この素晴らしい世界にパー子を!   作:Tver

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アクセルの危機

「あんたも早く逃げた方がいい!デストロイヤーがくるぞ!」

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

私の言葉はその男性には届かず、そう言い残した彼は、そのまま走り去ってしまった。

先程の男性の焦りようは尋常なものではなかった。

 

デストロイヤー。

以前、依頼の中に進路調査クエストがあり、そこで初めて名前を聞いた。

つい昨日もアクアが指芸で、デストロイヤーの真似をしてくれた。

 

結局どのようなものか知らないが、よく聞くそのデストロイヤーと言うやつが近づいているらしい。

名前的に確かに物騒だが、そんなに慌てて逃げるようなものなのか。

以前めぐみんが、子供たちに妙に人気があると言ってた気がするのだが…。

 

男性が走り去ったあと、そこには私だけが取り残されていた。

自然の音だけがその場に響いている。

その音に耳を傾けると、様々な動物が鳴く声が聞こえる。

空にはたくさんの鳥が羽ばたいている。

 

人だけではなく、動物たちも逃げ出しているようだ。

それ程までに危険なものなのだろう。

モンスターが少ない所とは言え、モンスターに全く遭遇しないのも、人や動物だけではなく、モンスターも逃げ出しているのかもしれない。

 

私も冒険者の端くれ。

危険度を理解したからと言って、そのまま逃げる訳にはいかない。

更にこの先は穀倉地帯である。

先程の男性のように、既に皆逃げ出しているとは思うが、何も知らずに、取り残されている人がいる可能性もある。

私はそう思うと、男性が逃げてきた方に進むことを決めた。

 

1人になって昨日の夢について考えるために、わざわざ早朝から出かけたのだが、この分だと考えるのはデストロイヤーをどうにかしてからになりそうだ。

 

 

 

 

□□□□□□□

 

 

 

 

しばらく進むとそこには、一面の穀倉地帯が広がっていた。

私はその広さにも驚いていたが、別の要素でも驚いていた。

それは、1人どころかまだたくさんの人がそこに残っていたのだ。

荷車を引く者、穀物を収穫しようとする者、農耕具を荷車に積み込む者。

各々が作業をしている。

まさか危険が迫ってることを知らないのではないか…。

 

だが私はそんな人達の姿を見て気づくことがあった。

それは皆が皆、とても慌ただしい様子だったのだ。

彼らは危険が迫っていることを知っている。

知ってて尚、作業をしているのだ。

まるでここには何も残らないと考えているように…。

 

私はしばらくどうしたものかと考えていると、荷車を引いたおじさんが近くを通りかかった。

私はそのおじさんに声をかける。

 

「あのー、デストロイヤーが来るって聞いたんですけど、皆さん早く逃げなくて大丈夫なんですか?」

 

「あん?何言ってんだ。大丈夫じゃないに決まってんだろ。それでも少しでも多くのものを持ち出すために皆躍起になってんじゃねーか」

 

やはり皆、危険を承知で作業をしていたらしい。

だがなぜそこまで危険を冒すのか。

デストロイヤーが危険なのであれば、ここに留まらず、早く逃げた方がいい。

穀倉地帯も多少荒らされることになるかもしれないが、それは仕方がないことだ。

危険が去った後に、立て直すなりするのではだめなのだろうか。

 

「デストロイヤーが過ぎ去ってから戻ってくるのでは、だめなのですか?」

 

「あれが過ぎた後に戻ってきても、もうここは更地になって何も残ってないさ。デストロイヤーが過ぎたあとは草すら残らないってよく言う話じゃねぇか」

 

な!?

こんな広い穀倉地帯が更地に!?

デストロイヤーとは、そんな危険なものなのか。

私は驚きを隠せなかった。

 

「デストロイヤーって一体なんなのですか…?」

 

「あんたその身なり、冒険者だろ?そんなことも知らないのか?デストロイヤーって言うのはな───」

 

開いた口が塞がらない。

そのおじさんに聞いた私はまさにそんな状態だった。

デストロイヤー。

正式名称、機動要塞デストロイヤー。

古代魔導王国によって生み出された、歩く要塞。

デストロイヤーが過ぎ去ったあとは草も残らないという、まさに歩く災害。

そんなものがここに迫っているらしい。

皆が慌てて、荷造りをする訳だ。

 

「私にも何か手伝えることはありませんか!?」

 

