この素晴らしい世界にパー子を!   作:Tver

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プロローグ
死後の世界にて


「田中舞さん、あなたは不幸にも先程、お亡くなりになられました」

 

「は、はい?」

 

私は突然、目の前の青い瞳に青い髪をした女の子にそんなことを告げられ、素っ頓狂に、そんな返事をしてしまった。

新手の誘拐か何かだろうか。誘拐にしては、別に縛られてもないし…。

なぜこのようなところにいるのだろうか。

こうなる前の記憶がどうしても思い出せない、と私が困惑していると、目の前の女の子は話を続けた。

 

「私は日本において若くして亡くなった人を案内する、女神アクア。戸惑うのも無理はありません。しかしながらあなたの人生は既に幕を閉じてしまったのです」

 

その女の子は女神を名乗った。

女神アクアと。

女神だなんて、普通であればそんなことを自称する人など信じられる訳もないのだが……。

自分が死んだということ、それに加え目の前にいる女神。

にわかには信じがたいのだが…。

冷静に周りを見渡して、ここがただっ広い空間に椅子が2つだけ置いてあるという通常ではありえない状況を目の当たりにし、とりあえず自分の死因を聞いて、何か思い出そうと試みた。

 

「あ、あのー、私はどうやってしんだのでしょうか?」

 

「あなたの死因?あなたは、道で転んで死んだのよ?」

 

「は、はいぃ!??」

 

またもや素っ頓狂な返事をしてしまった私だったが、転んで死んだと言われれば、このような反応にもなる。

そんなバカみたいな死に方が………死に方が……あった気もする……ような……。

あっ!……私は全てを思い出した。

 

───それはとても寒い日だった。前日に降った雨の水溜まりに氷が張るほど、寒い日だった。

私は大学に行くために早朝に家を出て、駅に向かって歩いていた。

そして氷が張っている水溜まりを見て、私は思った。

のったら割れちゃうかな?と。

それはとても軽い気持ち、好奇心だった。

その好奇心には抗えず、私は水溜まりに脚をのばす。

だが、その氷は割れるどころか、とても固くて……、体重をかけた瞬間………。

 

「あなたは氷の張った水溜まりで脚を滑らせ、後頭部を殴打。

それが致命傷となって、死んでしまったの。プークスクスクス!

私あなたみたいな間抜けな死に方久しぶりにみたわ!」

 

なんだろうこの女神様。絶対に仲良くなれない気がする。

どうも最初は猫を被っていたらしい。

猫かぶりには疲れたみたく、その後は素のままで説明してきた。

 

───どうも私にはこの後3つの選択肢があるらしい。

1つ目が、天国という名の地獄でほのぼの暮らす。

2つ目が、赤ちゃんからやり直す。

そして3つ目が…

 

「あなたみたいに若くして亡くなった人に、何か一つ特別な能力か武器を持たせて、その世界に転生してもらっているの!」

 

そう3つ目は、チートを貰って、強くてニューゲームである。

私は迷わず、3つ目を選んだのであった。

 

「そうでしょう、そうでしょう!異世界転生なんて憧れるものよね!

そうと決まったなら、カタログを持ってくるから1つ好きなのを選んでくださいな」

 

「カタログは大丈夫です。もう貰うものは決めました………。その世界は魔法が使えるんですよね?でしたら、あらゆる魔法を使えるようにして下さい!」

 

なぜこんなに早く決めれたかと言うと、恥ずかしながら異世界転生したらなどという厨二病くさいことを、以前考えたことがあったのだ。

まぁその時もすぐ考えついたのだが…

何を隠そう、私の幼い時の夢は魔法少女になる!!!という可愛らしいもので……。

まさか本当に叶うとは…

 

女神様は私の願いを聞くと、少し唸り声をあげて悩んでいたが、ぽんっと手を打った。

なにか思いついたようだが、昭和くさいな。

 

「そうね、じゃあ、あなたには膨大な魔力を差し上げましょう。それも女神の私にひけをとらないような、膨大な魔力を!あなたは知力も高そうだし、魔力さえあれば、アークウィザードになってあらゆる魔法を使えるようになるわ!」

 

「分かりました。それでお願いします!」

 

そう返事すると、私の周りに魔法陣のようなものが浮かび上がった。

 

「さぁ、勇者よ!願わくば、数多の勇者候補の中からあなたが魔王を討ち倒すことを祈っています。魔王を倒した暁には、何でも1つ願いを叶えましょう!」

 

女神様が決めゼリフのように、そう言うと私の体は、淡い光に包まれてゆっくりと浮かび上がり……。

次第にその淡い光は赤く点滅しだす。

それはまさに警告を表しているかのように………。

 

「あ、あれ?魔法陣の反応がおかしいんですけど。今までこんなことなかったんですけど!これってもしかして、例の頭がパーになる前兆…かしら…?」

 

そのような不穏な声が聞こえてきた。

 

「ちょ、頭がパーっ…」

 

そこまで言いかけて、私の意識は真っ白になった。


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