女子寮生活は難儀です   作:as☆know

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ハーフのスタイルと顔の良さはズルい

「хорошо! とってもよい踊り、でした!」

「ど、どーも……」

 

 

 ありがとうね。名前わからんけど銀髪の滅茶苦茶可愛い女の子。最初の言語は何を言っていたのが全くわかんないけど、こんなかわいい子に褒めてもらえるだけで踊った甲斐があるわ。めっちゃ内容うろ覚えだったけど。

 

 それにしても久々に動いて超疲れた。マジで疲れた。疲れすぎて初期のナナフシ3Dみたいになったわ(?)

 ダンスってすっごい疲れるんだよね。普段人間がしないような動きをするからとっても疲れる。ダンス部って文化部みたいな扱い受けてるけど普通に運動部並みに体力持ってるよね。尊敬するわ。

 

 

「それじゃあ松井さんの力量もわかったところで美波ちゃんたちも一緒に行きましょうか!」

「トレーナーさん……お、俺も踊るんですか?」

「大丈夫ですよ! 今からやるところはみんな初めてやるところなので」

 

 

 そうなんだ。って違うけどね! 問題はそこじゃないですよ! まだ踊るんですか! 正気ですか!(半ギレ)

 そんな体力はもうない……っていうわけではないけど。それでも半分くらい残ってるのは普段から運動をそこそこしている賜物だろう。

 これでも俺って家でギターとかベース触ってるだけの人じゃないからね。イライラしたことがあったら即行でバッセンに行く勢だから。バッセンはいいぞ。すごくストレス解消。

 

 

「じゃあ初めましてでお願いしますほんとすいません」

「いえいえ! Pさんから松井さんの話は聞いてましたから!」

 

 

 決まってしまったものは仕方ない、とかただの向きをぐるっと180度回転させて後ろでへたり込みながら俺のダンスを眺めていた方に挨拶と謝罪を同時にしておく。俺ここにきてから謝罪してばっかな気がするな。まぁいいや。

 

 受け答えしてくれたのは圧倒的なお姉さんオーラを醸し出しているお方。

 少し茶色がかった長いストレートヘアーは腰まで届くかというところまで来ているのに、毛先はサラサラとしていて普段からのケアの丁寧さがうかがえる。

 切れ長でながらもややタレ目がちなアーモンドアイからは落ち着いた雰囲気を感じられる。結構アイドルの人ってキリッとした目つきや丸っこい目つきの人が多いイメージだから、こういうタレ目の人は少し珍しく感じてしまう。

 

 うん、なんというか。見れば見るほど大人の女性だなという感想しか出てこない。今まであってきた女の人が良くも悪くも幼かったり学生っぽい人たちばかりだったのもあるかな。でも安部さんは……いや、やめとこう。

 

 

「Pさんって……俺会ったの一人しかいないんですけど……」

「そのPさんで合ってますよ?」

「あっ、じゃあシンデレラプロジェクトのメンバー!(名推理)」

「はい! 新田美波ですっ! メンバーではちょっとだけお姉さんになるの」

「ちょっとだけ……つかぬことをお伺いいたしますがご年齢は……?」

「19歳ですよ?」

 

 

 えっ嘘19とな!? お主、19とな!? ピチピチの未成年とな!?

 

 マジかよ。かんっぜんに社会人のお姉さんかと思っていた。確信していた。

 だってオーラがあまりにもお姉さんすぎるんだもん仕方がないじゃない。オブラートぶっ飛ばして言うなら大人の色気がむんむんだったもん。初対面の人をそういう目で見るのは失礼かもしれないけどだってそうだったんだもん!

