それでは、本編をどうぞ。
3/22 召喚関連の文章を変更しました。
□決闘都市六番街・第六闘技場 【
今、俺とミカは闘技場の上で向かいあっている。
その周りには、フォルテスラさん達が妙に期待を込めた目でこっちを見ていた。
「はぁ……当初はお前がガチャで当てた特典武具の性能を確かめるだけだったのに……どうしてこうなった」
「あはは……まあいいじゃない。せっかくだから派手にやろうよ、お兄ちゃん」
「ギャラリーもそれがお望みの様だしな。……本気でやるぞ」
俺はさっきガチャで当てた【ライトニング・デスジャベリン】を取り出し、もう片方の手に弓を持って準備を整える。ミカも【尾竜剣鎧 ドラグテイル】を装備し【ギガース】を手に取ってこちらに構えた。
…………デンドロでミカと戦うのは初めてだな。さて、どうするか……
『では僭越ながら決闘の合図はこの俺、シュウ・スターリングが努めさせていただくワン。…………それでは、試合開始ィ‼︎』
その妙に芝居がかったシュウさんの合図と同時に俺は、
「《
「ッ‼︎」
手に持った【ライトニング・デスジャベリン】をさっき作ったオリジナルスキル──《ハンティングスロー》《ハンティングシュート》《投擲技能》《パラライズスロー》を組み合わせクールタイムを二十四時間に引き上げた(名前は良いのが思いつかなかった)スキル──に《空想秘奥》を重ね掛けして投げ飛ばした。
だが、事前にそれを察知したミカは咄嗟に後ろに跳びのき、【ギガース】を盾代わりに地面に突き立てた。
…………そして、放たれた槍が
ガァァァ────────ァァァン‼︎
槍が着弾した場所から全方位に強力な雷撃が放たれるが、ミカは突き立てた【ギガース】をアース替わりにしていた為、与えたダメージはそこまででは無かった。
…………手に持って使ってはいけない投げ槍だから、全方位攻撃系のスキルだと思っていたが予想以上の威力だな。スキルの威力は込めたMPと着弾時の攻撃力で決定するから、アクティブスキルを併用すれば威力は上がると言う考えは当たりらしいな。
……だが、槍自体はスキルの威力に耐えきれずに壊れてしまったようだ。値段と釣り合っていない威力だと思ったら、使い捨てに近い武器だったらしい…………試合が終わったら全てが元に戻る闘技場で試せてよかったな。
「ちょっとお兄ちゃん! この試合は私の特典武具の性能を試す為のものじゃなかったっけ⁉︎」
「《サードヒール》、お前が派手にやれと言ったんだろ。それにこの程度でお前を倒せるなんて思っていない《パラライズアロー》、《ポイズンアロー》、《スリーピングアロー》!」
「ちょぉぉ‼︎」
武器を弓に切り替えると、そのままアクティブスキルと通常の攻撃を組み合わせてミカに矢を射かけていく。
…………まあ、こんな攻撃がミカに通じる筈も無く、全て避けられるか【ギガース】を盾替わりにして防がれている……動きが良くなっているな、特典武具のステータス補正の効果か。
「もー! ならこっちも特典武具使っちゃうもんね! …………行けっ‼︎」
「チィッ!」
すると、ミカの装備している【ドラグテイル】の背中に付いている剣が鎧を離れて…………いや、鎧と剣は尻尾の様なものによって繋がっており、それを伸ばす事で剣をこちらに飛ばして来た。これがあの鎧のスキル《竜尾剣》らしいな、文字通りの能力だ。
こちらにかなりの速度で飛んで来る《竜尾剣》をなんとか避けて反撃の矢を放つが、ミカには容易く避けられた…………だが、その間《竜尾剣》は動かなかったので、どうやらマニュアル操作で動かさなければならない上に剣と自身の同時操作はまだ出来ないらしい。
まあ、手に入ったばかりで、しかも本人にアジャストされているわけではないからな。
「しかし、もう完全に例の主人公機の最終形態みたいだな。…………お前は一体どこを目指しているんだ?」
「そんなの知らないよー。文句なら特典武具やガチャを管理している人達に言ってよー!」
そう適当に茶化してみたが、実際ミカに中・遠距離攻撃の手段が出来るのはかなり強いな。【ギガース】のスキルも装備さえしていれば、本体以外での攻撃にも適応されていた筈だし(以前スライムを踏み潰して倒していたのを見た)
…………戦っている今は厄介極まりないがな。まだ扱いきれていないから、ギリギリ何とかなっているが。
「そろそろどうにかしないとジリ貧だな……《セイクリッド・アロー》‼︎」
「《ストライク・ブラスト》‼︎ シッ!」
俺の放った二発目のオリジナルスキルをミカはメイスから放った衝撃波で軌道をそらし、カウンターで《竜尾剣》放って来るが…………こっちはフェイクで本命は接近戦か。
「《召喚》──ブロン、行け!」
「邪魔! 《スマッシュメイス》!」
俺は飛んで来た《竜尾剣》をギリギリで避け、向かって来たミカに対して【ホースゴーレム】のブロンを召喚しけしかける…………が、直接戦闘能力の低いブロンは直ぐにミカのメイスに叩き潰された。
…………だが動きは止まったな。
「《トリニティ・アロー》‼︎」
「ッ! クゥッ‼︎」
そして放たれた本日三回目のオリジナルスキル──《パラライズアロー》《ポイズンアロー》《スリーピングアロー》《ハンティング・アーツ》を組み合わせクールタイムを二十四時間に引き上げた状態異常特化で威力も相応にある矢──をミカはとっさに【ギガース】を盾にして防いだが、威力に押され…………ていない⁉︎
……しまった‼︎ さっき外した《竜尾剣》を地面に突き刺してアンカー替わりにしたのか!
