奴隷少女と料理人   作:特選からあげ

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私が泣いているのを見て主人はやはりまた悲しそうな顔をした。まるで私の悲しみが伝わっているかのような辛い顔だった。

お父さんは一体どんな最後を送ったのか。

この人を助けたとはどういう意味か。

私にはそれを聞く義務がある。そう感じた私は涙をそこで何とか止め、「何があったのですか?」と言葉を振り絞って質問した。

 

主人はそんな私の様子については特に何も言わない。こおゆう反応があるのは分かっていたのだろう。

「僕は戦場で、兵士たちに食料を提供する役割を担っていた。戦地で見も心も疲弊する兵士たちへの僅かながらのストレスケアという、お偉いさんの計らいだろう。」

そおいうと、主人は語り出した。

過去にお父さんと何があったのかを。

 

 

 

 

 

 

 

 

つらく、厳しく、長い戦地だった。

自らが前線に出ているわけでは無いが、だからこそ何が起きているかも分からずただ兵士たちの帰りを待って食事を作るというのは、無力感を感じ続けるようなものだった。

 

毎日人数分の料理を作るが、毎日それらを食べる人が必ず全員いるわけではない。

1人2人、多いときには20人もの人が帰ってくることなく戦地で散っていく。

空しく作りすぎた食事だけが残り捨てられる。

今日の食事が気に入った、また明日も作ってくれ。そういった壮年のあの人や、次はシチューが食べたいと言ったあの青年も。結局要望を受けたメニューを口にすることは無かった。

 

そんな毎日を過ごすなかで、戦地に動きがあった。

僕がいる、拠点となる場所に敵が攻めこんで来たのだ。

その時、兵士たちは出払っておりそこには医者や神父、料理人くらいしかいなかった。

敵は少数精鋭だろうか、たった3人の兵士だった。

一人の男が銃を構え、話しかけてきた。

言葉はこちらの言葉を話せるようだ。

 

「抵抗しなければ、何もしない。仲間が一人怪我をしている。彼の治療と、食事を出してほしい。それらを聞いてくれれば命は保証する。」

男が言ったその言葉に僕たちは同意するしかなかった。

敵の兵士に治療を施したり、料理を提供したりということに抵抗はあったが命は惜しい。

私たちはその言葉を呑んでその通りにした。

一人のリーダー的な男はまず食事を確認すると言い僕と共に調理室へ、残る二人は治療と見張りとしてそれぞれ別れた。

僕たちが武装していないのがわかっているのだろう、すんなりと二手に別れて行動することにしたらしい。

 

東の国独特の顔立ちに、深い皺が刻まれた、敵軍の兵士にこんな表現はおかしいが、人の良さそうな男だった。

調理室へ入ると、やたらとこの男は料理器具や料理の名前、レシピなんかを聞いてきた。

何がしたいのだろう。

そのあとは残っていた料理を暖め、これでどうかと尋ねて提供した。

料理を提供すると、まずは毒味をしろと言われた。

僕も料理人として、料理に毒をいれるようなことは誇りにかけてしていないと言い、目の前で料理を美味しそうに食べてやった。

そんな僕の様子を見て、男は予想外の行動を見せた。

いや、大袈裟に言っているが行為事態は大したことこともない。ただ笑ったのだ。敵の前で、まるで友を前にしたように笑ったのだった。

男はその後、手を合わせ何かを呟いた後に料理を口にした。

そしてそれらを自ら持っていた容器に詰めると僕に

 

「とても美味しい。ありがとう。そしてこんなことをして済まなかった。私も料理人として、あなたのように誇りを持つものはたとえ敵でも尊敬する。これに毒が入っていないのは確からしい。本当にありがとう」

そんな言葉を掛けた。

 

そのあとは言葉通り、彼らは本当に何の危害も加えずにこの場を去った。

正直、命の保証は全くないと思っていただけに安堵した

それから数日して、僕は別の拠点へと移動することになった。

まだあの敵軍の謎すぎる兵士が頭から離れないでいるうちに。

戦争が終わったら彼とまた話をしてみたいな。そんな呑気なことまで頭に浮かんだその時だった。

 

僕は敵の襲撃に会い捕虜となった。

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