オルタさんと恋したい   作:ジーザス

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明けましておめでとうございます。今年もみなさんにとって良い年でありますように。

新年最初の投稿が遅くなってしまったことをお詫び申し上げます。可能な限り投稿間隔を空けずに頑張りますのでよろしくお願いします。


求めしものと求めざるもの

夕闇が周囲を支配した閑散とする住宅街を歩く。人影がまったくないというのは違和感を抱いてしまう。未解決の昏睡事件が多発している状況では、それも仕方がないかもしれないが。

 

人間という生き物は生命感がない場所にいると、不安に陥りやすくなる。その理由としては、何かが起こるかもしれないという疑心が心の底から溢れてくるからだ。本能による危険予知でもあるこの感情は、至って当然の結果であるし必要とされるものでもある。自身の身の危険を察知できないようでは、この先の〈聖杯戦争〉を生き残ることは非常に困難だろう。〈聖杯戦争〉と関係のない私生活も例外ではないが。

 

物静かな住宅街を一人で歩いている中、誰かの存在を感じられるのであれば、少しは心の安静に沿うことだろう。それでも存在していながら存在していないようにも感じる視線には、さしもの俺でも耐えられない。

 

例えそれが今は味方である者によるものだとしても。

 

「...此処まででいい」

『ほう、やはり気付いていたか』

 

誰もおらずましてや何もない場所に向かって声をかける。すると空気から溶けるように圧迫感を放つ男が実態化した。不敵な笑みを浮かべながら満足そうに問いかけてくる。

 

「魔術の鍛錬をした者じゃなくても気付くさ。あれだけ敵意のある視線を向けられればな」

「それほど直視したつもりはないんだがね」

「笑えない冗談はよせ。わざとらしい行動が何の為になる?休戦協定を結んだとはいえ、お前は納得していないんだろ?〈アーチャー〉」

 

遠坂と話をする前から、〈アーチャー〉は休戦を望んでなどいなかった。昼休みにその話を振った時には、「耳を貸すな」と言ったぐらいだ。倒せるべき敵は、今すぐにでも殲滅しておくべきという考えなのだろう。戦力にはならず、ましてや足でまといにしかならない士郎と休戦協定を結んでもメリットはない。〈バーサーカー〉とイリヤを倒すことになるとはいえ、〈アーチャー〉からすればそれはそれほどの障害にはならないらしい。

 

「お前の言う通り、私は休戦協定に賛同していない。あの小僧はなんら戦力になりはしないからな。そんな奴と同盟を結んでどうなる?私や凛を危険に晒すこと以外に何が起こるだろうか。とはいえ、サーヴァントはサーヴァントらしくマスターの命令に従うだけだ。私には拒否権がない」

「遠坂が納得したことだ。サーヴァントのあんたがとやかく言う義理はないさ。それともサーヴァントはただの道具と言いたいのか?」

「その通りだ。マスターを殺せば〈聖杯〉を手に入れることはおろか、〈常世〉に存在することもできない。己がマスターを助けるのは、少しでも〈聖杯〉に近づく以外に理由はない」

「矛盾だな。今のマスターが不服であり〈聖杯〉が欲しいならば、新たなマスターを選べばいい。士郎や遠坂以外のマスターに頼み込めばいいだけの話だ」

 

サーヴァントはマスターからの魔力供給無くしては、座に還る以外に道はない。たとえマスターなしでも2日は存命できる〈アーチャー〉のクラススキルの〈単独行動〉があったとしてもだ。ある意味優秀なスキルなのだが、それは戦闘がなければという建前が前提である。〈聖杯戦争〉である以上、戦闘がないことなど有り得ない。だからサーヴァントは魔術師と呼べない準魔術師であっても、マスターとして魔力供給を願わずにはいられない。

 

「別に凛が不服なわけではない。あの歳であの心構えだ。賞賛に値する以外に何があるだろうか。それと比べればお前はそこがまだまだ足りない。口先だけの《理想》を口にするだけの腑抜けだ」

