女子寮生活は難儀です   作:as☆know

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 捕捉し忘れてましたが、原作と同じで『Pさん』と書いて『プロデューサーさん』と呼んでたりしてます。


スパルタ練習は嫌だが身になる

「いや~っ! 一昨日にTAB貰ったばっかなんだろ? よくここまで仕上げてきたなー! やっぱり光を指名して正解だったよ!」

「ど、どうも……」

 

 

 背中にギターケースを背負ったロッキーな女性……そう、我らが夏樹さんにバシバシ叩かれながらちょっと遠慮気味に返事を返す。

 

 Pさんから唐突に500人入るどでかい箱でのライブを宣言されて2日。

 その週の日曜日にサウンドブースに集合をかけられ、バカ緊張しながら合わせ練習を終えた俺! 身体的というよりも精神的に疲れた体を休めるため同じ寮住まいであり、今回の件の首謀者である木村夏樹さんと寮に戻るべく歩を進めていたのであった!

 

 はい、ここまでが今日のあらすじね。マジで疲れた。知らん大人に囲まれてベース弾くのってあんなに緊張するんだな。しかもバンドマンだからなんだろうけどすっごい髪型が厳つい人とかもいたし。心臓爆発するかと思ったわ。

 

 

「みんな光のこと褒めてたぜ? 想像以上だったってさ」

「いやぁ……そんなこともないですよ……」

「アタシはそうは言ってないけど」

「えっ」

「冗談だって!」

 

 

 想像以上に俺が自分の曲を弾けてたのが嬉しかったのかはどうかわからんけど、今日の夏樹さんはやけにテンションが高い。

 マジで昨日が土曜日でよかった。昨日一日ずっとベース弾きっぱなしだったからな。あと木村さんの曲がわりかしシンプルなのも助かった。

 いやー、良かったね木村さんの曲。Rockin'Emotion。シンプルだけどちゃんとロックのいいところのツボを押さえてた。

 

 

「急な指名になっちゃったからさ、申し訳ないなって思ってたんだけど……」

「いやいやいや! こんな機会でもないと500人の箱でやることなんてないですから!」

「500人ってそう大した人数じゃないと思うんだけどな」

 

 

 それは夏樹さんの感覚がバグってるだけです。

 普通に考えてみろよ。俺って今までちっこいライブハウスでくらいしかライブしたことないんだぞ。そっから急に500人に増えたのにデカくないって……んなわけなかろうが!(半ギレ)

 

 まぁそれは置いといてだ。

 本当に夏樹さんは兄貴分だよなぁ……頼れる……兄貴ってなる……華のJKなんだけど。

 

 とは言っても俺の言うことはお世辞でも何でもなく事実だ。

 それこそ今回の課題曲が死ぬほど難しかったり3曲分覚えるとかだったら無理ですって血の涙を流しながら断るところだったわ。

 けど普通に余裕ぶっこくわけでも何でもなく、この譜面ならもう覚えてここから練度を高める段階に入れるからな。俺の出せる限りのパフォーマンスを500人の観客の前で発揮することが出来るなら、それはもう男のロマンだからな。

 

 そりゃあ緊張はするけど、冷静に考えれば500人の前でベースを弾けるなんて人生で一度も経験できないようなことだしな。楽しまねば損ってことよ。なんたって夏樹さんから直接のご指名なわけだしな。

 

 

「ていうかよ。敬語じゃなくていいって言ってるのになんでまだ敬語なんだよ」

「いや、夏樹さん年上ですし」

「夏樹さんじゃなくてなつきちで良いって言ってるのに」

「いや、それだけは譲れないですね。なつきち呼びだけは譲れない」

 

 

 それだけはやだ。絶対にやだ。

 

 ネーミングセンスとかそういう話じゃないんだ。木村夏樹っていう人物像の人間をなつきちって呼ぶ行為自体になぜかアレルギーがある。そもそも女性をあだ名で呼ぶことのハードルが高すぎる。

