ダンダンダン! ダンダンダン! ダンダンダンダンダンd
「うるっせぇえええええええええ!!!!」
なんなんだ朝っぱらから! ダンダンダンダンうるっせぇんだよ! こっちはまだ至福の二度寝Timeをすごしているでしょうがァ!?
虐めか? 新手の虐めか? 新人いびりか?
急に謎の激強ドア叩き音に叩き起されてこっちの眠気は完全に0だ。てか現在進行形でダンダンダンダン鳴ってる。この野郎、待ってろ直ぐにとっちめてやる。
「なんなんだ朝っぱらからァ!」
「起きてるんなら早く出るにゃ!」
「ほら合ってたー」
「てめぇか一人漫才娘ェ!」
「みくには前川みくっていうちゃんとした名前があるにゃー!」
「じゃあ前川ァ! なんなんだ朝っぱらからァ!」
勢い良くドアをぶちあけると、目の前にいきなりブチギレモードの一人漫才猫娘こと前川と、寝起きなのか知らないけどまだ眠そうに目をこすってる多田がいた。
てかお前俺の部屋どこなのか知ってたんかい、って思ったけど多分だけど多田が知ってたのかな。なんで多田が俺の部屋がどこか知ってたのかなおさら疑問だけど。
「遅いけど朝ごはんの時間にゃ! キミに時間を割くのは正直不服だけど、新人を放っておくほどみくは悪人じゃないんだにゃ!」
「いや、自分で作るよ」
「光って料理作れるんだ」
「多少なら」
「そんな女子力高いエピソードなんて求めてないにゃ!」
なんなら俺ってズボラ飯の天才だと自負してるからな。今決めたけど。
うどんをレンチンして納豆とタレとめんつゆと卵入れるだけの納豆釜玉とか、パンと卵とチーズとベーコン焼くやつとか。なんなら昼とか夜は外食することもあるから、朝を一番作るまである。学校あるときはパン焼いたりだとか親が作ったりしてるんだけどね。
「てかここって昼と夜しか食事用意してくれないの?」
「普通に朝ごはんは用意してくれるにゃ」
「じゃあそれでいいやん。食堂でいいよ」
「そういう話じゃないにゃー!」
話の流れで食堂でいいやんって言ったけど、正直食堂で朝食ってなったら全力で引きこもってた。
俺が一番恐れているのは超大量の女性の中に俺一人でポツンといることだからな。しかも大半の子たちは俺が寮にいるって知らない可能性だってあるんだし、大事件になりかねない。そんな訳だから本来、今日は引きこもっているつもりだったんだよ。
「ごめんね? みくちゃん、光に紹介したい場所があるんだよ」
「えっ、李衣菜チャン。こいつのこと呼び捨てにしてるの!?」
「こいつて」
「昨日からずっと呼び捨てだったけど。ねー?」
「ねー?」
「う゛に゛ゃ゛ー! ゛ 鬱陶しい仲良しアピールいらないにゃー!」
おぉ、怖い怖い。まぁこれが見たいがためだけに多田と煽りをしているまである。俺たちいいコンビになれるぜ。前川専用機として。
ちなみに昨日の段階ではまだ下の名前で呼んだり呼ばなかったりだった。この場面では絶対下の名前呼びの方が面白いって多田も分かってんねぇ!
「それで何処だよ。紹介したい場所って」
「行ってからのお楽しみ! いいからさっさと着替えるにゃ!」
「人使い荒いなぁ」
「まぁ行って損する場所じゃないから大丈夫だよ」
いまだにプンスカしてる前川の隣で多田が苦笑いしてる。いいコンビやわ、バラエティに強そう(小並感)
とりあえずうるさいし着替えるかぁ。ガッツリパジャマだしな。
スマホ持って財布持って多分朝飯食いにレッツゴーじゃ。
「はえ〜、こんなところもあるんだ」
「菜々チャン! 3人にゃ!」
「はいっ! 分かりました〜」
連れてこられたのはカフェ……なんだけど、どう見ても敷地内にあるよな。大学の中に色々なお店あるのと同じか?