「...自覚はしてるさ。俺にはあらゆるものが足りてない。魔術の才能も心構えも人としての在り方も。そのために俺は〈聖杯〉を手に入れたいと言いたいところだが、生憎自分のために使うつもりは毛頭無い」

「他人のために使うというのか?人間の悪質を体現した歪な宝箱を」

 

〈第四次聖杯戦争〉を経験していなければ、俺は自分自身のために使うと決めていただろう。何故他人のために捧げなければならないのか。苦労して手に入れた〈万能の願望器〉を自分のために使わずしてどうするのか。

 

そんなふうに思い込んでいただろう。

 

だが今の俺はそれを望まない。〈セイバー〉に救われたから、もう二度と自分のためだけには動かないと誓った。〈セイバー〉と士郎のためだけに〈聖杯〉を手にする。たとえそれが叶わぬ願いであっても全力で支えると。

 

「それではダメなのか?他人のために使うことがそれほどおこがましいことなのか?士郎の《理想》が正しいかどうかなんて、俺には分からない。それを否定できるのは士郎だけだ。俺たちがとやかく言う権利なんかない」

「笑わせるな。他人の幸せが自身の幸せであるなど、空想の御伽噺だ。そんな夢をその歳で尚見続けるならば、お前には生きる価値などない」

 

刀を両手に出現させた〈アーチャー〉から、魔術を使用して大きく距離をとる。サーヴァントとマスターでは、どちらが優勢なのか明確すぎる差がある。それも最優とはいかなくとも〈アーチャー〉が相手ともなれば、マスターはその首を差し出す以外に道はない。

 

戦闘においてもっとも有利を得るのは、実戦経験における情報量だ。相手の得意不得意を知らなくとも、経験による観察力と洞察力である程度は予測できる。限度はあるにしても、〈アーチャー〉であれば余裕を持って対処できるだろう。一人前の魔術師でもない俺など瞬殺できる。どれほど相手を認識して警戒しようとも、俺は死んだと理解する前に死ぬ。

 

「自身より他人が大切だという考え。誰もが幸せであって欲しいという願い。それらはただの理想論でしかない。貴様のその考えは自身から生まれたものではない。自分を助けた誰かの顔があまりにも幸せそうだったから、自身もそうなりたいと夢見ただけだろう。それを悟れぬならば、貴様に生きる資格はない!」

「自身の価値は自分で決めるものなんかじゃない。他人が自身を見て評価するものだ。誰も救えず誰にも認められず誰からも裏切られたならば、自身で自身に評価を下すだろう。だが俺を見てくれる人がいる。士郎・()・〈セイバー〉・桜・藤姉・それ以外のみんなだ。それを否定するようなお前を俺は認めない!」

 

武器を持たない俺に出来ることはただ一つ。言峰から授けられた武術である〈八極拳〉を叩き込むこと。10年に渡って鍛錬した結果、それなりの腕前にまで上達していると自負している。肉体の全盛期をとうの昔に終え、衰退の一途を辿っている言峰とさえ互角に渡り合える。

 

肉体の最盛期に近い俺と互角に渡り合える言峰も異常ではあるが、免許皆伝に匹敵する人物だ。あいつを師と呼称したくはないが、そこは目をつぶってやるのも弟子の役目だろう。〈第四次聖杯戦争〉から10年もの間、俺と遠坂に〈八極拳〉を伝授し、指導してくれたことには感謝している。だから外道神父であろうと、今は手を出さずに傍観だけで済ましている。

 

「素手で英霊に挑むその愚かさ。それが貴様の心の弱さだと知れっ!」

「魔術師が決して英霊に敵わないわけじゃないんだよ!」

 

素手による攻撃は、〈アーチャー〉が振るう剣に阻まれ届くことはない。それでも手数で押し込むことで、どうにか身体に届くような斬撃を防ぐ。手数に頼るとすべての攻撃がおざなりになると言われる。だがそれは手数だけに頼った結果だ。一つ一つに意志を込め、誘導するような攻撃方法にすればいいだけのこと。

