金曜日っていいよな。多少きつい時間割だったとしても、明日から休みじゃーん! というその精神だけで生きていける。家に帰れば後は自由に遊ぶだけ。なんて幸せな日なんだろうか!
……って今までの俺ならそう思ってたんだろうが、今の俺ではそうはいかない。なぜならば、今俺がいるのは自宅の自室でもなく女子寮の自室でもなく、シンデレラプロジェクトの部屋だからだ。
「へー、卯月たちが先輩アイドルのライブのバックダンサーにですか」
「はい。と言いましても、練習自体は松井さんが会社に入られる一週間前から既に始まっていますが」
帰り道にガッツリスマホを見ながら帰っていると知らぬ番号から着信が。番号をググっても相手は分からず、意を決して出てみると相手はあの体のでかいコワモテPさん。んで、そのPさんに呼ばれて今俺がここにいるってわけ。
机を挟んでソファ越しにはあのPさん。顔が怖い、とっても怖い。
そういや本田とかはこの顔のPさんが急に扉越しに表れてもそんなに驚いてなかったっけな。やっぱ慣れるもんか。違うか。あれは本田のメンタルがおかしいだけか。
「ちなみにその人って俺が名前聞いてもわかる人ですかね」
「……申し訳ありません」
「流石にその質問はPさんも困っちゃうんじゃないかな……?」
ちなみにこの部屋にいるのは俺とPさんだけではない。この前会った新田さんと多田と前川もいる。それと知らない幼女が二人いる。まぁ知らない幼女じゃないんだけどね。さっき元気に挨拶貰ったし。
「いくらアイドルに興味がない光くんとはいえ、流石にお姉ちゃんのことは知ってると思うよ? なんて言ったってカリスマギャルなんだから!」
「ねぇ莉嘉ちゃん? その情報どこで仕入れたのかな? あんまりそのことを大声で言われると大人の事情で不味い気がするんだけどね?」
「この前ね、未央ちゃんが言ってたよ?」
「ありがとなみりあちゃん。なんであの外ハネ野郎がそのこと知ってんだ」
先にこの幼女二人の情報を処理しようか。バレたら不味い気がする情報をばらまきやがったどこぞの外ハネ野郎に関してはあとで詮索しよう。どこで手に入れたんだマジで。
まず先に発言したのが城ヶ崎莉嘉。中学生らしいがバチバチに金色の長髪を蓄えている。名前的にこの前会った城ヶ崎さんと苗字が同じだし、もしかしたら姉妹なのかもしれない。ギャルだし。知らんけど。
最初は普通にDQNの子供かと思って引いたけど、少し話したらめっちゃ素直だったから多分いい子だ。
二人目は赤城みりあちゃん。この子は黒髪短髪にツインテールみたいなのが頭の上の方についてる。なんかツインテって上についてるか下についてるかで名前が変わるんだっけ? 知らんけど。
ちなみにこの子もちょっと話したら滅茶苦茶素直でいい子だった。ちゃんと面接もしているのかわからんけど、今のところ性格がいい子としか会ったことがないよな。マッドサイエンティストとかドSとか中二病とかたくさんいたけど性格が悪いわけじゃないしね。癖は強いが。
「で、そのカリスマギャルの後ろで卯月たちが踊ると」
「そっちの呼び方の方向で行くんだにゃ」
「ちなみにだけど、卯月ちゃんたちの前で踊るのは城ヶ崎美嘉ちゃんよ……?」
あっ、やっぱり美嘉さんだったのね。苗字も一致してるしギャル姉妹ともなれば納得だ。
でも姉妹確定して改めて顔を見てみると似ている気がする。ていうか、付けまつげとかそういうメイクに関してはお姉ちゃんとほとんど同じなんじゃなかろうか。まぁ姉妹揃って可愛いならそれでOKですけどね。
「それにしても大役ですねぇ。美嘉さんってテレビとかにも出るくらいには有名なんじゃないでしたっけ。よくGOサイン出しましたね」
「私も最初は迷っていたのですが、今西部長の助言もありまして」
「今西部長…? あー、あの今西の…」
あの人って部長って言われるだけあって偉い役職についてるんだろうなやっぱ。今西のじいちゃんってだけで腕がどんなもんかはわかりかねるけどね。
でも今西も計算高いところが地味にあるっぽいしよくわかんねーな。あいつゲームとかやるときは徹底的に戦略を立てるタイプだし。
「光…さすがに部長さんのことを呼び捨てにするのは不味いんじゃ…?」
「いや、今西ってのは俺の同級生のことだよ。今西さんとは完全に別人」
「なんだ…急に部長さんのこと呼び捨てしだしたのかと思ったよ…さすがにロックすぎるしね」
「ロックだったら何でも許されるわけとちゃうからね」
「絶対二人ともロックって単語の意味をはき違えてるにゃ」
まぁ完全に赤の他人ってわけではないんだけどな。なんてったって今西のじいちゃんだし。
というかロックの意味ははき違えてないぞ。ロックって単語は超万能だからな。大体なんにでも使えるし。戦犯並に万能ワードだわ。
