至高の御方転生記 〜現地人になった御方達〜 作:ハチミツりんご
「はい、お水どうぞ」
「あっ、ありがとうございます……」
【
「……相変わらず凄いですね、スズキ先生の魔法」
「基礎を習えば大抵の人が使えるレベルですよ。もっと便利な生活魔法を開発してる人だっていますし」
【水生成】も先程ネイアに行使した【清潔】の魔法も、どちらも第一、第0位階に属する魔法だ。魔法の才能が無い人物でもある程度の修行を積めば到達出来る領域であり、応用性や便利さという意味で優れた魔法を生み出す人なんてごまんといる。彼はそれを知り、模倣したに過ぎないのだと笑っていた。
ネイアとしては惜しむこと無く魔法を使える魔力量と片手間に行使する技量を賛辞したつもりだったが、謙虚な彼はそのまま受け取ってはくれなかったようだ。謙虚というか、自分がすごいと思っていないというか………変人という意味では、ある意味魔法詠唱者らしいとも言えた。
「それにしても、凄い弓が上手なんですね。お父さんの影響とかですか?」
「まぁ、その………父から基礎を教えられたのもありますし、たまにこうして自主練しているのもあって………」
「凄いなぁ、私苦手なんですよね。エイムには自信あるんだけどなぁ……」
えいむ?と首を傾げるネイアに対してなんでもないと首を振る。
彼女の弓の腕は、素人目から見ても中々に優れていると察することが出来る。射られたカカシに刺さる矢は大半が人体の急所部分に突きたっており、外れて地面に刺さったものは片手で足りる。
サトルも昔、ペロロンチーノがレアドロで持ってきた魔法詠唱者でも装備可能な魔力弓というものを持ってきて面白半分で使った事がある。魔法と違って狙った場所に飛ばすことすら難しく、タンクをしてくれていたばりあぶる・たりすまんの背中にぶち当てた程のクソエイムを発揮したのだ。それを見ていたペロロンチーノや弐式炎雷に爆笑されたものだ、と今では懐かしく思う。
ちなみにペロロンチーノと弐式炎雷にも手渡してみると、ペロロンチーノは当然のように1キロ以上先のモンスターにクリティカルヒットを叩き出すし、本職ではない弐式炎雷も動き回る小型モンスターに当てて見せた。
彼曰く『YA☆BU☆SA☆MEは武士の嗜み』なのだとか。それを見たモモンガは地面にあった小石エフェクトを蹴り、周りから『拗ねた!』と弄られたものである。
そんな思い出をしみじみと思い出していると、ネイアが大きなため息をついた。
「スズキ先生……私、やっぱり弓の方がいいと思いますか?」
「と言うと?」
「その………聖騎士を諦めて、父のように軍士の道に進む方がいいのかな、って……」
卑下するような笑みを浮かべながらぽつりとそう言ったネイアに、少し驚いたように目を見開く。
サトルが聖王学院にやってきたのはここ数日だが、最初に話した縁と彼女の父親から聞かされた話、それに普段の講義中の態度等も相まってネイアは生徒の中では一番話す回数の多い人物だ。
それ故に、彼女が母親に憧れて聖騎士を目指していることも知っているし、才能が無いと言ってパベルが反対したことも聞かされている。
それでもこの道に入ったのは並々ならぬ思いあってこそなのだろう、と思っていたが。随分と弱気なネイアに「何かあったのか」と尋ねると、彼女は肩を細めるようにして呟いた。
「確かに母に憧れて、聖騎士の道を志しました。才能が無いと言ってもその分頑張れば、精鋭とは行かずとも一端の聖騎士にはなれるかなって………でも最近の同期のみんなの成長見てると、そんなことも言えなくって」
ネイア=バラハの母親、つまりパベルの妻は聖騎士団でもかなりの実力者だ。
大抵の聖騎士が難度20前後の敵と戦えるという中で、単独で難度60の敵を屠った事もある実力者………冒険者でいえばミスリル、下手したらオリハルコンにも差し掛かるであろう強者、精鋭だった。
父であるパベルはそれ以上の実力を持っているが、やはり同性の親というのは憧れが強い。国内では国を護る聖騎士団が人気を博しており、軍士はその次という風潮も相まったのかもしれない。
とにかく結果として、ネイアは聖騎士である母に憧れた。そして両親の反対を受けながらもこの道に入り………結果としては才能の無さを身に染みて感じる事となった。