 

「はぁっ!」

「っ!おのれ、魔術師如きが!」

 

思いのほか抵抗できる俺の動きに、少しばかり驚いているようだ。だがその動揺もすぐさま消え去る。僅かな隙を攻撃しようにも、斬撃を防ぐことに懸命な今では何も出来ない。千載一遇の好機だったかもしれないと落ち込みながらも、攻撃の速度と手数は減らさない。

 

一瞬でも緩めれば命はないと思わされる。それほどにまで〈アーチャー〉の攻撃は鋭く重い。そして何より速かった。俺が互角にやりあえているのは、〈アーチャー〉が本気で戦っていないからだろう。口では俺を罵倒しながらも、戦闘では手を抜いている。自身の腕への信頼だろうか。浅ましい。そして腹立たしい。あれほど俺を罵倒しておきながら戦闘で手を抜くなど、耐え難い憐憫であるというのに。

 

「ふっ、はっ!」

「ぐはっ!」

 

左掌底による腹部への打撃、右掌底による顎の突き上げにより、〈アーチャー〉の体勢が大きく崩れる。がら空きの懐にショルダータックルを2度喰らわせてから距離をとる。無様に背中から地面に倒れることはなく、バック転によって体勢を建て直した〈アーチャー〉が俺を見る。

 

その視線には攻撃を食らわせた俺への怒りや、攻撃を受けてしまった自身への侮蔑の色はまったく見られない。不思議と同情感が伝わってくる。暖かくそして優しく包み込むような、慈愛に満ちた瞳が届く。

 

「...ここまで戦えるとは。手を抜いたとはいえ、これは賞賛に値するな。先程の評価を改めるべきだろう」

「サーヴァント相手でも、ここまで通用するとは思わなかった。だがそれは初見であり〈アーチャー〉が手を抜いたからだ。2度目は通用しないし、お前が本気を出せば俺は間違いなく死ぬ」

「初見でもここまで戦えるなら十分だ。〈セイバー〉との休戦協定は間違っていなかった...か。〈アサシン〉〈キャスター〉〈ライダー〉相手ならば、策の練りようがある」

 

...100点満点の評価に戦意を削られる。確かに実力のある〈アーチャー〉とここまでやれたならば、少しぐらいは作戦の数を増やすことが出来るだろう。〈アーチャー〉が手を抜いていたという理由もあるが。ただ〈アサシン〉相手に互角で戦えるかと言われれば、素直に勝てるとは言えまい。クラススキルである〈気配遮断〉を使われれば、俺には手の出しようがない。死角からの不意打ちであの世行きは必須だ。

 

〈キャスター〉ならばどうにかできるかもしれない。魔術で戦うのであれば、肉弾戦はそれほど得意ではないだろう。〈ライダー〉は裏山で戦闘した際に、少しばかりの情報を得ている。機動力を生かした戦闘は警戒するに十分すぎた。周囲に遮蔽物がない場所ならば、真正面からでも少しは耐久できるかもしれない。

 

とまあ、作戦を自分なりに考えてはみたが。どれも俺がメインで闘っている。サーヴァントにはサーヴァントという戦闘は何処へやらという感じだ。こちらには〈アーチャー〉と〈セイバー〉がいるのだから、サーヴァントは2人に任せ、俺たちがマスターを叩けばいいだけなのに。

 

〈アーチャー〉からの思わぬ高評価で、少しばかり浮ついていたようだ。褒められると上機嫌になり、周りが見れなくなる癖を矯正しないとなと思いながら、武装解除した〈アーチャー〉を見やる。

 

「改めて私も約束しよう。学園の安全が保証されるまでは、休戦協定を破棄せず共闘すると」

「それで十分だ。〈アーチャー〉は〈聖杯〉に何を望む?」

「私は別段〈聖杯〉に望むことなどない。成さねばならないことを成すためだけに、今常世(ここ)にいる」

「サーヴァントが現界する理由は、〈聖杯〉に望むことがあるからじゃないのか?」

 

