初代勇者な賢者と嫁な女神、ハッピーエンドの後に新米勇者の仲間になる   作:ケツアゴ

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未熟な覚悟

 会った事もない相手を噂だけで判断するのは良くない、そんな風にお母さんに教わった私だけれど、賢者様の話を聞いて先代勇者シドーへの評価は決して良くはなかったわ。

 

 贅沢に溺れて堕落して、最終的にこれ以上馬鹿をやらかす前にエイシャル王国にほぼ強制的に婿入りした、そんな人だと聞いたのだから仕方が無いとも思う。だって、会った事がない英雄に憧れるのも根本では同じだから。

 

 それはそうとして、言わなければならない事が有った。私のプライドに関わる重大な事柄だ。

 

「私、少年じゃなくて少女よ。一人前扱いは兎も角、男扱いはしないで欲しいのだけれど?」

 

「何だってっ!?」

 

 でも、目の前に現れたシドーに対する評価は実際に会って間違い無いと確信する。私に向かって少年とか一人前の男として扱うとか言うのだもの、失礼よ。だから私も言葉遣いを選ばない。彼に敬語は使いたくなかった。

 

「いや、どうして驚くのかしら? 私が男にしか見えないとでも言いたいの?」

 

 だから少し不機嫌になって文句を言えば驚かれたけど、この事で驚くのも失礼な話だわ。確かに私の服装は羊飼いの仕事着だったツナギだけれど、スカートじゃないだけで男扱いされるとは思えない。

 

「さっきから幾ら何でも失礼が過ぎるわよっ!」

 

「むっ……。確かに何と言うべきか……」

 

 私は一層不機嫌になって睨めばシドーが瞬時に動いた。

 

 

「申し訳っ! 無いっ!」

 

 膝と手を床に着け、石造りの床に罅が入る勢いで頭を叩き付ける。見事なまでの土下座の姿勢だった。

 

「僕の不用意な発言で不愉快にさせたのを謝罪する! さあ! 気が済むまで殴ってくれ!」

 

「……いや、そこまで怒ってはいないわよ? 取り敢えず頭を……」

 

 確かに凄く怒りはしたけれど、だからと言って無抵抗の相手に手を出す程ではない。それに反省もして謝罪も受けたのだから許そうと言葉を掛けるけれど、重要な事を思い出した。

 

 

「一つ教えてくれるかしら? 私の事、どうして男と間違ったの? 服装? それとも勇者は男だけと思っていたの? まさか、胸の大きさじゃないわよね?」

 

 私が気にしているから男扱いの瞬間は胸で判断されたと思ったけれど、話していると真面目そうな人に思えるし何かの勘違いだと判断する。

 

「えっと、それは……」

 

 そっと目を逸らすシドー。勘違いだというのが勘違いだったらしい。

 

「好きなだけ殴って良いって未だ有効かしら? 殴らせて欲しいのだけれど。……まったく、酒に溺れ贅沢を知って堕落した問題児って賢者様が言っていたけど、正しかったみたいね」

 

「えぇっ!? 僕、そんな風に評価されるのかっ!?」

 

「え? だって自分の事なのに、どうして其処まで驚いているのかしら?」

 

 演技には見えないし、シドーは間違い無く自分が贅沢に濱って、自力では抜け出せなくなった事を知らないらしい。多分試練の相手だから問答無用で倒そうと思ったけれど、少し話を整理した方が良いわね。

 

「ねぇ、取り敢えず話を纏めましょう。その前に自己紹介ね。私はゲルダよ」

 

「そうだな。知っているだろうが僕はシドーだ。……少し怖いが教えてくれ。僕がどんな人間だと教わったのかを」

 

 真剣な眼差しを向けるシドーを見て思った。この人は本当に真面目で理想に燃えるタイプなのだと。

 

(賢者様のお話が少し信じられなくなったわね……)

 

 本当に何があったのだろうか……。

 

 

 

 

 

「えっと、貴方が試練の為の幻みたいな存在だとは思っていたけれど、記憶は二つ目の世界を救った所で途切れている……それで良いのよね?」

 

