今日の気温は30度越えらしい。もう少し太陽さんには加減とかしてもらえないものなのだろうか。
じりじりと照り付ける太陽は炎天下の屋外だろうが室内だろうが関係なく温度をガンガンと上げてくる。脱ぎたい。今すぐに脱ぎたい。ここが事務所じゃないのならもう1秒後にはパンツ一丁になってる自信がある。
「ひーかーるークン! ここは君の家じゃないのにゃ! そんなソファーでごろんと寝るもんじゃないのにゃ! ただでさえデカいんだから!」
「残念でしたー、今俺は寮住まいですー、実家暮らしじゃないですぅー」
「そーんな屁理屈を聞きたいんじゃないんにゃー! 公私混同許すまじ! ここは職場だにゃーッ!」
「この前一緒にゲームしてたからいいじゃんか」
そんなクソ暑い日には高性能な冷房の効いたCPルームのどでかいソファーに寝転んでゆっくりするに限るね。
なんか頭の方からにゃーにゃー言っている気がするが、多分気のせいだろう。多分ね、よくわからんけど。
「っていうか、俺はさっきレコーディング済ませたばっかで疲れてんだよぉ」
「杏もレッスン疲れたから、今日はもうお休みで~」
「こんのサボり魔ども……」
いいだろぉ、レコーディングって意外に疲れるんだよぉ。
長時間の拘束は確定として、しっかり集中もしないといけないし、その場でのアドリブなんかにも対応しなきゃだし、何よりも楽器を弾くって意外と疲れるんだよな。
しかもこのくっそ暑い夏場だ。いくらクーラーが効いているとはいえ、暑いもんは暑いし、疲れるもんは疲れるんだよな。
「光、最近レコーディング増えたよねー」
「おかげさまでな。いい経験させてもろてますわ」
俗に言う同期みたいな存在がいないから、一体俺は順調に進んでるかどうかは全然わからんが、個人的な感覚だけで言うなら、大分いろんなことを任せられるようになってきた。
最近ではギターも弾くようになったし、本当に色々と幅が広がってきた気がする。スタジオミュージシャンって色んな楽器を弾けた方が良いってネットで見たけど、実際どうなんだろうな。需要自体はそっちの方が広がりそうだけど。
本業のベースの方も、プロの指導の甲斐もあって自分でもびっくりするくらいレベルアップしてる。テレビで見る超トップクラスにはまだまだ及ばないけど、少なくともここに来る前の自分に見せたらびっくりするんだろうなってくらいには上手くなれたよ。実戦経験って本当に大事なんだな。
「前川もこれから李衣菜たちとダンスレッスンだろ? まぁやればわかるさ」
「みく達を舐めて貰っちゃ困るにゃ! こちとら現役バリバリの歌って踊るアイドルにゃ!」
「昨日みくちゃんへばってたけどね」
「李衣菜ちゃんもダレてたでしょーッ!」
「なんで私も巻き込むのさー!」
この二人本当に楽しそうだなー。なんかいっつも小突き合ってる気がするわ。その癖一緒に行動することが多いし、Pさんもデビューさせるんだったらこいつら組ませればいいのに。ま、そんなリスキーなことしないか。
「楽しそうだねー」
「なー。俺たちはのんびり平和が一番」
「そのとーり。のんびり休んでちょーっとだけ稼いだらあとは印税生活~」
杏の場合はもうどっからどうみても邪念が見えすぎてるんだよな。
金を稼ぐという行為に執着している例ならまだわからなくもないが、杏の場合は休むという行為に執着しているからな。長いこと休み続ける手段の一つとしてアイドルとして金を稼ぐって言う目的のための手段になってるんだよな。
普通はそれ逆なんだよな。金を稼いで結果休んでても悠々自適だもんな。これが発想の逆転か。
ドガチャン!!!
「ぼんじゅーる、CPの皆様初めましてー! 光くんいますかー?」
「ワーオ! ここ広いねー」
「うわびっくりした」
「うぇええええっ!? だっ……いや、一ノ瀬志希と宮本フレデリカにゃ!? なんで!?」
いや、突拍子が無さ過ぎる。さっきまですっげえゆったりした時間が流れてたのに、ノックもなしにいきなり扉豪快に開いた。この扉毎回豪快にドタンバタンと開けられすぎだろ。そのうち扉蹴り飛ばして入ってくる人いるんじゃねぇか。
「俺ならここにい……ま……あ???」
寝転んだまんま扉側に顔を向けたらありえん光景が目に入ってきた。びっくりした。びっくりしすぎて流石に起き上がって10歩くらい後ろに下がっちゃった。
いや、さっきご丁寧に前川がフルネームで誰が来たかを言ってたし、俺も声聞けば誰かわかるから誰かは問題じゃないんだけどね。もう目の前の光景が余りにも信じられなさ過ぎて瞬き1秒で100回したかと思ったよね。
「おー、いたいた。フレちゃん道案内上手だね~」
「さっきそこで社員さんとっつかまえて尋問したからね! 名探偵フレちゃん!」
「さっすがー♪」
「なんでこの人たち水着なの……?」
一旦フレデリカさんと志希ちゃんさんがここに来た理由は置いておこう。一旦ね? 一旦だから置かせてね?
