女子寮生活は難儀です   作:as☆know

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どうでもいい話なんですけど、実は私って方言フェチだったりします。
色んな方言を聞いてるとめちゃくちゃ落ち着くので、みんな標準語をかなぐり捨てて暗号だけで会話して欲しいと常日頃から思っています。


大阪の人間のお笑い適正の高さは異常

 

 

「Pチャン! みく達なんにも聞いてないにゃ! どーゆーことか、キミにもちゃんと説明してもらうにゃ!」

「みくちゃん! 猫耳猫耳!」

「あわわわ!? みくの耳はどこー!?」

「おもしれー女」

 

 

 部屋に入ってきたと思ったらいなやプロデューサーさんになんか詰め寄ったり猫耳? 探してたり騒がしい女だな、オイ。プロデューサーさんも困ってんだろうが。ほら、首元スリスリしてる。

 プロデューサーさんってよく首元すりすりしてるけど癖なのかな。なんか珍しい癖だな。

 

 にしても初対面の男がいるのに騒がしい人だ。品性ってものを知らないのか、品性ってもんを。まぁ、俺はそういうの全く気にしないしからいいんだけど。なんなら普通よりも色々と面白そうだからそういうのは好きなんだけどね。

 

 

 

「幼馴染くん、みくちゃんのこと知ってるんですか?」

「いや、全く? 見たとしても覚えてないかも」

「に゛ゃ゛!?キミ! 今失礼なこと言ったでしょ!」

「安心しろよ。初対面の人に指差して叫び散らかしてるあんたの方が多分よっぽど失礼や」

 

 

 猫耳をしっかりと装着してもなお、全く衰えることのないマシンガントークを一人で繰り広げていらっしゃる。

 多分この子あれだな。一人で勝手に漫才をするようなタイプの女の子だな。一緒にいたら面白そうだけど、初見の人はドン引きするタイプだろう。実際に今俺若干引いてるし。

 

 

「失礼も何もないにゃ! さっきの話! ちゃんと説明してもらうにゃ!」

「あっ、でも俺あの人のことは知ってるかな」

「……へ? 私?」

 

 

 俺が顔だけくるっと回転させて視線を向けたのは、始めて俺が346プロに来た時にリーゼントの女の子にくっついてた小柄な女の子。

 急にみしらぬ男に視線を送られたその子は、タオル片手に素っ頓狂な顔をしている。

 

 

「そうそう。関ジ○ムかなんかで金髪のリーゼントの女の子と出てたでしょ?」

「あー! 出てたよ出てた! あれ見てくれたの!? 嬉しいなーっ!」

「話をそらすにゃー!」

 

 

 ギターの機種によっての音色の違い的な回で、ベージュの髪色をしたショートカットの女の子がリーゼントの女の子に子犬みたいに懐いていたのをすんごい覚えている。

 あと、めちゃくちゃにわかでゲスト的な立ち位置としてはうってつけの立ち回りをしていたのも覚えている。そっち側で呼ばれたわけではなさそうだったけど。

 

 

「私、多田李衣菜って言うんだ! よろしくね!」

「松井光、高校二年生。よろしくのぉ」

「高二なの? 同い年じゃん!」

「マジ? うっわなんか感動するわ」

「わ、私も高校二年生です!」

「年齢の話はどうでもいいの! 卯月チャンも乗らない!」

 

 

 いやー、女子高生と女子中学生が中心だと思っていたとはいえ、やっぱり同級生の子がいるとなんか一体感あるよな〜。どうしても後輩とか先輩の女の子になると気を使っちゃうし。まぁ仲良くさえなれば年上も年下も全く関係ないんだけどね。

 

 

「光もPも、このままだと話が進まないから」

「えー。もうちょっと遊びたかったー」

「ねー」

「みくで遊んでんじゃないにゃ! 終いにゃ怒るで!」

「あっ、語尾消えた」

 

 

