女子寮生活は難儀です   作:as☆know

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姉貴の強さは世界一

 今日も今日とてお日柄が良く、良いどころかもうちょっと自粛してくれと言いたいレベルで太陽が燦燦と照り盛っております。

 

 こういう日は、人間という生き物はクーラーの効いた部屋でゆっくりと自制するというのが本来の生き方ではあるのですが、本日の私はなんとなんと外に出ております。しかも電車に乗って遠出していると来た。しかも一人で。もう死にそう。溶ける。

 

 電車に揺られて幾星霜。いや、そんなに時間は経ってないけど。こんなクソ暑い中、電車に揺られて着いたのはここ、原宿! 田舎者やJKが集う日本の中の都会中の都会!

 

 

「……人が多い」

 

 

 マジでどうなってるんだここは。ただでさえ炎天下の下、アスファルトの上を歩くってだけでクソ暑いのに人は多い、JKが多い、しかもみんなクッソおしゃれ、後はちらほらスーツの人が多い。

 まさに都会だ。苦手である。もう少し規模感小さくしてくれないかな。

 

 普段、こんなクソどでかい都会になんか来ないから、絶賛気圧され中ではあります。が、本日は明確な目的があってきたのです。

 そう! 本日は原宿と渋谷で凸レーションのコラボトークイベントのある日! しかもコラボ先は、なんかよくわからんけど今JKの間で人気と噂の普通にでっかい所! PikaPikaPoPって名前だけで色々と想像つくんだよな。なんてネーミングしてんだ。

 それにしても、やっぱアイドルってマジで凄いんだね。この話を最初に聞いた時は、普通にぶったまげたよ。

 

 そうです。私はその凸レーションのコラボトークイベントを見るためだけに、ここまで一人で足を運んできました。

 え、なんでかって? この前あった、キャンディアイランドの収録をテレビでしか見られなかったのが悔しかったからです。普通に同僚とは言いにくいけど、仲良くさせて貰ってる人たちの晴れ舞台は見たいだろ。

 頼み込めば、生で収録見に行かせてもらえたかもしれないけどね。流石にそこまでやる勇気はないよね。あの杏は凄かった。マジで賢かった。マジ御見逸れ。三村さんも智絵理ちゃんもそれぞれ活躍してたし、良い回だったね。

 え、なんで一人かって? 高校の友達はなんか誘いにくいし、凛もなんか誘いにくかったからです。友達は今頃普通に過ごしてるだろうし、凛は多分事務所にいるね。ぼっちバンザーイ!(涙目)

 

 

『歳も私が11歳で、莉嘉ちゃんが12歳で、きらりちゃんが17歳!』

『そうだよー!』

『JCだよ~☆』

 

「おっ、やってるやってる」

 

 

 若干、と言うか結構迷ってはしまったが、何とかたどり着くことが出来ました。トークイベント現場。スマホが無かったら、原宿の迷宮に迷い込んでそのまま飢え死にしてた。

 途中から来ちゃったもんで、どういう話をしているのか全く内容が理解できない。ただ、莉嘉がJCアピールしてるのだけはわかった。ロリコン寄ってくるんだから。やめときな。顎の尖ったお兄さんが来ても知らねぇからな。ギリギリ守備範囲外かもしれないけど。

 

 

「すげぇな」

 

 

 思わずボソッと言ってしまうほど、ここの空間は少し異質だ。なんというか、千葉にある夢の国みたいな、ちょっと現実と離れたような世界観。

 

 今回のコラボ相手である、PikaPikaPoPとかいうブランド一色の装飾で彩られたトラックを改造したステージには、その装飾の雰囲気をそのまんま反映した様な衣装に身を包んだ凸レーションが元気にトークを繰り広げていた。

 会場には凸レーションのデビュー曲が流れており、そこらじゅうで今回のコラボグッズの販売も行われている。俺は流石にイメージと違うから買わないけど、パッと見た感じ売れ行きも良さそうだ。

 日本語は素晴らしいもので、こんな感じの非常に言語化しづらい世界観を、的確に表す固有名詞が存在するんですよね。きゃりー〇みゅぱみゅって言うんですけど。まさにあの世界観です。すっげぇ想像つきやすいでしょ? 俺もびっくりしてる。

 

 それにしても、どっちからコラボの話を切り出したのかはわからんけど、今回のコラボ衣装マジで全員似合ってるな。

 特にきらりなんかは普段のイメージとピッタリ。莉嘉も本人からしてみればもっとギャルギャルしい服が良かったのかもしれないが、ギャルと子供の間って感じがとても莉嘉らしい。そしてみりあちゃんは謎に露出が多い。

