後今回から原作キャラが出ます、それでは本編をどうぞ。
□王都アルテア冒険者ギルド 【
それから私達はしばらくの間、冒険者ギルドの一室で今回のクエストで一緒になる<マスター>達が来るのを待っていた。
「まだかな〜まだかな〜、一体どんな<マスター>が来るんだろうねお兄ちゃん?」
「いいからちょっと落ち着けミカ」
そんなこんなしているうちにこの部屋のドアがノックされた。
…………来たね!
「は〜い! 入ってま〜す!」
「いや、それはなんか違うだろう…………」
「あれっ? この声って…………やっぱりミカさんだ! それにレントさんも!」
そう言ってこの部屋に入って来たのは、私達のフレンドでもあるエルザちゃんだった! その後ろからは彼女の<エンブリオ>であるアリアさんと
…………えーと一人は以前アルバイトの時に少し話したセリカさんだったっけ、だとするともう一人も…………
「久しぶりだね、エルザちゃん! 【ワルキューレ】がまた増えているね!」
「はい、先日<エンブリオ>が第三形態に進化しまして…………改めて紹介しますね、みんな自己紹介してくれる?」
「はい、改めまして【ワルキューレ】の長女アリアです。ジョブは【
「以前少しお話ししましたけど……【ワルキューレ】の次女のセリカと申します。就いているジョブは【
「はーい 【ワルキューレ】三女のトリムだよ! ジョブは【
ふーむ、金髪ロングの真面目キャラのアリアさん、銀髪ツインテールの優しそうなセリカさん、青髪ポニーテールの元気っ子なトリムちゃんと三人ともなかなか個性的だね! みんな同じ顔だけど、これなら誰が誰だかわかりやすいね。
「じゃあ私も改めて、ミカです! ジョブは【戦棍士】で役割は前衛のアタッカーだよ、よろしくね!」
「ミカの兄のレントです。メインジョブは【
「二人とも、もう二つ目のジョブに就いたんですね! …………私はまだ【
「いやいやそれが普通だって! 私も二職目についたばかりだし。既に三職目で上級職に就いてるお兄ちゃんがおかしいんだよ!」
「レントさんもう上級職に就いたんですか! 凄いですね!」
そんな話をしていると、いきなりエルザちゃんの服の中から
その石には赤く光るコアの様なモノがあり、ただの石ではなくモンスターであることを伺わせた。
『KYUUUUUU』
「あっこらアーシー! 勝手に出てきたらダメじゃない!」
「エルザちゃんその子って…………」
「はい、この子は私のテイムモンスターで【アース・エレメンタル】のアーシーと言います。以前とあるクエストの最中に偶然出会って
『KYUUUUU!』
エルザちゃんの紹介に応える様に【アース・エレメンタル】のアーシーちゃんが鳴いた。
…………うん、こうして見るとちょっと可愛いかも。
「エルザちゃん! テイムモンスターも手に入れたんだね!」
「はい、アーシーの他にも二人いるので紹介しますね…………
そうして出て来たのは狼型のモンスターと鳥型のモンスターだった。
狼のほうは【ティールウルフ】に似ているけどそれよりも大きいし、鳥のほうは多分鷲かな…………?
「こっちは【ストライク・ウルフ】のヴェルフで、以前従魔師ギルドで買った時は【ティールウルフ】だったんですが最近進化しました。それでこっちが【ウインド・イーグル】のウォズです。この子もアーシーと同じでクエスト中に出会ってピンと来たのでテイムしました」
「おー……しばらく見ないうちにエルザちゃんの戦力が超強化されている…………」
「はい! 仲間になってくれたこの子達のお陰で色々なクエストを達成出来るようになりました!」
本当に凄まじい強化具合だよ…………もう初日に【リトルゴブリン】に襲われていた時の面影はカケラもないね。
でも、エルザちゃんがこのゲームを楽しんでくれているなら良かったかな。
「それで、エルザちゃんもギルドから指名を受けたの?」
「はい、冒険者ギルドの方から『今まで多くのクエストを達成して来たあなたに受けてほしいクエストがある』と言われて、それから詳しい話を聞いて受けることにしました。…………それに報酬も十万リルと良かったので…………」
「…………エルザちゃんお金ないの?」
「…………はい…………【ワルキューレ】達の装備やテイムモンスターの食費とかで…………」
「あー…………」
どうやら、強力な力にはそれ相応の代償が必要らしい。
…………まあゲームでは強くなるほどお金がかかるし、一人で大量の戦力を抱えているテイマーなら尚の事だろう。
「ところで、今回のクエストはまた私達とエルザちゃん達だけで受けるのかな?」
「いえ、他にもこのクエストを受ける<マスター>はいるみたいで、その人たちを連れて来るので先に部屋の中で待っていてほしいとアイラさんは言っていました」
ふーんまだ来るんだ、じゃあその間にエルザちゃんと色々話でもしようかな!