 

 19歳となると大学生なんか。こんな美女が同じ大学にいたら毎日幸せハッピーだろうなぁ。あと3年早く生まれたかった。

 

 

「マジですか……すっごい大人っぽかったんで軽く成人してたのかと……」

「ふふっ、たまーに言われるんですよね。けどまだまだ新大学生ですよ」

 

 

 世の中凄い未成年がいるものだ。凛だって年下だけど大人っぽいがここまでのレベルではないぞ。

 まぁでもあれだな。これ以上ある意味逆の年齢詐欺にあうことはそうそうないだろう。うん。

 

 

「ってことは? そちらのお二人もシンデレラプロジェクトの?」

「うむ!」

「да!」

 

 

 なんだろう。そちらの奥のお二人はものすっごくキャラが濃い予感がいたしますわね。片方は日本語だから聞き取れるがもう片方の方はなんて言った? ダーって聞こえたぞ? 何語や……

 

 

「アー……じゃあ、アーニャから自己紹介、しますね」

 

 

 アーニャ……っていうのは一人称だろう。となるとさっきから出てた単語はやっぱり日本語じゃなかったんだな。そうだよな。新しい言語を生み出すことのできるアイドルかと思った。

 

 言語に意識が行きがちだが、一番驚くのはその容姿。一言でまとめるなら美しい。雪の精霊。顔面がいい。もはや暴力。

 ハーフなのか外国の血100%なのかはわからないが、日本人とは全く違う顔の系統をしていてもわかる。この子はとてつもない美人だ。もうだってモデルだもん。

 

 

「Меня зовут Анастасия」

「……へ?」

「エーット……アーニャって、呼んでください」

 

 

 流暢な母国語の後にたどたどしい日本語を聞くとなんだかとっても保護欲が湧いてる。やだ……これが母性本能!?(違う)

 

 それにしてもこのアーニャちゃん。その前はアナスタシアとも聞こえた気がする。

 この子は凄い。俺もここにきて色んな女の子を見てきたがそれでも一歩引くくらいには顔がいい。というか唯一無二といった方が正しいだろうか。

 周子さんよりも白く透き通るような短めの白髪に新田さんとは対照的なキリッとした目。瞳の色は透明感を最大まで引き上げたような水色をしており、あんまり見ると吸い込まれそうになる。

 

 すげぇな外国人って。世界は広いよ、My father。

 

 

「アーニャちゃんは日本とロシアのハーフなの。でも育ちはロシアで日本語はまだまだなのよ」

「ハーフなんですか。えっと、日本語はわかる……の?」

「アーニャちゃんは喋るのはまだ苦手だけど、リスニングはできるから大丈夫!」

「アーニャ、いっぱいお勉強、しました……!」

 

 

 すっごい満面の笑みをこちらに向けてくるじゃん。なにその一切の曇りもない笑顔。凄い、そんな顔無垢な幼女でしか見たことがない。人間の汚点をすべて消し去りそうな能力もってそうだ。

 

 

「ちなみにアーニャちゃんは15歳よ?」

「……もう女の子の年齢見た目で判断できないです。俺」

「? アーニャ、大人に見えました、か?」

「それはもう、とっても」

「счастливый ……嬉しい、です」

 

 

 なんだろう。凛と同い年っていうのが発覚したからだろうか。さっきからヤバイ。色々とヤバイ。凛と被る。色々と。

 この子あれだわ。同級生の子とかに滅茶苦茶恋させてるけど本人としては善意100%でやってる的なタイプのやつや。あとご近所のお母さま方から訳もわからずにめちゃんこ可愛がられるタイプや。

 

 

「じゃあ最後は蘭子ちゃんかな」

「ふっふっふっ……やはり我こそが最後に立つものに相応しい……」

「この子はハーフかなんかなんですか?」

「違いますぅ!」

「あはは……蘭子ちゃんは普通に日本人よ……?」

 

 

 言語的にやばい子もう一人いたわ。なんならこの子の操る言語に関しては日本中走り回らないと翻訳できる人がいないかもしれない。

 ……いや、いたわ。隣の部屋にもう一人中二病が。この子と接点あるかは知らんけど。

 

