仮面絶唱シンフォギアX:Zi-O 平成ライダーユニバース   作:ジュンチェ

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XV.after/20XX 前編

……世界を揺るがす事件があった。

 

 

 

 

終末を告げる巫女・月落とし フィーネ

 

 

世界解体を目論んだ錬金術師 キャロル

 

 

原始の人にして、人類の祖。 自らを創った神へ復讐しようとした男 アダム

 

 

人間を世界を創り、その全てを支配しようと現代に蘇った旧き神 アヌンナキ シェム・ハ

 

 

 

 

 

 

これが、戦姫絶唱シンフォギアの歴史である。 そして、戦場を駆けた少女たちの物語は星空の約束を果たしたことにより幕を引く……

 

 

 

……しかし、紡いだ祈りは新たな呪いを産み出すことになるとはかつての戦乙女たちは思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……哀れな者だな、リントという者は。」

 

 

林の中に立つ景色には不釣り合いな赤いドレスの女が眼を細めて空を見ていた。空には砕けかけた月… 地からはすでに力を失った神の柱…… これが何を意味するかは人間は何も理解していないのだろう。

 

 

「許されない…リントが神に近づくことなど……」

 

 

そして、そのために『我々』がいるのだ……

 

 

背後に蠢く異形の黒い影、舞い散る薔薇の花弁が狼煙の代わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これより、『ゲゲル』をはじめる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

「……雪かぁ…」

 

 

…また積もりそう。なんて思いきりながら立花響は曇天を見上げる。さしていたビニール傘も真っ白になり、息も白くなるほど寒いが不思議と震えないのはやはり隣に大切な人がいるからだ。

 

 

「響ぃ~、買ってきたよ~」

 

「待ってました!」

 

 

コンビニから出てきた親友、小日向未来…その手に持つそれに歓喜の声をあげる。拳よりちょっと大きいかくらいの紙にくるまれた白いほかほかとしたもの…… 彼女の胃袋な待ち焦がれていた相手。

 

 

「わーい! ほかほかオーソン肉まんちゃん…!! 逢いたかったよぉ…!! でも、すぐお別れしちゃうけど……」

 

「もう、響ったら大袈裟な……」

 

 

未来に苦笑されながらつく帰り道。こんな他愛ない日常…これが、かつてシンフォギアを纏った少女たちが勝ち取ったもの。幾多の戦いを経てやっと得た平穏…

 

 

「あれからもう、1ヶ月以上か……」

 

「はやいね。」

 

 

アヌンナキ シェム・ハを打ち倒したのは1ヶ月も前。全ての元凶の粉砕…旧き神からの独立を果たした人類。その際、全てのシンフォギアは自壊しこれを契機に戦乙女たちはただの少女に戻っていた…。 ある者は日常に、ある者は歌を舞台に響かせに、ある者は自分の夢を追いかけに……

 

……きがつけば、激槍を胸へと宿す前のあの頃のようにふたりきり

 

 

「…翼さんやマリアさんたちに会えなくて寂しい?」

 

「…………うん。」

 

 

翼とマリアは芸能活動に勤しむため、S.O.N.G.には戻ることは殆どなくなり… また響や未来も本部にはあまり近づくことが出来なくなった。理由は簡単…

 

 

「おふたりとも、さがしましたよ。」

 

「「!」」

 

 

目の前に現れる黒づくめの女。サングラスからの眼光に思わず怯む未来…… まあ、来るとは思っていた。

 

 

「行動制限のお話は再三しましたよね?」

 

「あはは… いやあ、どうせついてくるなら問題はないかなぁとつい……」

 

「こちらの指示に従わないなら、実力行使や現在の生活を放棄させて拘束させることも出来ますとお伝えしましたよ。 いい加減にしてください。」

 

 

黒づくめの彼女は国連の人間…S.O.N.G.の者ではない国連組織の一員。女性らしい装飾などいらないと切り詰めたような立ち振舞いとセミロングの黒髪。一言で表すなら『鋭い』…そんな彼女の目付きと雰囲気が何よりも苦手だったふたり。だから、こっそり距離をとった秘密の外出だったのだが…

 

 

「わ、私が悪いんです! 響は別に……」

 

「おふたりとも等しく悪です。 そして、監視対象を一時でも見失った私も責任を問われるでしょう……本当に控えてください。お願いします。」

 

「「……はい。」」

 

 

