世界は全て俺のもの   作:悠魔

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財閥の馬鹿息子

「ーーいい加減に聞き分けなさい、アルバート」

 

壮年の男性は、来節で10歳になる息子に言い聞かせるように言った。

子供の歳が二桁になったら、親は子供に厳しく接するべきだ。そう聞いた事はあったがーーこれでも、貴族としてあるべき姿を教育してきたと自負していた。

しかし、息子はあらぬ方向へ成長した。

アルバートは類稀なる才能を持ち、剣も魔導も優秀な成績を残した。しかしそれを帳消しにしてしまう程の道楽好きで、何でもかんでも欲しがったのだ。

玩具も、本も、馬も、紅茶も。

 

「次は何を強請られるかと思えば、帆船が欲しいだと?まだ9歳のお前が?馬鹿を言うのも大概にしなさい」

「ーーもう9歳だ、父上。いいじゃないか船の十隻や二十隻くらい」

「数が多すぎだ!」

「父上、俺は船団が欲しいのだ。遠洋航海に最適なキャラックの船団。それに乗って世界中を旅して回るのだ」

「夢物語、だ!そんな子供じみた妄想、叶う筈がないだろう!前節の魔導大会で優勝したから何か褒美をやろうかと思ったが、その話は無しだ!来節の誕生日プレゼントも無いものと思え!貴族たる者、慎みを持って生きなさい!」

「…………」

 

息子の道楽ぶりにほとほと呆れ返る。

なにせ、傲慢・暴食・色欲・嫉妬、そして強欲の五つの大罪を抱えているのだ。貴族とは何たるかについて、もっと厳しく教育せねばなるまい。

しかしタイミングの悪いことに、自分は明日から一ヶ月ほど家を留守にする。大事な商談があるのだ。自領の領民達とのゴタゴタもまだ片付いていないというのに……。

 

しかしその問題は勝手に解決していた。

説教したとはいえ、息子の誕生日くらいは一緒にいてやらねばと思い家に帰ると、すぐ近くの港に巨大な機帆船が停泊しているではないか。船体はド派手に赤くコーティングされ、船首には龍を象った装飾。趣味全開の浪漫船である。

そしてその船の上で声高らかに笑うのは、やはりと言うべきか、自分の息子。

アルバート・ザ・キッドだ。

 

「ふはははーっ!良いだろう父上!全長55メートルの大型キャラック船!完成間近の船を改造してな!全体に赤いペンキを塗りたくり、腕利きの職人どもに頼んで装飾も付けさせた!俺様が最初に手に入れたこの船を、『ギガント=マキア』と名付けたぞ!特に意味はないが響きはカッコいいだろつ!」

「な……あ……だ、誰だ、アルバートに船を買ったのは!」

「俺自身だよ父上!自領内のゴタゴタを解決し、双方に益のあるように平定した!その際に有りっ丈の金を貰ってな、こうして自分用の船を手に入れたと言うわけだ!」

「は!?パルミラ人と現地人との利権問題だぞ!?」

「大した事ではない!船が手に入らない事の方がよっぽど大問題だ!さあ、貴様達!出航するぞ!!」

 

今日で10歳になる船長に付き従うのは、老若男女宗教出身問わず集められた精鋭。屈強な身体のパルミラ人に、高い知恵と発想力を持ったダグザの人々。領内一の優秀なコックに、果ては専属メイドまで。

彼の父親は、未だ彼のことを正しく認識できていなかったのだ。

アルバート・ザ・キッドは、度を越えた欲しがり屋でーーそして、度を越えて優秀すぎるのだ!

 

ーー七年後。

 

「アルバート様、次は何をお望みですか」

「そうだな。ファーガスの職人達が作る美しい芸術品の数々が欲しい。あの陶器はまさしく美だ。アドラステア帝国の広い空で育てられたペガサス達も欲しいところだ。……ううむ、いっそのこと他国の貴族達とコネクションが取れれば良いのだが」

「ではガルグ=マク大修道院に併設されている士官学校に入学されてはどうでしょう?あそこは貴族達や商人の子供達が通うので人間関係の幅を広げやすく、何より自己の研鑽にもなります」

「ほう、良いアイデアだ!いいだろう!士官学校、俺様が入学してやるぜ!」

 

ーーこうしてアルバート・ザ・キッドという破天荒な男は、士官学校にて剣を振るい魔法を唱えるようになったのだった。

 

 

◯アルバート=ザ=キッド

 

およそ百年前にフォドラにやってきたキッド家の御曹司。当時、紋章を持たない一家でありながらその手腕と海洋関連の生産力の高さでレスター諸侯同盟に無理矢理取り入った異色の経歴を持つ。

自他共に認める放蕩息子で、度々従者を連れて海に出ていたらしい。金を稼ぐ能力は高いがそれ以上に荒使いも激しく、それが原因で親からはほとほと呆れられている。

派手な赤髪が特徴。

級長達はそれぞれ、

エーデルガルト→『紋章によらない実力主義社会』

ディミトリ→『弱者が虐げられる事のない世界』

クロード→『民族や信仰の違いを乗り越えた多様性のある社会』を目指しているが、彼は『欲しい物全てが自分の所有物となった世界』という異質な目標を掲げている。

 

年齢:17歳

身長:179センチ

紋章:???の紋章

肩書:御曹司

所属:金鹿の学級

趣味:金策、賭け事、航海

紅茶: アーモンドティー、南方の果実茶、ダグザの着香茶

好きなもの:食事、芸術品、自由、帆船

嫌いなもの:怠惰、平凡

得意技能:剣術、指揮、理学、馬術

苦手技能:信仰、重装

才能開花:槍術

個人スキル:財閥の血統

 

剣も魔法もこなせる両刀型。支援系の魔法は一切覚えない、攻撃特化のステータス。防御面に不安が残るが、級長並の成長率のためそこまで気にならない。

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