「そんな線の細い女にはできることはねぇぞ」

 

「私これでも筋トレしているので!」

 

私はそういいつつ力こぶをみせつけた。

それはあまり力持ちには見えないが、冒険者カードのステータスでは筋力はかなり上がっているので、そこらの一般人よりかは力はあるはずだ。

私の自信満々の様子を見て、諦めたかのようにいくつか手伝いをさせてくれた。

 

こんな所でダクネスから教えてもらった筋トレの成果を発揮できるとは思っていなかった。

帰ったらダクネスにお礼と、なにかプレゼント…そうだ可愛い服でも贈ってあげよう。

そんなことを考えつつ、私は皆に混ざり、収穫した穀物を運んだり、農耕具を運んだりと作業を行う。

 

冒険者である私が加わることでいくらか作業が捗ったように思える。

だが、それでも尚作業に終わりは見えない。

そうこれだけ頑張っても穀倉地帯はあまりにも広い。

普段であれば数日かけて収穫作業を行うであろう広さをたった数時間で終われるわけがないのだ。

それに加え、農耕具や備蓄分も運ぶとなるとまだまだなのだ。

 

「冒険者のねーちゃん!こっちの荷物も頼むわ!」

 

私は呼ばれた方に行き、荷物を運ぶ手伝いをする。

作業量を嘆いている場合ではない。

少しでも多くのものを持ち運べるように私は手伝いに徹するのだ。

そう決心した時だった、その声が響いたのは。

 

「デストロイヤーが来たぞー!」

 

 

 

□□□□□□□□

 

 

 

俺達は今ギルドに集まっていた。

見知った顔もたくさんいるが、誰もが暗い表情をしている。

 

その原因はデストロイヤー。

通ったあとは、草も残らないと言われているデストロイヤーがこの街に向かっているそうだ。

 

屋敷でデストロイヤー警報を聞いた俺は、逃げる準備を進めるアクアを引きずりながら、ギルドに来たのであった。

本当はこんなに危険なことはしたくないのだが、やっとの思いで手に入れた屋敷を更地に変えられては困るのだ!

……そう息巻いて来たはずだったのだが、その時の俺を殴ってやりたい。

 

ギルドに来て、デストロイヤーの説明を受けた俺の第一感想は、

「無理ゲー」だった。

 

対抗策なし。

 

魔法を撃てば、魔法障壁に阻まれる。

物理的干渉、例えば落とし穴等も効果なし。

 

「デストロイヤーは現在、街の北西の方角から接近しています。およそ1時間程でこの街に到達するかと…」

 

デストロイヤーを魔道具で監視している、ギルド職員からの言葉を受け皆の顔が更に暗くなる。

 

「こんな時だと言うのに、マイさんは一体どこに行ったのでしょうか…」

 

そう言葉を漏らすのはめぐみんだ。

そう唯一俺たちの仲間でマイだけが、ここに来ていない。

 

「早朝出かけた姿を見かけたのだが、街の外まで行ってしまってるのだろうか?」

 

「きっとデストロイヤー警報を聞いて、街から逃げたのよ!私達も一緒に逃げましょ!今からならまだ間に合うわ!」

 

俺はそう言ってギルドから出ようとするアクアの首根っこを捕まえた。

 

「お前はいつまでも逃げることばっか考えずに、何か対抗策を考えろよ」

 

俺のその言葉を聞いたアクアは「そんなこと言ったってぇ」と、既に諦めムードだ。

もともとアクアには期待していないので、それは構わないのだが…

本当にマイは一体どこに行ったのか。

 

ただ今はマイのことよりも、デストロイヤーだ。

何か策はないかと、頭を巡らせていると、

 

「えぇぇ!?」

 

デストロイヤーを監視していた職員の人が驚きの声を上げた。

その声はギルド中に響いており、冒険者達は何事かとざわめくき、そのギルド職員に視線を向けた。

その視線に気づいた職員の人は、おもむろに説明し始めた。

 

「その、デストロイヤーを監視していたのですが……、誰かが爆裂魔法でデストロイヤーを攻撃したみたいで…」

 

爆裂魔法!?

その言葉を聞いた冒険者達は口々に爆裂魔法と呟く。

そして視線をある人物へむける。

 

「わ、私は何もしてませんよ!?」

 

視線を向けられためぐみんは、何もしていないと訴える。

確かにめぐみんは何もしていない。

そうなるとこの街で爆裂魔法を使えるのは……、リッチーであるウィズか?

