き付いてるよ。

 

「ぷぷぷっ! レリッ君って狙って自爆行為やってないから面白いんだよね! 無意識に自爆ルートを選択とか、どんな運命を背負ってるんだか。……イシュリアの加護を盛大に受けちゃってたりして」

 

「……ラッキースケベ連発とか本当にそうなんじゃないかしら?」

 

 そんなレリッ君を蔑んだ目で見るゲルちゃんだけれど、胸とかお尻とかの周りだけ狙いすましたみたいに穴が開いてるもん。レリッ君、君って奴は本当にさ……。

 

 

「おい、アンノウン。最初からクオに説明させれば良かったのではないか?」

 

 あっ、ボスが気が付いちゃった! だって面白くないんだもの。常にハプニングを求めるのが僕のモットーで、レリッ君なら絶対にやらかすと信じていた。でも、ボスの目が厳しくなってるし、此処はひとまず……。

 

「じゃあ、僕は用事が有るから……さらば!」

 

「まあ、待て。今日は私を背に乗せろ」

 

 僕は逃げ出した。そして速攻で捕まった! 僕に跨がったボスは太股で胴体をギリギリ締め付ける。マスター! ヘルプミー、マスター! 出ちゃう! このままだと内蔵出ちゃうぅぅぅ!

 

「おや、アンノウンと随分と仲が良くて羨ましい。後で私も乗せて下さい」

 

 うん、それは良いけれど使い魔の窮地に気が付いてマスター! あっ、駄目だ。マスターってボスが関わったらポンコツだったもん……。今の羨ましいだって、僕に乗りたいよりもボスの太股に挟まれたいの方が比重重いしさ、絶対。

 

 なら、最後の手段だ! 他の日担当の僕! 同じ僕だからボスに気取られずに入れ替われるよね? 数秒毎にシャッフルを続ければ大丈夫だから助けて!

 

「嫌だね」

 

「バレたら怖いし」

 

「却下ぁ!」

 

「僕は今寝てます」

 

「断固拒否するよ」

 

「それよりもカツ丼食べない?」

 

「「「「「賛成!」」」」」

 

 ぼ、僕さえも僕を見捨てただと……? まあ、僕だって他の日の僕を見捨てるだろうけどさ。それと僕もカツ丼食べたい! カツの半分はタレで煮て柔らかしっとり、もう半分は後乗せサクサクにした奴! ああ、それにしても絶望だ。どうしてこうなったんだろう?

 

 

「……自業自得だわ」

 

 えっと、ゲルちゃん? それってレリッ君に対して? それとも僕に対して? 何か今の声が凄く冷たかったんだけれどっ!?

 

 

 

 

 

「……そうか。掟故に今直ぐ知らせには行けぬが、コルスの母が戻って来た時にどう伝えれば良いものか……」

 

 フェリルの住居は基本的に木製。丸太を組み合わせたログハウス風の建物の中に狩った獣の毛皮を敷いたり、交易で手に入れた家具を置いたりしているんだ。そんな彼女達の集落の奥に長老の家があった。フェリルの長老は若い頃に部族の仲間を率いていた強くてカリスマ性があった戦士が引退後に任されていて、些細な困り事でも相談に乗る皆のお祖母さんみたいな立ち位置なんだってさ。

 

 だから長老は悲しんでいる。戦士である事に誇りを持つ部族だから戦いの中で死ぬのは誇りだと思う子が多い中、悲しんで死を憂う役目を一人で背負う。だからこそ家族であっても死んだ子の事を気丈に乗り越えて戦士として振る舞えるらしいんだ。

 

「……ふわぁ」

 

 でもまあ、僕には関係無いよね。死んじゃったら弄くったら面白い子だったかどうかも分からないし、所詮は赤の他人だもの。気に入った相手が死んだら悲しいし、その子の死を悲しむ誰かにも共感するよ? でもさ全くの赤の他人だった場合、生きてても死んでても興味無し。冷酷? うーん、別に違うと思うな。だってさ、知らない国の知らない誰かが事故死したと聞いて嘆き悲しむ人がどれだけ居る?

 

 それと同じだよ。一般的な人が目の前で死んだ相手の死を悼み、その死を悲しむ相手に共感するって知っているけれど、僕は神に精神が影響されているマスターとその他大勢の神に創造された存在。そんな僕に赤の他人の死を悲しむべきだって言う人は、外国で何か適当な動物が何かの理由で溺れ死んだ事を嘆き悲しみ一晩枕を涙で濡らしてからにして欲しいね。

 

「……そんなに凄いのか?」

 

「ああ、そうだとも! こうビュッて感じに動いて、私達の攻撃をグワッって風に捌いて……」

 

「おおっ!」

 

 そんな僕はややこしい事をするからって家の前で待ち惚け。寝っ転がって鼻に止まった蝶々を眺めていたら、さっきレリッ君に惚れた子達が戦いの様子を話し、小さな子供を連れた同年代程度の仲間が熱心に聞いていた。

 

 だからアバウトで擬音だらけの説明でもイメージが浮かぶように魔法で手助けしてあげたんだけれど、脳味噌筋肉の説明を受けていたのも脳味噌筋肉だから必要以上に浮かんじゃって、随分と興味を持たれたみたい。まあ、只でさえ強い相手に惹かれる種族な上に節操無しのイシュリアの信者だもの。子供が居ても若いし、周りに一切男が居ないならそうなるよね。

 

「どうしてこうなったんだろ? まあ、全面的に僕の責任だろうけどさ」

 

 目をギラギラさせて長老の家を凝視するのを見てると、戦士の誇りを大切にし過ぎなのも問題だーよね。同胞が死んでも戦士としての死なら一切悲しむ必要が無いってスタンスなんだから。……眠いなぁ。話が終わるまではゲルちゃんもレリッ君も弄くれないし、ちょっと眠ろうか。

 

 

 

「……うーん、退屈だし、何か面白い事が起きないかな?」

 

 ちょっと前にピエロみたいなのを洞窟で食ったけれど、その時に発動していた儀式の気配がちょっと変わってるし、洞窟の近くから彼奴の匂いがするんだよね。

 

 

 

「うん! 面白い事になりそう!」

 

 

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