仮面絶唱シンフォギアX:Zi-O 平成ライダーユニバース 作:ジュンチェ
エボルトォォ!!!!
…S.O.N.G.食堂
「さ、取り敢えずおじさんの奢りだぞ、お嬢さん方。 だから、元気だしなって。」
「ありがとう、マスター石動。」
響と未来はマリアに連れられやってきたこの場所も、かつては団欒の場所だった。今は装者も職員も居ない代わりに『石動 惣一』という男がこの食事所を任されている。中年のひょうひょうとした掴み所の無いサングラスの男…それでも、装者たちに態度ではかなり緩和な風変わりな人間。今も、少女たちに善意たっぷりのカレーライスをふるまってくれている。
…響もその手先は鈍いながらも、一応は口に運んでいる。
「それにしても、大変だったな。正直、お嬢ちゃんたちに作戦のことを話さなかった北條司令にも問題はあると思うんだがねぇ…」
「それを言ったら、私にも責任はあるわ。北條司令の下手に情報を広めて、敵に気取られ無いようにしろという意見に賛同したのも事実だし……」
「マリアさんは…悪くないです。悪いのは…」
「…響!」
ああ、こりゃあ完全にネガティブモードだなぁ…と惣一。
実は、今回の事に至る前…既に響たちが錬金術師たちに目をつけられていることは事前に掴んでいた。故に、錬金術師と戦った経験があり、年長者であるマリアが仮面ライダーG3の編成部隊『G3ユニット』へと参加させられ、逆に奇襲し返す形で、そのまま一網打尽にするつもりだったのだが…… 敢えて、響たちに何も伝えなかったことが裏目に出てこの有り様。落ち込むなというのが無理だ。
「ノイズに錬金術師、神様……ついにはまた怪人。世界は呆れるほど、平和にならないもんだ。やれやれ…。」
「私が悪いんです。私が……」
「しっかりなさい、響!」
マリアが渇を入れるも、まともな反応は無い。重傷だ……見かねた惣一が口を開く。
「立花響、お前が落ち込むのは勝手だ…… だが、それで誰が報われないと思う? …………ユキナちゃんさ。」
「…!」
「ユキナちゃんはな、お前たちには冷たかったかもしれない。だがな、北條司令に同じ女であり、リディアンの後輩でもあるお前たちに、適任だと自分からかって出たのもユキナちゃん自身だ。それで、時間の合間を縫っては、お前たちの拘束を解くよう報告書をあげていたんだぞ…。自分の寝る間も惜しんでな。」
まさか……。近づこうとしてもよそよそしく、今までずっと距離をとられてきたのに?
未来すらも驚きを隠せないでいたが、マリアが捕捉をする。
「ユキナさん、確かにリディアンのOBのひとりだったわ。紆余曲折あって、国連のエージェントになったみたいだけど……貴女たちを同じ学舎の後輩として気にかけていたのも事実。距離をとっていたのも、自分の報告が客観性を失ったものじゃないと訴えるため。不器用な部類の人だったけど、根は優しい人だった。」
「本当に……?」
「ああ、俺とマリアはこの食堂でよく見てたからな…」
優しさとは甘い言葉、慰みの言葉だけではない。時には、知られずとも影から支えることもまたひとつ…響たちは寡黙な仕事人間ぐらいにしか思っていなかった。もっと、笑えば良いのに……なんて、呑気なことすら考えていた。
否。……自分は何もわかっていなかった。彼女がどれだけ自分たちを想っていたのかを
「……私は…! …何も知らないで!」
「そうだ。ここでお前が潰れたら、ユキナちゃんの怪我した甲斐も意味もないってわけ。生きてるなら、託された想いの責任ぐらい…わかるよな?」
更に、積み上がる自責。でも、今度は胸の奥で強い感情が踏み留まらせる…まだ、折れてはいけないと。
そんな彼女を見かねてか、マリアはある資料を取り出した。
「貴女が、もし踏み留まらないと言うのなら…再び戦場に戻る覚悟があるのなら、これを渡す。」
「! ……これ…」
資料に書いてあったのは『G3ユニット計画について』と書かれていた…。G3…それは、マリアが纏っていたシンフォギアに代わる科学の盾、人類が古代の遺物に抗うための刃。これを見せるということは、響にG3ユニットへの参加を提案しているのだ。しかし…でも、と彼女は釘を刺す。
「あくまで、これは選択肢のひとつ。平穏な日常を過ごしたいという思いも間違いじゃない。強制するものじゃないし、するつもりもない…しっかり考えて、自分で決めなさい。」