そう考えついたのとほぼ同時にその声は聞こえた。

 

「遅れてすみません、ウィズ魔道具店店主のウィズです。冒険者の資格を持っているので一応来たのですが…」

 

ビンボウテンシュサンガキタゾ!

ビンボウテンシュサンガキタ!

カテル!!

 

何やら可哀想な言われようだが、ここにウィズがいるということは、ウィズでもないのか。

となると……

 

「恐らく先程の爆裂魔法はマイによるものだな」

 

俺と同じ考えに至ったダクネスがそう呟く。

何故そこにいるのかは分からないが、この街で爆裂魔法なんてものを使えるのは、あとはマイだけだ。

 

「さっきの爆裂魔法はデストロイヤーに効いたのか!?」

 

そんな質問を誰かがする。

それを聞いたギルド職員の顔は暗い。

 

「いえ、やはり魔法障壁に阻まれて、デストロイヤーには全く…」

 

ウィズが来て明るくなった雰囲気が、また暗くなる。

 

「それで、その爆裂魔法を放った冒険者は無事に逃げれたのか?」

 

マイの安否を気にしたダクネスが質問する。

 

「その……、爆裂魔法が放たれた直後魔道具が壊されまして……、確かには確認は出来てはいないのですが、一瞬その冒険者の方を担いで逃げる人が見えたのでおそらく、無事だと思われます…」

 

とりあえずは一安心だろうか。

ただ、爆裂魔法でさえも効かないという事実を突きつけられることになり、やはり空気は重い。

 

倒すには、魔法障壁が一番問題か…。

魔法障壁、言わば結界みたいなもの……

結界か、そう言えば以前話した覚えがある。

そうあれは…、ウィズが魔王軍幹部だと明かした時。

その時に──

 

「アクア!お前の魔法でデストロイヤーの結界破れないのか?」

 

「うーん、いけるかもしれないけど…」

 

「破れるんですか!?」

 

俺達の話を聞いていた、受付のお姉さんが話に割って入る。

 

「いけるかもしれないってだけで……!」

 

アクアは確約こそしなかったが、一番の問題が解決出来そうということもあり、空気が明るくなる。

結界を破ることができるなら───

 

「その後はめぐみんと、それにウィズ、頼めるか?」

 

こうしてデストロイヤー撃破に向けて俺達は動き始めた。

 

 

 

 

□□□□□□□□

 

 

 

私は今、最初に話しかけたおじさんに担がれていた。

担がれながら、顔を上げるとそこではデストロイヤーが穀倉地帯を蹂躙していた。

作物は容赦なく踏まれ、潰され、更地へと変わっていく。

 

私一人の力では全く歯が立たなかった。

とても無力だった。

 

デストロイヤーが来たという報せを受けた私は、皆が作業を放棄して逃げ出す中、1人作業を続けていた。

私1人が足掻いたところで、どうともならないことは理解していた。

でも諦めることが出来なかった。

 

「おい!あんたも逃げろ!あんたは十分俺達を助けてくれた。これ以上は危険だ!」

 

おじさんの制止を無視してまで作業を続けた。

何故そこまでしたのか自分でも分からない。

昨日まで何の関わりもなかった場所に、人達。

ここに来なければ、被害があったことに対しても、悲惨なことだと思うぐらいにとどまっただろう。

 

だが、私は知ってしまった。

ここの場所とここを大切にしている人達。

危険を冒してまで、作業を行っていた人達。

私はそれが一方的に失われるのが嫌だった。

 

そんなことを考えているうちにも、デストロイヤーは近づいてきて、地震のような地鳴りはだんだん大きくなる。

最初は遠くで動いている何かぐらいにしか認識できなかったのも、今となってはその形を認識できる。

8本の脚を持ったクモ型の要塞だ。

 

あいつを倒せれば…、いや倒さずとも進路を変えるだけでも出来ればこの場所は守れる。

私にそんなことが出来るだろうか。

私が出来ることと言えば───

 

そこで私はあることを思いついた。

あれならば、あのデストロイヤーでさえ、あるいは…。

 

そこからの私の行動は早かった。

近くに置いてあった、念の為に持ってきた杖をとり、デストロイヤーに向かって走る。

走りながら詠唱を始めた。

 

後ろからおじさんの止める声が聞こえるが、構わず走る。

久々の詠唱だと言うのに、以前行っていためぐみんとの特訓のおかげか、スラスラと唱えられた。

 

私が使おうとしているのは、人類最大の攻撃魔法である爆裂魔法。

めぐみん程ではないものの、この魔法であればあのデストロイヤーであっても、どうにか出来るかもしれない。

 

詠唱を終え、立ち止まるとデストロイヤーは既に射程に入っていた。

私は少し息を整え、持っていた杖をデストロイヤーに向けて構える。

精一杯魔力を込め、完成させた魔法。

これが今私が出来る唯一のことだ!