サーヴァントは望みがあって現世に現れる。己が叶えられなかった望みを叶えるために。たとえば生前成せなかったことを成すため。果たせなかった約束を果たすため。救えなかった誰かを救うため。〈聖杯〉に喚び出される英霊は、少なくとも願望を一つは持っている。それを叶えるため互いに競い合い、奪い合い、そして殺し合うのだ。何も願わず現れることなどできるはずがない。

 

「すべての英霊が、叶えられなかった夢を叶えるために競い合うわけではない。私のように果たすことできなかったことを果たすために現れる輩もいる。未練や公後悔、執念や無念といった下らない理由でな。想像してみろ。果たせなかった夢や願いを抱いたまま死に、死して尚人間の良いように利用される屈辱を。私はそれを許容しない」

「お前の言うことは俺には分からない。じゃあ何故お前は遠坂にそこまで執着する?遠坂だってお前が言ったように、利用している人間には変わりないだろう」

「確かに凛は先程言った利用する存在だ。だがな、凛は決して英霊やサーヴァントを道具として扱わない。1人の人間として、1人の英雄として、1人の尊い存在と認識している。凛なら〈聖杯〉を得るにふさわしい人間だろう」

 

あまりにも悲しいセリフ。〈アーチャー〉にとって〈聖杯戦争〉とは、下らない争いでしかないのかもしれない。争うことでしか生きられない人間の本性を体現した儀式。その口調から察するに憎んでいるのだろう。

 

だが争うことは人間に限ったことじゃない。動物だってテリトリーに侵入した敵を追い払うため、繁殖期にメスを得るために争う。それらとなんら変わりない争いのはずだ。自分の場所を守るため子孫を残すための行動は、元を辿れば欲望へと帰依する。

 

なのに〈アーチャー〉は醜いと言う。確かに人間はどの生物より進化して言葉を話し物を作り、繁栄することに適した唯一の生物だ。人間ほどの1種による社会構成は他の生物には不可能だろう。そして環境破壊や戦争という下らないことを繰り返してきた。失敗から学びながらも結局は同じことを繰り返す。何年・何十年・何百年経っても人間の本質は変わらなかった。そこに対して〈アーチャー〉は怒りを募らせているのだ。

 

「私に望みがないのは生前に叶えたからだ。生前の私に叶えられないことなどなかった。欲しいと願わなくともそれは手にあり、叶えられるほどの力を得たいと思わなくとも、自身の中に叶えられるほどの力があった。それ故私には、願望なんぞに縋る人間があまりにも愚かに思えたのだろう。話はこれで終わりだ。...気をつけて帰れ」

 

空気に溶けるように消えて、視線さえも感じなくなってから俺は歩き出した。〈アーチャー〉の言った言葉の重みが、真に自身が経験したことからであると痛感させられながら。あの言葉の重みは決して間違いなんかじゃない。きっと誰よりも強く生きて、そして見捨てられたその生涯を体現した存在なのだと思わされた。〈アーチャー〉の言葉は士郎の《理想》の真逆に思える。

 

ベクトルが反対に向いただけの言葉。

 

【理想】を抱き(・・・・・・)【理想】を叶えて(・・・・・・)【理想】に殺された(・・・・・・)

 

まるで士郎の未来の姿(・・・・・・・)が、そこにあるような不思議な気持ちだった。

 

 

 

 

 

帰宅すると、桜や藤姉からいつものように穏やかで優しい出迎えを受けた。何も知らずに1日を過ごして、何も疑わずに迎えてくれる。俺たちが過ごした1日を伝えることが出来ない罪悪感に、押しつぶされそうになりながら無理に笑みを浮かべる。

 

命の賭け事をしていると知れば、藤姉は全力で止めに入ることだろう。桜も〈聖杯戦争〉のことは知っているから、余計に心配させることになる。2人には決して話すまいと心に決めてから、いつものように過ごしたのだった。

 

 

 

 

なあ切嗣、あんたは士郎にどうなってほしかったんだ?自分の跡を継ぐ〈正義の味方〉に育てたかったのか?それとも魔術を知らず、一般人として生きる道を選ばせたかったのか?