……過去は戻らない、事実は変えられない。だが、星明かりの夜道のように示される選択肢。もう力を失い嘆く少女ではなく、かつての光を瞳の中に取り戻しつつあった。
(……さて、俺も捜さないとな…アイツらを。)
一方、惣一も何か考えている様子だったが… 少女たちは誰も気がつかなかった。
☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆
「はー、疲れた。ただいま~」
ブラッドスタークは吹き抜け天井の邸に入ると、リビングのソファーにドカッと座って寛ぎだす。そして、変身を解除するとテーブルの上に赤金のライドウォッチを投げ出して予め、買っておいた缶コーヒーの口を開ける。もう遅めの時間で、部屋は薄暗いがこれくらいが丁度いい…。
「ふぃ~~ 染みるぅ~…」
今日もこのために生きている…なんて言うとオッサン臭いが『白髪の青年』は構わないとグイッと缶コーヒーを飲む。同居人にはこの中性的な声に似合わないと言うが…
まあ、良いさ、どうせ今は自分以外は誰もいない……
「守備はどうだ?」
「…っつ!? 王様、いたのかよ!?」
いや、2階のテラスに人影。『王様』と呼ばれたそれは暗闇のせいで顔は見えないが、まだ若い青年のように見える…… 腹にはジクウドライバーを巻いており、シルエットだけが1階のリビングに揺らめく。
青年と王様は同居人で、協力者…それでいて、友人であり上下関係は無い。その点はお互いに気にしていないからだ。
「あー、うん、そうだな。やっぱり、ライドウォッチとやらはまだうまく使いこなせないな。まさか、ブラッドスタークの力だけを切り離して逃げられるなんて思わなかったよ…。」
「ふん、流石、お前の……」
「王様?」
「おっと、失言だったな。」
一瞬、青年が牙を剥く猫のような顔をしたので、謝る王様。寝床が同じ分、互いの尊重も忘れない……うっかり、相手の地雷に足をかけてしまったなら尚のこと。
少しすると、青年はまた缶コーヒーに口をつけ気分を落ち着かせて話を続ける。
「……あと、立花 響だっけ。あれは多分、当たりかな。錬金術師をけしかけてみたんだけど、あの小娘の周りには、ライダーの力が集まりつつある。時期、王様がお目当ての『魔王』も現れるんじゃない?」
「……そうか。」
報告を一通り受けた王様は、何か考えるような仕草をすると黒いライドウォッチを精製して、1階リビングへ浮遊させて青年に渡す。これを受け取った青年……すると、ウォッチは変質して『赤いトリガー』のようなアイテムへと形を変えた。
「そのハザードトリガーには、俺の力の一部が宿っている。…幾つかの仮面ライダーの存在はこの世界に癒着し……既に幾つか独自の動きをはじめた。厄介事になったら使うと良い。」
「優しいねぇ、王様は…。」
青年はほくそ笑みを浮かべ、缶コーヒーにドス黒いヘドロのようなエネルギーを注入すると、缶が禍々しい『アナコンダ フルボトル』へと変化した。それを、テーブルに置くと他にも蛾のエンブレムが刻印された『モス』、肉食恐竜の顋が刻まれた『レックス』のボトルを置いた。
それらをコレクションのように眺め、ぼそりと呟く……
「…………仮面ライダーなんて、皆死ねば良い。」
☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆
「……今夜は不吉な風が吹く…。」
「我が魔王?」
その頃、星空の下……何処かの空き家で夜空を見上げる青年。従者が心配そうにする中、不意に彼は歩き出す…
…まるで、見えない者に導かれるように
運命の針は廻りだす。
薔薇のタトゥーの女「ここでは、リントの言葉で話せ…。しかし、作者の行き付けのグロンギ語翻訳サイトが無くなったらしく、クウガはお預けで、気がつけばビルドにとられていた今回の話。」
……誰かグロンギ語、翻訳サイトとかアプリ知りません?
ISSAトレンド入りpartyな、今日は天皇な日。平成は実は今日で節目だったと錯覚しがちですがもう令和だったそうだった……。
今回、敵勢力のひとつをチラ見せ。王様は既存原作キャラクターで、青年はオリキャラ。ブラッドスタークにはある理由で変身していて、エボルトとも縁深い存在。彼の完全な御披露目は次回以降…… そろそろ我が魔王成分を補給しなくては。ほとんどビルドのキャラクターしかいねぇ。
感想おまちしてます。