 

 

 

「エクスプロージョン!!!」

 

 

 

轟音が響き、爆炎があがる。

私の放った爆裂魔法は、デストロイヤーに直撃……しなかった。

いや、外した訳ではなく、当たる直前、何か……結界のようなものに阻まれてしまったのだ。

 

絶望。

これがデストロイヤーか。

爆裂魔法を受けたデストロイヤーは、止まるどころかさらに勢いを増し、こちらに向かってくる。

このままここにいるとデストロイヤーに潰されてしまうが、私の渾身の魔法が全く効かなかったことがショックで私は動けずにいた。

 

そんな私の体が浮いた。

否、担がれた。

 

こうして今に至る。

 

「あんたはよくやったよ。あんな魔法が使えるだなんてな!」

 

私を担ぎながら、何も出来なかった私を励ましてくれている。

皆と一緒に逃げずに私の様子を伺ってくれていたようだ。

 

「すみません、私じゃあいつを…」

 

「いいってことさ。もとよりデストロイヤーが来た時点でこうなる運命だったのさ」

 

気丈に振舞っているが、やはりおじさんも悔しいのか、どこか声色が暗く感じる。

しばらく移動したところで、私は降ろされた。

その時には既にデストロイヤーは遠くに見える程になり、穀倉地帯はほとんどが更地と化していた。

 

「更地になっちゃいましたね」

 

「あぁ、また1からだ」

 

会話が続かない。

否、会話するほどの気力も残っていなかった。

 

「そういや、あんた名前はなんて言うんだ?」

 

「私はタナカマイ、アクセルで冒険者をしています」

 

「ははっ、まだまだ駆け出しじゃねーか。………今アクセルって言ったか?」

 

おじさんの様子が変わった。

 

「あんた早く戻った方がいい!やつが向かった先はまさにそのアクセルだ!」

 

な!?

私は驚きのあまり声も出なかった。

あんな恐ろしいものがアクセルに向かっている!

アクセルが、アクセルにいるカズマ達が危ない!

 

私はいてもたってもいられなくなり、おじさんに別れを告げると一目散にアクセルへの道を急いだ。

走って到底追いつけるものでは無いが、ただ走る。

確かにデストロイヤーが残した爪痕はアクセルへと、真っ直ぐ向かっていた。

私の焦燥感は高まるばかりだが、走ってアクセルに向かうことしか出来なかった……。

 

 

 

□□□□□□□□

 

 

 

 

どれくらい走り続けただろうか。

とっくに体力の限界はきていたが、それでも走り続け、ようやくアクセルの街が見えてきた。

 

更地になっていなかったことに対する安心感があったのも束の間、私の目はデストロイヤーの姿も捉えた。

胸が締め付けられるような感覚に襲われる。

 

だが直ぐに異変に気づいた。

デストロイヤーが動いていない……、というか脚が破壊され、胴の部分が地面に突っ伏している!

 

まさかあのデストロイヤーを倒してしまうとは。

一体どうやったのか。

ただそれよりも、アクセルが守られたことに対する喜びで、今までの疲れが吹っ飛んだかのように身体が軽くなった。

とりあえず早く皆に会いたい。

 

私は最後の気力を振り絞り、アクセルに向けて走る。

倒されたデストロイヤーの近くまで来たところで、門の辺りに人がいるのが見えた。

恐らくデストロイヤーを倒した冒険者達だろう。

あそこにカズマ達もいるはずだ。

横目に見えたデストロイヤーが、少し赤くなっている気もしたが、構わずその冒険者達を目指して走った。

 

もう少し走ったところで、その冒険者達の先頭にいるのが、カズマとめぐみんだと気づく。

カズマがこっちに手を振っている。

皆無事だったことが嬉しくて、私も走りながら手を振り返した。

 

刹那。

身体が浮く感覚。

否、吹き飛ばされ、全身に痛みが襲う。

そしてすぐに私の意識は暗闇に落ちた。

 

 

 

□□□□□□□□

 

 

 

 

「ドレインタッチ!」

 

そう言うと、俺の左手からアクアの魔力が吸われ、俺の身体を通り、右手からめぐみんに魔力が注ぎ込まれる。

 

「あんまり吸いすぎないでよね?」

 

少し不安そうなアクアだが、めぐみんが、「もうちょい、もうちょいいけます」と言うのでまだ止めるわけにはいかない。

……これ魔力送りすぎたから爆発とかしないだろうな?