この人の恰好が一番おかしい。もうここを突っ込まないと始まらない。
なんでこの人たち水着なん? ここって事務所だよね? 靴は履いてるけど完全にそれビキニだよね?
めっちゃおしゃれだし、二人のイメージにも似合ってるし、スタイルがバケモンみたいに良いのはともかくとして、ここって社内だよね???
「宮本フレデリカ巡査! 容疑者、確保しましたー!」
「いやはっや! うそん!」
「逃げようったって無駄だぞ! 事件は取調室で起こってるんだ!」
「ここCPルームって言うらしいけどね♪」
さっきまで目の前にいたフレデリカさんが気が付いたら後ろから右肩にガッツリ手を乗っけてた。何を言ってるかわかんねぇが、俺もわかんねぇ。瞬間移動とかそんなちゃちなもん以下同文って感じ。
なんなんだこの身体能力。身体能力か? もうギャグマンガのそれじゃねえか。この人存在自体がギャグマンガみたいなところあるけどさ!
「それじゃあ留置場に連れてって取り調べ開始といこうかにゃー♪」
「いや待って! 不当逮捕! 冤罪! そもそも容疑って何! 待ってえええええ!!!!!」
「言いたいことは取調室で聞いてあげるから安心安心! レッツファイヤー!」
そのまんま両手に花というか両手を自由人にホールドというか、そのまんま連れていかれる。
いや、本気で逃げようとすりゃ逃げられるかもだけど、そんなことしてケガさせたらどうすんのよ。この状況詰みよ、詰み。
本当にどこ連れてかれんのこれ! 今日はCPルームでゆっくりして帰る予定なんですけど! ねぇ!
「……連れてかれちゃった」
「光クン、あの二人と親交あったんだにゃ……」
「一応、Pには報告しとく?」
「この後予定があるとか光クン言ってなかったし、多分大丈夫だにゃ。本人の事は知らんけど」
「杏はのんびりできればなんでもいいや……」
「そんなわけで公式アドバイザーを連れてきましたー♪」
「二人の言ってた適役って言うのは光のことだったんだね……急に出てって急に戻ってきたからびっくりしちゃった……」
「なんかもうほんっとうにすみません」
連れてこられたのは衣装室。俺も中には入ったことなかったが、こんな構造になってんのかー……なーんて余裕なんてあるはずが無い。あるわけないわ、そりゃあそう。目の前にある光景がこれまた異常。というか、メンバーがなんだか凄い。
「16歳の青少年からの意見なんてこれ以上ない適役! ターゲットへの視線もしっかりと抑えてこそのアイドルってPも言ってたしねー」
「かつ、私たちの共通の知り合いやしね。うちの事務所で若い男子なんて光くらいしかおらんし」
「こんな状況に巡り合えるなんて、光もつくづく幸運ね」
「その言葉本当か? お前絶対に面白がってんだろ」
「あら? 男子としてはこういう状況、お好みではないの?」
一ノ瀬志希、宮本フレデリカ、速水奏、塩見周子、城ケ崎美嘉。昔に比べてアイドルに対する知識も多少は付いてきた今ならわかる。このメンバーはバケモンだ。
どれくらいバケモンかというと、もうバケモン中のバケモン。イ〇ロー。リ〇ネル・メ〇シ。ド〇ラゴン剣。メガガ〇ーラ。玉〇浩二。
ともかく、346プロ所属アイドルの中でも人気実力ともにトップクラスの人たちだ。
詳しい頻度とかルールはわからんけど、どうやら346プロには事務所内のアイドルを対象にした総選挙みたいなシステムもあるらしく、今ここにいる人たちは、その中で何度もTOP10入りしているような化け物面子だ。
この事実を知った時に俺は飛び上がったよ。俺の隣人のあのゲーマー適当京美人そんなに凄い人なんかって。それで付き合い方を変えるわけではないけど。
「好みか好みじゃないかで言えば、ものすごーく好みではある」
「正直じゃない」
「ちなみにだけどさ、この場で帰るって選択肢は如何でしょうか。同校の奴に水着姿見られるなんて恥ずかしいでしょう?」
「あら、もっと見てもいいのよ?」
「聞く相手間違えたわ」
「ね、適役でしょ! 犬も歩けば棒に当たるってね♪」
「意味違うけどね……」
で、ただでさえそんなバケモンみたいな面子に囲まれてる中、その5人の来ている衣服がまた異常性を高めている。
というかもうフレデリカさんと志希ちゃんさんが水着で凸ってきた時点でお察しだよね、うん。全員水着です、はい。
おかしいだろこの状況。俺もう絶対殺されるじゃん、もう本当に頭擦りつけるからどうにか許してほしい。
あと奏はもう少し羞恥心とかそういうのを持った方が良いかもしれん。多分、
こいつ、絶対に自分が優勢に立ってるときは優越感かなんかわからんが、アドレナリンみたいなもんが出て多少の事は気にしなくなるんだよな。羞恥心とかが無いわけではないと思うんだけど。生粋のドSか?
