初代勇者な賢者と嫁な女神、ハッピーエンドの後に新米勇者の仲間になる   作:ケツアゴ

236 / 251
女神と大熊猫の決戦 ~最高神は限界です~

 霊峰の麓に立ち、遥か彼方の山頂を見上げる。雲を纏ってそびえ立つのは悪趣味なピッカピカの屋敷。金や銀で作った建物に宝石を埋め込んでる上、屋敷の中庭には主人の水晶製の象。此処まで言えば分かると思うけれどイシュリアの屋敷だ。

 

「よし! 像に鼻毛書いて頭をウンコにしよう」

 

 思い立ったが吉日と踏み込もうとした僕だけれど、突如神の力による光の弾丸が降り注ぐ。辛うじて避けた僕だけれど、当たっていたら怪我は免れなかった。

 

「ほ~っほっほっほっほっほ! ざまぁないわね、トライヘキサ! アンタが弱っているのは私の従属神達の報告で知っているし、そんな状態でノコノコやって来た報いを受けさせてあげるわ!」

 

「ざまぁないわねって、普段の自分の姿でも思い出した? てかさ……信者に謝罪行脚して回るべきだと思うよ? そんなんだから僕がパンダをフラミンゴに乗せて登山しただけで君なんかの同類扱いされるんだ。君なんかだぞ、君なんか! ボスだって流石にそれは酷いって言ってたよ」

 

「私、女神なんだけれど!? それにシルヴィアは妹よね!?」

 

「仕方無いじゃないか。君ってばこの小説ではそんな役回りなんだからさ。絶対挽回は無理だから諦めてギャグの被害者になってようよ。美味しいと思うよ、多分」

 

「誰がなるかぁあああっ!」

 

「……我が儘だなぁ。って言うかこの作品とかのメタネタにツッコミを入れないってどうなのさ? 駄目だよ、自分の役割放棄しちゃ。僕が関わった時は基本的にツッコミ役兼被害者が君の運命でしょ?」

 

 なのにイシュリアは僕に対して屋敷から攻撃を続け、僕は山を駆け上がる。流石に神の住む山は普通じゃなくて、まるで僕が小さくなってるみたいに進んでも進んでも頂上は遠いまま。しかも罠だらけだ。上から降ってくる金属製の檻(内部に入ったら電撃)。底に向かって吸引力が発生する上に底には回転する刃。他にも振り子式の斧とか色々。

 

「……流石腐っているけど戦女神。陣地に引きこもってニートしている時は厄介だね」

 

「腐ってないわよ! ……ふっ! そして忘れているみたいだから教えてあげる」

 

 罠に手間取って中々進めない僕にニートで駄目な女神が得意そうに話し掛ける。それに呼応して現れるのは大勢の神達。その手には様々な悪戯グッズ。

 

「其奴達はアンタの悪戯の被害数ランキング上位! アンノウン被害者の会の連中よ!」

 

「な~るほどぉ! 僕が弱った隙に仕返しに来たんだね。……神って暇なの? 暇なんだね。暇なのかぁ……」

 

「暇ではない! この日の為にスケジュールを詰めて来た! 貴様が風呂場を改造して強炭酸水が出るように改造してしまったせいで、そのせいで俺は恋人との初体験を……」

 

「あっ、童貞のままなんだね」

 

「ぐっはぁっ!」

 

「そっちの君は自分を主役にしたハーレム冒険マンガを描いてて、こっちの子は確か自分は凄いけれど本気出してないってカミングアウト日記を書いてたよね」

 

「ごっは!」

 

「ぐへ!」

 

「あっ、今ので三人倒れた。長い間生きているのにメンタル弱っ! ……それにイシュリア、君も忘れているよ?」

 

 戦と豊穣の女神イシュリア。その性格は自由気まま。好き勝手に六色世界で男漁り。この前だって神の力が残ってる下着を忘れ、オークションでの回収騒動。付いたあだ名が|神労《しんろう〉の女神。後始末に大勢の神が胃をやられているのさ。その数、この百年だけでも僕(生まれて数年)の被害者数と同じ!