 俺が女だったら多分平気で呼べてたんだろうけどな。あいにく俺の股間には息子がいるんだ。

 

 

「じゃあ敬語は外してくれよ。他人行儀みたいで嫌なんだ」

「慣れたらで」

「えー、いいじゃんか別に。そんな細かい事気にしないでも」

「段階を踏ませてください頼むから」

 

 

 あいにく俺はラノベとか小説とかアニメでよく見る、年上からタメでOKサインが出てすぐに切り替えられる人間なんじゃないんだ。少なくともある程度関係を深めてからその段階に自然に踏み込みたいんだ。年上相手にため口は元運動部である俺にはハードルが高いんだ。

 

 マジで創作もので即行ため口解禁できる主人公とかキャラってすげぇって思うわ。俺なら無理だもん。

 そりゃあ世界救ったり超絶美少女侍らせたりする人たちだから格が違うのはわかるけどさ。素でアレなんだからほんとに敵わん。

 

 

「……ん? あれPさんじゃね?」

「……あー。そういや、光も管轄的にはだりーン所のPさんが担当になるのか」

「そうっすね」

 

 

 いやー、遠くから見てもわかりやすいな。うちのPさん。背もでかいし雰囲気もあるからね。

 というかほんとにわっかりやすいな。廊下の端っこで歩いてるだけでPさんやんけって即座にわかるの凄い。

 あっ、こっち見た。気が付いた。

 

 

「お二人とも、合わせ練習の方、お疲れ様です」

「うっす。どうも」

「お疲れさんです」

 

 

 お疲れさんっておかしいか。お疲れしたのは俺の方だもんな。

 というか木村さんもPさんに面識あったのかな。すっごい気楽な返事してるし。いや、わかんねぇな。夏樹さんって誰にでもフリーな感じするし。

 

 

「松井さん。本日の予定はこれだけですので、もう上がっていただいて大丈夫です」

「了解です」

「Pさんはこれから何の用事?」

「私は、これから島村さんたちのレッスンの様子を見に……」

「あー、卯月たちの」

 

 

 Pさんってそういう仕事もあるんだな。めっちゃPCカタカタやってるイメージしかなかったけど、自分の担当しているアイドルたちの仕事ぶりを見守る仕事もあるんだな。

 そういうのって、正直芸能人だとマネージャーがやる仕事だと思ってたけど、俺が想像してたのと違うんだろうな。

 

 

「なーなー、光。お前んところの新人の子が美嘉のバックダンサーやるってマジなん?」

「えっ、そうですけど……あ、これ言っていいんでしたっけ?」

「問題ありません」

 

 

 そうそう、俺も俺でなんか大変大きい箱でベースを弾くっていうトンデモ案件を取り入れてるけど、卯月たちは卯月たちでトンデモ案件を相手にしてるのよね。

 

 城ヶ崎美嘉っていうアイドルがどのくらいすげぇのかはまだ俺にはわからんけど、少なくともテレビで見るレベルってことは346を代表するアイドルの一人なんだろうし、やっぱり卯月たちもとんでもないことになってるよなぁ。

 俺が美嘉さんを直接見た時もオーラ凄かったし。あと安心感な。

 

 

「ねぇ、Pさん。その子たちのレッスン見てくのって、ダメかな?」

「いえ……構いませんが」

「えっ」

「よっしゃ! 多分レッスンルームだよな! 行こうぜ光!」

「ちょm」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「あれー? 誰かと思えば夏樹とこの前の……えと、光くんだっけ?」

「あ、ご無沙汰してます」

「おっす。やってるねぇ」

「まぁ、本番近いからね~☆」

 

 

 目の前には座り込んだり倒れこんだりしてるジャージ姿の新人3人トリオ。そして、初めて会った時と違って薄めのメイクにもはや胸元しか隠れてないやんってレベルで首元とおなかあたりが見えてる服を着た美嘉さん。

