女子寮生活は難儀です   作:as☆know

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何がとは言いませんがクックパットで調べました。自己流のやり方でええかなとは思ったんですけど、間違えてたら主婦の方々から焼肉にされかねませんのでね。
この世でいちばん怖いのは主婦とGだと思います。


オカンの味、カレーか肉じゃが説

 

 圧力鍋の圧を抜いて鍋の蓋を開くと、湯気の奥にたくさんの具材が見える。煮汁の色に軽く染まったじゃがいもに箸を通してみると、箸は簡単にじゃがいもを貫く。

 うむ、柔らかい。やはり圧力鍋は正義か。

 

 

「出来た」

「待ってましたー!」

「もうできはったんかいな……」

「圧力鍋は正義なのだよ」

 

 

 豆腐と油揚げの入った赤だしのお味噌汁を器に取り分けて、紗枝ちゃんに手渡す。

 それにしてもここが二口コンロで地味に助かった。やっぱり料理をする上で、同時進行は基本だからな。

 

 材料を取りに行って貰う前に、二人に何が食べたいと聞いたんよ。

 そしたら和食がいいって二人揃って言うもんだから、短時間で簡単な和食……うーん、肉じゃが!w という安直な考えの元、今日の晩飯は肉じゃがとお味噌汁にした。圧力鍋さえあれば時短なんか簡単に出来るからな。

 

 肉と人参とじゃがいもと玉ねぎを切って鍋にぶち込んで炒める。後は醤油やら砂糖やらみりんやらで作った煮汁を入れてちょちょいのちょいよ。

 お味噌汁に関しても今はだしパックという時代の中で生まれた超便利な代物があるからな。

 

 最低限の調味料しかないからTheって感じの味になったわ。まま、人に出すものならこれがちょうどいいだろう。

 白いご飯に関しては周子はんがにこにこ顔でぱくってきてた。何から何まで厨房から持ってきてたけど、大丈夫なんだろうか。後で俺が怒られたりしないよな?

 

 

 

「はよ食べよー。もうお腹ペコペコやわー」

「周子はんも自分の分運んでや」

「はーい」

 

 

 これもうどっちが年上なのかわかんねぇな。

 それにしても備え付けの机。3人で使うにはせめぇと思ったけど。案外そんなことはなさげだな。

 あと、紗枝ちゃんが着物だからってのもあるかもしれないけど。3人で肉じゃがを囲んでご飯を食べる準備をしてると、なんか昭和の家族って感じがする。床は畳じゃなくてフローリングだし、みんなそこに直で座ってるけど。

 

 てか普通にこの部屋も広いし備え付きのベッドも机もテレビもデカくていいやつなんだよな。めちゃくちゃ金かけてくれてる。正直超助かるし超快適そう。まだここで寝たことすらないけど。

 

 大きな皿にごそっとよそわれた肉じゃがを机のど真ん中に置く。安定のメインのおかずはセルフだから自分の分は自分でとってねってやつだ。取り分けるのめんどいし、みんな学生だからこんなんでいいのだ。ほら、周子さんも実質学生みたいなところあるし。

 

 

「ほな、いただきます」

「「いただきまーす!」」

「肉じゃがもーらい!」

 

 

 ん〜、とうなりながらパクパクと口の中に肉じゃがとご飯を持って行く周子はんよ。いい食べっぷりだ。これだけ美味しそうに食べてくれたら、こっちも作ったがあるってもんよ。全然作ったのに時間かかってないんだけど。

 それに対して紗枝ちゃんの方はなんというかまぁ、お行儀が良い食べ方をしている。正座だし、背筋ピーンってしてるし、育ちがいいってレベルじゃないぞこれ。もはや大和撫子魂を薄めずにそのままぶち込まれたみたいになってる。

 

 てか周子さん肉ばっかとるやん。食べ盛りの男子中学生かよ。じゃがいもだって玉ねぎさだって味染みてて美味いんだから食いなさいよ。

 

 