「ああっ! 魔族を二人同時に相手をして倒した事で封印を達成してね。さて、次の世界に行こうとした所で終わっている。だが、同時に既に自分が魔王を倒しているとも知っているんだ。それにしても今度は子供が勇者か。僕の時は選ばれた仲間が介護が必要な老人でね。賢者様が慌てて予備の候補を探し出してくれたよ。その上、伝説の剣は経年劣化で折れるしさ。……えっと、神様には既に会ったかい?」

 

「神様って思ってたよりアレな方達だって分かったわ。エッチな物を高値で競り落としたり、妹の旦那さんに色仕掛けをしたり、人前でイチャイチャしたり。……貴方もそうなのね」

 

「……次の世界に着いたら酒盛りに参加するのが決定されているよ。僕、お酒は一度も飲んだ事が無いのにさ。その上、綺麗な女性の居る店に行くのも……いや、子供に言うべきじゃないな」

 

「お互い大変ね。……あっ! 結局神様が悪いのね。貴方が堕落したのって結局神様が理由なんじゃ……」

 

 私だって神様は信仰していたし、敬虔な信者の街で育ったシドーなら尚更なのでしょうね。勇者選定のシステムが毎回問題を起こしたり、頭の捻子が外れている神様へのショックは私より大きいみたい。多分酒の味を教えたのも女の人にだらしなくなったのも遊びを一切知らなかった彼に段階飛ばしで教えた神様の責任だと感じて呟いたのだけれど、耳にした本人はショックで固まってしまった。

 

「……え? 僕、そんな風に言われる馬鹿をやらかしたのかい?」

 

「えっと……うん。一応賢者様が揉み消したし、魔王討伐後は奥さんの尻に敷かれて大人しくしたらしいけど……」

 

 何と言葉を掛けたら良いか分からない。今、私の言葉によって膝を抱えている彼からすれば理想とは違った将来の話であり、同時にやり直せない過去の話だもの。防ぐ事も失敗の埋め合わせをする事も不可能。ちょっと可哀想になって来た。

 

 

 

 

 

「えっと、そろそろ試練を始めて欲しいのだけれど……」

 

 先程から励ましの言葉を投げかけるけれど意味が無い。万が一自分が生きていたら殺して欲しいと頼むなんて、本当に差が有り過ぎよ、今と堕落した後で。極端なのは発言からして全然変わっていないらしいけれど。

 

「……そうだな。僕は所詮は幻の様な存在、シドー本人ではない。それでも堕落が許せなくて情けないのなら、この時代の世界を救おうとしている君の助けとなるべきだった。じゃあ、戦おうか!」

 

 だから話を切り替える。大体、子供の私に人生の失敗への励ましなんて無理だもの。上っ面の言葉よりもこっちの方がこの人には効果的よ。予想通りお仕事を思い出させればショックで暗くなっていた顔が一変して真面目でハキハキした物に変わる。

 

「ええ、そうね!」

 

 互いに距離を取り、武器を構える。私の武器は巨大な鋏デュアルセイバーでシドーのは巨大なチャクラムみたいな投擲武器セイヴァーリング。勇者の武器の特性で色々な能力が宿るけれど、その点では私が有利だった。

 

(確かあの武器の能力で二つ目の世界までに使っていた能力は……)

 

 記憶を辿り、初見殺しに成りうる能力の情報を得る。次の世代故に一方的に手の内を把握する、その事を卑怯だとは思わない。だって賢者様が私の方が才能が上だと言ってくれたとしても、チキポクで神官として育つ中でモンスターとの戦いの訓練も受けた二つの世界の封印を終えている彼と、二つ目の途中で功績の劣る上に戦いとは狼相手にしか縁が無かった私では大きな差が有る。

 

(でも、これから出会う敵が自分より強いのは当たり前。その上、向こうが一方的に私について知っているのも。なのに、一方的に情報を持っている相手に負けていたら世界なんて救えないわ)

 

