人を好きになり、告白し、結ばれる。
それは素晴らしいことだと誰もが言う。
だがそれは間違いである!!
恋人たちの間にも明確な力関係が存在する!!
「恋愛は戦」
好きになったほうが負けなのである!!
陽菜様は告らせたいーお天気娘の空振り頭脳戦ー round1
天野陽菜、14歳。彼女は弟、凪と二人暮らしである。
彼女には最近、ある悩みがあった。
想い人が出来たのだ。
その名前を森嶋帆高という。彼は家出少年で、ふとしたことから知り合い、最近彼にある窮地を救われた。
そのこともあり、天野陽菜は彼に想いを寄せるようになった……のだが、助けられたのち、彼女は彼より上位に立つべくあるミスを犯した!
それは彼に救われたのち、彼に彼女がちょっとした特技を見せた後に起こった!!
「私、陽菜。君は?」
「……帆高」
「年は?」
彼女は帆高と名乗った少年が自分より年下であろうという確信があった!!
それというのも、初対面の時は彼はまるで子猫のようなオーラを出して弱り切っていたこと。
そして再開後も彼女を救ったのちに涙を流していた事。
彼女はそれをまるで弟をあやす姉のように慰めたばかりだったのだ!!
「……16」
「ふうん」
この時、彼女には電流が走った。
そして学校は休みがちではあるもののそれなりに優秀な彼女の頭脳は全力で回転を開始したのだ。
(え?年上!??)
年齢!
それは社会においては絶対といっていいハードル!
年功序列などという言葉は死んだといっている人間が多いが、事恋愛においては年上こそ圧倒的有利…!
年上に優位に立てる年下など、それこそ東京のイケメン男子が田舎の女子高生に対してくらいしかないだろう。
ここで彼女が年下であることを明かせば、今までの優位はあっさりと崩れ去り、アドバンテージは彼女から少年へと移るだろう。
(それはNO!!乙女というかお姉さん的にNO!!)
天野陽菜、お姉さんぶりたい年ごろである。
ましてや先ほどまで目の前の子猫のような少年に姉のようにふるまっていたばかりであったのだ。
なんなら彼女の弟、小学生だかそっちのほうが性格的には大人に見えるレベルだ。
今更年下であることを明かす事など出来ない……!
そこで彼女は
「年下かあ」
「え?」
「私はねえ……えーと、来月で18?」
嘘を付いた。
この18という年齢が味噌である!!
(16……同い年じゃだめだ、17……一つ上くらいじゃお姉さんぶれない……そうだ!18歳!二つも上なら……!)
2つ上!
学年でいえば1年生と3年生!そこには絶対的な壁が存在する!
経験がないだろうか!1年生の時に3年生は妙に大人に見えなかっただろうか!
「え!?見えねえ!」
当然である。延べ4つも鯖を読んだのだ。バレないほうが不思議である。
……が、彼女の持つそのオーラ故か、彼はそれを信じてしまった!
見た目はどう見ても中学生!だがごまかしきって見せたのだ!
そして彼女はいよいよもって止めを刺す……!!
「年上には敬語ねっ!」
敬語!年上であることをアピールしたうえでの敬語アピール!!
年上、目上のの人間には敬語を使うという絶対的社会ルール!
これを守れないものは常識がない人間とみなされる死刑宣告!
「ええっ!?」
明らかに困惑する少年を彼女は押し切る!
手を差し出したのだ!
「ふふっ、よろしく、帆高」
呼び捨て!かつ年上のような余裕を見せた笑みからの握手アピール!!
少年は戸惑いながらも彼女の手を握る。
これにて上下関係は決した!
握手は提案したほうが上位である!
その後彼とはある方法で連絡先を交換し、別れた。
その夜、彼女はウキウキで帰って弟にその件を指摘されるのだが、それはまた別の話である。
彼女はごまかしきらねばならないのだ!14才でありながら、16歳の少年に18歳のお姉さんでなくてはならない!
バレた瞬間に優位は崩れ去るどころかアドバンテージは完全に相手に移ってしまうだろう!
なんなら「年下なのに年上を気取るなんてかわいいなあ」なんてことを言われてしまう可能性すらある!
それは関係において完全に相手の下に移ることを意味する!
ーーーこれは天野陽菜、14歳の一夏の恋愛頭脳戦の記録である!
……最も、彼女が少年、森嶋帆高への好意に気づくのはもう少し先の話になるのだが。
本日の勝敗 天野陽菜の勝利
しんかいかんとくごめんなさい
大体全6、7話くらいの予定です。