女子寮生活は難儀です   作:as☆know

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誤字が死ぬほど多い中、たくさんの誤字報告非常に助かります。ぶん投げてるみたいだけどほんとに助かります。たまにタイプミスとか変換ミスじゃなくてシンプル漢字間違えとかしてると馬鹿がバレるので泣きたくなります。


プロとアマの差は聞けばわかる

 

「さ、入って。ここがサウンドブースだ」

「おじゃましまーす……」

 

 

 部屋に入ると、まずでかい機械と2つのモニターに目を引かれる。モニターにはテンプレみたいなラジオの収録をする設備の整った部屋とドラムやギターなどが除く部屋の2つの部屋全体が移されている。こう言っちゃあれだけど盗撮してるみたいだな。

 

 そしてそのモニターの手前にあるのが何がどうなっているのかすら理解の出来ない機械だ。

 よくミュージシャンの人がいじってるアレね。よくわかんないけど、勝手にMIXに使う機械だと思ってる。実情はどうか知らないけど。

 

 

「こんなのも設備してるなんてすげぇな……」

「うちはでかい会社だからな」

「み、みくも初めて入ったにゃ」

「へぇ……ここで収録するんだ」

 

 

 その場から動くことも無く、防音室と思われる部屋をラジオの収録する場所によくあるガラス越しから覗いたりしていると、奥からなんかオシャレなおじさんが入ってくる。急にくるから少しビクってなったやんけ。

 

 

「あれ? 君がスタジオミュージシャン見習いの子かい?」

「あっ、はい。どうも、初めまして」

「常務から話は聞いてたよ。レコーディングエンジニアをしてる金子だ。よろしくね」

「松井って言います。よろしくお願いします(?)」

 

 

 よろしくお願いしますって条件反射で言ったけど、一体何をお願いするんだろう。レコーディングエンジニア? とかいうのもよくわかんないし。

 

 それよりこの人の髪型はなんなんだいったい。服とかはめちゃくちゃおしゃれなのに、なんで髪型がそんなに社会人でデビューに失敗したホストみたいになってるんだ。お兄さんかおじさんか理解できないラインだから余計に困惑するんだけど。

 あと全然関係ないけど、顔がめちゃくちゃ川谷◯音に似てる(小並感) 

 めちゃくちゃ優しそうな顔をしてるのに、どこかゲスそうな雰囲気が見えるのは俺だけなのか。

 

 

「金子さん! 急に呼び出しちゃってすいません。どうしてもここを使いたくて」

「俺も彼のこと気になってたし、ちょうど良かったよ。あと、そんなキラキラした目をしなくてもわかるから部屋行ってきていいよ」

「あざーっす!」

 

 

 そういうが早いが、奥の部屋にウッキウキで入っていく木村さんの後ろ姿を見送る。少女漫画並みに目がキラッキラだったぞ。どんだけギターやりたかったんだ。俺がイメージしていたよりも無邪気なところがあるんだな。

 

 

「そういや……君たちはここがどういう所かは知ってる?」

「えっ? い、いや……まだなにも」

「ラジオとかレコーディングをする場所……って言うのはPチャンから聞いてるにゃ」

「そ。つまるところ、ここはこれから君がおそらく一番使うであろう場所なんだよね」

「ほえー、ここが……」

 

 

 こんなガチガチの機材の揃った部屋で俺がこれから活躍するとかなんにも考えられないんだけど。どんなビジョンなんだよ。てか活躍できる保証もないな。なるようにしかならないよね、こういうのって。

 

 

 ッバァン!

 

「に゛ゃ゛っ゛!゛?゛」

「うわびっくりした!?」

「おーい! 来ないのかー!?」

「はいぃ!?」

 

 

 さっき部屋に入って行ったばかりの木村さんが黒ひげ危機一髪並の勢いで戻ってきた。あれ? てかこれ俺に言ってね? 違うよね? 横のおっちゃんだよね? あまりにも視線がこっちに向きすぎてるから思わず返事しちゃったけど俺じゃないよね?