◇◇◇
□王都アルテア冒険者ギルド 【大狩人】レント
それからしばらくの間、俺達は互いの近況を語り合っていた。
ああ、エルザちゃんのテイムモンスター達は【ジュエル】の中に戻している。流石に部屋が狭いからな。
「へー、エルザちゃんそんなに沢山のクエストをクリアしてるんだ」
「はい、みんなのお陰でなんとかやって来れています。…………クエストを沢山こなさないとお金がすぐに無くなるので…………お二人は王都のダンジョンに挑んだんですよね! 私もダンジョンに行ってみたいです」
「まあ5階層まで行ってボスを倒して帰ってきただけだからな。それにレベルは上がったが、モンスターが骨とゾンビと霊体だからドロップアイテムの実入りは良くなかったしな」
「ちなみに<墓標迷宮>に入る為に必要な【墓標迷宮探索許可証】は市場で約十万リルで買うか、アルター王国が定期的に発注する難易度:三のクエストの報酬で手に入るらしいよ」
「十万リル…………クエストでの入手を試みたいと思います…………」
そんな話をしていると、ふいに部屋の扉がノックされた…………どうやら他の人達が来たみたいだな。
「失礼します…………3人とも揃っているみたいですね」
そう言いながら、アイラさんが
男性二人には紋章があるし<マスター>だな、少女の方には紋章が無いがこのクエストは<マスター>専用だし、おそらくエルザちゃんの【ワルキューレ】と同じ<エンブリオ>だろう。
…………男性の内一人と少女には見覚えがあるな、確かマリィさんの店でアルバイトしていた時に来ていた客だったかな。
「アイラさん、その人達が一緒にクエストを受ける<マスター>なんですか?」
「そうですミカさん、今回のクエストは此処にいるメンバーで受けてもらいます。それでは皆様、まずは自己紹介からお願いします」
そう言われたので、俺達はお互いに自己紹介をする事になった。
「はーい、私はミカと言います! ジョブは【戦棍士】をやっています‼︎」
「ミカの兄のレントと言います。メインジョブは【大狩人】に就いています。本日はよろしくお願いします」
「【従魔師】のエルザ・ウインドベルと申します。後ろの三人は私の<エンブリオ>で、TYPEガードナーの【ワルキューレ】です」
「【ワルキューレ】長女のアリアです」
「次女のセリカです。よろしくお願いしますね」
「三女のトリムです! よろしく!」
「俺は【剣士】のフォルテスラという。こっちは俺の<エンブリオ>のネイリングだ、今日はよろしく頼む」
「はーい! メイデンwithアームズのネイリングだよ! マスター共々よろしくね!」
「【
フォルテスラさんにネイリングちゃんにシャルカさんか、三人とも良い人そうで良かったかな。
しかしメイデンか…………確か複数タイプの混成型で、少女の姿を取るのが特徴のレアカテゴリーだったな。他には月夜さんのカグヤぐらいしか見た事は無いし、同じ女性の人型<エンブリオ>でもエルザちゃんの【ワルキューレ】はただのガードナーらしいからまだよくわかっていないカテゴリーなんだよな。
「では自己紹介も終わったところで、改めて今回のクエストの詳細をお話しします。…………このクエストでは<ノズ森林>奥地の調査を行ってもらいます。調べる場所は以前消息を絶ったパーティーが調査していた場所を中心におこなもらいます。調査地点の詳細に関しては、後でマップを渡すのでそれでご確認ください。調査時間はその場所の周辺を約半日程調査してもらいます。また、その結果によらず十万リルは支払われます。そして異常の原因となる情報を持ち帰った場合には特別報酬を支払われます。報酬の内容は得た情報次第で個人毎に要相談となります。以上で説明を終わります、何かご質問等はございませんか?」
俺は特に質問は無いが…………他の人達も特に質問は無いみたいだな。
「特に質問は無い様ですね。…………では今回のクエスト、どうかよろしくお願いします」
◇
あの後、アイラさんから調査地点のマップを受け取った俺達は、各々の準備を整えて王都の北門に集まっていた。
そこでそれぞれが出来る事を話し合い、今回のクエストでのパーティーの役割分担を決めることになった。
「私は主に前衛でメイスを振るってのアタッカーぐらいしか出来ないかな。<エンブリオ>のスキルで、物理攻撃が効かない相手にも攻撃を通すことが出来るけど」
「俺は弓での後衛と索敵役だな。あとサブで【司祭】も取っているから回復役も出来るぞ。……ああ、<エンブリオ>のスキルのお陰でメインが【大狩人】でも回復魔法が使えるからその辺りは心配しなくていい」
「私自身は【従魔師】なので直接戦闘はできませんが【ワルキューレ】の三人はそれぞれアタッカー・ヒーラー・タンクがこなせます。あと【ストライク・ウルフ】のヴェルフは索敵と遊撃、【ウインド・イーグル】のウォズは上空からの偵察や風属性魔法による支援、【アース・エレメンタル】のアーシーは主に私の護衛で、地属性魔法による攻撃と防御が出来ます。あ、テイムモンスターを全員出すと従属キャパシティが足りなくなるので、パーティー枠の空きを使わせてもらいます」
「俺は剣を使った前衛ぐらいしか出来ないな。だが、ネイのスキルは一対一の戦闘向きだから強敵が現れた場合は頼りにしてくれ」
「私はパーティーメンバーにエンチャントをかける後衛ですね。あと、私の<エンブリオ>は【ラフム】という泥状のゴーレムで物理攻撃が効かないので前衛を任せる事が出来ます」
こうして見ると前衛・後衛・回復・索敵と揃った、バランスの取れたパーティーになったな。
「さてあとはパーティーのリーダー役を決めないといけないね…………と言うわけで、私はリーダーにお兄ちゃんを推薦します! この中では一人だけ上級職だしね‼︎」
「おい、一体どういう訳だ…………大体ジョブと指揮能力は関係無いだry「はい、私も賛成します!」えぇ…………」
いきなりミカが俺をリーダーに推薦したと思ったら、エルザちゃんまで賛成した、一体どういう事だ…………?