 ジリジリと距離を詰める。飛び道具相手に接近戦を挑まないでどうするのだって話だけれど、知っている情報が慎重にさせる。……いえ、自分を奮い立たせる言葉を心の中で呟いたとしても、旅路を描いた物語に憧れた英雄との戦いに恐怖を抱いていたのよ。

 

「慎重も過ぎれば臆病だぞっ! 君が来ないなら僕から行かせて貰うっ!」

 

 厳しい様で、無言での先制攻撃を選ばなかったシドーの手からセイヴァーリングが放たれる。猛回転をしながら風を切って進むあの武器の能力の一つ。それは……。

 

「知っているわ。セイヴァーリングは空中で一度加速を‥…きゃあっ!?」

 

 相手の目前での急加速。それを知っていた私は正面から叩き落とそうとして、逆にデュアルセイバーが手から弾き飛ばされる。予想以上の速度を出したセイヴァーリングはちゃんと構えるよりも前に私に接近、想像を超えた衝撃に武器から手が離れてしまった。

 

「どうしたんだっ! 実戦で武器を手放せば死に繋がるぞっ!」

 

 デュアルセイバーがぶつかった事で軌道が変わったセイヴァーリングは私の背後へと向かい、空中で姿を消してシドーの手元に出現する。だけど私が落ちた武器を拾うまで追撃は掛けなかった。

 

叱責の言葉に何も反論が浮かばない。それは紛れもない事実だった。

 

「そうね。確かに貴方の言う通りだったわ」

 

 魔族を何人か倒して、女神様や賢者様に鍛えて貰って、私は何処か慢心していた。戦う覚悟は決まっていた積もりだったし、何度も心に誓いもした。でも、それは例えるなら子供が親に叱られた時だけ反省するのと変わらない。

 

 結局、油断していた。結局、相手を侮っていた。結局、私は未だ戦士じゃなくて子供のままだった。上っ面しか戦いを理解していない甘えた子供が今の私だ。

 

 変わりたいと思う。本当の覚悟を決めたいとも思う。でも、そんな物は簡単には出来はしない。どうやったら出来るかなんて私が理解するには早過ぎた。

 

「‥…でも、だからと言って止まっているのは嫌。どれだけ足りないと叱られても、どれほど甘いと笑われても、私が確かに努力して来た。誰かの想いを受け取って、誰かの想いを踏みにじって来たの! だから、私は止まれないわっ!」

 

「……そうか。だったら、僕程度は乗り越えて見せろっ!」

 

 私が武器を構えるのを持つ待ってから再びセイヴァーリングを投擲するシドーだけれど、本当に良い人だと思う。既に起きた後だから防げない自分の堕落を知り、それでも私を倒して試練を直ぐに消える事よりも世界の為に私を鍛える事を優先したのだから。

 

 空中で振動を始めるセイヴァーリング。デュアルセイバーを分割して両手の刃を交差させながら構えれば左右から衝撃が響く。空中で二つに増えたセイヴァーリングは弧を描きながら私へと向かい、弾き飛ばしても戻って来る。後ろに飛び退けば鏡写しの如く並んで追尾して来た。

 

「どうだっ! 能力を知識として知っていたとして、君はその後どうする!」

 

「そうね。……どうしようかしら?」

 

 敢えてしないのか、それとも少なくても今のシドーには無理なのか分裂した状態で加速は行われない。だけど、次の瞬間には行うと思いつつ次々に弾き飛ばすけれども舞い戻るセイヴァーリングを観察し、そして対策を練る。

 

「一か八か‥…」

 

 二つ揃って前方に弾き飛ばし、戻って来る瞬間に真下に滑り込む。頭の上スレスレをセイヴァーリングが通り過ぎた瞬間、私は立ち上がってシドーへと走り出した。背後から追って来る音が近付き、このままでは追い付かれそうになる。

 

「少し甘かったな。セイヴァーリングの速度を甘くみない方が良いぞ!」

 

 確かに今のままでは私がシドーにたどり着くより前にセイヴァーリングが私に追い付く。そもそも加速の時に見た通り、好きな瞬間に手元に戻せるのも覚えている。

 