そして、ミカは尾を縮める勢いを利用してそのままこっちに突っ込んで来た!
「この鎧の剣、意外と応用が効くみたいだね‼︎ あともう
「チィ! 《瞬間装備》《ハンティングシュート》‼︎」
ミカに攻撃が殆ど当たらないから、【ヴァルシオン】の《吸命転換》があまり機能していないからな!
向かって来たミカに対してなけなしのSPでアクティブスキルを使い短剣に装備を切り替え、腰に下げていた投げナイフを投擲するが【ギガース】で払いのけられる。
そのまま、ミカに接近された俺は短剣での防戦を試みるが…………
「《ハンティングエッジ》‼︎」
「《ウェポンブレイカー》! これで終わり! 《アーマーブレイカー》‼︎」
「ひでぶっっ!」
最後のSPを使ってアクティブスキルを使い斬りかかる…………が、どうも先読みされいた様で
そして、そのまま上段から打ち下ろされた装備防御低下効果付きのアクティブスキルで、俺は叩き潰されて敗北した。
◇◇◇
□決闘都市六番街・第六闘技場 【
「イエーイ! アイムウィナー!」
「負けたか。正直、今の手札じゃどう頑張ってもミカの直感を突破できないな。…………しかし潰されても結界を出れば元どおりか、凄いな闘技場」
ほんとにねー、お兄ちゃん潰れてたのに完全に元に戻ってるよ。この結界一体どういう理屈でできているんだろう?
そんな風に私達が闘技場の凄さに感心していると、ギャラリーの皆さんがこっちに来ていた。
「レントくんにミカちゃん、二人共良い試合だったよ。あと、闘技場の仕様は初めてなら驚くのも無理はない、俺も驚いたしね」
『いやー、なかなか派手な試合だったワン』
「やっぱり二人共凄く強かったね。どうだい? この後、僕とも決闘しないかい?」
なんか、皆さん私とお兄ちゃんの決闘の様子を口々に褒めて来るなぁ。私としてはお兄ちゃんに終始攻められっぱなしで、【ドラグテイル】も上手く扱えなかったし色々課題が残る結果だったんだけど。
あとフィガロさんには決闘に誘われた…………この人、実は結構なバトルマニアなのかな?
