とある兄妹のデンドロ記録(旧)   作:貴司崎

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前回のあらすじ:末妹「HPを減らせないなら、それ以外を減らせばいいのです」


それでは本編をどうぞ。


金色の流星・銀魔を穿つ

 アルター王国北部・クリラ村郊外 【突撃騎兵(チャージライダー)】レント

 

 あれから、俺は援軍に来てくれた封竜王さんと一緒に戦闘団・騎士団側のメンバーに合流する事が出来た…………その際、まだ上位エレメンタル含む敵がいくらか残っていたが、封竜王さんがあっさりと蹴散らしてくれたので特に問題は無かった。

 …………まあ、自分達が苦戦していた相手を一蹴した封竜王さんにはみんな驚いていたが。

 

『そういう訳で、私も【アニワザム】を倒すのを手伝うよ』

「よ、よろしくお願いします……」

 

 と、そんな感じで封竜王さんが協力してくれる事を他の人達に説明した訳だが…………あれだけ凄まじい戦闘能力を見せられたからか腰が引けている人も結構いるな。

 まあ、フォルテスラさん、リリィさん、シュウさん辺りのメンバーは平然としているが(尚、エフさんは古代伝説級<UBM(ユニーク・ボス・モンスター)>の戦いを見て、めっちゃいい笑顔でメモを取ったりしていた)。

 …………そんな微妙な空気をスルーして封竜王さんは話を続けた。

 

『私はヤツとなら一対一でも守りに徹する分ならある程度やり合えるだろうし、短時間ならアレの動きやスキルを封印するぐらいは出来るだろう。…………まあ、基本的に君達の指示には従うつもりだから上手く使ってくれ、これでも人間と一緒に戦うのには慣れて居るんでね』

「え、えーっと……そう言われましても……」

 

 まあ、古代伝説級<UBM>にそんな事を言われてもすぐには答えられんよなぁ…………だが、俺はまだ逃げる気は無いし、話のきっかけを作る為にも一つ提案してみようか。

 

「じゃあ、封竜王さんにアレを止めてもらって、その間に俺達の最大火力を叩きつけるしか無いんじゃないかな。…………一応、俺は一撃限りなら十万以上の攻撃力を叩きだす方法があるが」

『うーん、俺も一撃限定で高攻撃力を出す手段はあるが…………問題は()()()()()()()()()じゃ無いガル? レント君みたいに空を飛べるなら問題は無いがそうも行かないガル』

「封竜王さんは【アニワザム】の動きを止められると言う事だが、止められる時間や方法を詳しく聞きたいかな。それによって取れる戦術も違うだろうし」

 

 俺がそんな提案すると、シュウさんとフォルテスラさんもそんな発言をしてくれた…………やっぱり、こう言う事は一人で考えるよりみんなで意見を出し合う方がいいな。一人だと色々と見落としがあるし。

 

『ふむ、アレを拘束した上でスキルを封じられる時間は最大三十秒で、更にある程度接近しなければならないだろうな。…………それに、あのレベルの相手を封じるには、コチラも封印術に全力を尽くす必要があるだろう』

「とすると、やっぱり接近手段がネックになるか。三十秒でアレに接近するのは……」

『それに封印中は封竜王さんが掛り切りになるのも問題ガル。…………そう簡単には封印なんてさせて貰えないだろうからな』

「…………いや、()()()()()()どうにかする方法はある。…………シエスタ、必殺スキルは使えるか?」

「ん〜、使えますけど〜」

 

 俺やシュウさんなどがアレの迎撃を躱す方法や接近手段を話し合っていたら、フォルテスラさんがシエスタさんの方を見てそんな事を言った。

 

「私の必殺スキルは〜、玉座周辺にいる念話登録された人のスキル効果の発動地点を感知範囲内の任意の場所にする事が出来るからね〜。数が増える事に消費MPも増えるだけど〜、遠距離攻撃系スキル持ちなら距離を無視して攻撃出来るよ〜」