「そうね。だけれども、私の狙いは違うわよ、シドー」

 

 レッドキャリバーとブルースレイヴを小さくし、真上に飛ぶ。私の真下を通り過ぎるセイヴァーリング、その中央の穴に向かって切っ先を差し込むと同時に元の大きさに戻してそのまま床を砕いて突き刺せばセイヴァーリングの動きが止まる。

 

 恐らく動揺で稼げるのは僅かな時間。その後は手元に戻して投げられる。でも、動揺と振りかぶるのに必要な時間が有れば私は彼に近付く事が出来た。レッドキャリバーの持ち手に足の裏で着地した瞬間に膝を曲げ、ただ真っ直ぐに体を前に押し出す。跳躍の勢いを乗せた頭突きをシドーの顔面に叩き込んだ。

 

「ぐっ!」

 

 だけれども相手も私と同じ勇者。その上、功績を重ねる事で得られる能力は私を越えている。だからこの程度では倒せないのは分かっていた。頭突きに怯んで顔に手を置いたシドーの肩を蹴り、背後へと跳躍。レッドキャリバーとブルースレイヴを床から引き抜くと同時に接近して連撃を叩き込む。

 

 顔を、胸を、腕を、足を、全身を容赦無く殴り付けて反撃を許さない。だけれども、シドーは矢張り強い。両手に出現した二つのセイヴァーリングで私の連撃を受け止めた瞬間、刃が光る。

 

(拙いわっ!)

 

 加速や分裂と同様に私は目の前のそれが何なのかも知っている。だから使う前に倒したかったけれども押し切れなかった。咄嗟に飛び退いたけれども腕に残る痺れと痛み。セイヴァーリングからは激しい音と共に放電が起こっていた。

 

「良い判断だな、ゲルダ。正直言って今ので決まったと思ったぞ」

 

「……それはどうもだわ」

 

「じゃあ、行くぞ!」

 

 シドーだって決してダメージが軽い訳じゃないけれど、投擲速度に曇りは見られない。これが経験の差、私に不足している物。放電しながら再び振動を始め分裂するセイヴァーリング。その上、今度は加速した。

 

「ぐぁっ!」

 

 今度は間に合って加速して増した勢いを防げる。けれど、纏う電撃は防げない。腕から全身に伝わる激痛。意識が飛びそうになる中、再び戻って来たセイヴァーリングを転がって避ける。少し掠って痛みが走った。

 

「……もう限界だな。頼む、諦めてくれないか? 子供をいたぶるのは好きじゃない。それに、此処まで来た時点で十分な強化が……」

 

「あはっ!」

 

 シドーの悲しそうな声に対して、強がりが半分混じった笑いが漏れる確かに泣き出したい位に痛い。だけれども私は未だ動ける。万全ではなくても十分戦える。だから、絶対に諦めない。こんな所で諦めていたら世界なんて到底救えない。

 

「ええ、認めるわ。私は未熟な子供だし、こうして今はしている覚悟だって何時まで続くか分からない。だけれど、今この時だけは確かに戦う覚悟が出来ているのよ!」

 

「そうか。それは悪かったな。……君を侮辱して申し訳無い」

 

「いえ、私だって悪いわ。子供を虐めるみたいで心が痛むのでしょう? 優しい証拠よ。意地で続ける私の責任だわ」

 

 ブルースレイヴを手放し、魔本を手にする。使う魔法は一つだけ。本当に強い相手と戦う為に作り出した切り札。圧倒的な個に対して数ではなく、此方も個を用意する。

 

「我が眷属よ、我が家族よ。その身と魂を集わせ神獣へと至れ!」

 

 天井を貫いて光の柱が降臨する。その中をゆっくりと降りて来るのは私の羊の中で最も歳を取っているカイチ。お父さんの出身地で神獣とされ奉られている羊の名前。ゆっくりと降り立ったカイチは静かに鳴いた。

 

「メー!」

 