 イントネーションが完全に関西の人だったな。成程、お笑いセンスがめちゃくちゃ高そうなのも理解出来る。

 関西人だからって面白い人ばかりだと思うなってアレ。全員がそういう訳では無いだろうけど、絶対に関東の人間よりも面白い人間の比率は多いよな。

 

 

「まぁ説明と言ってもなぁ」

「松井さんにシンデレラプロジェクトのベースを担当していただくと言う話だったのですが……」

「そこ! 何処の馬の骨ともわからない新人にみくたちの大切なデビュー曲を担当させるなんて絶対に許さないにゃ!」

「確かに」

「確かにじゃないにゃ! キミはそっち側の人間でしょ!」

 

 

 そんなこと言われたって、一人漫才娘の言っていることだって俺理解できるし。普通に正論だと思うし。そりゃあそう思うよなって感じだし。俺だっていいんか本当に? って感じだし。

 でもそんな大声で会社の方針に文句言えるのすげーな。レジスタンスかよ。

 

 

「んなこと俺に言われたってなぁ」

「まぁまぁ、みくちゃん。ちゃんと会社側にも考えはあるんですよ?」

「考えって言われたって納得いかないにゃ!」

 

 

 そんなこと言われたって仕方ないじゃないかぁ、的な感じで頭をぽりぽりしていると、さっきまでニコニコしていただけの千川さんが急に介入してくる。それもニコニコしたまま。なんか怖いんだけど。

 

 

「つまり、松井さんのことをどこの馬の骨ともわからない人間から、みくちゃんのデビュー曲を任せてもいいと思える人間になればいいんですよね?」

「それはそうだけど、そんなの無理にゃ! だって新人さんだし!」

「お前だって新人ちゃうん?」

「私たちまだまだみんな新人だよ〜みくちゃん」

「二人ともうるさいにゃ!」

 

 

 図星なんかい。そりゃあシンデレラプロジェクトって言う企画自体、新人さんを集めた企画って言うからな。この一人漫才娘も新人なのだろう。死ぬほどバラエティ映えしそうなポテンシャル持ってるけど。

 

 ここでふと、俺の中に一つの疑問が思い浮かぶ。そんな大したものでもないけど。

 

 

「ここにいる人って、デビュー曲とかまだなんですか? 多田はテレビにも出てましたよね?」

「あれは特例だからね〜。なつきちがテレビに出るって時に私もなぜか呼んでもらったんだよね」

「それに346プロはある程度の実績がないと簡単にCDは出せない会社ですから……」

「こんなでかい会社なのに?」

 

 

 それは流石におかしいじゃろう。

 本社が城みたいになってる上に、本社じゃない方だってこんなに馬鹿でかい会社なのに。アイドル部門しかないわけでもなかろうに。

 

 

「そこで専属のスタジオミュージシャンが不足している、と言う話になるんです」

「嘘でしょ。それだけでそんな領域まで来てるの?」

「うちの会社の方針で特に楽曲には手を抜かないようになっていますので……どうしても少数精鋭と言う形に」

「そんなありえん話ある……?」

「それが実際にあるからこうなってるんですよねー」

 

 

 千川さんとプロデューサーさんと言う346プロ側の会社の人間お二方がなんだかとっても負のオーラを纏っている。そりゃあ出せるもんならとっくにデビュー曲出してあげたいよな。ごめんなさいね。

 普通に地雷原踏み抜いちゃったかもしれんわ。色々デリケートな問題だよね、そうだよね。こう言う事態にもならないと俺のことを雇ったりしないよね。

 

 

「このこと自体は常務もかなり問題視していまして……長い目でも短い目でもこのアイドル部門の問題を解決するためにこう言う手法を取らせていただいている形です」

「なんか余計にプレッシャーが強くなってきたわ……」

「まっさん? なんか顔色悪くない?」

「光って意外とプレッシャーに弱いもんね。昔は私を目の前にすると顔をよく青ざめさせてたし」

「その話やめて。若干の黒歴史なの」

 