「成る程、それは便利そうだな。…………ん?」

 

 そうやって、彼女の話を聞いている途中でいきなり地面が僅かに揺れだした。

 

「これは……ヤツが仕掛けてきたのか?」

「え〜っと、私の探知だと【アニワザム】は結構離れたところの地下に居るみたいだけど〜」

『いや……これは()()()()()()()? …………《竜気結晶》対地展開、《竜気結界》《魔法封印・地属性》起動』

 

 地面の揺れに俺達が警戒しているのを後目に、そう言った封竜王さんは地面に手をついて何かのスキルを発動した…………すると、俺達が居る地面の一帯が円状の水晶に覆われて、更にそれを底面として半球状の結界が展開された。

 …………直後、地面の揺れが一気に大きくなると共に水晶の地面が少し陥没して、逆に円周の外側の地面がやや隆起した。

 

「ッ! これは⁉︎」

『おそらく、地属性攻撃魔法《アースイーター》かな。…………一応、ここら一帯に地属性魔法を封印・抑制する結界を張ったからこの程度で済んだけど』

「…………これは、かなり不味い状況ですね。どうやら向こうは地面に潜ったままこちらを一方的に攻撃する事にした様です」

 

 シャルカさんの言う通り、ヤツが地面に潜ったままだとコッチには攻撃する手段が無くなるんだよな…………向こうは今までの舐めプを捨てて本気でこちらと戦う気になったらしい。

 

「ちなみにシエスタさん、君の必殺スキルは地中への展開は……」

「ん〜、発動点は遠隔視で見える場所にしか置けないから難しいかな〜。土に阻まれて威力も落ちるし〜」

『ふーむ、どうやら黒幕は【アニワザム】を本来の戦い方に戻して来たみたいだね。今は防げているがこのまま続けられると庇いきれなくなりそうかな。…………状況が変わったし、撤退する気ならそれまでヤツの相手を請け負ってもいいよ。こちらの問題を解決してくれた恩もあるしね』

 

 うーん、確かにヤツを地中から引きずり出す手段が無いとどうにもならない状況だからな…………他の人達も話し合っているが地中に対する有効な攻撃手段とかがある人は居ないみたいだし。

 …………そう考えていたら、さっきからずっと片目を瞑ってどこかを見ていたらしいエフさんが声を上げた。

 

「それは少し待った方がいいですよ。…………どうやら、ミュウさん達別働隊が【アニワザム】を操っていた相手を倒した様ですから。撤退はその事によるアレへの影響を見てからでも遅く無いかと」

「そうか! やってくれたか!」

「…………問題は制御を外れたヤツがどんな行動をとるかだな」

 

 洗脳が解けて逃走してくれるならそれでもいいんだが、制御を外れて暴走したりしたら面倒になりそうだ…………ミカが『洗脳に対処した方がいい』と言っていた以上、何も変わらない事は無いだろうがどうなるか。

 

「ん〜? あ〜地下の【アニワザム】に動きがあったよ〜。凄い速度で地上に向かっているみたい〜」

『こちらでも感知出来たな。…………これは暴走しているのか?』

 

 そうシエスタさんと封竜王さんが言った直後、ここからやや離れた地面が大きく爆ぜた。

 

『⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️!!!!!!』

 

 そこから現れたのはやはり【アニワザム】だった…………更にヤツは地上に出た途端、これまでと比べても明らかに異常と分かる様な絶叫を上げなから辺り一帯に各種魔法をばら撒いて暴れまわり始めたのだ。

 …………これは……。

 

『どう見ても暴走しているガルね』

『ふむ……おそらく精神操作は完全では無かったのだろう。だから、ああなるのを防ぐ為にわざわざ精神干渉を行う手駒を近くに配置したのだろうしな』

「そして、そいつがやられた事によって精神操作が緩んでああなったと……」

 

 まあ、古代伝説級<UBM>を完全に支配下に置くのは相当な難事だろうからな…………多分【アニワザム】自身の意思と操っている能力が相反しあってああなっているんだろう。

