奴隷少女と料理人   作:特選からあげ

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タラのボンファム

今日は朝からディーンさんが慌ただしくしている。

午後から久しぶりに店をオープンするため、準備に追われているようだ。

私も何か手伝いたかったが、料理の準備よりも片付けや釣り銭の用意などの雑務がメインらしく、なかなか勝手の知らない私には手伝えることがないらしい。

なので、私は朝から何をするでもなく家でボーッとした時間を過ごしている。

 

なにをしようか考えていると扉をノックする音が聞こえ、ディーンさんが入ってきた。

「桜、手が空いてたら一つ頼みごとをしてもいいかい?」

 

私はもちろん手も足も全身隈なく空いている。

二つ返事で了承した。

 

「君って文字を書くのは得意かい?今日の夜出すメニューをボードに書いて欲しいんだけど、僕は文字が下手くそでいつも何も出していないんだ。」

ディーンさんは申し訳なさそうに言ってきた。

 

文字かぁ。正直この国の文字は書く機会がほとんどなかったから不安だな。

奴隷も言葉と文字が使えた方が高い値がつきやすいらしいため私も教えられてはいたが。

しかし、やる前から諦めるのは嫌だったので、やってみる旨を伝えた。

何か参考になる文字が書かれたものはないかな。

 

「あの、何かお手本にできる文字の書いてるものはありませんか?本とか新聞なんかで良いんですけど、、」

 

「あーそれなら僕の部屋にいくらでもあるよ。勝手に入ってかまわないから好きに選んでおいてね。」

「あ、あとこれが今日のメニューだよ。これをこのボードによろしくね。」

 

そういって走り書きしたメモと小さいサイズの黒板のようなボードを受け取った。

懐かしいな黒板。文字もおそらくチョークのようなもので書くんだろうなぁ。

 

あ、今日のメニューは何だろうか、メモに目を通してみた。

 

 

、、、

失礼だが、本当に字が汚いな。

読めない字がちらほらあるが、前後の語から判断してなんとか理解できた。

 

前菜

焼きトマトのカプレーゼ

サラダ

海老の素揚げとごまオイルのサラダ

スープ

にんじんのポタージュ

メイン

タラのボンファム

デザート

黄桃の自家製ヨーグルトがけ

38ベル

 

ディーンさんから聞いていたが、基本的に店はコース料理のみの営業らしい。

そこからドリンクは別料金、後はお客さんが物足りなさそうにしていれば在庫から作って提供していくシステムらしい。

 

値段もこの辺りでは少し高めかな。この前食べたハンバーグが9.8ベルだったことを考えても安くは無いと思う。

それでもお客さんが来るのは、やはりディーンさんの腕が良く、それだけの値段を出す価値があるからだろう。

 

そんな事を考えながら私はディーンさんの部屋の前まできた。

そおいえば、入るのは初めてだな。

まぁ適当に本か何かを取ってすぐ出よう。

そんな風に考えて、部屋を開けると、

衝撃の光景が広がっていた。

 

 

見渡す限りの、物、ゴミ、服など。

お世辞にも片付いているとは言えない状況。

 

これはメニューを書く前にやることができたな。

私はまずディーンさんの所へ行き、部屋の片付けをする許可を得ると、急いで作業に取り掛かかった。

 

ディーンさんは初め、凄く抵抗していたが、私の意思の固さに負けて、お願いしますと言ってきた。

 

私の中のディーンさんのイメージが少しずつ変わってきている気がするな。

 

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