「まぁともかく、卯月たちはまだ新人なのによくそんな仕事持ってきましたね」
「いえ…私が仕事を持ってきたのではなく、城ヶ崎さんの方から島村さんを是非と…」
「アイドルの仕事ってそんなので決まるんだな…」
「芸能界って案外ガチガチではないんだにゃ…」
確かに大御所芸人が気に入った若手を自分のレギュラー番組で起用してるのはテレビでもよく見るけど、本当にそういうのがあるとか。
でもほんとにいい機会だよな。成功さえすれば知名度は跳ね上がるだろうし本人たちも経験にはなるだろうし。まぁバックダンサーって全然目立たないんだけどな。
実際某有名男性アイドル会社の人たちもバックダンサーとかあんまり知られてないけど元をたどれば有名な人たちもバックダンサーでしたってパターン多いし。ある意味トップアイドルになるための登竜門なのかもな。
「だから前川が立てこもり事件なんて起こしたんだな」
「に゛ゃ゛!゛?゛ なんでそれを知ってるんだにゃ!?」
「ここに来る前に李衣菜から聞いた。『みくより後より来た新人が一番デビュー早いなんて納得いかないにゃー!』とか言ってたんだろ?」
「にゃあああああああっ! ほんとに反省してるから! もう二度とやらないからやめるにゃー!」
ちなみにみんなは何にも知らないと思うから説明してあげるね。
この前川みくという猫女、卯月たちが自分たちよりも早く仕事がもらえたってことに怒ったらしくジェンガやなんやらで勝負を仕掛け続け悉く負け続け、挙句の果てには菜々さんの店にこもってクーデターを起こしたそうな。まぁ今ここにいるってことはしっかり和解したってことなんだけど。
この話は全部李衣菜からここに来る途中に歩きながら聞いた話な。学校帰りの電車の方向が同じなのはびっくりしたよね。帰り道知り合いと同じってだけでなんだか楽しくなるから不思議なものだ。
ちなみにその卯月たちが貰った仕事の内容はここに来てPさんから直接聞いて初めて知ったわ。まぁしっかりと細かいことまではそんなに聞きこまなかったからな。
「そんな分かりやすくヒール役みたいなことをやらなくてもねぇ…」
「あの頃はみくも若かったんだにゃ…」
「みくちゃんがせんそーしてたのっていつだっけ?」
「先週の火曜日じゃないかな? 確かその時アタシたちレッスンの日だったし…」
「先週の話じゃねぇか!」
「女の子にとって時間は一瞬だにゃ」
「一瞬ってそれだと意味逆じゃね?」
言い訳が適当すぎて言い訳にもなってないし逆に自分の間抜けさを露呈しているだけやないか! 新田さんの方見てみろよ! さっきからフォローもできずに苦笑いしてるだけだぞ! 可愛い!
とは言っても前川の気持ちがわからんわけでもない。卯月たちがどんくらい新人で前川がどんくらい先輩かは知らんけど、普通に急に入ってきた新人に仕事を回されて前からいた自分はダンマリなんてされたらブチギレたくなる。それはわかるけどさすがにねぇ…
「ていうか、Pさんや。なんでその話をわざわざ俺に? 俺が来る前から決まってたモンなんだから俺に関係ないんじゃ?」
「いえ、そういう前例の話があったということを伝えたくて」
「はぁ…成程…?」
そういうとPさんが首をかきながらなんか書類を取り出して、俺の方に向けてくる。
「…なんですか? これ」
「企画書です」
「…なんのです?」
「シンデレラプロジェクトメンバー全体曲のです」
「…えっ?」
プロジェクトルームの空気が一瞬で凍りつく。
ほーん、全体曲か。っていうかそもそもソロ曲とかあるんだな。どっかの48人くらいいそうなアイドルグループみたいに基本は全体曲しかないものだとばっかりに。
でもまぁやっぱり基本は全体曲になるよな。その曲調とかで色々とそのグループのイメージが左右されるといっても過言だし。
「P、Pちゃん…? 今なんて…?」
「シンデレラプロジェクトでの全体曲の企画書です。まだ企画段階ですが…」
「デビュー予定あるやんけ!」
「あっ、みくちゃんの語尾が取れた」
まーたこの猫娘は語尾を取ってるのか。ちゃんとキャラ守れよな。じゃないと今どきの厳しい芸能界は勝ち抜けないぞ。
まぁ最近の芸能界って第六世代っていう新星が輝いてるからそういうボロボロのキャラでもいいのかもしれないけど。
「なんでそれを早く言ってくれなかったんだにゃ! 知ってればみくがあんな馬鹿なことしなくてもすんだにゃ!」
「そこでやらなくてもいつかやりそうだよな」
「みくちゃんだしねぇ…」
「そこのバカ二人は黙ってるにゃ!」
「いえ…現段階でもまだ企画段階の話なので…」
おー怖い怖い。シャーッ! ってなってるやん。体毛が生えてるわけではないのに毛が逆立ってる風に見えた気がした。そういう猫っぽい部分は雰囲気的にはリアルなのな。
