奴隷少女と料理人   作:特選からあげ

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タラのボンファム3

カラカラっとドアの音が鳴った。

入り口には見覚えのない、40代半ばほどの夫婦と10代前半ごろの男の子がたっていた。三人とも服装は綺麗で暮らしは裕福なんだろうと感じ取れる。恐らく母親だろう人は貴婦人といったオーラでいて、顔をしかめて少し不機嫌そうにしている。

 

『いらっしゃいませ』

 

ディーンさんの声にハッとした。

しまった、掃除に夢中で気づけばこんな時間になっていたのか!

私も少し遅れてお出迎えの挨拶をした。

 

『なぁ母さん、いつまでもそんな顔しないで、とりあえず座ろうよ。』

『そうだよ、あの店は臨時休業なんだから仕方ないだろ?それにこの店もかなり美味しいって話は聞いたことあるよ?なかなか予約を取れないらしいから運がいい。』

 

『分かってますよ、こどもみたいな扱いしないでちょうだい!』

 

 

なにやら不穏な雰囲気のお客さんだなぁ。

 

そんな風に思っていると、

『さくら、表の看板をクローズに変えといてくれ。今日の第1部はこちらのお客様だ』

 

昨日ディーンさんから聞いてたが、この店は第1部と第2部の2回に分けてそれぞれコースを出しているらしい。

それぞれ最大5名までの小規模な経営だ。因みに完全予約制だ。

 

表の看板をクローズに変えると、ちょうどお客さんに呼ばれた。

 

『すいません、ドリンクをお任せでお願いします。大人はお酒、子どもは果実ジュースで。それから料理も持ってきて。』

恐らくお父さんだろう人に、そう言うと、ディーンさんはかしこまりました。と答えドリンクを作り始めた。

この店では料理にあうドリンクもお任せで頼む人が多いんだそうだ。

 

 

『さくら、これをお願い。ワインは3年ものの赤。ジュースは梨とりんごの氷を使ってるよ』

 

も、もうきた!私の初仕事。

私は緊張をグッと抑えて、お客さんのところにドリンクを運んだ。

 

『ワインは3年もの赤、ジュースには梨とりんごの氷を、使ってましゅ』

あ、噛んだ。

私が少し焦っていると、お客さんたちは特に気にする様子もなくグラスをそれぞれ手にした。

 

『じゃあ、母さん誕生日おめでとう。』

父親がそおいうと、子どもと父親はグラスを手に取り、母親のグラスに近づけた。

 

『はい、ありがとう』

まだ少し不機嫌そうな母親だが、グラスを手に取り、乾杯している。

 

 

いいなぁ、誕生日か。

昔はよく家族がお祝いし合ってたっけ。

お母さんが誕生日の時は私が色々はりきって作ってたなぁ。

 

 

 

以下、回想

 

 

『お母さん、お誕生日おめでとー!いっぱいご馳走つくったよ!』

 

『わぁー、ありがとーさくら!大変だったでしょうに。何作ったか教えてもらっていぃ?』

 

『うん!まずこれが、卵焼きでね、中にはお母さんの好きなチーズいれてるよ。』

 

 

 

小さい頃作ったお世辞にも上手とは言えない料理でもお母さんは喜んでくれたなぁ。

誕生日ってのはお祝いする方もされる方もどっちも楽しく思い出に残るものだ。

特に、大好きな人たちと過ごす誕生日は。

 

 

 

昔のことを思い出していると、この家族にもなんとか良い思い出にしてほしい。そんな想いがこみ上げてきた。

『このワイン美味しいな。』『このジュースも美味しいよ。お母さんも飲んでみて?』

父親と息子がなんとか盛り上げようと奮闘している。

お母さんもそれに応えようとしているが、イマイチ気分がのらないようだ。

 

 

 

『さくら、料理お願い。』

『あ、はい。』

そうだ、どんなに気分が乗らなくても、美味しい料理を食べたらきっと楽しくなるにちがいない。

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