綺麗に刈り揃えられ、春ということもあり色とりどりに花が咲き誇る中庭の一角に同化したカフェ。まるで俺の語彙力がなくて言葉にできないのが申し訳ないが、ヨーロッパとかの田舎にありそうなおしゃれな外にあるカフェって言えば10人中3人には通じるんじゃないかとは思う。
多田に流されるがまま、丸テーブルを囲む椅子に座らされる。
周りにはアイドルの子なのだろうか。全体の席の半分くらいを俺と同世代の女の子や大人の女性や一般の男性社員さん方が使っている。それぞれが談笑していたり一人で優雅にお茶を飲んでいたりノートパソコンとにらめっこしていたり、悪趣味だけどこういうのは見てて飽きないな。
「ほら、メニュー」
「おっ、てんきゅー、お前らもう決めたの?」
「みく達もまだ朝ご飯食べてないから。でも何があるかは分かってるからゆっくり見てるといいにゃ」
「私、パンケーキにでもしよっかな〜」
二人とも常連なんだな。わかるぞ、よく行く店のメニューってだいたい覚えてるよな。俺もマ○ドナルドのメニューは全部覚えてるし。
それにしても、メニューが凄い充実している。カフェなのにラーメンとかもあるんだけど、すげぇなここ。流石に朝からラーメンはないかな、うん。
おっ、男性向けのモーニングセットとかあるじゃん。パン二枚にスクランブルエッグとベーコンにスープとサラダとドリンク。これで500円……ってやっす!? ワンコインかよ! これでええわこれで! 700円は取られると思ってたわ。
「決めた」
「早いね〜。ま、私は最初っから決めてたけど」
「菜々チャーン!」
「はーい!」
前川に名前を呼ばれると中の方のカフェから小柄なメイド服の女性が伝票を持ちながら駆け寄ってくる。これまた珍しい髪色をして……あれは茶髪にピンクが重なってるのか?
というか、なんか俺この人の顔見たことあるぞ? 気のせいか、気のせいだな。うん。
「ご注文伺います!」
「私、パンケーキで」
「みくは卵サンド!」
「俺はモーニングのCで」
「かしこまりましたー! ……ってあれ? 初めて見るお方ですよね? 二人のお知り合いさん……ですよね?」
まぁこっちに来ますよねー。前川と多田の二人には面識ありそうだし、そりゃあ俺に突っ込んでくるよな。まずこの男誰だよって話だし。
「まぁそんなところです」
「昨日初めて顔合わせしたんだけどねー」
「新人さんですか! いやー、ここのアイドル部門にも男性の方がいらすようになったんですね! いやー、かっこいい方で驚きましたよ!」
いや、違う違う違う。かっこいいって言われるのは嬉しいけど、俺アイドルじゃない。表に出ない裏方。is 裏方。アイアムアウラカタ。おーけー?
「菜々チャン、こいつアイドルじゃないにゃ……」
「……えぇ!?」
「どうも、見習いスタジオミュージシャンの松井光と申します。高校二年生です」
「あらあらお若いのにご丁寧にすみません」
なんとなく丁寧に自己紹介をしたら、めちゃくちゃ丁寧にお辞儀が返ってきた。これ社会人の人が見せるお辞儀や。超綺麗、綺麗にも程がある。姿勢が。
「それでは私も……こほん! ウサミン星からやってきた歌って踊れる声優アイドル、ウサミンこと! 安部菜々でーす! キャハッ!」
「おー!」
うわっ、なんというか……キッツ(ド直球)
ここにきてからかなりハイペースでアイドルの方々に会わせて頂いてたけど、こんなテンプレートなことあるかね。も○ちやん、ネタ被りやん。やっべ、これ言ったら過激派に殺される。どっちが先なのか理解すらしてないのに。
てか完全に思い出した。この人、朝のニュースの時におる人やわ。今の導入で完全に思い出した。
寝起きのままテレビを見てたらこれが飛び込んできて目がぱっちりになったのを覚えている。いやー、こんな偶然あるんだね。てかなんでここにいるんだよ。
「ちなみにですけど、何年生ですか?」
「え゛っ゛。えーっと、ナナは17歳なので……そう! 高校二年生です!」
「若干のタイムラグがありましたね」
テレビでもそうだったけど、この人そういう設定でやってる割にはボロの出方が凄い凄い、プロ根性あるのかないのかわからんけど多分鬼みたいにあるんだろう。実年齢知らんけど。
いやー、実際にテレビで目にしたアイドルにあったのは安部さんが初めてだろうか。金髪のリーゼントの人はここに初めてきた時に見ただけだったしな。あれは興奮した。変な意味じゃねぇぞ。
「と、とにかくナナは永遠の17歳なんですっ! これからよろしくお願いしますね、光さん!」
「こちらこそどうぞよろしく……」
「気軽にウサミンって呼んでくださいね! 私たちドーキューセーなので!」
「そうですね、安部さん」
「ウサミンって呼んでくださいよー!」
テレビに出るような人たちってやっぱりみんな面白いんだなぁってここ二日間常々思うよ。前川しかり安部さんしかり飛鳥しかり。
あと安部さんのことはこれからもウサミンじゃなくてちゃんと『さん』付けで呼ぶよ。社会的にもこの世のルール的にも、そして面白さ的にもこれが正解ってなんか体が反応しているからね(ゲス顔)
デレアニ(アニメ版デレマス)を見たことがある?
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1期2期全部見た!
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どっちかorちょっとだけ見た!
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見てないわからん!
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NO MAKEも知ってる!