 呼応する様に光の柱が震え、次々に羊達が降りて来る。カイチの上に重なり、次々と吸い込まれて行く羊達。その度にカイチの体毛は黄金色に輝いて行く。

 

「何かする気だな。だが、何もさせないのが君の敵だっ!」

 

 だけど、全ての羊がカイチに吸い込まれるまで後少し。その少しを敵が待ってくれる筈も無い。敵として私の前に立っているシドーもそれは同じ。二つに分裂したセイヴァーリングが放電しながら突き進み、私はその前に躍り出た。

 

「ぐっ! ぐぅうううううううううううっ!」

 

 今度は弾かないで受け止める。必然的に体に電撃が流れ続けて意識が飛びそうになるのを奥歯を噛みしめて耐え抜いた。痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い。だけど、私はこの試練を乗り越えるって決めた。中途半端で未熟な覚悟だけれど、逃げないって誓った。だから、耐え抜く。

 

「メー!!!」

 

 背後から力強い鳴き声が聞こえる。何を言っているか自然と理解出来た。

 

「……後は任せろって? 馬鹿ね、私の代わりに戦うんじゃなくって、私と一緒に戦って欲しいのよ」

 

「メー!」

 

 思わず笑みが零れる。今度は強がり混じりの笑みなんかじゃない。力強い味方が現れた事で勝利を確信したから出た笑みだ。

 

 私の横を光の筋が通り過ぎ、セイヴァーリングの片方を弾き飛ばす。私も残った方を弾き飛ばし、横を向く。お日様を思わせる光を体毛から発するカイチは大きく姿を変えていた。体は一回り大きくなり、四本の足はスラッと伸びている。角は丸くなった左右の物が消え失せ、変わりに額から真っ直ぐ伸びた黒角が生えていた。

 

「ふふふ。少し格好良くなったかしら?」

 

「メー!」

 

「もう少し早く使いなさい? もー! 私は飼い主なんだからね。じゃあ、行こうか!」

 

 そっとカイチに寄り添えば全身の痺れも痛みも消えていく。体毛の光を浴びているだけで体中が温かくなり、力が湧いて来た、

 

「……凄いな。僕にはそれしか言えないや」

 

「えへへ。この魔法『羊の王様(S・フュージョン)』って言うの。……有り難うシドー……さん。貴方が手加減してくれなかったら試練を突破出来なかったわ」

 

「まあ、相手の慢心に付け込むのも必要な事だ。……良く頑張ったね」

 

 一見すれば未だ勝負は付いていない。だけど、私達は既に勝敗の結果を理解していた。私が一歩踏み出し、シドーさんは戻ったセイヴァーリングを構え、振りかぶる。それが投擲される直前、レッドキャリバーとカイチの角による突きを彼の腹部に叩き込み、後ろの壁まで吹き飛ばした。

 

「……ちょっと疲れたわね」

 

「……メー」

 

「うん、分かった。今度は魔法で召喚するんじゃなくって、賢者様に頼んで顔を見に帰るから。美味しいご飯も用意してあげる」

 

「メー」

 

「ダヴィル様の用意した餌の方が美味しいですって? もー!」

 

 勝ったけれど疲労は凄まじい。私の魔力の八割を使っても発動時間は短いのかカイチは消えて行く。

 

「……あの子、あんな性格だったのね」

 

 ちょっとだけショックを受けつつ歩く。目の前にはドアが現れていて、此処を開ければ終わりだと分かった。シドーさんも何時の間にか消えていたけれど、私は彼が居た辺りに向かってお辞儀をして、それからドアを開ける。来た時と同様に眠気を感じ、睡魔に身を任せると意識が途切れる。

 

 

 

 

「わっ! もうクリアしちゃった」

 

「残っている記録では最速ですわね」

 

 再び目を開けた時、そこは儀式を行う間。清女の二人が私の顔を覗き込んでいた……。

 

 

 

 

 

 




シドーさんも神の被害者だった アルハラとかのね



なろう版では追加の試練で更なる決意を見せています 是非あらすじの方からアドレスリンクで

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