とある都市伝説を実行したら大変なことになりました   作:砂岩改(やや復活)

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皆様のお声と評価。本当にありがとうございます!
不定期ですがやれるだけこれも書いていこうと思います!
皆様、よろしくお願いいたします!




第3話

 

 

「いやぁ、本当にすまんのぉ」

 

「いえ、自分も助けて頂いたので」

 

 グランドラインを20日ほど漂流していた瑞鶴は海軍船に拾われ一命をとりとめていた。そこで腹一杯の食事を提供され安堵しているととある事が原因で海軍本部に移送されることとなった。

 

「少し前にとある事件があってな。その特徴が似てると言うからワシが連れていくことになった」

 

「そうですか…」

 

「まぁ、そんな大それたことをした奴が海軍船に拾われるわけがないと思うがな!」

 

 煎餅を噛りながら大笑いする巨漢の男の前に瑞鶴は正座になりその話を聞く。どうやら水上を航行していたのが不味かったらしい。

 

(確かに艦これ以外の世界だと珍しいかも)

 

 まぁ船が帆船だった時点で異世界に多少の心得があった瑞鶴もやっとここが艦これの世界ではないと察した。だが目の前にいる3mはある御仁と対面するのは精神的にキツかった。

 瑞鶴も前世の身長と同じようで180cmある。足の艤装も含めたらかなりの大きさになるはずだがそれでもその人は大きかった。

 

「そう言えば名乗ってなかったのぉ。わしは海軍本部中将のガープじゃ!」

 

「ご挨拶が遅れて申し訳ありません!自分は日本帝国海軍、呉鎮守府、第一艦隊旗艦兼秘書官の瑞鶴です。階級は特にありません!」

 

「ほう…海軍か。聞いたことの無い国じゃな。加盟しておらん国か?独自の海軍を持っているとは驚きじゃな」

 

「はい、ですがもうその国は無いでしょう」

 

「……」

 

 瑞鶴の言葉に押し黙るガープ。瑞鶴も何となく分かっていた。ここは全く知らない世界だ、日本なんて知らないと言ったガープの言葉で確信した。なら自分の故郷はこの世界には無いのだ。

 

「そうか、悪いことを聞いたの」

 

「いえ、お気になさらずに」

 

「仲間はどうした?」

 

「四人の仲間が居ましたが何処にいるのか心当たりもありません」

 

「なるほどなぁ…まぁ、わしが何とかしてみる。安心せぇ!」

 

「はぁ?」

 

 なんか答えが出たようでまた陽気な顔に戻るガープ。それを見た瑞鶴は思わず首を傾げるのだった。

 

ーー

 

「あのバカ娘。一体、何してやがる」

 

 所変わってジャヤ島のモックタウン。買い出しに出て三日経っても帰ってこない伊勢に業を煮やしてクリケットは追い出されたモックタウンに再び足を踏み入れていた。

 

「な、なんだこれは!?」

 

 クリケットが見た光景。それは想像を遥かに上回る惨劇であった。

 道は割れ、船は沈み、海賊どもの死骸が並ぶ。

 

「お、お前はモンブラン・クリケットか?」

 

「おい、一体何があった!髪を纏めた女剣士は何処に行った!」

 

「お前の知り合いか!アイツは鷹の目と戦ってるよ…まだな」

 

「鷹の目って…あの剣豪の…」

 

 モックタウンから離れた森から爆発音が鳴り響く。空すら切り裂く斬撃がいくつも暴れまわり森を破壊する。

 

「まさか三日もやりあってるのか!」

 

「あぁ、もう三日三晩だよ」

 

 あの果たし合いから三日。決着は今だに着かずに激しい戦闘が繰り広げれていた。最初は圧倒的に伊勢が劣勢であった。だが時間が経つにつれ彼女の動きは洗礼され常人では認識すら出来ない領域まで至っていたのだ。

 

(やはりこの女、見込んだだけはある)

 

 最初は体から放たれる覇気と動きがまったく噛み合わない残念な剣士だった。だがどうだ、今はミホークですら感心する動きを見せ始めている。

 

「……」

 

(もっと速く)

 

 黒刀で刀を弾かれた伊勢はそのまま右手を背後に回して刀を離す。それと同時に左手で刀を受け取りそのまま刺突を行う。

 

(背車刀か…)

 

(もっと鋭く)

 

 顔面に迫る攻撃をいなして黒刀を振る。だが伊勢はその刀身を足場にしてミホークを飛び越える。

 

(もっと柔く!)

 

 伊勢の五感はもうすでに常態ではなく剣を振ることのみに特化した覚醒状態に近い状態と化していた。通常ではあり得ない運動量に対して伊勢は一切の汗を流さない。極度の乾きを得てもなお、彼女は動き続ける。

 

《なら伊勢、お前はなぜ提督に尽くす?》

 

《え?》

 

《お前を見ていると少し羨ましく感じる》

 

《日向…》

 

《一人に全てを尽くすと言うのは並み大抵のものではないぞ》

 

(これは伊勢の記憶か?)

