「あぁ、疲れた……」
色々なことがありすぎてどう考えてもほとんど情報を処理できない頭から、備え付けのふかふかベッドにダイビングする。ちなみにダイビングをしても変な魚とか電気ネズミを咥えてこれるわけでは無い。あの鳥の原理ってなんなんだ。うっうー!
それにしても疲れた。休日でまだ午前中だというのに、非常に疲れた。何があったのか詳しいことを話すのが嫌になるくらいにはどっと疲れたし、色々あった。
だってテレビで見てた人と一緒にセッションしたんだもんな。いまだに信じられねーや。
なんなら、ついさっきまで一緒にいたしな。多田と前川と一緒にまとめてラーメンも奢ってもらったし。美味しかった。
というか、夏樹さんも寮通いなんだよな。しかも部屋めっちゃ近かったし。隣の隣の隣だからな。周子さんと紗枝ちゃんときて次の部屋だ。近いなほんと。何がどうなってるんだよ、この寮。
「眠いでごわし」
というか眠い。眠すぎる。
当然といえば当然だ。お腹がいっぱいで体は疲れている。ともなればやることは一つであろう。そう、睡眠だ。お昼寝だ。爆睡だ。
脱いだシャツとズボンを机めがけて投げつけ、掛け布団に包まる。中シャツは別にいいや、寒いし。
「ふわぁ……」
でかいあくびを抑えることなく、目を瞑る。昼寝っていいよね。最高に気持ちいいよね。某三下いちご大福が起きてこない理由もわかるもん。仕方ないよな、眠いもんな。おはしいなできないよな。
とか思ってたらマジで眠くなってきた。意識が遠くの彼方に行ってまう……
ふわふわした感覚の中で意識が戻るのがわかる。
変な夢を見た。バランの妖精とタテガミがポンデリングになってる声がおっさんのライオンにひたすらセクハラされてたような、そんな記憶が薄いのに濃く残ってる。かなり恐怖を感じた。
起きたとはいえまだ眠い。100人がこの状況にあるならば、きっと97人くらいは二度寝するであろう。というわけでワシも寝よう! お茶は飲まない。
「うにゃあ……」
「あっ、ちょっと狭いっすね……失礼しました」
布団をぐいっと首元まで上げた時に、右腕がこつっと当たる。いやはや、失礼しました。それじゃあ俺も寝て……寝て……
……ん? 今俺の右腕何に当たった? 心霊現象か何か? ……んん??
「……ん?」
体を起こして、何か当たった右手側を見てみる。明らかに布団が膨らんでる。というか赤みがかったふわふわの長い髪の毛みたいなのが布団の横から覗いてる。怖いんだが。普通にこれひっぺがしたら怖い女の人に襲われそうなんだが。
とは言いつつも、横でなんか絶賛もぞもぞしているなんかをひっぺ剥がしてみないことにはことは進まない。
というか中身はなんとなく予想できてる。個人は予測できないけど、多分横にいるであろう人の職業はわかる。なんでやろなぁ。真面目にやってきたというわけでも無いのに。
「……ご開帳〜」
「寒い〜……」
「あっ、失礼」
ペラっと掛け布団を捲ってみると中から出てきたのはまるで赤い宝石箱のようなどえらい綺麗な女性。すっごい寝顔綺麗。なんなら布団をめくられて唸ってた顔すら綺麗だった。こんな美人が存在している事実がすげーわ。
とか言って見惚れている場合では無い。この見た目には騙されていけない。赤の他人が自室で寝ているところの横に転がり込んでくるような女性が一癖二癖ない女性な訳がない。絶対にヤバい。
とは言ったものの、このまま俺が直接この人に触って起こすわけにはいかない。なぜかって? 女性に直接触れるなんて選択肢が俺にはないからだよ!
「どうしたもんか」
ここで俺に残された選択肢は二つある。
そのいち、この美女が起きるまで待つ。この場合、放置しているだけでことが進むが、この人がいつまで経っても起きずに夜になってしまった場合に俺がこの人を連れ込んだように見られかねないというデメリットがある。今こんなことになってる時点で連れ込んだもクソもないんだけどね。
そのに、近くの部屋の人に助けを求める。俺は幸いにも両隣にいる厨二病なアイドルと適当京美人の二人とすでに面識がある。この二人にヘルプを求めてどうにかしてもらうという算段だ。勘違いされたその時は自害を決意し颯爽とここから夜逃げする所存である。
「うーむ、悩みどころよ」
「何をそんなに悩んでるの〜?」
「いやー、起きたら隣に美女がいてさ。直接起こすわけにもいかないし」
いやー、どう振り返っても詰みに近いよなぁ。この場面。
一体なんでこんな目にあって……ん?