 この衣装選んだのってPさんじゃないよね? 絶対違うよね? そう信じたいんだが。あのトラックのステージで表情を変えずに、横から凸レーションを見守るPさんに少しだけ質問をしたくなった。

 

 

 

『凸レーションの三人の、お勧めのコラボグッズとかありますか?』

『きらりはねぇ~、このシャツがはぴはぴしててっ、とーっても大好きなんだぁ!』

『アタシはこのサングラスかな! やっぱり、イマドキはこーゆーオシャレな眼鏡もアリでしょ☆』

『私はね! ──────』

 

「普通にトークしとる」

 

 

 言ってることはよくわからんが、凸レーションの三人は普通にトークできてるね。やっぱりアイドルなんだね。あの三人の辞書の中には物怖じするって言葉なさそうだもんな。

 

 周りを少し見回すと、やはりファンの方々がたくさん見に来てくれている。たまにやっている路上イベントにしては、多いくらいに感じる。

 っていうか、意外と女性ファンも多いのね。まぁ、グッズ自体が女性向けってのはめっちゃありそうだけど。何なら男性6女性4、もしくは5:5くらいの割合に見える。ぱっと見だけだけどね。

 

 それにしても、今どきのオタクっておしゃれなんだな。男女にかかわらず、昔ながらの古風なオタクって言うのは絶滅したのかもしれん。今どきのあからさまオタクも見えるには見えるけど、それ以外は本当にただの若い青年や女性が多い印象だ。

 中でもあのかわいらしい帽子をかぶったピンク髪の赤メガネの女の子なんて、髪色だけでも目立つのにスラっとしてるしなんかおしゃれ……ん、ピンク髪? でも、ピンク髪なんているか。世界は広いからな。DJ〇るもピンク髪だったし、ゆ〇まるも一時期ピンク髪だったもんね。

 ん? なんかピンク髪の人こっち来たけど。っていうか、なんかすっげぇ面影ある超絶可愛い顔立ちしてるんだけど。

 

 

「なにしにきてるの★」

「いや、美……名前出したら不味いか」

「その配慮は助かるねー」

 

 

 なんとびっくり。超絶ハイパーウルトラカリスマギャルの城ヶ崎美嘉さんが変装をしてお忍びで来ていました。俺より先に、美嘉さんの方が俺の存在に気が付くんかい。普通逆じゃろ。

 

 美嘉さんってお仕事とか忙しくなかったっけ。美嘉さんのスケジュールとか知らんからわからんけど。少なくとも、今ここにぽっといるような人ではないんだよな。

 少なくとも、今ここで俺が美嘉さんなんて言おうものなら、ここはどんちゃん騒ぎになるところだろう。そしたらイベントどころの話じゃないからね。

 

 

「俺はまぁ、あいつらとは同僚みたいなもんですし。ちょっと気になって」

「じゃ、アタシと一緒だね」

「やっぱ、気になりますか」

「心配はしてないんだけどね」

 

 

 美嘉さんは心配してないって言うけど、多分それは半分本当で、半分は嘘なんだろうな。めっちゃ予想でモノを言っちゃってるけど。

 今日は莉嘉のイベントだもんな。初めてのイベントでは無いにしろ、姉貴としては妹の表舞台での活躍を見たくなるのは当然だろう。俺だって妹か弟がステージに立つってなったら、顔くらい覗かせるだろうし。多分。

 

 

「でも、そろそろあいつらの番、終わりそうっすよ」

「そうだねー。光は最初から見てた?」

「全然全く。余裕で間に合いませんでした。そちらは?」

「アタシは一応最初から。ま、タイミングが良かったからさ★」

 

『それでは、今回のコラボ相手でもある、凸レーションでしたー!』

 

 

 俺は大好評につき道に大迷いしてたからね。スマホがあってマジでよかった。無けりゃ新宿で飢え死にしている所だった(二回目) それか炎天下の下、アスファルトの上で干からびてるミミズみたいにゾンビになるとこだった(初)

 

 そんなことを話している間にも、もう凸レーション引っ込んでったしな。顔が見れただけでも十分だったんだけどね。三人とも、みんな元気に自分の良さを出せてたし。俺は良いと思うよ(後方P面)

 ただ、新宿までせっかく出てきたのに、このまま帰るのはちょっと寂しいよな。ここら辺になんか良い店無いのかな。よくわからんけど、スタバとかは腐るほど有りそう。腐るほど人が多そうだけど。

 

 

「じゃ、一緒に控室の方行こうよ★」

「いや、流石に通らないっすよ。普通、関係者以外立ち入り禁止……」

「大丈夫大丈夫。アタシと一緒に行けば、顔パスだって。光だって、立派な関係者でしょ★ ほら、行った行った★」

 

