女子寮生活は難儀です   作:as☆know

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ダンス部の運動量は伊達じゃない

「……ここってレッスンルームじゃないですか」

「あら、ご存知だったんですね♪」

「色々あって昨日来たんで」

 

 

 千川さんに言われるがままに移動した先はつい昨日夏樹さんに教えてもらったばかりのレッスンルーム。淡い色をして中が見えなくなっているガラス質の壁と、重厚そうなドアのノブには使用中の札が下がっている。

 

 レッスンルーム。昨日前川や夏樹さんから聞いた話では、346プロに所属しているアイドルが主にダンスレッスンをする部屋らしい。中に入ったわけではないから内装がどんなもんかは知らないが、なんとなくダンスルームで想像したらいいんじゃないだろうか。内装知らんけどね。直接見てないから。

 

 

「ここに用があるんですか?」

「はい、そうですよ」

「もしかしてじゃないですけど、人いますよね?」

「もちろん!」

 

 

 おそらく完全防音ではないのだろう。耳を澄ませてみると壁の向こうから音楽と床をけるような音がかすかに聞こえる。その時点で察していたけど、いるねぇ! これ中にアイドル多分いるねぇ!

 いや待て、まだ中にいるのがアイドルであって女の子と確証が得られたわけではない。女の子は嫌いではないけど初対面のアイドルとこれ以上遭遇するのは色々ごめんだ。あまりにも遭遇する人の数が多すぎる。

 

 

「失礼しまーす」

 

 

 俺のそんな雰囲気を感じ取ったのか。ささっとノックをしてドアを開けていく。鉄砲玉かよ。

 ニヤニヤしながら手招きする千川さんにつられるのは癪だが、扉を開けてしまったんじゃあ入るしかない.

 行きますよ行けばいいんでしょうもう!

 

 

「失礼しますぅ……」

 

「ワン、ツー、スリッ、フォー!」

 

 

 うおぉ……絶賛ダンスレッスン中やないか。鏡張りの壁に向かって三人の女の子が曲に合わせてステップを刻んでいる。英数字を刻みながら手拍子しながらその三人を見つめるのはダンスの先生だろうか。

 これ鏡張りの壁一面だけだからいいけど、全面鏡張りだったらちょっとえちえち……ゲフンゲフン。

 

 

「ワン、ツー!……あっ、ちひろさんお疲れさまです!」

「遅れてごめんね! 少し手間取っちゃって」

 

 

 なるほどね、アイドルを担当しているであろう先生も美人と。しかも若い。千川さんも綺麗な方だしここの顔面偏差値は一体どうなっているのだろうか。

 

 

「それでですねこちらにいるのが……」

「松井光さんでしたっけ」

「アッハイ」

 

 

 もはや当たり前のように名前を知られているの怖い。千川さんの事だからちゃんと事前に話を通してたんだろうけど。さっき入った時の先生の反応も来た来たって感じだったし。

 

 

「話は伺ってますよ! 今日は見学でしたよね!」

「あっ、そうなんですか?」

「えっ、そうですよね?」

「そうですよ♪」

 

 

 ごめんなさいね。僕なんにも話を聞かされてないからなんにも知らないの。

 

 どうやら俺はここに見学に来たみたいだ。なんで今更見学……って思ったけど今更じゃねぇな。まだここに来て一週間も経ってねぇもんな。まだまだ見学とかの段階だわそりゃ。

 

 

「申し遅れました。私、ここでトレーナーをしている青木慶って言います! まだまだトレーナーとしては新人ですけど、精一杯頑張らせてもらってます!」

「初めまして、松井光っていうものです」

「ルーキートレーナーさんはまだ若い方ですけど、その腕には定評がありますよ!」

「いやー褒めすぎですよぉ! ……あっ! みんなちょっと休憩してて大丈夫だよ!」

「我の魔力が底を……ちゅかれた」

 

 

 一流芸能事務所に所属してる人ってルーキーだろうが何なんだろうがやっぱり実力者ぞろいになるもんなのね。それにしてもこのお方、先生ではなくトレーナーさんだったのか。先生とトレーナーって意味的に何が違うのかはわからんけど、とりあえずトレーナーさんで覚えておこう。

 

 というか後ろでアイドルの子が普通に倒れてるけどいいのだろうか。めっちゃ踊ってたもんな、そら疲れるわ。お疲れサマーズ。

 

 

「暫くの間、光さんもみんなの練習に参加する際は主に私と姉たちが担当することになると思うので、気軽にルーキートレーナーさんとでも呼んでくださいね!」

「あっ、はい。よろしくおねg……ん? 練習に参加?」

「あれっ、違いましたっけ?」

「違くないですよ」

 

 

 待てよ、俺は何も聞いてないぞ千川ちひろォ! 野郎やりやがったな、ハメやがったな。

 もうわかったぞ、読めてきたぞ。魂胆は知らんが千川さんはなぜか俺にダンスも習得させようって魂胆か? わしはアイドルか。この男なのにアイドルか。訳あってアイドル! 違ぁう!(拒否)

 

 

「千川さん???」

「説明しましょう! これはですね、光さんがアイドルの子たちとより仲良くなるための親睦会みたいなものなんです!」

「ダンスレッスンですよね?」

「そうですね」

「僕踊るんですか?」

「もちろん!」

「今日もその為に?」

「はい!」

「うせやん」

 

 

 その為か、そのためだけにここに来たんか。だから部屋を出るときに着てる服が動きやすい服装か聞いてきたんか。なぜそこでわしはその言葉の意図に気づかなんだぁ(絶望)

 

 

「ちなみにですけど、松井さんはダンスのご経験は?」

「いや……遊び程度でしかないですね」

「遊びでダンスすることとか逆にあるんですね」

「あまりにも暇を持て余していた時期があったんですよ」

「なんでそんな時期が……」

 

 

 中学のときね、滅茶苦茶暇だったのよ。帰宅部だったから。当時はベースもやってなかったから暇つぶしにいろんなことに手を出していた、そういう時期だったの。私も当時は若かったわねぇ……似てねぇな、大〇丸のモノマネ。潜影蛇手。

 

 まぁ中一の時の話だから3~4年前くらいの話なんだけど。それくらい前で合ってるよね? 今年で高二だからそんなもんだよね? 知らんけど。

 

 

「ともかく! ダンスの経験があるなら大丈夫ですよ。最初はみんな初心者ですから!」

「俺は一生初心者でも大丈夫なはずなんですけどね」

「つべこべ言わずに! ファイトっ!」

「いや、あんたのせいやがな」

 

 

 この後滅茶苦茶一人でダンスさせられた。

デレアニ(アニメ版デレマス)を見たことがある?

  • 1期2期全部見た!
  • どっちかorちょっとだけ見た!
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