 

 

「ベースならスタジオん中に置いてあるから! それとも今弾けないのか?」

「えっ、弾くって何を」

「何をって……あんた、ベーシストだろ?」

 

 

 きょとんとした顔で言われても、こっちがそう言う顔をしたいんですよ。

 いや、意味はわかるよ? 弾くって言われた時点で俺の中の選択肢はベースかギターしかないからな。それしか弾けないし。

 

 

「ほらほら、あんなリーゼントなイケメンでも女の子なんだから待たせちゃダメだって」

「光クンサイッテー」

「なつきち待ってるじゃん」

「そうだな、ごめん」

 

 

 流石に3対1には勝てないんですわ、うん。

 後ろから6つの視線に刺されつつ、ニッコニコの木村さんが待つ部屋に入る。

 部屋の中は広く、人5人くらいが暴れてても無事そうなくらいのスペースが保たれている。ドラムセットだけでなく、キーボードやギター、ベースも用意されていて、いつでもバンドができるよ状態になっている。

 すげぇな。理想の部屋じゃん。寮にもこの部屋が欲しい(暴論)

 

 

「ジャズベしか置いて無いんだけど、大丈夫? 弾ける?」

「俺が普段使ってるのより弾きやすいと思うから大丈夫っす」

「どこのメーカーの使ってんの?」

「ATELIER Zの五弦っすね」

「五弦とは渋いねぇ」

「多弦ベースにはロマンが詰まってますから」

 

 

 多弦ベースにはロマンが詰まってる。はっきりわかんだね。弦が多いとなんか強そうだし(アホ) まぁ、実際に弦が多い=音域が広がる=やれることが多くなるってことになるから、表現が馬鹿なだけであってつよつよになるってのはあながち間違いでは無いんだけどね。

 

 四弦自体久々に握ったなぁ。ネックが細くて違和感がすごい。左手に余裕と幅がありすぎて、今ならなんでもできそうな気がする。いざやってみたら普段と変わらないんだろうけど。

 

 アンプの上の置いてあるカンカンの入れ物から柔らかめのピックを選び、弦を弾く。

 ピック弾き独特の粒の立った音が真っ直ぐアンプから響く。

 

 

「これ、チューニングしてあるんすね」

「昨日誰か使ってたんだろ。普段はちゃんと緩めてあるよ」

 

 

 ネックは曲がってないから普段からちゃんと管理されてるのはわかるんだけどね。弦が張ったまんまだからなんかの魔法でまっすぐ無理やりさせてるのかと思った。

 

 軽い会話のキャッチボールを木村さんと交わしながらお互いに慣れた手つきで準備を進めていく。基本的な機材自体は普段使っているのと変わんないしな。アンプの横にめちゃくちゃ大量のエフェクターが置いてあるのだけがめちゃくちゃ気になるけど、ああいうのは気にしたら負けだってじいちゃんが言ってた。

 

 

「なんか得意なジャンルとかある? ジャズとかボカロとかロックとか」

「得意……というか。基本的には邦楽ロックばっかですよ。ボカロはともかく、ジャズとか全然」

 

 

 

 ジャズのベースとかかっこいいのは分かるんだけどね。あいにくコード進行とかよくわかんないの。某絶叫脱糞系弾き語りのお兄さんみたいな感性もしてないしね。

 

 

「アタシはだいたいなんでも弾けるし歌えるから、なんか弾ける曲選んでいいよ」

「なんでもって……すげぇっすね」

「だいたいだよ、だいたい。それに基本はロック系だしな」

 

 

 テレビに出てた時から思ってたけど、やっぱりこの人ってホンモノなのかもしれない。音楽一本のアーティストでも食っていけそうなのに、なんでアイドルやってんだろうと思わざるを得ない。くっそ美人だし何か理由があるのかもしれんが。

 

 

「じゃあ、ラルクとか」

「いいねぇ、ラルク」

「HONEYとか行きましょうか。代表曲は抑えとかないと」

「HONEYならだりーもわかるかもな」

 