「京都の女の人ってみんなこんなおしとやかな感じなんかな」

「紗枝ちゃんはよくできた子だからねー」

「周子はんも、これでもええところあるんどすえ?」

 

 

 それはわかるよ。

 暇つぶしでここにきてくれたとはいえ、なんだかんだ材料とか持ってきてくれたし。全て自分の為だしと言われればそれまでかもしれないけど。なんだかんだ面倒見のいいお姉さん感はあるよね。

 何しろ顔がいいから何やってもよさそう(ド偏見)

 

 

「あれ? 周子さんって出身どこなの?」

「あたしは京都。紗枝ちゃんと一緒だよー」

「マジか」

「紗枝ちゃん並みにコテコテの京美人なんて絶滅危惧種だって」

 

 

 言われてみれば、紗枝ちゃんみたいなこれぞ京都の女の人ってのを絵に書いたような人はもう見ないしな。これぞ関西のおばちゃん!っていうようなおばちゃんは中学の時に大阪で見たけど。

 マジで実在するんだよな。トラ柄の服を着て、髪の毛は少しパンチパーマみたいになってて、コテコテの関西弁で声がデカくて、それでいてめちゃくちゃ面倒見のいいおもろいおばちゃん。飴もらったわ。

 

 

「そういや紗枝ちゃんがあまりにも完璧な京の人すぎて気がつかなかったけど、周子さんもちょくちょく関西弁出てた気がするわ」

「意図的に使ってないわけではないんだけど、どうしてもたまにぽろっと出てきちゃうよね。特にこの子といる時は」

「別に悪いことやありまへんえ〜」

「そうですよ。方言女子って可愛いじゃないすか」

「もしかして口説いてる?」

「だとしたらファンやらに殺されますよ」

 

 

 俺はここでは絶対に恋愛しないって決めてるんだ。

 まぁ、俺に限って一目惚れなんてことは絶対にないだろうし大丈夫だろうけどな。今まで16年間生きてきて一度も一目惚れをしたことがなかった俺を舐めるんじゃねぇ。

 

 女の子を見て可愛いとは思えど、小さい頃から美少女の凛を見ているおかげで女の人に一目惚れをするということがないんだよね。

 凛、マジで顔は最強クラスだからな。なんなら俺は中学の時点でなんでこいつはスカウトとかされないんだとずっと不審に思ってたから。こいつ顔は完璧なのに世間のスカウトは一体何を見ているんだ、節穴なのかと思ってたから。

 

 

「こんな可愛いアイドルを目の前にして口説かないとか、光くんには愛しの彼女でもいるの?」

「残念ながら彼女いない歴=年齢ですよ」

「光はん、いけめんやと思うのに意外やなぁ」

「彼女欲しくないの?」

「いやー、付き合ったとしても女性のこととかよくわかんないですしね〜」

 

 

 デートとかまじで何をすればいいのかわかんないしな。

 ほんとにどこ行けばいいの?千葉のネズミの国にでも行けばいいの? 普段滅多に行かないからわかんないけど、あそこってめちゃくちゃ入場料とか高いんじゃないの? 普通に他の遊園地でいいの? 動物園とか水族館とか? ぼくわかんない。

 

 

「ええ感じの人もおらへんの?」

「いい感じって……女友達は何人かいますけどね」

「それじゃあダメそうだね」

「ダメそうってなんすか、ダメそうって」

「女友達として見ている時点でその先は無いのだよ、少年」

 

 

 そういうものなのか。でも凛の事は友達的なよくわからん概念として見てるもんな。そう思うと納得がいくかもしれん。

 

 

「女の子って難しいんですね」

「そんなもんどすえ〜」

「というか周子さん。肉がもうほとんどない気がするんですけど」

「気のせいじゃない?」

「気のせいじゃないんだよなぁ……」

 

 

 いつのまにか二杯目の白米に手をつけながら知らん顔している周子さんをジト目で睨みつける。が、当の本人は知らん顔だ。というかそんなに白米持ってきて誰が食うんだと思ったけどあなたが食うんですね。そんなに食ってるのになんでそんなにスタイルがいいのだろうか。