 …………とは言え、あんな風に暴走している<UBM>を放置すれば確実に何らかの被害が出るだろうし倒すべきだろう。そうして周りを見ると、どうやら他の人達もそう言う考えになった様だ。

 

『幸いヤツはああやって地上に出て来たし、ただ暴れるだけなら近づいて封印術を掛けるのも簡単だろうからね』

「そうしてヤツの動きとスキルを封竜王さんが封じている間に、シエスタの必殺スキルで総攻撃を掛けると言ったところですか。…………ヤツが地属性魔法を乱発しているお陰で、その周囲の地面は酷い事になってるから空を飛べないと近づくのは難しいからでしょうし」

「俺は空が飛べるし、攻撃手段も近接型だから封竜王さんと一緒に行くよ」

 

 そうやって、俺達は今後の戦術を手早く話し合って行き……。

 

「よし! アイツを倒してこの一連の事件にケリをつけよう!」

「「「「『応!』」」」」

 

 フォルテスラさんの号令の下、俺達は最後の戦いに赴くのだった。

 

 

 ◇

 

 

 そういう訳で俺と封竜王さんは【アニワザム】の下へやって来たのだが…………そこにか地面をのたうち周り辺り一帯の地形を変えながら魔法を乱射するヤツの姿があった。

 

『⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️!!!!!!』

「うわぁ……めちゃくちゃ暴れているな」

『だが、ただ暴れているだけでこちらの事は目に入っていない様だな。エレメンタル召喚や超級魔法の行使も出来ない様だし、上級魔法を闇雲に撒き散らされるだけならば防ぐのは容易いよ』

 

 その言葉通り、封竜王さんはこちら側に飛んでくる上級奥義相当の魔法を全て結界と水晶で防いでいた…………そうやって、ヤツに近づいたところでシエスタさんから俺に念話で連絡が来た。

 

『あ〜、こっちの準備は整いました〜』

「了解。…………あちらの準備は整った様です」

『分かった。では、さっさと始めるとしよう。…………あまり長引かせるのも哀れだからな。《竜気結晶・縛》《魔法封印》最大展開!』

 

 その言葉と共に封竜王さんは巨大な水晶の柱を複数生成して、それを【アニワザム】の周囲の地面に向けて射出した…………それらの水晶柱はそのまま地面に突き立つと、瞬く間にその形を紐状に変えてヤツを縛り上げてその動きを完全に封じてみせたのだ。

 更にその水晶からオーラが発せられてヤツの全身を覆うと、先程までヤツ自身や身体に付いたエレメンタル達が狂ったように発動していた魔法が全て無くなったのだ。

 

『これで動きと魔法は封じたぞ。あまり長くは持たないから早く決めてくれ』

「分かりました。……魔法は封じられた! 攻撃を頼む!」

『了解〜。じゃあ皆さん準備お願いします〜…………設定座標は【アニワザム】頭部のすぐ直上〜《主神の名もて彼方を穿てや勇士達(フリズスキャールヴ)》〜』

『⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️!!!???』

 

 直後、拘束されたヤツの頭部のすぐ上から雷を纏った矢・超高熱の炎弾・超威力の光弾など様々な属性の攻撃が放たれ、そのまま既に防御魔法が無いヤツの頭部に当たりその上部を吹き飛ばした。

 だが、それだけのダメージを受けても【アニワザム】はまだ死んでおらず、先程より弱々しいながらも拘束を破ろうと悶えていた。

 …………そこで、俺は吹き飛ばされた部分から見えたヤツの体内に妙なモノが蠢いているのを見えた。

 

「……封竜王さん、ヤツの()()()()()()()()()()は一体……?」

『む? ……《看破》《鑑定眼》……ふむ、何らかのアイテムの様だが、鑑定しても【寄生型ナノマシン】と言う名前しか分からないな』

 