「そうだな……俺も前衛として戦わなければならないから、後衛が指揮を取ってくれるのはありがたいな」
「私もエンチャントとラフムへの指示がありますので、指揮はお任せします」
フォルテスラさんとシャルカさんまで…………はあ、しょうがないか。
「わかった、このパーティーの指揮は俺が取るよ…………パーティーのリーダーなんて初めてだから下手でも文句は言わないでくれよ」
「大丈夫、大丈夫! このゲームが始まってからデンドロ内の時間でもまだ一カ月くらいしか経ってないんだから、まだパーティーの指揮を完璧にこなせる人なんていないよ〜……それにお兄ちゃんなら大抵の事は上手くこなすだろうし、何より
成る程、ミカが
「じゃあ、前衛がミカとアリアさん・トリムさん・フォルテスラさん・シャルカさんのラフムで、後衛は俺とエルザちゃん・セリカさん・シャルカさんで、テイムモンスターはエルザちゃんが指示を出して遊撃を頼む。……とりあえずそういう布陣で、何回か戦闘をこなして不都合があった場合には修正する。あと、今日組んだばかりのパーティーなので俺は最低限しか指示を出さないから、基本的には各々の判断で行動してくれ。…………これでいいか? 何か意見があるなら言ってくれ」
「うん、それでいいんじゃないかな!」
「はい、大丈夫です」
「私も問題ありません」
「ああ、俺もそれで構わない…………今日初めて組むパーティーに完璧は求めないさ、もっと気楽に行こうレントくん」
フォルテスラさん…………そうだな、少し深刻に考え過ぎていたみたいだ。ミカの勘でもこのメンバーならなんとかなると言っていたし大丈夫だろう。
「じゃあ今からクエストスタートだ!」
こうして俺達の指名クエストが始まった。
あとがき・オマケ、各種オリ設定・解説
兄:今回のメンバーその一
妹:今回のメンバーその二
エルザ:今回のメンバーその三
・前回から大幅に強化されており、亜竜級ぐらいなら彼女達だけで倒せるレベル。
・兄妹とのクエスト以降、デンドロやゲームの事をネットなどで調べていた。
アリア:長女
・ステータス補正はSTR・AGI特化のアタッカー。
・彼女達【ワルキューレ】はジョブレベルを持つ為、レベル制限のある人間用の装備を着けることができる。
セリカ:次女
・性格は穏やかで優しいが、マスター至上主義。
・ステータス補正はMP特化のヒーラー。
トリム:三女
・性格は元気で明るくマスター大好き。
・というより彼女達【ワルキューレ】は全員マスターの事を第一に考えている。
・ステータス補正はHP・END特化のタンク。
ヴェルフ:エルザちゃんのテイムモンスターその一
・兄妹とのクエストの後に従魔師ギルドで購入した【ティールウルフ】が進化したもの。
・性格は真面目で、役割は索敵と遊撃。
ウォズ:エルザちゃんのテイムモンスターその二
・風魔法も使えるが威力はまだ高くない。
・性格は実直、役割は空からの偵察と敵への牽制。
アーシー:エルザちゃんのテイムモンスターその三
・実は亜竜級の上位エレメンタル。
・地属性魔法全般を使いこなし、攻撃・防御・ゴーレム創造による前衛もこなせる。
・性格は甘えん坊、役割はマスターの護衛と後方支援。
フォルテスラ&ネイリング:今回のメンバーその四
・この頃はまだクランは作っていない。
・だからネイリングも団長じゃなくマスター呼び。
・初めてのリーダーに戸惑う兄に対してフォローを入れてくれるイケメン。
シャルカ:今回のメンバーその五
・この頃からフォルテスラとはよくパーティーを組んでいた。
・今のラフムは必殺スキルを覚えていない為、やや攻撃力不足。
読了ありがとうございます。
次回は今章の第3話目です、お楽しみに!