 

俺達はデストロイヤー戦の最終局面にいた。

作戦通り、デストロイヤーの進撃を止め、その後爆発しそうなコロナタイトをランダムテレポートで、どこかへおいやった。

世界は広いし、人のいない場所で人知れず爆発したことだろう。

ただ、これで終わりではなく、最後にデストロイヤーに籠った熱が爆発しそうだとかなんだとか。

 

そこで既に爆裂魔法を放っためぐみんに、アクアの魔力を送り、再度めぐみんに爆裂魔法を撃ってもらうことで、デストロイヤーの爆発を相殺させようという作戦だ。

 

魔力の注入も終わり、めぐみんが杖を構える。

デストロイヤーともこれでお別れだ。

 

そう思い、デストロイヤーに視線を向ける。

デストロイヤーは既に真っ赤になり、今にも爆発しそうだ。

ふと、デストロイヤーの傍に人かげのようなものが見えた。

それはだんだんとこちらに近づいており、すぐに走っている人……マイだと気づいた。

 

そんな所にいたら、爆発に巻き込まれてしまう!

俺はジェスチャーでそこから離れるように伝える。

だがそれを見たマイは、呑気にも手を振っていた。

 

まずい!

 

「めぐみんちょっ「エクスプロージョン!!!」」

 

俺の制止虚しく、マイに気づいてなかっためぐみんはデストロイヤーに向けて爆裂魔法を放った。

その爆裂魔法のおかげで、デストロイヤーは破壊され、爆発の危険は無くなったのだが……、俺の目には吹き飛ばされたマイがハッキリと見えていた。

あれはやばそうだ。

 

「おいアクア!ついてこい!」

 

「えぇ、私疲れたんですけどー。というか早く打ち上げを──」

 

俺はグダグダ言うアクアを引っ張って、マイが飛ばされたであろうところへ向かって走ったのであった。

 

 

 

□□□□□□□□

 

 

 

「マイー、王都から騎士が来てるらしいわよ!」

 

「デストロイヤーの討伐報酬かな?」

 

「きっとそうに違いないわ!私達もギルドにいきましょう!玄関で待ってるからー」

 

そう言い残すとアクアは部屋から出ていった。

私は座っていた椅子から立ち上がると、少しストレッチをして背筋を伸ばし、出かける準備を始めた。

 

少し爆発の時に打った背中が痛い気もするので、自分で回復魔法でもかけておくか。

そう、私はデストロイヤーの爆発に巻き込まれた。

だがこうして生きている。

というのも、爆発に巻き込まれたところを見ていたカズマが、急いでアクアを連れて私の元に来てくれたので、瀕死の重傷を負いつつも、一命を取り留めたのであった。

カズマとアクアには感謝しかない。

 

先日アクアには、お酒を奢ってあげたので、今度はカズマにも何かお礼をしなくては。

そう思いつつ、準備を終え、部屋から出ると、丁度カズマも部屋から出てきたようだ。

 

「マイさん、身体の方はもう大丈夫そうなのか?」

 

「少し背中が痛む気がするけど、概ね大丈夫だよ」

 

「それならよかったが、ほんと爆発に巻き込まれたのを見た時は肝を冷やしたぜ」

 

「ははは、その節はどうも。また今度お礼として何かあげるよ」

 

そんな話をしつつ、玄関に向かうと、既にアクアだけじゃなく、めぐみんとダクネスも待っていた。

 

「それじゃギルドにレッッゴー!」

 

意気揚々とギルドに向かった私達であったが、ギルドに着くとすぐに私達はデストロイヤーの討伐報酬などではなく、勘違いしていたことを気付かされたのであった……。

 

 

 




これにて、アニメ1期分、第一章の終わりです。
今日は投稿を始めて丁度1ヶ月と言うことで何かと区切りがいいかと。

駄作ではありますが、感想、お気に入り、評価などなど、よろしくお願いします!(切実)

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