「すいません美嘉さん。もう頼れるのは貴方しかいないんです」
「いやー…………ごめんね?」
「なんで諦めるんですか!」
「降伏したまえ! もう君は包囲されている!」
こういう時はちゃんと意味が合っているようなこと言うんですね、フレデリカさんね。
水着の超美人ギャルに助けを求める男子高校生って絵面ヤバいんだよな。でもこんなかでちゃんと俺に対して慈悲の心持ってくれてるの美嘉さんしかいないんだよな。奏はまともよりだと思うけど、俺に対しては絶対になにかするという意思が透けて見える。
「そろそろ光くん連れてきた理由教えてあげたら? このまんまだと、ただただシューコちゃん達の水着を見られたラッキーな男の子で終わっちゃうし」
「えっ、二人とも何も言わずに連れてきたの?」
「志希ちゃんは人材選考係だし~」
「フレちゃんは人材連行係だしね~」
いや、確かに眼福ではある。目には良いんだろうけどね、この状況続くのはどうかと思うんだね。本来この立ち位置に居て得しかしてないであろう僕が言ってるんだからね。事の重要性がわかるね!
「私たち、今度5人でマ〇ジンの表紙に使う撮影を控えてるの」
「お前マジで凄かったんだな」
「尊敬してくれてもいいのよ?」
マ〇ジンの表紙ってマジで言ってんのか。俺は昔からジャ〇プ派だったからそっちの方は知らんけど、マ〇ジンと言えば男子が買う漫画雑誌の二大巨頭だろ。男はみなコ〇コロからこのどちらかに行くんだ。
そんなマ〇ジンの表紙には大体めちゃんこ可愛いグラドルやアイドルやモデルなどの女の子がドドーンと飾られている。そこに目の前にいる5人が乗るというんだから、マジでヤバイ。このヤバさは男子高校生が一番実感する。
「で、なんで俺が?」
「マ〇ジンって大体中高生を対象にしてる漫画雑誌やん」
「そうっすね」
「光くん、年齢と学年は?」
「16歳高校二年生です」
「ワーオ、ドストライク~!」
「えっ、そんだけ?」
俺、もしかしてそんだけの理由で呼ばれた? 単に今度載る漫画雑誌のメインユーザー層にピッタリハマってただけで呼ばれた?