 やはり女の子は不思議な生き物なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ごちそうさまでしたー!」」

「ほな、後片付けはうちがするもんで、光はんはゆっくりしてな」

「あっ、どーもどーも」

 

 

 腰を上げて台所に向かう姿を見ると、昔の日本の男はこういう景色を見てたんだろうなぁと思うね。着物っていいものだわ。

 

 

「……それで、周子さんはなにしてるのかな?」

「ん〜? 何って、ス○ブラの準備だけど」

「まだやる気なんですか」

「当たり前でしょ」

 

 

 周子さん、さっきからゲームしては飯食ってすぐゲームって……ニートかな? アイドルとはいえ、やっぱりただの女の子なんやなって……

 

 飯食ったし、運動がてら荷出しをしようと思ったんだけど……まぁいいか。とりあえず寝る前に抱き枕とクッションさえ出せればおれはそれでかまわんし。

 昔みたいに凛がベッドに転がり込んできて寝ることももう無くなったし、抱き枕とクッションに囲まれてないと寝るとき不安になるんだよ。ギバラの部屋みたいにしたいんだよ。メンヘラ女の部屋みたいになれば完璧なんだよ。

 

 

「周子はん、あんまり遊んでばかりやとあきまへんえ」

「えー、いいじゃないの別に〜」

「光はんも今日きたばっかで大変なんやから。そもそもうちらは手伝いに来たんどすえ?」

「そういえばそうだったね」

「忘れてたんかい」

 

 

 いや、忘れているっぽいよなーとは思ってたけど。多分遊ぶしかなかったんだろうけど。

 それでいいのか、アイドル塩見周子。俺は周子さんがどんだけテレビに出ててどんなキャラで通してるのかは知らんけど。これを見たファンは泣かないかね。

 

 

「て言ってもさ。あとは何が残ってるの?」

「何がって?」

「そりゃあ荷物よ。自分で持ってきてたんでしょ?」

「いや、親が全部ぶち込んだんで。なんなら俺まだ家に帰ってないですし」

「そんなことあるんだ……」

「俺もいまだに信じられないんだけどね」

 

 

 周子さん、あなたがそんな人を哀れむような目で見ないでくれ。能天気でいてくれた方が助かるんだ。じゃないと俺が悲しくなる。

 それにしても、考えれば考えるほどおかしいなこの状況。絶対にどっかに高い点あったはずだろ。一週間の仮入寮で妥協した俺がバカなんだけど。

 

 いや、待てよ? 俺が仮入寮するって決まったのは今日のしかも昼だよな? なんでそのあとすぐに荷物が届いたんだ? いつから親とちひろさんは準備してたんだ?

 あれ? ……あれぇ???

 

 

「それじゃあ紗枝ちゃんも言うことだし。パパッとしちゃいますか〜」

「えっ、本当にやってくれるんすか」

「元々そのために来たんどすえ?」

「そーそー。一応センパイとして、後輩くんの面倒はしっかり見ないとねー」

 

 

 ヤバい、軽く泣きそうなんだけど。俺は今、全力で人の温かみを感じてるよ。

 急に女子寮に押しかけてた意味のわからない赤の他人の男子高校生の荷出しを手伝ってくれるだなんて、冗談抜きで天使か? 天使なのか?

 

 このあとめちゃくちゃなんのイベントもなく、荷物全部一時間くらいで出し終えた。ちなみに、荷物の中身は食器やら服やら抱き枕やら大量のぬいぐるみやら時計やらPS4やらその他諸々でした。なんの面白味もないね。

 

 ごめん。俺のパンツを周子さんと紗枝ちゃんに見られるってイベントがあったわ。周子さんは全く反応しないで『これ、何処に入れとく?』って聞いてたけど、紗枝ちゃんの方は普通に恥ずかしがってた。

 ごめん、紗枝ちゃん。お目汚ししました。俺はファンに殺されるかもしれん(n回目)




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