こっぴどく叱られてしまった。世界を救った英雄とは聞こえはいいものの、彼女たちのエンドロールは幸せに暮らしましたとさ…めでたしめでたしという甘っちょろいものではなく、あまりにも辛辣で冷たい処遇。装者は未来も含めて皆が監視がつき事実上の軟禁状態が続いている… 便所と風呂以外はこの黒づくめの彼女がついてくるのだ…本当にうんざりするほど。

 

「車をつけてます。 宿舎に戻りますよ、いいですね。」

 

 

仕方ない…観念して、と思った矢先に響が足をとめた。

 

 

「あ!」

 

 

何に気がついたのか……駆け出した先はとあるビル。その壁にもたれかかる人影。黒い膝にまでつくようなコートはボロボロで黒いフードで顔は隠れている…だが、顔には傷跡が見てとれ齢もそこまで自分と変わらないだろう。道行く人は避けていっているが響はその顔を覗きこむ。

 

 

「あの…… 大丈夫ですか?」

 

「…」

 

 

察するに、高校生かそのあたりの青年。事情は概ね予想はつく…… ろくに反応することもないことから心身ともにかなり消耗しているのだろう。なら、せめてと一口かじった肉まんを千切って半分を渡す……

 

 

「食べかけで申し訳ないですが…」

 

「…」

 

「これ食べて元気をだしてください。あと、炊き出しは向こうでやってますから。」

 

 

青年は特に反応はなかった。しかし、響は強引に握らせその場を立ち去ろうとする…… が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『王』に施しは不要……」

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

足を思わず止めてしまったのはやっと青年の口から発せられた声は歳相応にはあまりにしわがれていて重かった。ただ一言で、後ろから矢を射られたように……

 

 

「だが、民からの善意は無下にはしない。 これは気持ちとしてありがたく受け取ろう…少女よ、この気持ちの分は褒美として必ずつかわすぞ。」

 

 

は、はあ……王? 想定外のリアクションに大抵のことなら笑って済ます響もその不気味さから逃げるように親友の元へ戻った。

その入れ替わりたちかわりで独特な灰色のローブを纏う青年が現れる。膝をつく様子からさながら従者だ……

 

 

「我が魔王。」

 

「ウォズか……」

 

「…は。 追っ手は撒きました。一時とはなりますが隠れ家を…… それは?」

 

「ああ。民からの善意だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆

 

 

 

 

 

 

 

「……ところで、ガードさんの名前はなんて言うんですか?」

 

 

帰り道の黒車の中、唐突な後部座席からの質問。運転手を務める黒づくめの彼女は特に驚くような素振りもなく淡々とハンドルを握っていた。これに反応することは自分の仕事に含まれてはいない…答える義理も道理も無し。勿論、必要性もない。

 

 

「響…!」

 

「いやあ、でもずっと『ガードさん』だといい加減、呼び辛くて…。」

 

 

ガードさん…ボディーガードからとってそう彼女たちから呼ばれている。いつからか…割りとこの任務についてすぐだったような。最初は恐る恐るだったが今は何かある度に『ガードさん!ガードさん!』…挙げ句の果てに他の周囲からもそう呼ばれる始末。顔には出さないが微妙に腹がたったので最初は無言で威圧していたが、効果があったのはごく数日で全く物怖じしなくなった。

 

 

「うちの響が失礼を……」

 

「護衛対象との必要以上のコミュニケーションは職務に差し支えます。控えてください。」

 

「護衛対象じゃなくて、私の名前は立花響です! はい、私の名前は教えました!! さあ、ガードさんの番ですよ! ワッツ・ユア・ネェェム??」

 

 

本当にコイツ鬱陶しいな。片割れが必死に止めようとしているが、まあ無駄だろう。確かに職務上、名前を教えるのは本来はNGだが……

 

 

「ユキナです。 …名前はカタカナで『津上ユキナ』。」

 

「ユキナさん…? おお意外と可愛い名前……」

 

「響!」

 

 

もう面倒くさい。こうやってまた余計なことをしてしまう自分にも嫌気が差す……。これも上司にバレたら大目玉、いやもう今更か。畜生め。

 

 

「これで満足ですか? これ以上のことは話す気は……」

 

「ユキナさんはいつからこの仕事をしているんですか!?」

 

「…」

 

 

子供は別に嫌いじゃない…だが、理解しないクソガキはとてもつもなく嫌いだ。最近、追加した。ピキッとたつ青筋に気がついた響は流石にまずいと慌て引っ込む。

 

やれやれ…小さく溜め息をつきながらまた落ち着いて運転に戻る。全く、少しはこちらの気持ちや事情は汲んでほしい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……彼女をはじめとした世界を救った戦乙女たち。人類の相互理解を阻むバラルの呪詛は消滅して、全ての人類を異形へと作り替えようとした邪悪な神は倒された。