雑な猫キャラかガチな方の猫キャラかはっきりしてくれ。M‐1で頭角を現したロッテファンのナスみたいな人と一緒にいる、見た目普通なボケ担当の人もキャラが渋滞して酷いことになってたぞ。滅茶苦茶面白いからずっとあのままでいてほしいけど。
「そこで騒いでる猫娘は置いといて」
「にゃー! みくをのけ者扱いするにゃー!」
「みくちゃん落ち着いてー!」
「不機嫌な時の猫ちゃんみたい」
幼女組から窘められて人扱いされない前川お姉ちゃん…それでいいのかお前…
俺が言うのもなんだけどほんとにこの子は大丈夫なのかな。こいつ俺とあってから散々なところしか見られてないけど。義理を通しに来たりするあたり芯はしっかりしてるんだろうに、惜しいなぁ(遠い目)
「なんでそれをわざわざ俺に知らせたんですか。しかもメンバーさんたちよりも先に」
「これは城ヶ崎さんの話とも繋がるのですが。松井さん、あなたにも同じような話が来ています」
「先輩アイドルからってことすか?」
「はい」
へー、なんで俺が? っていう言葉を空気と一緒にゴクリと呑み込む。
そもそも俺はアイドルじゃなくてスタジオミュージシャンだしな。だとしても同じような話ってことは直接指名が来てるってことか? へー、なんで俺が?(二回目)
「ちなみにこれもうだれか聞いてもいい奴ですか? もうここまでの絵取れましたか?」
「はい、もう充分です」
「マジトーンでボケてもツッコみにくいからやめるにゃ」
「Pさんもそれに乗るんですね…」
意外とノリがいいのかなこの人。まさか合わせてくるとは思わなくてびっくりしちゃったよ僕。
「松井さんには来週の日曜にある木村夏樹さんが参加される対バンイベントのベーシストとして参加していただく…という話が本人からの要望で」
「あー! なつきちから!」
「全然知ってる人だったな」
「いや、さらっと理解してるけどみくは結構驚いてるよ? そっちが普通なんかにゃ?」
「みくちゃんの感性は正しいと思うよ…?」
それなら色々と納得がいく。夏樹さんは俺の目の前で一緒にセッションしたときに俺の実力がどんなもんか知れたと思うし、俺のことを346のベーシストとして認めてくれたかどうかはまだわかんないけど、わざわざ呼んでくれたってことはそういう意味があるって期待してもいいのかな。
っていうか来週の日曜ってそこそこ急じゃね? いや、そこそこどころか結構急じゃね? 1週間とちょっとしかないやんけ。
「ちなみに対バンってことはバチバチライブですよね?」
「はい。今回木村さんは対バンライブの大トリという形で参加されます」
「ちなみに規模の方は…?」
「一応会場のキャパは500人ほど…」
「500!?」
ご、ごごごごごご500人!? あのスマ〇ラの組み手ですら100人組手なのに!?
っていうネタみたいなことを言ってはいるが500人の前でライブとかもちろん未経験だ。しょぼい箱の中でしかライブしたことないのになんやねん500人の箱って。かなりでかいだろ500人って。
しかも大トリかぁ。そりゃあ夏樹さんくらいにもなればそうなるよなぁ、アイドルとはいえ。
「ちなみに今更ですけど、俺って枠的にはスタジオミュージシャンですよね?」
「はい。肩書ではそうなっています」
「これってバックバンドの仕事では…?」
「…今回は木村さんの直接指名なので特例です」
スタジオミュージシャン(笑)やん。いやそうではないけど。
裏でシコシコベース弾いてればいいって思ってたのに表の仕事もあるのかよぉ! 知らねぇよぉ! Pさんもすっげぇ困った顔してるからほんとに特例じゃねぇかよぉ!
「光クン」
「なんぞや」
「正直に言うにゃ」
「うん」
「ちょっとわくわくしてるでしょ?」
「うん。結構」
「やっぱりバカにゃ! バンドマンってバカにゃ!」
怖いけどロマンあるよね。血が騒ぐよね。男なら一回は大勢の客を沸かせてみたいよね。
まぁ俺、ベーシストなんだからあんまり沸かせることはできないんですけどね。
デレアニ(アニメ版デレマス)を見たことがある?
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1期2期全部見た!
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どっちかorちょっとだけ見た!
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見てないわからん!
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NO MAKEも知ってる!