 

 そんな大胆な。って思いながらも、ぐいぐいと背中を押してくる美嘉さんには対抗できず。会場の裏にある、出演者が控えている小屋に向かうことに。

 

 美嘉さんに連れられてではあるとは言え、こういう関係者以外立ち入り禁止の場所に進んで行くって、なんかアレだね。物凄く緊張するね。本当なら、熱烈一般男性だからね。ここにいていい人じゃないんだから。

 手前に見えてきた一つのちょっと大きめの小屋みたいなヤツ。中身が一切見えないようになっているあの臨時の特設の小屋みたいなところに、恐らくきらりたちがいるんだろう。

 

 

『Pくん! どうだった?』

『ちゃんとできてたかな?』

『はい。ファンの皆様にも、喜んでいただけたようですし。上々かと』

 

 

 中から元気な幼女の声と、ドチャクソイケボの低音ボイスが聞こえてくるし。

 ま、来たのはいいものの。僕からは入れないんですけどね。だって、入って良いのかわからないし。

 

 

「初めてにしてはねー★ ま、及第点かな」

「すみません、関係者以外は……」

「お姉ちゃん! 今日仕事って言ってたのに!」

「時間できたからちょっと寄ってみただけだって。ほら、そんなとこいないで、入ってきなって★」

「美嘉さん、入りづらいっす……」

「光くんも来てくれたんだー!」

「来ちゃった」

「城ヶ崎さん……? 松井さんも……」

「もち、顔パスだよね★」

 

 

 美嘉さん、めっちゃ普通に入って行くやん。これが場慣れってやつか。違うかもしれん。

 小屋の中では、凸レーションとPさんが絶賛アフタートーク中でした。お邪魔してすみません本当。美嘉さんに関しては、本業のお方なので良いとしても、僕はただのスタジオミュージシャンだからね。ここにいる人じゃないからね。

 そりゃあ、美嘉さんレベルの人間で顔パスじゃなければ、へべれけふわふわダジャレ大好き超絶美人か、うちの事務所で君臨しているベ〇ネッタさんくらいしか顔パス通じねぇよ。

 

 それにしても、多分美嘉さんが来た瞬間に抱き着いたであろう莉嘉は可愛いね。本当に良い姉妹。似ているような似てないような、けど似ているようなそんな姉妹。二人そろってアイドルなんだからすげーよな。

 

 

「莉嘉はPの事チラチラ見すぎ。ちゃんとお客さんに集中すること」

「はーい。ぶー」

「きらりちゃんは良いキャラしてるから、もっとバンバン出していこ★」

「ばんばんー?」

「美嘉ちゃん! 私は?」

「みりあちゃんは優等生過ぎかなー。まぁ、可愛かったから良いけど★」

「甘いー!」

「えへへ……次の回は、いっぱい話せるように頑張るね!」

「そっか。もう一個現場あるんでしたっけ」

「はい。この後は、新宿の方で」

 

 

 はい、大先輩美嘉さんからのありがたいお言葉です。もうね、的確過ぎるよね。見てる部分もちゃんと細かいし、欠点を指摘しながらも傷つけないような言い回しをしている。莉嘉にだけ言い方が厳しいのは、身内ってのもあるだろうしね。

 話は変わるけど、変装を解いた美嘉さんやっぱべらぼうに可愛い。顔面が良い。普段は髪の毛結んでるけど、下した時の感じがヤバイ。ギャップ。危うく惚れるわ。

 

 それにしても、美嘉さん本当に姉御肌だよなぁ。年上組の中では、夏樹さんや美波さんに次ぐ姉御肌かもしれん。菜々さんと楓さんはちょっと違うし。

 だって見てみ? 周子さん、志希ちゃんさん、フレデリカさん、姫川さんって、極端にもほどがある。丁度良い人はおらんのか。きらりさんが枠だけで言えば、そこに入るんだけど、それもおかしいんだよな。

 

 

「Pは、何かある?」

「……お客さんをもっと、巻き込みたいと思いました。ファンだけでなく、偶然通りがかった人にも、足を止めて頂けるような」

「それ思った! スルーされるの、寂しかったもん」

「これまた難しいことを言いますね」

「……この三人なら、それが出来るかと」

 

 

 信頼すげぇな。まぁ、自分の担当アイドルの事を信頼できなくて、なにがPだって話ではあるかもしれんけど。

 興味のない人を引き付けるためのパフォーマンスなんて、とんでもない高難易度だぞ。それこそ、あっと驚くようなことをやるしかないし。そんなもん、突発的に思いついたとしても、大抵リスクが高いオチだからなぁ。