 

 

おとぎ話、よくあるRPGゲームではめでたしめでたしの後にエンドロールに入るパターンだが現実にそんなものも2周目から新たにはじまるセーブデータもない。生きとし生ける者の命は続く…… 『それが幸せに暮らしました』とは現状、そう言い難いもの。

 

 

 

 

…まず、今までS.O.N.G.の司令を務めていた風鳴弦十郎がシェム・ハの件の責任をとらされる形でその任を追われた。理由としては、彼の父親である風鳴訃堂の独断専行によりシェム・ハ復活が行われたことだろう。事態を収拾に全力を尽くした身にはあんまりな仕打ちだが、それで終わりではない。

風鳴の一族に連なる者、協力者…日本政府や国連組織といった者たちが次々と排除される。S.O.N.G.司令は今は別の人物が就き、リディアン学院の教職員も一部が配置がえで姿を消した。

 

 

…次に、シンフォギアといった異端技術。神をも討ったその力は地球を救うと同時に役目を終えたかのように崩壊。破損状態から必ずしも修復できないわけではないらしいが、神獣鏡のファウストローブも含めてそのまま封印された。唯一シンフォギア修復が可能なエルフナインも何処かに連行され行方知れず… 時を同じくして装者たちにはそれぞれ黒服の監視役がついた。

 

 

 

 

更に、最悪で災厄なのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ッ!!」

 

 

キキィ!! と唐突なブレーキ。後部座席から悲鳴があがるが、別にわざとではない…。いきなり、車線上に人影が出てくれば誰だって急ブレーキをかけるのは当たり前だろう。路面が完全に凍結してなかったのがせめてもの救いか…… いや

 

 

「みつけだせぇ、シンフォギア装者!」

 

 

彼女たちとっては最悪の悲運。ローブを纏うこの男は今は自殺志望者ではない…響は知っている。

 

 

「行け、アルカ・ノイズ!!」

 

 

「錬金術師!?」

 

 

錬金術師…秘密結社の残党。最早、自らの本懐を目指す力は無くともまだ異端の力を操ることが可能な者たち。キャロルやアダムには爪先にも及ばないが、一般人には十分過ぎるほどに脅威。ジェムをばらまくと、大量のアルカ・ノイズが出現し車を取り囲む。

 

 

「…ここは私がッ!」

 

「いいえ、掴まっててください!!」

 

 

車外に出ようとする響より先にアクセルをおもいっきり踏むユキナ。形振りかまってはいられない、全開のスピードで錬金術師を跳ねとばすつもりで車をとばす! 錬金術師は咄嗟にかわすが、ただ見送るわけはなくアルカ・ノイズに命令を下す。

 

 

「追え!!」

 

 

猛禽のような飛行型を筆頭に次々と追っ手にかかる異形の群。邪魔になる人も、建物も、何もかもを分解しながらただ命じられるまま獲物を追う…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最悪の災厄。失墜した錬金術師のテロリスト化

 

 

アルカ・ノイズはノイズには及ばないが、十分な脅威でありそれを扱える錬金術師は秘密結社が倒れた今もまだ多く存在する。秘密結社崩壊こそは錬金術師の活動母体を崩す上で致命的な一撃になったが、かえってこれがいけなかった…。最早、自らの命題にすらたどり着けないと悟った錬金術師たちの一部はアルカ・ノイズにより破壊活動をはじめるようになったのである。

 

そして、対抗手段かつ抑止となったシンフォギアが失われたことにより活動が活発化… 世界は安定・理解どころか再び混沌へ舵をきりだしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

……力を失った戦乙女たち。少女たちは胸に思わずにはいられない。

 

 

 

 

 

果たして、自分たちが起こした奇蹟は意味があったのか

 

 

 

 

 

 





☆津上ユキナ

国連のエージェント、S.O.N.G.所属ではない。生真面目な性格。察している人はいると思うが元ネタは仮面ライダークウガ(漫画版)の同名の彼女。

……まだ、その魂は目覚めを迎えていない


☆立花響

世界を救った戦乙女。奇蹟を起こし、邪神からすらも未来を託されるに至ったが彼女を嘲笑うように世界は混沌へ向かい、少女は苦悩する。

……果たして、その奇蹟は価値があったのか


☆謎の青年

王を名乗る謎の青年。別の時間軸で時の王者として至った常磐ソウゴに似ているがその声は同一人物にしてはあまりにしわがれ荒れている。 …何処かで見覚えのある従者を従えるその正体は

……失墜の王、玉座を奪われやっと彼は……戻れた


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