「同期でも聖騎士の証明である加護魔法を使えない子は多かったんですけど、スズキ先生のやり方を初めてから習得する子が増えて………なのに私は未だに授かっていません。剣の腕も、今は下から数えた方が圧倒的に早いですし」
以前は、従者の中でも可もなく不可もなくと言った立ち位置だった。加護魔法は使えないが剣の腕は普通、真ん中ちょい下くらいが成績の定位置であった。
それが今はどうだ、サトルの提案したやり方を初めてから同期は次々と成長していっている。
元々得意だった加護魔法が更に伸びる者、新たに加護魔法を授かる者、魔法はまだだが純然たる剣技では同期でもトップクラスになる者………誰も彼もが目に見えて強くなる。
そんな中でネイアは、大して変化がなかった。身体能力は以前より高くはなったので剣を振る腕が疲れるのは遅くなったし、相手の動作をじっくり見極めるだけの心的余裕が生まれたのも確か。確かに成長はしている。
だがたったそれだけだ。むしろ以前より目は冴えるし、音を拾うことも出来るようになっている。気晴らしにやっている弓の訓練での命中率や矢の冴えの方がよく伸びていると感じる始末。
「聖騎士にはなりたいです。けど、私が色濃く受け継いだのはどう考えても父の才能で……何より、母や周りの子達みたいに信じられる正義がある訳じゃないんです。聖騎士として必要不可欠な、正義が………」
父の才を受け継いだことが不本意だったかと言われれば、ネイアは小さく頷くだろう。受け継いだのが聖騎士である母の才能なら、と考えた事は何度もあったし、目つきの悪い父の風貌よりも見目麗しい母のような女性に生まれたかった。
だが、パベルの野伏としての才能はネイアを助けたことはあれど、悪い方向に働いたことは一度だってない。これは言い訳に過ぎないと、彼女自身よく理解していた。
最も足りないもの。それは、【正義】。
盲目的に信じられるもの。これこそが成すべきものであると疑わないもの。何を置いてもそれを心に刻み込み、そのものの生き様全ての道標となるもの。
例えば聖騎士団長であるレメディオスにとっての正義は【カルカ=べサーレス】だ。カルカの成すことは何においても正しく、邪魔するものは許さない。また彼女の悩みの種となり、人々を脅かす亜人種は憎むべき悪であってこれを殺すことに一切の躊躇もしないだろう。
当然聖騎士団の面々は信じるべき正義を持っており、同期の見習い達だって多くが信じるものを持っている。
それを持っていない自分が……未だ見つけられない自分が、聖騎士の道を志していいものなのか。ネイアには分からなかった。
「………そう、だなぁ………」
そんな話を受けたサトルは、真剣な表情で顎に手を当てて考え込む。そして「参考になるかは分からないけど」、と前置きしてから話し始めた。
「私の恩人に、仲が悪い2人がいたんですよ。片方は聖騎士で、もう片方は魔術師の」
「魔術師……スズキ先生みたいな感じですか?」
「まさか、私なんかより数段凄い魔法を使える人でしたよ。聖騎士の方も同じで、ワールドチャンピオン………えっと、選ばれた人しか名乗ることの出来ない称号を手にしていたほど強かった」
唐突に始まったその友人の話に、ネイアは目を丸くした。それもそうだ、目の前にいるのは王宮の宮廷魔術師、とどのつまり国内最高の魔法詠唱者ということ。その人が当たり前のように『自分より格上』といったその友人二人はどんな強さなのか。もしやかのフールーダ=パラダインと並ぶような逸脱者なのだろうか。
「そんな友人達でしたけど、これがまぁ折り合いが悪くって………聖騎士の方は自分の正義を、魔術師の方は己の悪を信じていましたから、事あるごとに喧嘩して周りを巻き込んでたんですよね」
あぁ懐かしい、とあの頃を思い返しながら目を細める。
自分の正義を信じ、貫こうとした聖騎士であり、サトルがユグドラシルを続けることが出来た恩人【たっち・みー】。
己の悪を信じ、曲げることのなかった魔術師であり、ワールドディザスターの職を会得していた仲の良い友人【ウルベルト・アレイン・オードル】。