 

 ケラケラ笑いながら言われてるぞ、多田。テレビ用のにわかキャラだと思ってたけど、多田ってガチにわかなんだな。ベーシストの指先が固くなるってのも知らなかったみたいだし。

 

 

「これ、やるのはいいっすけどドラムとギターどうするんですか」

「金子さんがドラムとメインギターだけ音源流してくれるから大丈夫」

「すげぇな金子さん」

「プロだからな」

 

 

 そんな器用なことが出来るのか。レコーディングエンジニアってすげーんだな。もはや魔法使いじゃん。

 これがプロの一言で片付くあたり、プロってやっぱりプロなんだな(語彙力死亡)

 

 

「金子さん準備大丈夫ですか?」

『あっ、これ声出していいの?』

「全然大丈夫ですよ。な?」

「超ビックリした(もちろんです!)」

『光クン、言ってることと思ってること多分逆になってるにゃ』

 

 

 本心やししゃーない。だって急に上から声が聞こえてくるんだもん。

 上を向いてみると、スピーカーみたいなのが天井に内蔵されていて、そこから音が聞こえていた。なんかすげぇな。あんなのできるんだ。学校のスピーカーみたいなのとは訳がちげぇや。

 

 

「あっ、コーラスどうする? ボーカルやって貰ってもいいけど」

「大人しくコーラスやらせてもらいますよ。木村夏樹の生歌も聞いてみたいですし」

「言うねぇ。後悔させねぇから」

「期待しかないっすよ」

 

 

 ガチプロの生歌とか聞ける機会ないしな。木村さんの場合テレビで歌声聞いた時もめちゃくちゃ上手かったし余計楽しみってもんだ。

 大にわかって言われそうだけど、俺ライブとか行ったことないし。

 

 

「────── っし」

 

 

 リーゼントヘアーを軽く靡かせ、大きく息を吐く。どこか風格のあるそんな姿に少し息を飲んでしまう。

 

 

『ずっと眺めていた 遠く 幼い頃から』

 

 

 真っ黒なボディのギターから繰り出される荒々しい音の波。一瞬、男性かと錯覚させる、低く安定した歌声。

 来た。この歌が上手い人特有のビリビリ来る声。流石に同じ部屋ともなると気圧されるわ。俺の友達にも歌の上手い奴はいるが、それとは比べものにならねぇ歴とした壁を感じる。

 

 

『今も色褪せた その景色は』

『真白な壁に 飾ってある』

 

 

 左足を後ろに蹴り、つま先で地面を叩く。これが自己流のスタートの合図だ。

 座ってベースを弾くときは貧乏ゆすりみたいな要領でリズムを取れるが、立ちだとそうはいかない。まぁノリノリにさえ慣れれば意識しないでも勝手にリズム取っちゃうんだけど。

 

 

『──────乾いた』

 

 

 左手の薬指を弦に押し当て、下から上へ。低温の音の流れが、本震を予兆させる。

 

 HONEYはこのベースの入りが堪らない。フライングしたボーカルを追うようにバックが畳みかけてくる波の連鎖がトリハダ要素を加速させる。目の前で歌ってる人がプロともなれば尚更だ。

 なんだかよく分からないうちにこんなことにはなったけど、この状況を楽しまなきゃ音楽好きの名折れというものかもしれない。

 

 そんなわけで楽しもう。色々忘れて、後で考えればいいさ。




この前この小説が日間一位になってました。別の原作で書いていたでも日間一位は経験したこと無かったのでめちゃくちゃ嬉しかったです。皆さん評価ありがとうございます。それと日間一位になってたのにモチベが死んでて気がついたらこんな時間でした。ごめんなちゃい。

今やってるアンケートですが、ある程度主要のイベントをこなすまでは出ることは無いので、ネタバレというか裏設定がバレるみたいな感じになるかと思います。好きな方を選んでね♡

この小説のネタバレありの設定集見たい?

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