「起きてんじゃん」
「Good morning〜♪︎」
「発音良」
めちゃくちゃグッモーニングの発音綺麗やん。綺麗な顔から綺麗な英語の発音とかこいつ帰国子女か? ほら、なんか帰国子女ってアメリカかぶれの美少女的なイメージあるし、知らんけど。
「何これ、英語で聞いた方がいいパターン? はーわーゆー?」
「志希ちゃんバリバリじゃぱにーずぴーぽーだよ?」
「そうなの? そりゃそうか」
ウェーブが掛かりながら胸元……んんっ! 辺りまで伸びた髪の毛。人懐っこそうな丸い目とそこから伸びる長いまつ毛。つけまつ毛じゃないよな? 天然だったらヤバすぎだろ。俺が女だったら羨ましくて高速アルプス一万尺急に始めるまである。
「ところで志希ちゃんさんや。あなたは何でここにいるんですかえ?」
「ん~……なんでだっけ?」
「なんでだろうねぇ」
きれいな斜め45度の角度で模範的ただいま考え中のポーズを決められても困るんですよね、こっちとしては()
とはいえこっちも困ってそっちも困ってでカバディカバディしてても困ったことに話が進まないんですわこれが。
ぴんぽーん
「お客さん?」
「そうみたいだねぇ」
ベッドから飛び降りて速足でドアへと向かう。
いったいどこの誰が急にピンポンしたのかはわからんけどマジで助かる。下位にいるときのキラー並みの打開助かる。この前某マリカ大会を見てしまったせいでマリカしたい欲が過去一すごいのよね。俺もあんなアチアチな勝負してみたいわね。友達もいないわけじゃないけどガチガチに同レベルで殴れる相手はほとんどいないってのも事実だから。
「はいはーい」
「おーっす、昨日ぶりー」
「あぁ、周子さん……と?」
ドアを開くと京美人……と、隣にギャル。
めったに見ることはないピンク髪にしっかり立った付けまつげ。ぱっと見でギャルとわかる容姿をしているものの、化粧も濃すぎず素の顔の良さで勝負をしていることがうかがえる。というか格好がやばい。露出度が高い。へそが出てるし肩も出てる。風邪ひかないの? お母さん心配しちゃう。
てかずっと疑問だったんだけどさ。周子さんも志希ちゃんさんもだけどみんななんでそんなに平気で肩を露出できるの? 寒くない?あったかくなってきたとはいえ寒くない? お母さん心配しちゃう(母親特有の心配性)
まぁ室内だから寒くないといえば寒くはないんだろうけどさ、そもそも恥ずかしくない?(真理)
ほんとにこの環境ってすごいよな、美人しかいねぇんだもん。マジで桃源郷だよな。この点に関してだけは目の保養にしかならねぇよな。まぁ圧倒的にやべぇ点としてはここにはアイドルしかいないし男が俺だけしかいないってことなんだけどな。絶対にここにいたらあかんわ、うん。
「ほんとに男の人が住んでるんだね……」
「いや、ほんとすいませんほんとマジほんと」
「ほんとって三回言うやん」
「俺のマジ度を表したら自然と」
このギャルのお方の反応が普通なんですよ。そら驚くよ、女子寮に男がいたら普通に驚くよ。なんならこの状況に置かれてる俺が一番驚いてるまであるもん。もういろいろと諦めたから今は驚いてないけど(?)
「ま、まぁそう落ち込まないでよ。いろいろと大変なんでしょ? 状況はよくわかんないけどさ」
「女の花園に入れてる時点でシューコちゃんはこの状況を楽しむべきじゃないかとは思うけどね~」
「楽しむとか無茶では?」
ハーレムを楽しむ? それは胃が痛いだけでは? それに僕が知ってるハーレムっていう状況はなぜか好感度マックスになってる女の子たちだけに囲まれる状況のことなんだが?