 

 

「んー、どうすればいいのかな?」

「うにゅ~」

「カブトムシ捕まえるとか!」

「そういうのじゃないでしょ。ほら、さっさと出る準備しな」

「はーい。光くんのえっちー!」

「はいはい。出てく出てく」

「覗かないでよね☆」

「お前にゃまだはえーよ」

「変なこと言ってないで、さっさと支度する!」

 

 

 ばっきゃろう。俺は莉嘉が守備範囲に入るほどロリコンじゃないし、顎も尖ってねぇんだ。どちらかと言うときらりの方が不味い。年齢的に近いから。まぁ、女の子の着替えの場にいるって言うのが一番まずいんだけど。

 流石に着替えはここでしないよな? 一応、ちゃんと出てくけど。Pさんもさっき出て行ってたからな。電話かかってきてた臭いから、それの対応だとは思うんだけど。

 

 

「ごめんねー。莉嘉に変なこと言わせちゃって」

「可愛いじゃないっすか。この発言、事案にされそうですけど」

「莉嘉は隙あらばそういうの狙ってるからねー」

 

 

 美嘉さんと一緒に小屋の外に出ると、外では丁度Pさんが電話を終わらせていたタイミングだった。そんな長電話になる内容じゃなかったのかな。とはいえ、タイミングバッチシだけど。

 

 

「次の回、どうするの?」

「……引き続き、三人の思うように進めてもらおうかと」

「なにそれ! 丸投げ?」

「いえ。凸レーションは、自由に行動させたら面白いユニットだと思います。三人に、賭けてみたいんです」

「ま、あの三人なら突拍子のない方向に行っても、きらりさんが上手い事やってくれると思いますしね。あの子、そういうのすげぇ上手だし」

「……良いけど。責任取るのはPの仕事だし」

「はい」

 

 

 美嘉さんはあからさまに不満そうだけど、ここは俺もPさんに同意見だなぁ。きらりさん、莉嘉、みりあちゃんの三人で構成されたこのユニット。一見、止まることを知らない暴走機関車に見えるが、実態はそうでもない。

 

 言い方を変えると、莉嘉とみりあちゃんが突っ走ることがあっても、しっかりときらりさんが止めてくれるのだ。

 この諸星のきらりさん。言動と身長と姿恰好からは想像つかないほどの常識人というか、人の空気を読んでしっかりと場を回してくれる、まさに賢くて頭の回るムードメーカーなんですよね。杏と相性がいいのも納得できる。

 そんな彼女がこの幼女二人と合わさると、幼女二人の天真爛漫さときらりさんの世界観が合わさり好相性。更に中身もしっかりと動くという、ちゃんと相性のいいユニットになっているというわけ。こればっかりは、Pさんの人を見る力が凄いとしか言えんわ。

 

 

「それじゃ、アタシはここらへんで失礼するから。光はどうする?」

「うーむ……俺は暇なんで、この後は直帰ですかね」

「勿体ないじゃん! せっかく新宿まで来たんだし、服見てこうよ★」

「財布の中身、今ないです」

「見るだけだから★ なんだったら、アタシがおごってあげるし! 次の仕事までアタシも時間あるからさ、ほら、さっさと行っちゃお!」

 

 

 いや、美嘉さんノッリノリ。前に俺の服を見てくれるとか言ってくれてたもんな。確か、あの時は志希ちゃんさんとフレデリカさんに連行されて水着を……思い出すのやめとこ。うん。

 

 それにしても、幾ら相手が超人気アイドルの美嘉さんとは言え、女性に奢ってもらうのは不味い。なんなら、今すぐにでも金下ろしてくるか。それはそれでちょっと印象あれだな。難しいね。

 

 

「美嘉さん、不味いっすよ。俺らって年齢近いですし。二人で行動してるのを変なのにでも撮られたら、俺死刑っす」

「大丈夫だって。光には、うち所属のスタジオミュージシャンって肩書があるんだし、そう言ったやましいことも思ってないでしょ?」

「美女と二人で買い物は、正直展開としては物凄く美味しいですけど」

「なら、断る理由は無いじゃん★ さ、アタシもそんな時間たっぷりは無いし、ちゃっちゃと行って、似合う服探してみよ★」

 

 

 この後、10分くらい美嘉さんは俺について服とか選んでくれた。次の仕事もあるだろうに、時間いっぱいまで色々と俺のために服とか選んでくれてありがてぇ。

 とりあえず、全部写真撮っておいたわ。今度、凛あたり捕まえて一緒に買いに行こう。そうしよう。

読者層気になるので知りたいアンケ

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