片や上流階級で品のいい勝ち組、片や最下層の生まれで素行の悪い負け組。水と油どころか炎とガソリン。会えばほぼ確実に口喧嘩をするような間柄だった2人だ。よく共通で仲の良いサトルことモモンガや、ペロロンチーノが仲裁に駆り出されたものである。
「あの、正義はわかるんですけど、悪って………?」
「そういうのに拘ってたんですよ。悪魔召喚とか闇の炎とか……あぁ、世界のひとつでも掌握してやろうぜ、とかよく言ってましたね」
「世界を掌握……っ!?」
あっけらかんと言っているが、それが事実なら世紀の極悪人だ。というか当たり前のように悪魔召喚を得意とする魔術師と付き合いがあると言うサトルにネイアは驚愕するが、そういえばこの人も死霊術師系統でアンデッド召喚する人だ、と思い直す。
「本気でやりそうな勢いありましたけどね。まぁそんな感じで、仲が悪くてですねぇ……『困った人がいたら助けるのが当たり前!』って言ったら『偽善者乙wwwww』って返して殴り合ってました」
「えぇ…………」
たっち・みーが正義を唱えば、ウルベルトが鼻で笑う。
ウルベルトが悪を論ぜば、それは違うんじゃないかとたっち・みーがやんわり否定する。
いたちごっこ、五十歩百歩、どんぐりの背比べ………もはやギルドメンバーからしたら名物的な何かにまでなっていた二人の喧嘩。当時はそれを苦笑して眺めていたが、今考えると少し見方が変わってくる。
「そんな人達でしたけど…………すっごく
「……え?だって仲が悪かったって……」
「えぇ、仲は悪かった。だけど一緒に冒険して、一緒に悩んで、一緒に1歩ずつ進んで………そして目的を達成した時は、お互い背中を叩いて喜び合うくらい、仲良しだったんだ……」
たっち・みーが自身の職業構成に悩んでいる時、茶化しながらもウルベルトは色々調べて、ギルドメンバーとの兼ね合いも考えて助言をしていた。
ウルベルトがレアドロが落ちなくて唸っている時、運のなさを弄りながらもたっち・みーは何度も周回に付き合って、別の装備も作れるくらいにドロップアイテムを回収した。
______クランからギルドに移行する時。ナザリック地下大墳墓を初見攻略した時には、互いの健闘をたたえて喜びを分かちあっていた。
犬猿の仲ではあった。一般的に見れば不倶戴天の敵のように仲が悪かったが、同時に二人は無二の友人のように仲が良かった。あんな関係を築いていたのは、後にも先にもあの二人だけだと断言出来る。
「結局根っこは似てたんですよ、あの二人。本人達に言ったら絶対否定するけど……まぁそんなこんなで、求めるものは同じでも人によって正義にも悪にもなるんだと思います」
「同じものでも、正義にも、悪にも………」
「あ、だからって悪になれって訳じゃないですよ?」
にこやかに笑いながら、サトルが「要するに」、と言って立ち上がり、ネイアの目を真っ直ぐに捉える。
「今はまだ深く考えなくてもいいんじゃないかって事です。焦って正義を見つけても、それはきっとバラハさんが本当に信じられる正義じゃありません。本当の意味で信じられるものを見つけるのって凄く大変ですし………それまで聖騎士の道、続けるのもいいと思いますよ」
正義とは何か、悪とは何か。それを説明するのはとても難しい。それこそ大の大人にだって出来ない事だ。下手をすればこの世に正解なんて無いのかもしれない。
だからそれを見つけられるまで、夢を追うのも道のひとつだとサトルは言う。何も見つかっていない今、諦めてしまってはきっと一生後悔は残る。
もちろん、ネイアが納得しているなら別の道を選ぶのも手だ。その道を提示する事は出来ても、選び取るのは彼女自身なのだから。
そんなサトルの言葉を聞き、視線を下げて考えていたネイアは、突如として顔を上げた。
「………先生は」
「?」
「スズキ先生は………スズキ先生は正義って、持ってたりしますか?」
不意を打つ問いに、サトルは少し目を丸くする。
正義。己にとっての正義。改めて何かと言われると、今偉そうに喋っていた割には自分にとっての正義なんてないように思える。
考えてみると実に難しい。何を言っても、それが本気で信じているものかと言われれば首を傾げざるを得ない。