 

 

「皆、出て来て! イシュリアブッ殺し隊カモーン!」

 

「私の被害者の集まりの名前が物騒なんだけれどっ!?」

 

「そりゃ自業自得って奴じゃない? だって僕はパンダを操るんだよ? 年中下着みたいな君とは違うって。しかも今は下っ腹が出てるもんね。プププ~」

 

 馬鹿の考える事なんて簡単に分かるんだよ。だから事前に集めておいたイシュリアの行動の後始末係のメンバー。死なないからこそ悠久の時をストレス性の胃痛と付き合わなくっちゃいけない。大変だねぇ。僕は呼び掛けに応えてやって来た暇な神、略して暇神(ひまじん)達がイシュリアが集めた暇神達とぶつかり合う。

 

「あっ、ミリアス(十二徹目)も混じってる。本当に限界なんだ。テンションが変な事になってるや。……今の内に行こうか」

 

「最高神パンチ! お前達も仕事しろキック! 胃袋限界ラリアット!」

 

 ヤバい目で変なテンションになって暴れ回るミリアスに背を向けて山頂を目指す。途中、罠が仕掛けられていたけれど衛星兵器は既に宇宙に配置している。

 

「拡散式ギャラクシーパンダビーム……NEO!!」

 

 パンダから放たれたビームは宇宙空間の六つの衛星兵器に命中、増幅したビームを拡散させて山中に降り注ぐ。罠も木も、ミリアスに速攻で鎮圧されたアンノウン被害者の会も……ついでにミリアス以外のイシュリアブッ殺し隊も巻き込んで。

 

「……シルヴィアに叱って貰おうか」

 

 嫌な予感がしたけれど気にせず進む。荒れ果てた山はイシュリアの力で再生を始めるけれど、それを凌駕する速度で破壊する。取り敢えずパンダを介したら効率が悪いから普通に僕の口から出そう。お座りの姿勢で口の中にエネルギーを収束させ一直線に放つ。大地を削りながら突き進む。

 

「……うーん。出力不足かぁ」

 

 屋敷を破壊する為に放ったビームは屋敷から飛び出して来たイシュリアによって片手で弾かれた。むむっ!

 

「芯まで腐敗してるのに流石はボスの姉だよね、下っ腹が凄いし顎もタップタプ。……じゃれて良い? 正直衝動が抑えられない」

 

 猫科の本能なのかな? むっちゃくちゃじゃれつきたい。うん、ブッ倒して遊ぼう。

 

「今日がアンタの年貢の納め時!」

 

「僕って使い魔だから納税義務は一切無いよ? そんな事よりも君って人に迷惑掛けてばっかりだし、慰謝料の支払い時じゃないの?」

 

「アンタにだけは言われたくないわよ!」

 

 イシュリアの怒鳴り声と共に背後に現れたのは無数の魔法陣。その全てにイシュリアの神の力が存分に注ぎ込まれて今にも放たれそうだ。

 

「それ食らったら僕一匹なんてヤバいんだけれど?」

 

「ヤバいんだからやってんの! 食らいなさいよ! これが私の出力最強! ゴッド・エターナル……」

 

 

 

 

「まあ、僕って七匹なんだけどね」

 

「ぷぎゃっ!?」

 

 先ずは背後から頭に飛び退いてイシュリアをたたき落とし、二匹が髪を咥えてひっくり返す。最後は両手両足を拘束したイシュリアに前足を振るう。顎に脇腹下っ腹、タップタプの贅肉で遊び回る。

 

 

「「「「「「「あはははは! 楽しい~!!」」」」」」」

 

 この後、イシュリアで遊びまくった。……所で僕って何をしに来たんだっけ? 楽しいから別に良いか!

 

 

「さてと、イシュリアで遊んだし、趣味悪い屋敷でも遊んだし、後はボスが帰って来るまでに戻れば解決。ふっふっふ。最後に暇神達の姿を見て楽しもうか」

 

 山頂から遙か彼方の氷山を見ればソリュロの家の辺りで派手に戦っている様子が見て取れる。

 

「あっ。氷山が砕け散った後で再生した。……と思ったら氷山が完全消滅だ」

 

 あれじゃあ少しすれば戻って来るだろうし、七匹で暇神達の所に向かう。だけど何か違和感。……もしかして一人居ない? 猛烈に嫌な予感がした僕達は散開、一気に逃げ出す。

 

 

「……肉球。プニプニ、癒し……」

 

 そして僕が捕まった。尻尾を掴まれ強制的に小さくされる。子猫サイズの僕達を抱き上げたのは勿論ミリアスだ。此奴、目がイっちゃってる……。

 

 

 

 

「癒し、癒しが欲しい。小動物、モッキュモキュの肉…球……」

 

「僕に癒しを求めるってどれだけストレスが溜まってるのさ……」

 

「沢山……」

 

 見た目が少年のミリアスが子猫サイズの僕を抱っこして肉球を触る。……まあ、マスコットポジションだから別に良いけどさ。

 

 

 

「僕はマスコットポジションだから別に良いけどさ!」

 

「また言う辺り、自分のポジションに不安を持ってる?」

 

「少し……」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。