 

 おかしい、艦これはあくまでゲームの筈だ。仮にその提督が自分だとしても伊勢と面識はない。

 

《声も顔もしらないけど貴方に全てを捧げるわ…提督》

 

「伊勢…」

 

「っ!」

 

 極地に至りかけた伊勢の隙をミホークは決して見逃さない。黒刀の一撃が彼女に直撃する。その一撃を受けて吹き飛んだ彼女は大きな土煙を上げながらやっと止まる。

 

「ふぅ…なんかスッキリしたわ」

 

「面妖だな」

 

 下手すれば体が二つに裂かれたであろう一撃を受けながら楽しそうに立ち上がる伊勢。その格好は先程とは違い白い衣装にハチマキを巻いた改二姿に生まれ変わっていた。

 

「えっと…ジュラキュール・ミホーク。感謝します、貴方が居なければここまでには成らなかった」

 

「うむ、まだ未熟だが強き剣士よ…精進しろ」

 

「……」

 

「……」

 

 すると伊勢は刀を納刀し抜刀の態勢に移行する。それに対してミホークを黒刀を構えて迎え撃つ準備をする。

 

「一刀流抜刀術…月読命!」

 

「……」

 

 交錯する二人…だがこの一撃においても伊勢の刀はミホークに届かなかった。刀は半ばから折れ空を舞い、近くの岩に突き刺さる。血反吐を吐きながら倒れる伊勢をミホークは静かに見つめるのだった。

 

ーーーー

 

「全く、どうしてこんなに厄介ごとばかり起こる!」

 

 時と場所は変わり海軍本部《マリンフォード》そこでは元帥センゴクが頭を悩ませる。鷹の目ミホークと謎の女剣士によって町が壊滅しかけた事はまだ許そう。

 

 だがシャボンディ諸島における天竜人一家虐殺に加え、駆けつけた赤犬さえも撃退された件はまずい。不幸中の幸いと言えば文句を言う一家が全員死んでいるため文句が降ってこないのは良かった。

 だがこの件は海軍の信用を地に落とす行為だ。許しておけない。

 

「まさかサカズキが煮え湯を飲まされるとはね~。でも探すって言っても、顔が分からないんじゃどうしようもないですよねぇ~」

 

「分かっている!」

 

 問題は相手が完全に無名であったこと。正確な容姿などが分からないのだ。サカズキや他の目撃者たちの証言で大方の容姿は固まっているが。

 

「名前も顔も分からないでは本当にどうしようもない」

 

 センゴクの目の前にあるのは手配書。だがそこには1億8000万と書かれた手配書があった。

 

「センゴク元帥!」

 

「なんだ!」

 

「ガープ中将から連絡が」

 

「あいつがどうかしたか?」

 

 またいつものごとく海を適当に彷徨いているのだろう。これ以上、苛立ちを溜めたくは無いが報告に来た兵を無下にするわけにもいかない。

 

「はっ、シャボンディ諸島における事件の参考人を連れてくるそうです」

 

「なんだと!」

 

 願ってもない言葉に思わず喜ぶ。この際、犯人でなかろうと問題ない。少しでも情報が欲しいのだ。

 

「すぐに連れてくるように言っておけ!」

 

「はっ!」

 

 これで少しは落ち着けると思わず安堵するセンゴクであった。

 

ーー

 

「まためんどくさいことになったのぉ」

 

「そうですねぇ」

 

 現在、マリンフォードへと向かっていたガープの船はたまたま海賊の大艦隊を発見その様子を伺っていた。

 

「分かりました、懸賞金3500万ベリー《北の提督 ハンリー》です!」

 

「ほぉ、あれが北の海からやって来たのかご苦労な事じゃ」

 

 海賊船の数は50を超えた大艦隊。帆船の大小はあるがかなりの数の海賊が居ることは間違いない。

 

「仕方ないのぉ。いっちょやるかの」

 

「なら自分が…食事代分は働きます」

 

「ほう…」

 

 弓を構える瑞鶴を見て腰を上げようとしたガープは再び座り直す。

 

「ええじゃろう。やってみい」

 

「分かりました」

 

 50程度であれば瑞鶴の艦載機の数は足りる。予備も含めて全機発艦すれば一撃で仕留められるだろう。

 頭の中で思念を巡らせて発艦する機たちに指示を出す。艦載機の扱いは漂流中に死ぬ気で覚えた。艦載機による索敵をなんども死ぬ気で繰り返していたからだ。

 

「全攻撃隊。発艦始め!」

 

