RIDER TIME:仮面ライダーミライ   作:大島海峡

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episode2:キカイ・リブート『2019」(7)

 ソウゴはアナザーキカイの軍勢、いや群体を切り抜けることに成功した。

 とはいえ、無傷で突破できたわけではない。

 追いすがる彼らを幾度となく振り払い、そして自身の『民』をできるかぎり救いながらの戦いは、熾烈を極めた。

 

 いずれ時を統べる王といえど、今はまだその力は十全とはいえなかった。

 ――いや、むしろ喪いつつある。

 使用したウォッチのうち、いくつかはシノビのウォッチ同様に、突如としてその機能を止め、ブランクに戻った。まるで内包されていた力が、時間が、どこか別の場所へと引きずり込まれるように。

 

 負傷した肉体を引きずり、転がり込むように『クジゴジ堂』へとたどり着く。

 こんな異常時においてもこの店は、この家は……まるで時から切り離されたように平穏そのもので通常営業だ。そのことに安堵さえ覚える。

 

「ど、どうしたのソウゴ君! 誰かとケンカでもしたの!?」

 店番をしていた叔父の順一郎が、服も肌も裂傷だらけのソウゴの姿を認めるなり、慌てて駆け寄った。

 

「え、ええと……あ、そうだまず救急箱救急箱!! どこにしまったっけかなぁ?」

 玄関先にへたり込むソウゴを担いで店の中に座らせると、おたおたとした様子のままに店の中を引っ掻き回す。そんな叔父を、ソウゴは押し留めるように手を突き出した。

 

「叔父さん。誰か、ここに来た?」

「え? 誰かって、誰?」

 

 息を整える間もなく尋ねるも、その反応は薄い。救急箱を探すことに気を取られているというのもあるだろうが、来客をないがしろにできる人でもない。

 つまりライセは、まだここへは来ていないのか。

 

 

 

 

 

 

 ――何か、ズレている。間違っている。

 まるで時計の午前と午後とを勘違いするように。のぼりゆく旭と、沈みゆく夕陽を誤認するように。

 

 

 

 

 

 上手く言葉にはできないが、ずっと付きまとっていた違和感が、ここに来て再燃した。

 

 それも踏まえて、何が起こっているのか確かめなくては。

 断片的でも良い。微細でも良い。とにかく情報を寄せ集めて皆と話し合って整理して、それから彼と、来海ライセを名乗ったあの少年と、もう一度話をしなくてはならない。

 ……会わなくては、いけない。

 

「じゃあ、ゲイツとツクヨミは?」

「あぁはいはい、ちょっと待っててね」

 

 気軽に二つ返事。順一郎は箱を抱えたまま奥間の居住スペースへ行こうとして……その足を、止めた。

 

「叔父さん?」

 ソウゴは怪訝そうにその背を覗きこんだ。

 すると叔父はソウゴに振り返った。苦しげに。悩ましげに。

 

 そして箱を適当な畳の上に置くと、彼はひどく言いにくそうに口を開いた。

 

「あーと……そう、だね。いやぁ、やっぱり僕も歳なのかなぁ。ほら、この間もお客さんの注文を取り違えちゃったことあったし。あぁいや最終的にはどうにかなったんだけどさ。やっぱもうちょっとしっかりしないとダメなのかなぁ、なんて。ははははは……」

 

 叔父はもごもごと言い訳めいたことを続けていた。愛想笑いを張り付かせていた。

 

「――何が言いたいの?」

 そんな彼の様子に、ざわざわとソウゴの胸で何かがうごめく。

 直感が、報せようとしている。

 知らずその語調は、剣呑な問い返しとなってしまっていた。

 

 順一郎はそんな彼に、申し訳なさそうに尋ねた。

 

 

 

 

「ごめん、そのゲイツとツクヨミって…………なに?」




next episode:Who Wants to Be a destroyer?『2068』

 ゲイツが消えた。
 ツクヨミも消えた。

 そして見えざる魔手はとうとうウォズにまで……

 決して見たくはなかったアナザーライダーたち。それに抗するソウゴは、終わりが見えず迷走しつつ、ある仮説へとたどり着く。
 そしてライセはソウゴの影を追う。

 そんな青年たちの前に、ある男たちが現れる。
 仮面ライダーの力を取り戻した男。
 かつて仮面ライダーだった男。

 彼らが導いたのは、一つの世界。一つの可能性。一つの時代。一人の男。一つの結末。
 そして……すべての真実。

 残酷な二択、知れ切った問い。
 それらを前に、青年は慟哭とともに答えに向かって踏み出す。
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