憑依妖魔学園紀番外編(九龍妖魔学園紀✕クトゥルフ神話)   作:アズマケイ

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風呂と私

私が深夜3時に男子寮のふろ場を1人使っても寮長に怒られないのは《生徒会》が私の事情を把握してるからだろう。いつものように隠してある鍵を使って準備を整える。冬場はボイラーが入りっぱなしだから助かる。

 

しばらくして脱衣所に入った私はがらんとした棚の隅っこにいって準備をはじめた。

 

「......今日はいないな」

 

最近物陰から隠しきれないシャッター音が聞こえるからすどりんの盗撮を疑っている。まだわからないけど現行犯を捕まえるためにも携帯電話をそのまま持ち込んだが、曇り気味の窓にはなにもうつってはいなかった。

 

シャワーを浴びて頭、身体を洗ってから丁寧に洗い流す。浴槽はさすがに待っていたら風邪をひくからはりはしない。長めにシャワーを浴びていた私はためいきをついた。

 

「あ~......風呂入りたいなあ......」

 

さすがに肌寒くなってきた今日この頃である。湯冷めすることも増えてきた。このままだと学校生活に支障をきたす。どうしたもんか。でも学年順に入浴の序列があるらしい男子寮である。最初に入るにはダッシュで入らないといけない。めんどくさい。誰にもあいたくない。うーむ。

 

半年以上もたつといいかげん慣れてきたダランとした股の間にちぢこんでる代物を、手を伸ばして掴み、慣れた手つきで引っ張った。私がこの体になってからすでに包皮は剥け、亀頭は露出している。まるでぎょろ目をむいてるようで極めて気持ち悪いが慣れた。寒さと怯えに縮こまり皺のよってる性器をみると可哀想になってくる。左の睾丸は、右の睾丸より少し下がったところに位置している。勃起して、射精して、再び小さくなることについてものごとはしかるべき段階をたどって循環し、ようやくひとつのサイクルを終えたようだった。江見翔くんは童帝ではない。それだけは確かだった。

 

「ただみんなに混ざるのは勇気いるしなァ......」

 

女と男は洗い方とかやることがちがうイメージが漠然とある。一人でトイレにいくから生理現象はまだ気が楽なのだ。初めの頃はたまたま遭遇しても家で母親にいつも怒られていたから、といえばいつも洋式でも最近の高校生男子は同情される。まさか毎回洋式とは思われてないだろうし。今はだいぶ慣れてきたから洋室は使わなくなったし。

 

「今はどれくらい男なんだろう、私」

 

江見翔という男の子と精神交換しているのにおかしな話だが、瑞麗先生に言わせれば魂と肉体の乖離はやがて融合をはじめるから、そのうち止まっているあらゆる機能が正常化し始めるそうだ。たしかに初期はよくバグを起こしてありもしない生理に悩まされたり、女性しかないはずの生理現象に悩まされたりしたが今は薬に頼らなくても平気になってきている。

 

そういう意味では体は江見翔に慣れてきて、馴染んできているらしい。

 

「......今の私、女の子でよくじょーすんのかな」

 

のぼせ始めていた頭はとち狂ったことを考えた。だが肝心の江見翔くんの好みを存じ上げないし、私が好きな女の子のタイプなんてわからない。ネットで拾ってきたサンプル動画を漁ってみたらなにかしら反応するのではないだろうか。

 

考え事が長すぎてのぼせてしまった。ふらふらしながら脱衣所に戻り、着替えをして自販機でかったお茶を飲む。いつも牛乳が売り切れなあたり必死だなあとメガネの後輩を思い出しながら私はゴミ箱に捨てた。

 

そして試した結果、やっぱり男の子になりつつあるらしいことがわかった。思考回路はスイッチが入ったみたいに切り替わるので、3大欲求に関しては別なのかもしれない。海外サイトばかり漁ったせいか瑞麗先生にどこか似ている女優なのは笑えなかったが、江見翔くんはああいう人が好きなのかもしれないし、私がそういう目でみるには瑞麗先生がいいのかもしれない。次は日本のサイトを探してみよう。好みが特定できるかもしれない。なんとなく禁欲はよろしくないイメージがあるからはやめに性癖を特定しなくては。

 

「......うっわ」

 

今朝、起きるときに、何だか奇妙な感覚を覚えた。何かがジャッキで腰を持ち上げているような感覚があった。うつ伏せに寝ていた腰のあたりで、シーツと体の板ばさみになって疼痛を訴えているものがある。

 

「これがあれか......なるほど」

 

間抜けな声が出てしまう。男性器は太く猛々しくそびえ、びくんびくんと脈打っている。適当にやったらなんか違うのか痛いのでネットで調べてみる。ただ彼氏にやってあげてたやり方でやったら普通に気持ちよかったので調べなくてよかったと知ったのは後の祭りだ。

 

さすがにそこまで赤裸々には言わないが生理痛などがないことは瑞麗先生につたえることにした。

 

「なるほど......じゃあ、一度処方をやめてみようか」

 

「わかりました。それでですね、先生」

 

「ん?」

 

「最近寒くなってきたじゃないですか」

 

「そうだな」

 

「私、お風呂入りたいんですがどうしたらいいですかね」

 

「どうしたらって入ったらいいんじゃ?」

 

「男子寮大浴場なんですよ。さすがにはれないというか」

 

「もしかしてシャワーなのか?」

 

「我慢してたんですが最近の冷え込みが地味に辛くてですね」

 

「ああ.....それは切実な問題だな」

 

「ものは相談なんですが、瑞麗先生の部屋でお借りできませんか?」

 

「うーむ......1回2回ならいいがさすがに毎日はな......。男子生徒が出入りするのはまずいな」

 

「ですよね......どうしようかなあ......誰にもバレてなければしれっと入れたんですがね」

 

その瞬間に保健室のベッドのカーテンがあいた。

 

「......人が寝てんのになんつー話してんだよ」

 

「出るに出られないんですけど、ふたりとも~?」

 

男子二人から抗議の声があがる。

 

 

「サボってるからだ、君たち。それにしても江見、君は大人になっても家族と入れるタイプなのか」

 

「いや、普通に未成年に興味はないといいますか」

 

「生理痛が収まってきたなら性自認にも影響がではじめているはずだ。君が考えている以上にな。無意識とはいえ青少年の暴走は怖いぞ、いくら君が理知的だとしてもだ」

 

「そうなんですよね......どうしよう」

 

「風呂をはって入ればいいさ」

 

「一応聞くんだけど私は入っちゃダメ?」

 

「ダメに決まってんだろうがッ!!」

 

「やだ~ッ!翔チャンの変態ッ!痴女ッ!俺たちお婿にいけなくなるゥッ!」

 

「そういうわけだから諦めた方が身のためだぞ、江見」

 

「は~い」

 

すどりんの盗撮については黙っておくことにしよう。

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