「正義、自分の正義、かぁ………そうだなぁ………」
考えて、考えて、考え抜いてみて。ふと彼の脳裏に浮かんだもの。
大切に育ててくれた今世の両親。市井で知り合った顔見知りの店主達や、街ゆく人々。
……ケラルトやカルカ、レメディオス。グスターボやパベルと言った、この世界で縁を紡いだ友人達。
そして前世の自分に置ける全て、何に変えても縋りたかった大切なギルドメンバー達。
______『困っている人がいたら、助けるのは当たり前!』という、大恩人の決め台詞。
「______友達や、家族や、大切な人を悲しませないようにして…………それと………」
きっとかの恩人ならば、全てを救ってみせると豪語するだろう。そしてそれを疑うことなく、やってみせると胸を張って言ってのけるだろう。
だが自分にそれほどのことができるとは思えない。全てを救うのは難し過ぎる、それが出来るだけの度量やカリスマがあるだなんて口が裂けても言えなかった。
だから、せめて。
「______手の届く範囲の人達だけでも、助けてあげられる人で居ることかなぁ」
せめて、この手が届く距離にいる人だけでも。困っている時に手を差し伸べられる自分でありたい。
嘘偽らざる、サトルの本心。これだけは自分が信じて実行したいもの、自分の正義なのかもしれないと言うことが出来た。
「………な、なんだか言葉に出すと随分薄っぺらな気がしますね!あはは………」
悩んだ末に口から出たサトルの気持ち。照れ笑いを浮かべながらポリポリと頬を掻くサトルのその言葉を聞いたネイアは、何度か頷いてから、「よしっ!」と立ち上がった。
「______決めました!」
「おおっ、正義見つかりました?」
「いえ全く見当もつきません!」
力強く断言するネイアの言葉に、僅かにサトルがずっこける。自信満々に決めたと言ったのでなにか見つかったのかと思ったが、どうやら見つからないことが見つかったらしい。
普段は冷静で落ち着いた人に見えて、割とお茶目なサトルの様子に小さく笑うと、ネイアは少しスッキリとした表情で話し始める。
「私、まだ何が自分の正義かも分かりません。聖騎士見習いを続けるのが合っているのか間違っているのかも。だけど私は、
言い訳していた、と言えば頷かざるを得ない。結局のところ、才能の無い聖騎士から才能のある野伏へ、苦難の道から楽な道へ逃げていたのだ。
きっと友人が少ないのも、この父譲りの眼光を理由に諦めて態度や言動で補おうと、改善しようとしてこなかったからだ。………きっとそうだ!
「だから、【憧れの聖騎士になります】!誰にでも優しく接して、困っている人を助けられて、誰かを守れるくらい強い、私の理想の聖騎士に!これが私自身の正義が見つかるまでの、暫定正義です!」
ふんすっ、と無い胸を張って宣言する。これが正義と言えるのかと言われれば苦笑してしまうかもしれないが、それでもこれはネイアの中で譲れないもの。才能はなくとも、補ってみせる。そう固く決意した彼女の、絶対に信じられるものだった。
明るさを覗かせながら宣言したネイアに面食らいながらも、先程とは変わって暗さや迷いを覗かせない彼女の様子にサトルは小さく笑った。
「……それってどちらかと言うと目標のような気もしますね」
「あ、はは………やっぱりダメですか?」
「いや……夢を叶える正義。うん、素敵だと思います」
正義かと言われれば、確かに少し違うかもしれない。
あぁでも、己の夢を叶える正義。今この少女の言葉は、なんだかとても素敵なものに思えてくる。
「憧れの母に!いえ、母を超えます!剣も魔法も、そして父譲りの弓も全部できる聖騎士に!」
「弓を使う聖騎士かぁ……良いですね!意外な組み合わせはレア職の近道………」
「れあ職?」
「いえなんでも。私に出来ることがあったら相談して下さいね。こんなふうに焚き付けた原因でもありますし、お力になりますよ」
「はい!ありがとうございます!」
どうせなら父譲りのこの弓の才能、存分に活かして近距離遠距離どちらも立ち回れる聖騎士になってやる。そう意気込むネイアに笑いかけ、手伝うと約束。
大袈裟に頭を下げる彼女に、先に生まれたものとしてそれが当然だと言って再び笑って見せた。