なんでハーレム系のアニメやら小説やらの世界ってみんな好感度マックスなんだろうね。たまにある何の説明もなしなのに好感度マックスの女の子が最後まで好感度マックスになった理由は経緯を語られぬまま終わったりするの俺すっごいもやもやするんだけど。
俺はイチャイチャを見てぇだけじゃねぇんだ! その過程も楽しんで限界オタクになりたいんだよ! まぁ別にそこまでハーレムに思い入れがあるわけではないから別にいいんだけどね。
「ハーレムとかうらやましーじゃん。青少年にはちょーっと強すぎるflavorかもしれないけどネ♪」
「うわびっくりした」
「あ、いた」
「にゃ?」
いつの間にベッドからここにきていたのやら。俺の肩に手をかけてひょっこりと顔をのぞかせる小娘の頭をすいと伸びてきた手がむんずと掴む。
てかめっちゃいい匂いする。このギャルめっちゃいい匂いする。猫娘の頭掴むために近寄ってきたんだろうけど、その時にふわっとしたシャンプーの香り凄い(小並感)
ギャルって香水頭からかけてる生き物だと勝手に認識してたけどこれは新情報だわ。マスコミに高く売れるね(確信)
「おー、志希ちゃんほんとにここにいたとはねぇ」
「やっぱり適当言ってたんだ……」
「なになに。どゆことすか?」
全く状況がつかめない、ということもない。大人になったらその場の状況を読むことも大事だからね。時を戻そう。
実際、時を戻せたら何でもやりたい放題だよな。俺なら絶対エッチなことするわ。というか男なら全員そういうことやりかねんわ。人間、時を戻す能力がない方が絶対にいいってはっきりわかんだね。
まぁ話を察するからにこの志希ちゃんさんがどっかに行ってそれを探してる時に周子さんが適当に俺の部屋にいるって言ったら本当にいたって感じだろう(オタク特有の早口)
「いやー、この娘がね? また脱走したもんだから捕まえに来たのよ」
「それほどでも~」
「褒めてないから。ほんとにもう、麗さん送りになってもアタシは知らないからね」
「それだけは勘弁してほしいかにゃ~」
『また』とな? なるほどなるほど。よくわからんがこの娘には脱走癖があって、なぜか今回はわしのところに来たと。ただのトラブルメーカーじゃねぇか。勘弁してくれ。
「そういえば美嘉ちゃんって光くんとは初対面だっけ?」
「なんならそちらの方だけじゃなくて今捕まってる方とも今日初めてですけどね」
「どんどん顔広がってくなぁ」
「ここにいるときに顔広げても変な噂しかたたないと思うんで勘弁してほしいんですけどね」
いや、ほんとにこれに尽きる。昨日が一日目、今日が二日目で明日過ごしたらこことおさらばできるのに何でこんなにイベントが詰まってるんだよ。バランス調整おかしいだろ運営仕事しろ。
「明日までここにいることになってます、松井光って言います。いやマジで迷惑かけないんで勘弁してください俺もなるだけここにはいたくないんですごめんなさい」
「別にずっとここにおればええのに」
「周子ちゃんこの子になんかした? すっごい怯えてるじゃん……」
「にゃははー! やっぱりキミ面白いねぇ! 匿われてた志希ちゃんでーすよろしくー!」
「ちなみに苗字は一ノ瀬ね~」
「周子ちゃん補足説明どーもー」
他人事だからって適当言いよって……許すまじ周子さん。それと自分は関係無い的な感じで能天気にしてるけど、そもそもあんたのせいで俺はすごい申し訳なさそうにしてるギャルと対面してることになってんだからな。ただでさえここに所属しているアイドルの人とはここで会いたかないって言ってるのに。
「あー、光くんだっけ? 周子ちゃんからここに来るまでに色々聞いたけど、気にしなくていいからね?」
「やさしい……」
「アタシは城ヶ崎美嘉っていうの。カリスマギャルとしてやってるからよろしく★」
「天使……」
「色々大変だと思うけど一応アタシのこう見えて歴はキミよりあるからさ。なんかあったらいつでも相談してね」
「」
「泣いてるじゃん……」
周子さんが若干引いてるけど知ったこっちゃない。もう泣けてくる。マジで泣けてくる。こんなに癖のなくて優しい人初めてや。いや、みんな優しいんだけど癖がないって点ではね……(白目)
やはり人は見た目で判断してはならないっていうのは至言かもしれない。ヤンキー優しい説とか滅茶苦茶あるもんな。ヤンキーはヤンキーなんだけど。
「一生付いてきます姉御」
「姉御!? 美嘉ねぇって呼ばれたことあるけどそれは初めてカナー……?」
「じゃあ美嘉ねぇで」
「新しい弟君できちゃったね~」
「おめでたー」
「えぇ!?」
拝啓、母親へ。なんかお姉ちゃんができたかもしれないです。僕は今泣いてます。人間の優しさって素晴らしいですね。人へは優しくしようと決めました。 ―完―
デレアニ(アニメ版デレマス)を見たことがある?
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1期2期全部見た!
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どっちかorちょっとだけ見た!
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見てないわからん!
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NO MAKEも知ってる!