 “ソレ”はぱっと見銀色の粘菌の様なモノで【アニワザム】に付けられた傷口の中の半分ぐらいを埋め尽くす様に蠢いていたのだ。

 …………そして“ソレ”──封竜王さんが言うには【寄生型ナノマシン】(俺の《鑑定眼》では分からなかった)はこちらに見つかるや否や激しく動き出して、それに連動するかの様に【アニワザム】動きも激しくなったのだ。

 

『⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️!!!!!!』

「封竜王さん! アレの動きを!」

『分かっている! 《竜気結晶・槍波》《装備封印》!」

 

 蠢く【寄生型ナノマシン】に対し封竜王さんは小型の水晶の槍をいくつも撃ち込み、突き刺さっているそれを介して封印術を行使してナノマシンの動きを封じたのだ。

 

『成る程、アイテム扱いだから装備品のスキルを封印する術ならある程度の効果があるみたいだな。種類としては装備者を操る呪われた装備品……いや、先々期文明の特殊な機械系アイテムの類いか』

「まあ“ナノマシン”って言うぐらいですからね。…………つまり、アレが【アニワザム】を操っているモノって事で良いんですね。どうにかならないので?」

 

 俺がそう聞くと封竜王さんは難しそうな顔をしながら答えてくれた。

 

「私に機械関係の知識が無いからか、或いは予報特殊な代物なのか、あのナノマシンには《装備封印》が完全には効果を発揮していないんだ。だから封印は難しいだろうし、アレは【アニワザム】の中枢に寄生している様だから引き剥がす事も現状では不可能だろう。…………これ以上あのままにしておくのは同じ古代伝説級<UBM>として忍びない。…………頼む、終わらせてやってくれ』

「…………分かりました。行くぞ【マグネトローべ】!」

 

 そして、俺は馬上槍を持って高空に上がっていった…………ちなみに俺と【マグネトローべ】には()()()()()()()への対策として《エアレジスタンス・ディクリース》──自分にかかる空気抵抗を軽減する風属性魔法──と《キネティック・レジスト》を掛けており、更に封竜王さんに事情を説明して空気抵抗軽減と物理耐性特化の《竜王気》を付与して貰っている。

 …………まあ、ここまで色々勿体ぶったが、やる事は《電磁加速(レイル・アクセル)》の最大出力での突撃だけなんだがな。

 

「マグネトローべ、俺のスキル使用と同時に()()()M()P()()()()を使って《電磁加速》を使用してくれ」

『──────』

 

 ただし、消費するMPは膨大だがな…………最も、このスキルは速度を上げる事に燃費が悪くなるから、これだけ使ってもAGI二十万に届くぐらいだろうが。

 …………そうして準備を終えた俺は真っ直ぐに【アニワザム】に寄生しているナノマシンへと突っ込んで行き……。

 

「《空想秘奥(ブリューナク)》《フルオフェンス・チャージ》!」

『────!!』

 

 スキルによって強化した上で【突撃騎兵】の奥義《フルオフェンス・チャージ》──突撃時の速度を倍加させ《騎乗突撃》の攻撃力上昇率を100%にするスキル──を使用して、それとほぼ同時に【マグネトローべ】が《電磁加速》を起動する。

 …………これにより突撃時の速度は《電磁加速》を倍加させた事で音速の四十倍を超え、その攻撃力も突撃時の速度を100%加算された事で四十万以上を叩きだせるのだ。

 

「────────────────────!!!」

『⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️!!!!!!』

 

 そうして、四十万を超える攻撃力を持った上で音速の四十倍以上で走る一条の流星と化した俺は、そのまま蠢く【寄生型ナノマシン】の中央部に()()した…………その結果として、ナノマシンは【アニワザム】の頭部上方毎消しとばされたのだった。

 

 

 ◇

 

 

「…………ゴフッ! ガフッ! あー無事……じゃ無いが」

 

 突撃を終えた俺は、その結果として【アニワザム】頭部の半分ぐらいを消しとばして出来たクレーターの中で立ち上がった…………最も、槍を持っていた右手は衝突の際の反動で肘から下はズタボロ、更にその衝撃で身体の至る所にダメージがある有様だが。