 目のやり場に非常に困りますね。本当。

 

 いやいや、凄かった。

 レッスンルームに俺たちが入った頃にはもうレッスンも半ばといった感じで卯月、凛、本田の三人がバチバチに踊っていたんだけど、まぁとにかくハードだった。俺がやったら倒れるかもしれんというくらいにはハードだった。

 凛は大体何でも軽くこなせる天才肌だから心配はしていなかったが、卯月と本田に関しては驚きだ。伊達に美嘉さんに選ばれたわけではない……ということかもしれない。美嘉さんがどこを見て選んだのか俺は全く知らんけどね。

 

 そして後ろで3人にアドバイスを送ったり一緒に踊ってたりしていた美嘉さんは何事もなくピンピンしてるし。

 アイドルってすげぇ。体力半端ねぇ。

 

 

「新人の子、アレで何日目?」

「えーっと……確か10日くらい?」

「今日で9日目、ですね」

「さっすが! そーゆーとこ、ほんときっちりしてるよね~」

 

 

 スケジュール管理は完璧、といったところだろうか。っていうかPさんってもしかしてシンデレラプロジェクトメンバー全員+俺のスケジュールを全部ひとりで管理してるのかな。

 ……いやいや、無いよな。流石に。そんなことできてたらマジモンの化け物だぞ。仕事の鬼だよ。鬼。

 

 

「美嘉さんから見て、正直どうですか。あの3人」

「頑張ってると思うよ。呑み込みも早いしね。大丈夫大丈夫、アタシが保証してるんだから★ 」

「そうすか……」

「ていうか、美嘉ねぇじゃないんだね」

「いや……あんときはテンションに任せてたんで。今思えば、とんでもない言い方してたなって……」

「別に気にしなくていいのに」

「なー」

 

 

 普通に初対面の人に向かって姉御呼びなんてやべぇよなって。今思えばとんでもないことしてたなって割とガチ目に反省してたからね。

 しかも相手は多分すげぇアイドルなんだから、ファンにでもバレようものなら我が部屋にロケランや火炎瓶が投げ込まれること待ったなしだ。ドルオタってなんか怖いイメージあるし。

 

 それにしても、あの三人ってそんなに凄かったんだなぁ。なにで選ばれたのかは知らんけど、とりあえずダンスが凄いってのは分かった。それにやっぱりなんだかんだ顔がいい。

 

 

「どうだね、キミたち。美嘉さんにしごかれてんねぇ」

「いやー……キビシイよ、本当に……」

「頑張りますぅ……」

「……別に」

 

 

 心なしか外ハネが下がってヘタっているように見える本田。ガッツリ倒れこんでもなお、ひきつった笑顔の卯月。シンプルに座り込んで頭が下がってるせいでホラー映画みたいになってる凛。

 

 うーん、見事に三者三様の反応である。

 卯月のその頑張りますは一体どこに向かっての頑張りますなんだろうか。自分に向けての暗示かな。知らんけど。

 

 さて、何の気もなしにこいつらに近づいて話しかけたはいいものの、こっからどうしよう。なんか一言位かけた方がいいよね。

 でもここで無責任に頑張れっていうのはなんか違う気がする。そしてその選択肢を潰された時点で俺のかけられる言葉はもう限られてしまった。

 

 

「ところで今年はジャイ〇ンツ優勝しなさそうだよな。広島強そうだし」

「えっ、ジャイ〇ンツ? ……なんの?」

 

 

 バタン!

 

 

「今年も優勝するのはジャイ〇ンツだよ!!!」

 

 

 野球の話題が女の子にも通じる時代はどうやら終わっていたようだ。

 ちなみに俺はプロ野球こそ見るものの贔屓球団はないんだ。ジャイ〇ンツファンの皆様、ごめんなさい。

デレアニ(アニメ版デレマス)を見たことがある?

  • 1期2期全部見た!
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