10月の某所。暦では秋のはずだが、未だにセミは耳障りな大合唱をしている。俺はその見事なまでの大合唱を聞きながらトボトボと重い足取りで帰路へ着いていた。
「うへぇ〜、クソ暑い〜。」
今年も今年で茹だるような暑さが続いている。太陽さん自重して。暑さとファイトしつつ、俺はなんとか家に着いた。
「ただいまぁ〜。」
と誰もいなかった部屋に気だるい声が響いた。
「うわぁ、部屋の中の方が暑いじゃねーか.....。」
俺は部屋中の窓を片っ端から開けた。エアコンはあるにはあるんだが、電気代が怖いので使わない。びんぼーしょー。
「あ〜...溶ける〜。」
俺が部屋の真ん中にあるテーブルにへばりつき、帰る途中でアイスを買わなかった数十分前の自分を恨んでいると
ピンポーンとチャイムが鳴った。こんな暑い時に何の用だよ全く...と重い重い腰を上げ、ドアの向こうを確認するためドアスコープを覗くと、そこには宅配便のお兄さんが立っていた。こんな暑い中宅配のお仕事だなんて拷問としか考えられない。お疲れ様です。
ちなみに、宅急便と名乗っていいのはクロネコヤマトだけなんだとか。だからどうした案件でした。すいませんでした。
俺はお兄さんから荷物を受け取り、テーブルの上に置いた。母の仕送りなら先週届いたし.....。とこの荷物の中身が何かを考えつつ宛名を見ると
「送り先なんも書いてないじゃん.。怖っ。」
見るからに怪しい荷物。もしかしたら危険なものが入っている可能性があるソレを俺はなんの躊躇も無く開けた。暑くて頭が回って無かったんだね。しょうがないね。
「ん?これは…………ボタン?」
ボタンだった。白い四角の土台の上に赤い丸いスイッチがある、いわゆスイッチボタン。それ以上でもそれ以下でもない何の変哲もないただのボタン。何の目的で誰が送って来たんだ?という謎はあるが、その前に俺はそのボタンを押すことにした。ボタンがあったら押したくなるのが人の性。暑さのせいで判断能力が下がったのか、元から判断能力が低いのか、とにかく俺はそのボタンを押した。
カチリッ、という音が聞こえた。
「…………。」
しかし何も起こらない。
カチッ
しかし何も起こらない。
カチッ
しかし何も起こr
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
俺は高橋名人並の速さでボタンを押したもののとうとう何も起きることは無かった。
「何なんだよこのボタンは.....。」
自分自身の行動に少し呆れつつ俺は、ボタンの入っていた箱の中を覗いてみる。すると箱の中に1枚の紙が入っているのを見つけた。説明書?でもボタンの使い方に説明書なんていらないか...。もしかしたら送り主からなにかメッセージが書いてるかも!と俺は早速その紙に目をとうした。
『やっほー、神様だよー♪』
俺はその文章を見た瞬間にビリビリに破り捨ててしまおうかと思ったが、怒りを抑えて続きを読むことにした。
『日常生活がつまらないと思っているそこのアナタ!!このボタンを押せば、素敵な異世界へと転移することが出来ます!!コレで君もLet’sゼロから始める異世界生活!!』
「…………は?」
読んだおかげでより一層頭の上のはてなマークが増えた気もするが、一応この文章に書かれていたことと、先程の自分の行動から推理し、結論を出す。
「え!?俺、異世界に行くの!?」
そんな有り得ないことを言っていると俺の体は徐々に発光し始めた。
「な、なんだ!?体が光ってる!?」
まさかホントに異世界に!?そんなことを考えながらアワアワしていると、先程の紙の下の方にちっちゃく何かが書かれているのを見つけた。。
『注意 ※異世界へ行く際は充分な準備をしてから行きましょう。死ぬ恐れがあります。』
「時すでに遅しなんですけどぉぉぉぉぉぉぉ!!!!????」
無慈悲にも俺の体は眩い光を放ち消えた。部屋にはボタンだけがポツンと取り残されていた。
駄文になっているとは思いますが、続きも読んでもらえると幸いです。