 …………また、スキルのコストで半減していた事もあって俺のHPはゼロであり、今は《ラスト・スタンド》の効果で無理矢理肉体を動かしているのだが。

 

「マグネトローべは大破で済んだか。……良くやってくれた」

 

 そう言って、俺は辛うじて原型を留めている【マグネトローべ】をアイテムボックスの中に収納した…………俺もコイツも突撃の反動で粉々になるかと思っていたんだが、封竜王さんの《竜王気》のお陰か思ったよりもダメージが少ないな。

 

「…………しかし、この【アニワザム】はまだ死んでいないのか」

 

 コイツが光の塵になっていない以上はHPはまだゼロになっていないと言う事だからな…………まあ、その巨体故に身体の大部分がまだ残っていて最大HPも数百万近くある原因の様だ。

 とは言え、ナノマシン毎コイツの中枢部分は消しとばされたのか先程までと違ってピクリとも動いていないので、後は残っている人達での集中攻撃で倒し来れるだろう。

 …………と考えていたら、突如足元が揺れ始めた。

 

「! これは、まさかコイツまだ動け……ガハァッ!!!」

 

 俺が突然の【アニワザム】再起動に対して行動を起こそうとした瞬間、俺の左胸が後ろから飛んできた石の槍に貫かれた…………慌てて後ろを振り向くと、そこには銀色の蠢く金属──【寄生型ナノマシン】の姿があった。

 よく見るとナノマシンはその質量を徐々に増やしており、それに連動して【アニワザム】の動きも大きくなっていた…………コイツ、自分が【アニワザム】の中枢に取って代わる気か⁉︎

 

「だが、頭を狙うべきだったな! 《ラスト・アタック》《クイックスロー》!」

 

 だが、俺は心臓を貫かれたまま【決死隊(フォーローン・ホープ)】のスキルで攻撃力を倍加させた上で、最後の【ジェムー《クリムゾン・スフィア》】をナノマシンに投げつけて焼き尽くす…………もう死んでいる以上、頭をやられなければ動く事には支障は無いんだよ! 肺も潰されたから呼吸困難だけどな! 

 

「ゲホッ! ……だが、このまま見過ごす訳にも行かないな! 残り全MPで《魔法発動加速》《魔法威力拡大》《魔法範囲指定拡大》! 《クリムゾン・スフィア》!!!」

 

 更に、まだ残っているナノマシンを可能な限り威力・範囲を強化した《クリムゾン・スフィア》でその一帯毎焼き払った…………が、それでも足元の揺れは収まらなかった。

 

「どうなってる⁉︎」

『感知したところ、どうやら【アニワザム】の全身にも少数だが【寄生型ナノマシン】が配置されている様だね。…………質量自体は中枢に寄生していたモノよりも少ない様だが、徐々に身体を乗っ取り始めているみたいだ』

 

 俺の疑問に答えてくれたのは近くに来ていた封竜王さんだった…………ええい! どうする⁉︎ このままコイツが復活したらシャレにならんぞ! 

 …………と、俺は内心かなり焦っていたのだが、それにひきかえ封竜王さんは冷静だった。

 

『だが、今はまともに身体を動かせない様だし……レント君、コッチに』

「あ、はい」

 

 そう言って彼は手を差し伸べて来たので、俺は急いでその手に飛び乗った…………そして、彼は【アニワザム】からある程度距離を離して滞空した。

 

「どうするんですか?」

『なに、トドメを刺すだけさ。今なら動きが鈍いお陰で、さっきの様に拘束する必要は無いから攻撃に全力を尽くせるしね……《竜気結晶・槍波》最大展開……発射』

 

 そう言いながら封竜王さんは【アニワザム】の周囲に巨大な水晶の槍が十数個も生成され、彼の号令と共にそれらは次々と【アニワザム】の身体に突き刺さっていき……。

 

『《竜気結晶》内の全リソースを攻性型《竜王気》に変換……《竜気爆散》』

 