確かに、346プロは男性社員も沢山いるにはいるが、殆どが成人した正社員の人たちだ。というか、俺以外そうなんじゃねえかな。どこに行っても男だと俺が最年少だし。
そういう意味では、確かに俺は希少な存在ではある。そういう意味で希少な必要あるか?(自問自答)
「じゃあ、他の男性社員さんでもいいっすよね。よし、任せてください今すぐ他の人をさg」
「そうはいかないにゃ~♪」
「まーまー、待ちなさいよお兄さん♪」
「なんで」
クルっと振り向いて速攻ダッシュをする部活でやる反発力かなんかの強化よろしくなダッシュを決めようとするも、夜の街でキャッチをする悪質なお姉さんみたいな絡み方をされて動けなくなる。
不味い、下手に動くと胸とか胸とか胸とかが当たる。しかも今はよくわからんけど多分布一枚だから本当に当たりたくない。俺が意識する。死ぬ。
「私たちのようなアイドルは、ちゃんと対象とするファンに対して、求められている一番良い魅せ方をするのも仕事の一つ。ここは黙って付き合ってもらうわよ」
「役得だけどファンに闇討ちされる」
「安心しなって、水着姿を見られるのは普通の人よか多いからシューコちゃん達も慣れてるし」
「俺が女性の水着姿を見るのに慣れてないんですゥ……」
「だから今日ずっと真っすぐ目を見てたんだね……」
「下心なしで目線のやり場にマジで困ります助けてほしい」
「慣れてもらうしかないカナー……?」
「なんでそんなに女性耐性が低いのよ」
女とプールや海に行くようなガッチガチの陽キャなら見慣れてそのままヒャッホーしてるのかもしれんが、俺はそんな陽キャじゃない。水着姿とかスク水しか知らん。
そもそもバチバチの水着とか、随分前に行った海水浴で遠くではしゃいでる陽キャ姉ちゃんを遠くから一瞬見た記憶しかない。そんな自分の中では超希少生物が目の前にいるのだ。しかも触れたら爆散する危険物。そらもう……もう……はい(諦め)
「まぁ、とはいえもう表紙の撮影で着る水着は決まったんだけど」
「今何て言った奏」
「もう着る水着、全部決まってるわよ。もう少し掘り下げて言うと、私と美嘉だけ決まってなかったのよ。でも志希とフレちゃんが貴方を捕まえに行って帰ってくるまでに決まっちゃった」
「は──────────…………」
「そーなの? 道理で水着が変わってると思った」
「アハハ……ごめんね?」
なんかもう一気に肩の力が抜けたわ。振り回されて心労だけ溜まって何事もありませんでしたって、それもうどっきりやん。テッテレーがマジトーンになっただけドッキリじゃないの。
まぁ良いんだけどね? 良い目薬になりましたよマジで。良い経験になったぜ本当。最近志希ちゃんさんに会ってない気がするって思ったら急にこれだもんな。びっくりした。この人マジで行動が読めないな。
「じゃあ最終チェックだけしてもらおっか! じーっとあたしのこと観察してイイんだよ? ほらほら~」
「う゛っ゛!゛」
「フレちゃんも! 悩殺ポーズってあるじゃん? ほら、ビビビーッてヤツ!」
「あたしもやっちゃお~。んにゃ~♪」
「それスペ〇ウム光線のポーズっすね」
危なかった。フレデリカさんがフレデリカさんじゃなかったら危うく二人にやられるところだった。今は二人ともスペ〇ウム光線のポーズしてるから普通に見てられるわ。ありがとうウル〇ラマン。全然詳しくないからわかんないけど。
特にさっきの志希ちゃんさんのポーズマジでヤバかった。
スカートみたいになってるフリル? みたいなやつをピラッとめくって下の水着を見せてきたの。しかも少し前かがみになってたおかげで、何とは言わんがすげえ強調されてたし。マージで凶悪。一撃必殺。
普段から見えてるならともかく、隠されているものをそちらから見せられると男の子って死ぬんだよね。これロマンの法則第七十五項ね。
「さっき一瞬トばんかった?」
「周子さん、エグい。アレ、ヤバイっすアレ」
「効果てきめーん♪」
「4倍弱点やね」
「どーどー? 似合ってる?」
「めちゃくちゃ似合ってます。えぐいっす。語彙力死にます」
「さっすがフレちゃん。大当たり~」
志希ちゃんさんの方は髪色に合わせたワインブラウンと白の縞柄をしたビキニ。髪色とシンプルな清楚感のある白の相性は志希ちゃんさんにばっちり。
しかもスカートっぽくなってるフリルがまたおしゃれだ。それをちらっとされたら、幾らなんでも死ぬに決まっている。
フレデリカさんのは薄ピンクを基調にした若干露出の少ない水着だ。両腕についているでかいシュシュみたいなやつも可愛らしい。似合いすぎている。
まぁ、普通のビキニに比べればってだけで、どう転んでも水着なのでガッツリ露出にはなっているけどね。
そしてというかなんというか、やっぱり二人ともスタイルがえぐい。いやもう無理だよね、そういう目で見るなって言う方が無理なんだよね。
ちゃんとボンってしてるしちゃんとキュッとしてるうえに足もスラっとしててでもうエグいね。無理、ごめん。
「ま、シューコちゃんのも見てってよ? 割と自信あるんだよねー」
「じゃあアタシも! 同年代相手だし、悩んでもアレだからアタシらしく行こうかなーって★」
「なぁ奏。俺、明日サツに捕まるんかな」