「俺は遠慮しておく。……結界の中とはいえデンドロで死ぬのは初めてだから少し疲れた」
「私も一戦して疲れたから、しばらくはいいかな〜」
「そうか、残念だな…………じゃあフォルテスラ、一緒に決闘しないかい?」
「ああいいぞ。俺も二人の決闘を見て身体を動かしたいと思っていたところだ」
そんな感じで、フィガロさんとフォルテスラさんは闘技場に向かっていった。
やっぱりフィガロさんはバトルマニアみたいだね、あとフォルテスラさんも…………
『フィガ公の脳筋バトルマニアっぷりは何時もの事だからほっとけばいいワン』
「それに付き合っているフォルテスラも、最近どんどん決闘好きになっていますからね」
「…………まあ、結界の中なら全力で戦えるから、決闘を好む気持ちも分からなくはないかな。死んでも死なないし」
「初手から、切り札を連発してきたお兄ちゃんが言うと説得力が違うね〜」
お兄ちゃんのオリジナルスキルみたいな重いコストや長いクールタイムを持つスキルでも、決闘が終わって結界から出ればそれらも無かった事になるからね。普段は試し難いスキルを試すのにも決闘場は有効じゃないかな。
「それで? その【ドラグテイル】の使い心地はどうだったんだ? 当初はそれが目的だっただろ?」
「いや、お兄ちゃんが初手から殺しにきたからガチな戦いになったんじゃない!」
「えっ? お前があのぐらいでやられる訳がないだろ? 初手は牽制のつもりだったし」
『いやー実に信頼し合っている兄妹ワンー(棒)』
「もー! シュウさんまで! …………まあ使い勝手は良かったかな、ステータス補正もいい感じだったし。でも《竜尾剣》はマニュアル操作だから、自分が戦いながら動かすには少し時間がかかるかな」
実際、使った感触だと色々応用が利きそうだったからね《竜尾剣》。他には攻撃力がSTRと装備攻撃力の合算だけど、多分単純なパワーも私のSTRの同値かな。さっきも《竜尾剣》で自分を引っ張る事が出来たし、上手く使えばワイヤーアクションもどきみたいなことも出来るかも。
あと、お兄ちゃんの普通のアクティブスキルを受けても傷一つつかなかったことから、鎧自体の強度も相当高いみたい。
『それで二人はこれからどうするワン?』
「んー、まだ闘技場のレンタル時間は残ってるし、もうちょっと戦おうかな。【ドラグテイル】にも慣れておきたいし。お兄ちゃんは?」
「俺は試したいことは大体やり終わったからもういいかな」
「じゃあ、あの二人が戦い終わったら勝負を挑んでみようかな」
この後、私はフォルテスラさん・フィガロさんとそれぞれ一回ずつ戦って一勝一敗、フォルテスラさんにはなんとか勝てたがフィガロさんには負けてしまった。
フォルテスラさんとの決闘では特典武具のお陰でステータスで上回っていた為、勘によって先読み出来た攻撃を防ぐか避けるかが出来たのが大きかったね。それでも彼の剣技はかなり鋭く何度か危ない時もあった。そう言う攻撃は【ドラグテイル】で受けたりしたけど、特に傷はつかなかったから相当頑丈みたいだね。
あと、後半武器破壊スキルでネイちゃんを壊しちゃったけど、結界を出たら元どおりになっていたから良かったよ。…………まあ、ネイちゃんは凄い悔しそうな目で私の【ギガース】を見てたけど。
フィガロさんとは、ステータスで上回っているこっちの攻撃を彼は徹底的に回避してきて、あっちの攻撃も最初は私の勘を突破出来なくて持久戦になった。向こうも特典武具を持っていたらしく沢山の刃を飛ばして来たり、球状の結界を展開してきたりした。特に球状の結界が厄介で、【ギガース】の《バーリアブレイカー》を乗せたアクティブスキルでもヒビが入っただけで壊れなかった。
そうやって戦闘時間が長くなると、どんどんフィガロさんのステータスが上がっていって、最終的に勘でも対処仕切れなくなってそのまま負けちゃった。多分、戦闘時間に比例して強化みたいな<エンブリオ>なのかな?
…………その決闘が終わった後、闘技場のレンタル時間が終わったのでそのまま解散となった。
◇
「今日はいい決闘だったね、またやろう」
「今日は負けてしまったが、次はリベンジさせてもらう」
「うぅー! 次は負けないからね‼︎」
「あはは……まあ、またいつかという事で」
そう言う感じで私とお兄ちゃんは皆と別れたのだった…………最後までネイちゃんはこっちを睨んでいたけど…………
あと、皆も明日のガイツさんとトム・キャットの試合は見に行くらしい。今現在、王国で一番強い<マスター>の事は皆気になっているみたいだね。
「しかし、お前がタイマンで負けるとはな。やはりデンドロの<エンブリオ>は恐ろしいな」
「そうだねー、あと特典武具も。……デンドロってゲームとしては完全にバランスを無視してるよね」
「まあ、始めから<エンブリオ>と言うユニークを売りにしているからな。先着一名の“超級職”ってのもあるみたいだしな」
「ま、ネトゲじゃ大なり小なり先発有利だからね」
そんな話をしながら私達は明日の試合に想いを馳せるのだった。
あとがき・オマケ、各種オリ設定・解説
妹:【ドラグテイル】は結構いい感じ!
兄:やはり妹を倒すには広範囲攻撃か……魔法系のジョブを上げようかな?
《ウェポンブレイカー》:【剛戦棍士】のスキル
・相手の右手・左手装備の武器に当てた場合、自身の攻撃力に応じて相手の武器の耐久力を減少させるスキル。
シュウ・スターリング:結構ノリがいい性格をしている
フィガロ:決闘マニアその一
・今回は決闘相手が増えて大満足。
フォルテスラ&ネイリング:決闘マニアその二
・今回は妹に負けてしまったが、“武器を破壊された経験”と“ステータスで上回られた経験”はネイリングの中に蓄積されている。
読了ありがとうございました。