 それらの水晶全てが封竜王さんの指示の下で大爆発を起こして【アニワザム】の身体をバラバラに吹き飛ばした…………うん……。

 

「…………火力不足とか言ってませんでしたっけ?」

『古代伝説級“竜王”としては火力不足だよ。…………それに、この攻撃は準備に時間がかかるから、相手が防げず避けられない状況だからこそ使えたモノだしね。燃費も悪いし』

 

 そうしている間に、バラバラになった【アニワザム】は光の塵になっていった。

 

【<UBM>【魔鉱蚯蚓 アニワザム】が討伐されました】

【MVPを選出します】

【【レント】がMVPに選出されました】

【【レント】にMVP特典【魔鉱外套 アニワザム】を贈与します】

 

「あっ、<UBM>の討伐報告が来ましたね。どうやら本当に倒せた様です」

『そうか、これでひと段落だな』

 

 そして、今回は俺がMVPらしい…………累計戦闘時間と中枢部分の破壊のお陰かな。特典武具も気になるけど、確認している時間は無さそうだ。

 

「封竜王さん、もう《ラスト・コマンド》の効果時間が来れるのでこれで失礼します。今回はありがとうございました」

『礼を言うのは私の方だよ。…………復活してからは一度クレーミルに来て欲しい。今回の報酬を渡すからね』

「分かりました」

 

 その返答とほぼ同時に《ラスト・コマンド》が切れて、俺はデスペナルティになった…………これで死ぬのは二回目だが、()()と違って<UBM>相手に相打ちに持ち込めたからよしとするか。

 

【致死ダメージ】

【パーティー全滅】

【蘇生可能時間経過】

【デスペナルティ:ログイン制限24h】




あとがき・オマケ、各種オリ設定・解説

兄:特典武具の詳細はいずれ
・【マグネトローべ】がオリジナル煌玉馬と比べて最も優れているのは特典武具故の再生能力だと考えている。
・尚、全力《電磁加速》による突撃は<UBM>だった頃の【マグネトローべ】にも出来たが、切り札を使う決断をする前に本体を破壊されて使用不能になった。

《フルオフェンス・チャージ》:【突撃騎兵】の奥義
・上昇するAGI二倍は初期値であり、スキルレベルが上がれば上昇率も増える。
・クールタイムも長く消費SPも多いが、これらのコストは《騎乗突撃》のスキルレベルが高いほど僅かに減少する。

主神の名もて彼方を穿てや勇士達(フリズスキャールヴ)》:【フリズスキャールヴ】の必殺スキル
・自身の周囲(半径十メートル圏内)にいる念話登録をした任意の人物が次に発動する遠隔攻撃・スキル発動点を、感知範囲内の任意の地点に変更するスキル。
・対象の数が増える毎にMPを消費し、クールタイムも長くなる。

【封竜王 ドラグシール】:火力不足(古代伝説級基準)
・最後に使った《竜気爆散》は準備に時間がかかり燃費も悪いので、事前に特化した《竜気結晶》を作っておき陣地に配置しておく地雷としての使い方がメイン。

【魔鉱蚯蚓 アニワザム】:ぶっちゃけ今回の被害者
・ナノマシンに侵されていたが完全には操作されていなかったので外部から精神干渉を行う必要があり、それが外れたので制御不能になり暴走した。
・本来の戦い方は本編前半にやった様に地下に潜りながら鉱物を食べて回復しつつ、超威力の地属性魔法とエレメンタル召喚で地上を攻撃するスタイルであり、空を飛べなければ高確率で生き埋めになる。

【寄生型ナノマシン】:今回の裏ボス
・【アニワザム】の中枢以外にも身体の各部に寄生しており最後は肉体を無理矢理乗っ取ろうとしたが、古代伝説級を即座に制御下に置くには時間と質量が足りなかったのでその前に妥当された。
・尚、本体が再生・乗っ取り不可能な程に破壊された場合、機密保持の為に自壊する様になっている。


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