 

俺にはわからないよ。魔術を知った士郎しか見ていない俺には、どうすることも出来ない。道を変えることも士郎を魔術の道から逸らすことも出来ない。俺は士郎が生きたいように生きるのをこの眼で見ていたい。俺の我儘なのかもしれないけど。

 

けどこれは悪いことなのかな。

 

「泉世?」

 

自己嫌悪に陥っていた俺の耳に穏やかな声が響く。振り向けば、寝間着姿の〈セイバー〉が穏やかに微笑みながら立っていた。

 

「眠れないのか?」

「私をなんだと思っているのですか」

「夜泣きして親を呼ぶお子様...イテテテテテ」

 

冗談で口にしたのだが本気で怒られてしまった。まあ、今のは冗談に聞こえないような言葉だったから、俺が100%悪いのだが。

 

「こんな時間に何をしていたのですか?」

「なんか寝付けなくてな」

「泉世もお子様ですね」

「うるせー」

 

微笑みながら馬鹿にしてくるが、そうやって言ってくれるのが妙に心地いい。救われるような心が軽くなるようなそんな感じだ。〈セイバー〉が言うように、丑三つ時に起きているのは奇妙なことだろう。士郎が大怪我を負ったその日なのだから。

 

「切嗣に聞いてたんだ。士郎の在り方は正しいのか不安でさ」

「泉世にとって切嗣はどのような存在だったのですか?」

「俺を救ってくれた命の恩人。なんて聞こえはいいけど、本当はどうなんだろうな。10年前は仮にとはいえ、敵対しあって殺し合った仲だし。でも感謝はしてるよ。こうして士郎・桜・藤姉と出会うことが出来たんだから」

 

それだけは嘘じゃない。あんな人達に囲まれている士郎の姿を傍から見ていた時は、自分も混ざりたいと嫉妬したぐらいだ。今こうして暮らすことや話していることに幸せを感じる。当たり前のような普通の日常を得ることが出来たのは、切嗣が災害の中から助けてくれたからだ。そしてその災害を引き起こした物から救ってくれた〈セイバー〉がいたから。

 

「切嗣のことを貴方は恨んではいないのですね」

「恨む...か。無いわけじゃないよもちろん。切嗣が個を捨て群を守ることを《理想》としていなければ、冬木市はこんな姿にはならなかっただろうから。...でも俺は切嗣の《理想》が間違っていたとは思えない。多数を救うために少数を切り捨てるのは、誰もが考えることだから。両方を救いたいと願うのは愚かだってことを知ったから」

「貴方にとって切嗣は命の恩人であり憎む存在でもある。なんとも言えない存在だったのですね」

 

本当になんとも言えない存在だ。切嗣の《理想》が尊くて綺麗だから憧れた。でも自分にはそれを成す権利はない。それを成すのは士郎であり、支えるのが俺の役目だから。

 

雲の合間から現れた月を見上げていると、〈セイバー〉が俺の左肩に寄りかかってきた。左手で抱き寄せるべきかこのままでいるべきなのか。

 

「私はその優しさが好きです。自身を大切にしながらも他人を第一に願う心。それは美しくて綺麗で何よりも大切な心の在り方です。貴方はそのまま生きて下さい」

 

それだけを言うと、〈セイバー〉は顔を見せずに寝室へと帰っていった。その後ろ姿を見送ってからまた空を見上げる。先程見えた月は雲に隠れて今は見えない。〈セイバー〉がいた時にだけ照らして、いなくなると消えるとはなんとも言えないタイミングだ。

 

まるで〈セイバー〉自身が月明かりみたいに。

 

風が吹いて音を奏でる。1人で見ていた時とは違って、コーラスが混ざったように音が息をしている。そんな何気ない音に俺はしばらく耳を傾け続けた。

セイバーのちょろさについて

  • 原作通り
  • ちょろインのまま
  • 足して2で割った性格
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