「何も犯罪してないから安心しなさい」
「本当?」
「何だったら光がここにいるのってほぼ不可抗力だし、貴方以外は割とノリノリよ?」
周子さんは濃い青色のビキニの上から水色と白の縞柄のビキニを被せて二重のようになっており、そこにショートデニムパンツを組み合わせた格好だ。
デニムパンツから伸びている水着の紐がなんというかアレだ、うん。アレだね。口にしたら負けだから言わないよ。
ビキニの胸の部分って二つ重ねることも出来るんだね。下のシャツを見せながら上着を一枚重ねるファッションの水着版みたいな感じだろうか。オシャレな人ってすげえな。実際めちゃんこ似合ってる。
個人的に一番水着がこの中で似合いそうランキングにいつのまにかなっていた美嘉さんはというと、水着自体は上下ともに濃いめの紫で統一されているシンプルに露出が多い、これぞ水着といった感じの組み合わせになっている。
だけどよーく見てみるとビキニの真ん中にリングがワンポイントかけられていたり、首元や手首、足首には細やかにアクセサリーがちりばめられている。
一見シンプルだが、細かい所に気配りがされている。なんというか、これがただでは終わらないおしゃれなんだなと実感するね。
「なんか勉強になるな……」
「女の子の水着見て男の子が勉強になることあるん?」
「いや、俺基本的に衣服には無頓着なんで」
「じゃあ今度アタシが今度色々見てあげるよ。こう見えても、一応メンズのファッションにも自信はあるから☆」
「俺に服装勧める人で初めてまともそうな人だ」
「まともどころか、ファッション系だと美嘉ってトップクラスよ」
「ま、一応アタシ、カリスマギャルだし★」
大体俺に一緒に服見てやろうか? って言ってくる人ってセンスが中二に偏った人ばっかだったんだよな。
美嘉さんもパッと見はバチバチのDQN装備にされそうだけど、俺はこの人のまともさを知っている。多分この人は大丈夫な人だ。俺はそれを知っている。
「じゃあ、最後は私ね」
そういうと、横から離れて目の前で奏がクルっと一回りして見せる。
クルっとされたが来ている水着はドシンプル。黒のビキニだ。アクセサリー系統も首から一つ、シンプルなネックレスをかけているだけ。周子さんみたいにビキニを重ねてるわけでもなく、本当にシンプルな黒の水着だ。
「感想は?」
けど、それがめちゃんこ似合っている。というかこの女、スタイルがバケモンみたいに良い。
よく言われるボンキュッボンがそのまんま姿になったみたいなスタイルをしている。そりゃあこんだけスタイルが良けりゃシンプルな水着も映えるわなって話だ。
しかも黒って言うのが大人っぽくてバカみたいに奏特有のミステリアスなやけに色っぽい感じを出させる。こいつ自分から経験ないって言ったくせにな。
「奏。お前、本当に綺麗だな」
「」
それに尽きるよ。服装のセンスとかでも4人に合わせてバランスを取るとかでもなんとでも言えるけどそれに尽きる。
最後まで悩んでこれにしたってことは、多分美嘉さんに合わせた面もあるんじゃないかな。そう推察も出来る。深読みだけどね。
他の四人が服装の装飾や色合いなんかで個性を見せる中、逆にシンプルさで勝負することでバランスもとりつつ、自分の魅力も見せれると。
この5人、ユニットにしたら最強なんじゃねぇかな。
「ワーオ、これぞカウンタークリティカルヒット、一発KOってやつ? フレちゃん初めて見た!」
「奏ちゃんが負ける所、あたし初めて見たかもしれんわ」
「ね! 面白い子でしょ! 志希ちゃん中々お気に入りなんだ~」
「いや、みんなハチャメチャ綺麗ですけど、奏のコレ見て感想言えって言われたらそうなりません? 綺麗なんだもん」
「光くん、割と大胆な面もあるんだね……」
なんかそれから奏を一週間くらい学校で見なくなった。
いや、なんで? お前だけは直接大丈夫って言ってたじゃんか。あんなこと言っといて普通に恥ずかしくなるのは罠じゃんね。おかしいべ。
シンプルにマガジンの表紙を飾って学校でも話題になったってのもあるかもしんないけどね。俺の考えすぎかもしれないけど。それでもちょっと悲しいべ。口聞いてくれた時は結構嬉しかったよ。マガジンは恥ずかしくて買えなかったけどな。
読者層気になるので知りたいアンケ
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男! 未成年
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女! 未成年
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どっちでもないorわからん! 未成年
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男! 成人
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女! 成人
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どっちでもないorわからん! 成人