 

 昔はマジで凛が怖かったの。今と相も変わらず可愛らしかったのだけど、それでも奥になんか冷たい何かを感じたから。あとこの子、昔は年上の俺に対しての敵対心が何故かマックスだったから。

 

 

「みくちゃんの言い分もわかるけど、これも最終的には私たちの為なんじゃないかな?」

「むぅ……んむむむむむー!」

「可愛いかよ」

 

 

 多田のなんとなく人ごとっぽい言い方でのかいしんのいちげきに、一人漫才娘も反論の余地がなくなったらしい。そのままほっぺを膨らませてジタバタし出した。

 いや、わかるよ? 正論だってわかってても気に入らんもんな。あるある。

 

 

「光」

「すまん」

 

 

 凛ちゃん、相手はアイドルなんですよ? いくらぶりっ子っぽいモーションとはいえ、アイドル相手に可愛いと言わないのは失礼じゃないんでしょうか? はい、あなたが嫌と言うからダメですね()

 

 

「そ・こ・で・です!」

「うわっ、ビックリした!」

「い、いきなりどうしたの? ちひろさん」

「この計画が出た時点で誰かしらから反発の声は出ると予想していましたので、ちゃんと秘策を練ってきたんですよ♪」

「秘策と」

「はい、秘策です!」

 

 

 それがあるなら早く出して欲しかったんだけど。

 それにしても秘策とはなんなのだろうか。金か? やっぱり最後は金なのか? カァーッ! やっぱり社会は汚いねぇ! 

 あっ、違う? ドラマとかでこう言うのあったからさ。こんな感じの賄賂的な何かかと思ったんだけど。

 

 

「つまりですよ! 松井さんのことをみんなに知っていただければいいんですよ!」

「ほうほう」

「人のことをよく知る1番の近道は、その人とより近い位置で時間を過ごすことだと思うんです! 実際に凛ちゃんは松井さんのことをよく知っているんじゃないですか?」

「……まぁ、卯月とか未央よりは知ってると思うよ」

 

 

 そりゃ科学的には俺と凛は幼馴染ってやつだしな。何だかんだ言いつつもそこらへんの人間よりはお互いのことを知っているはずだ。多分。

 お互いのことを知っていると言うのがどこからどこまでの話なのか定義されてないから何ともいえないんだけど。

 

 

「つまり! 松井さんにはみくちゃんたちと過ごしてもらえればいいんですよ!」

「それはつまり、これから一緒に仕事を共にすると」

「いいえ違います! 文字通り『過ごして』貰うんです!」

 

 

 千川さんの言っていることが理解できない。一人漫才娘と顔を見合わせるも、それでも理解ができない。

 なに、過ごすって。どう言うことよ。

 

 

「幸いなことに、346プロには大きくて立派で綺麗な女子寮があるんです!」

「はぁ」

「シンデレラプロジェクトに参加している方でも女子寮通いの方はかなり多いんですよ?」

「みくも女子寮通いだにゃ」

「わ、私もです……」

 

 

 一人漫才娘とツインテールのこれまた小動物を思わせる小柄な少女が小さな声で手をあげる。全然話に入ってこないから興味ないのかなって思ってたけど、ちゃんと話聞いてたんだね。

 

 

「スバリ! 松井さんにはこれからですね!」

「待って千川さん。多分、今から怖いこと言うでしょ、待って。落ち着いて千川さん」

「346プロの女子寮で生活していただきます!」

 

 

 はい。

 

 俺の人生終わりました。お疲れっした。うっす。

 

 これからは女子寮に住まう変態として、犯罪者として、職場のアイドルから白い目で見られて生きて行きたいと思います。

 泣いたわ。




評価の色がつきました! ありがとうございます!
一日でお気に入り100増えてビビり散らかしました。あと感想も沢山来てて泣きました。評価も入っててチビりました。
これからもよろしくお願いします!

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