そんな中で、サトルはふと思う。こんな風に交友の輪は広がり始めた。以前に比べて話す人も随分増えたように思う。
それでも、やはり。前世の友人達の話は、あまり耳に入ってこない。もしかしたら他国で冒険者をやっているのかもしれないが、この国では冒険者の立場は低くあまり話は入ってこない。
その上、他の人間国家から離れたこのローブル聖王国では海路を通して貿易を行っているリ・エスティーゼ王国以外の人間国家の情報なんて滅多に入ってこないのだ。そちら側にいたのなら、耳に入らなくてもおかしくはない。
ただそれでも。こうも情報が掴めないとなってしまうと。
「(………やっぱり、居ないのかな)」
あの友人たちは、この世界には来ていない。そう諦めの感情が渦巻いても、致し方ないだろう。
小さくため息をつこうとしたその時、ネイアがピクっと反応する。どうかしたのか、と問おうとすると、不意に扉の開く音が耳に入ってきた。
しまった。まだ仕事の途中で確認しに来たのに。パベル辺りが確認に来たのかと思い、謝罪を口にしようと振り返った。
「____________」
………そこに立っていたのは、パベルでも、グスターボでも、ケラルトでもなく。全く知らぬ装備に身を固めた、謎の男だった。
「………バラハさん下がって」
咄嗟にネイアを背に隠し、真っ直ぐ相対する。その際、相手の装備等の情報を少しでも読み取ろうと目を凝らす。
腰に剣を据え、背中には見事な作りの槍を背負っている。鎧は厚手の革を何枚も重ねた
その他にも腰に備え付けられた鞭のような物に、羽の生えた様な装飾のあるブーツ。黒い額当てや篭手、左手に動きを阻害しないように備え付けた中型のヒーターシールド。見えにくいがスリングも確認出来た。
……何よりそれらの多くが魔法金属の輝きを有し、一部からはマジックアイテムの気配すら漂ってくる。
そして一番の収穫………首元に下げられた魔法金属。オリハルコンで作られたプレート。この者が冒険者である証だ。
「お、オリハルコンの……冒険者……!」
「(冒険者の推定戦士…いや騎士?金属鎧並の防御力を持ちながら機動力もある程度確保している。近距離、中距離中心だけどスリングで遠距離もある程度対策済み。
幾ら訓練場が広いとはいえ、この場所で前衛職を相手に出来るほど余裕は無い。
「………どちら様でしょうか?このローブル聖王学院はまだ一般開放はされていないのですが……誰かに御用事でも?」
「………宮廷魔術師の、サトル=スズキで合ってるか?」
「えぇ、私がスズキですが」
応じてくれるとは思わなかったが、思わぬ収穫だ。アイツは自分を目当てに来ている。それ以外の人も目的にしているのかは分からないが、少なくとも無差別ではなく目的あってここにいる。
ならばどうにか後ろのネイアだけでも逃がすことが………そう考えていたサトルは、名を問われた為に素直に答える。嘘を看破するタレントの持ち主だったりした場合、心象を悪くしかねない。第一ここに来ている時点で、情報戦では負け越しているだろう。
「(戦いは始まる前に終わっている……でしたっけ、ぷにっとさん。でもどうにか………)」
そんなふうに考えていると、目の前の男が「そうか」と短く返答。
警戒を強めていると……当然カッ!!と目を見開いた。
「(……来る!)」
「______夏のボーナス全溶かし!!」
「ぐふっ」
「作ったNPCは
「ごはっ………」
「
「うわぁぁぁぁぁいっそ殺せぇぇぇぇぇぇ!!!」
「やっぱりギルド長じゃねぇかてめぇこのやろぉぉぉぉぉ!!!」
ひゅごうっ、と風きり音が鳴り響き、謎の男が頭を抱えて蹲ったサトルにタックルした。
「え………え?」
「うわぁぁぁぁギルド長ぉぉぉぉ!!!ズルいぞズルいぞなんでいつのまに異世界学園ライフで生徒とキャッキャウフフしてんだ俺も混ぜろぉぉぉぉ!!!」
「ぬぁぁぁぁぁぁ!?アンタもしかしてペロロン……いや違う!!幼女ぺろぺろ言い出さないってことはスーラータンさんだな!?」
「違うよ俺はペロロンチーノだよ!」
「あっそう?異世界学園モノの生徒会長は?」
「金髪真面目巨乳エルフっ娘ペロペロォ!!」
「やっぱスーラータンじゃねぇかぁぁぁぁぁ!!!」