 言動はさっきから比喩抜きにヤバいがさすがはアイドル、例によって顔がいい。銀というよりも灰色に近い髪色は暗さを演出するよりもどこか妖艶な麗しさを表現している。

 そしてあまり気にはしていなかったが地肌がとっても白い。薄いといった方が合っているのだろうか。その白さはアーニャちゃんにも匹敵しているが、顔には少し濃いめの化粧が施してあり、それが一層の白さを演出している。

 いうならば人形であり空想上の人物のような。そんな雰囲気が感じ取れる。

 

 すげぇな中二病。来るとこまで来るとここまでできるのか。尊敬するわ。

 

 

「我が名は神崎蘭子。血の盟約を求め我らともに魂の共鳴を奏でん……」

「あっ、飛鳥? 今の聞こえた? これって大丈夫?」

『あぁ、キミのことを歓迎している。これから一緒にがんばろう。といったところかな』

「……えっ?」

 

 

 いやー、飛鳥がいて助かった。やっぱり目には目を歯には歯を。中二病には中二病だよな。

 タイプの違いはあれど通訳できるくらいではあるってのが分かったからこれでも収穫だ。

 

 それにしてもこの前LI〇E交換しておいてほんとによかった。なんとなく交換していたけどまさかこんなところで使えるとは。それにしても初めての着信なのに即行で出たな。助かったけど。

 ちなみに俺の携帯には、あと凛と本田と島村さんと周子さんと紗枝ちゃんのが入っている。急に俺のLI〇Eが陽キャのリア充みたいになったな。

 

 

「なんで飛鳥ちゃんが電話に……?」

「いやー、色々ありまして」

『人生は出会いと別れの連続だよ。蘭子』

 

 

 別れっていうなよ寂しいなぁ……って思ったけど多分飛鳥の場合はなんとなく深そうだから言ってるんだろう。知らんけど。

 それにしてもこの二人にも交流があったんだな。意外じゃないけどタイプが違うから相容れないのかと思ってた。

 

 

「飛鳥は蘭子ちゃんと知り合いだったの?」

『あぁ、寮の部屋が隣同士でね。これもまた同じモノを持つ共鳴者の運命ってやつだよ』

「たまたまだと思うけどね」

 

 

 なるほど、そういう繋がりが。それがなくてもいつかは会ってそうだったけどね、この二人なら。唯一無二の共通点があるし。

 

 

『ちなみにキミが考えていることを予想してあげるよ。蘭子は僕と同じ14歳だよ』

「なんだろう。凄く納得したよ」

 

 

 中二病って名前なのはわかるがまさか本当に二人とも中二の民とかどんだけ原作再現してるんだよ。中二病に原作なんてあるのか俺は知らないけど。

 ここまで14歳にいろいろと集中しているのを見ると俺ももしかしたら中二の時何かヤバかったんじゃないかという恐怖に襲われるわ。俺って中二の時何してったっけな。駄目だ、学校行ってはベース触ってた記憶しかねぇ。なんなんだ俺の中学生活。悲しくなる。

 

 

「それにしてもここってホントに可愛い子しかいないんですね~……」

「まぁこの子たちみんなアイドルですから。そして、そのアイドルを育てて世に出すのが私たちのお仕事なんですよ!」

「まぁ俺はアイドルじゃないんですけどね」

「細かいことは気にしちゃだめです!」

 

 

 なんで俺はここにきてダンスなんかすることになってるんだろうな。俺って本来ならベーシストが本職だろうにな、おかしいな。世の中おかしいな。

 

 

「さっ! 自己紹介も終わりましたし、ここからビシバシやっていきますよー!」

「Да! 頑張って、いきましょう!」

「うむ! 我の蘇生の時は近い!」

「まだ蘇生してなかったんだね……」

「もうやだあああああああ!!! 踊りたくないいいいいい!!!!!」

「さぁ! レッツデレステ!」

「なんすかそれぇ!」

 

 

 結局この後みっちりダンスレッスンした。もうしばらく同じ曲は聞きたくない。

デレアニ(アニメ版デレマス)を見たことがある?

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