 全機操作は初めてだがいい練習になる。ここはアウトレンジ、慌てることはない。

 五本の矢を一気に構えて射ち出すとそれが飛行機になって大空を舞う。機は矢一本につき5機。あと二度、矢を射ち出すと先行していた艦載機から正確な位置が送られる。

 

「攻撃開始」

 

「ほう…」

 

 攻撃の指示を出す瑞鶴、その様子を興味深げに見つめるガープ。次の瞬間、50隻を超える海賊艦隊が燃え上がり大爆発を起こす。

 

「す、凄い!」

 

「50隻の艦隊を一撃で!」

 

「ふん、提督を名乗るのはまだ早すぎたようだな」

 

 いくら大きな帆船でも800kgの爆弾が直撃して生き延びられる訳がない。それは海軍の船も同じだ。

 一瞬で壊滅した艦隊を見て笑みを溢すガープ。

 

「ますます気に入ったわい」

 

ーーーー

 

「はっ!」

 

「やっと気がついたか」

 

「クリケットさん」

 

 モックタウンでの決闘から三日。やっと目を覚ました伊勢はベットから飛び起きると飯を食っていたクリケットが横に座っていた。

 

「私は…確かミホークと戦って」

 

「あぁ、それで重症を負った。向こうが手加減してくれなかったらヤバかったな」

 

「やっぱり負けたかぁ…」

 

 ベットの横に置いてあった刀を抜くとその刀は完璧にへし折れ半ばから切っ先が失くなっていた。

 

「まぁ、あの鷹の目とやりあったんだ。生きてるだけでも儲けもんさ」

 

「そんなに有名人なの?」

 

「知らなかったのか?アイツは鷹の目《ミホーク》世界最強の剣豪と呼ばれている奴だよ」

 

「なるほどね」

 

 手痛く負けたがスッキリした気分だ。まだ奴が居たなら勝負を挑んでいた気がする。

 

「良い顔になったな」

 

「そう?」

 

「あぁ、お前も目標を見つけたようだな」

 

「剣豪…」

 

 折れた刀を眺めながら呟く伊勢。何故か心踊る、もしかしたら伊勢も興味があるのかもしれない。

 

「どうせ私には何もないし。頑張ってみますか、異世界っぽいこと!」

 

「ん?」

 

「私は剣を極める!」

 

「そうか、ならこれを持ってけ!」

 

 伊勢の言葉に思わず疑問を覚えるクリケットだったが剣豪を目指すと言う伊勢の言葉に頷き刀と腕時計らしき物を渡してくる。

 

「なにこれ?」

 

「こいつは記録指針(ログポース)だ説明すると…」

 

 …ログポース説明中…

 

「なるほど、分かったわ」

 

「それとこれは折れた剣の代わりだ」

 

「美しい…」

 

 クリケットが差し出してくれた刀は美しい赤い装飾の刀。

 

「俺にこんな上等な剣は必要ないからな。まさかそんなに良いものとは知らなかったが」

 

「え、有名な刀なの?」

 

「あぁ、俺が海底で見つけた最初で唯一の物だ」

 

「そんなものを!」

 

 この剣はクリケットが潜り続ける理由。ノーランドとの決闘の戦利品と言っても良い品物だ。

 

「バカ野郎、こんな剣が黄金郷の証拠になるかよ。金なんて付いてねぇしな」

 

「でも」

 

「それはお前が目指す剣豪って奴に相応しいもんだ。鷹の目に聞くまでは知らなかったが」

 

「へ、へぇ……」

 

 人が寝てる間になに仲良くなってんだよ!ってか鷹の目、居たのかよここに!もしかして彼ってかなり暇人なのかもしれない。

 

「こいつは大業物《天宰(てんさい)》。刃は三本杉、造りは赤漆太刀拵…らしい。大業物は聞いたことがある…世界で21本しかない物だ」

 

「天宰…私にぴったりね…」

 

 伊勢の名の由来。三重県伊勢市には日本の最高神《天照大御神》を主祭神とする伊勢神宮がある。その《天照大御神》は神々の世界《高天原》統べる主宰神とされている。そんな伊勢の名前を汲んだような刀の名前に運命すら感じる。

 

「互いに頑張ろうぜ」

 

「えぇ、貴方に会えて本当に良かった」

 

 お互いに握手を交わした二人。二人はなんとも言えない表情で大声で笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 




大業物21工の1つ《天宰》

 鍔が太陽の形をしている刀。刃は三本杉、造りは赤漆太刀拵。重心は鍔付近にあり取り回しが良い。熱や衝撃にめちゃくちゃ強い。


ー次回予告ー

伊勢「さて、初回はこの伊勢が次回予告をするわよ!」

伊勢「瑞鶴があの時、都市伝説を見つけなければ今日のようなことは起こらなかった。でもみんながその事を受け止め全力で生きようとしている」

伊勢「では次回…見てください!」

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