「ぬぅぅぅあぁぁぁしまったぁぁぁぁ!!孔明の罠にハマったぁぁぁぁ!!!おのれぷにっと萌えぇぇぇぇ!!」
「孔明とぷにっと萌えさんに土下座してこい!!ていうかなんでここに居るんですかスーラータンさんっ!?」
「ギルド長が王宮の美人3人じゃ物足りなくなって学院の生徒に手を出そうとしてると思っておこぼれもらいに来た」
「なんだその噂!?というか動機が最低だな!!」
「いいから俺も就職させてよぉぉぉぉぉぉ!!! 冒険者じゃなくて安定した職に付きたいし昔からの夢なんだよぉぉぉぉお!!友人特権でコネ入社させて!!履歴書も面接も免除で即時採用してよぉぉぉぉぉ!!!」
「うるせぇ我が社にそんな制度は御座いませぇぇぇぇん!!」
ぎゃいぎゃいぎゃいぎゃい、騒ぎ立てまくる両者。念願の友人との再会がまさかこんな形になるだなんて誰が予想しただろうか。ただひとつ言えるのは、きっとモモンガさんの予想とは程遠いと断言出来る事だろう。
「……なにこれ」
唯一この場にいたネイアが小さく呟く。
それと同時に、後ろでドタドタという足音が聞こえる。ふと振り向くと、そこには2人の人影が。
「ちょっとなんの騒ぎ!?」
「スゥーラ、お主勝手に中に入るとは何を考えておるんじゃ!?」
そこにやってきたのは、片やネイアもよく知る聖王国神官団トップ、ケラルト。そしてもう1人は、ネイアはあまり知らないが九色の一人にして南部の大貴族、御老である。
慌てた様子でやってきた2人がネイアの姿を捉え、何が起こったのか聞こうと口を開こうとした瞬間。騒ぎ立てる二人を見てピタリ、と静止した。
「ていうかギルド長魔法使いの証を守らなくってどうするんだよ!!たっちさんとは違って俺たち非リア同盟の絆は永遠だと思ってたのに!!」
「なんだその同盟!?というかこちらは大絶賛魔法使い更新中じゃコノヤロー!!」
「えっ美女に迫られてるのに魔法使い更新中って………あっスーッ………俺どんな趣味趣向でも友達だからな!!例えペロロンな方だろうと茶釜さんが狂喜乱舞しそうな方だろうと!!」
「よぉしそこになおれ
バチバチと腕に雷を纏わせながら青筋を浮かべてそう言い始めるサトルに、ゲラゲラ笑っているスゥーラ。
それを見たケラルトは何が起こっているのか全く分からないとでも言いたげに口をぽかんと開けており、御老の方は頭を抱えて大きくため息をついた。
「とにかく俺にもチャンスをちょうだぁぁぁぁぁぁい!!!モモンガさぁぁぁぁあん!!」
「こんなことしでかす奴にチャンスなんかやれるかァァァァ!!助けてたっちさん!たっちさぁぁぁぁぁん!!!」
モモンガ は 仲間 を 呼んだ !
「うちのサトルに何してんのよッ!!!」
「べごろがっ!?」
怒り の ケラルト の 蹴り が 炸裂 した !
「………彼奴、ああ見えてもオリハルコンでも頭一つ抜けた前衛職なんじゃがのう。なんで神官の蹴りで吹っ飛ぶんじゃ」
「さぁ………?」
「……お嬢ちゃんも大変だったの」
「あぁいえ、その………お互い様ですよ……」
この後縄でぐるぐる巻きにされたスーラータンがピチピチ跳ねながら面接を切望したり、目の前のおじいちゃんが南部貴族の中でも重鎮中の重鎮であることを知ってネイアが腰を抜かしたりするのは、また別のお話______。
ちょっと次の話に関するアンケート
次は誰をメインにするか、参考程度に
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侍忍者+テンパランス+蒼の薔薇
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タブラ・スマラグディナ+レイナース
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死獣天朱雀+スレイン法国上層部
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ブループラネット+ブレイン
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ヘロヘロ+竜王国メンツ(戦闘回?)