ドラゴンボール外伝~Z戦士たちが悟空と出会うまで~   作:究極

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やっとだせた

あらすじ
荒野に紛れ込んだ西の都を目指して進む「のんびり屋」
その荒野を三人の小さな盗賊が根城にしていて…


急襲

血相を変えてなんとか二人を振り払おうとする懸命な努力も虚しく鈍い音をたてて、バイクは転倒し、のんびり屋は地面に放り出された。

 

 

二、三回転すると腰をさすりながらのんびり屋はよろよろと起き上がった。

いつものようにのんびりしているわけにはいかなかいことは本人もわかっていたのだ。

 

 

「じ、時速70キロだぞ!一体どうやって!?」

 

 

のんびり屋ははっとして、目を見張った。背中を汗がゆっくりと伝っていくのをはっきり感じた。

 

この二人のガキの周りには乗り物はない。また、乗り物を隠せるほどの時間は経っていない。つまり彼らは生身だけで走ってきたということになる。

 

 

「へへん!驚いただろ?そこらの奴とは育ちがよくも悪くも違くてね」

 

 

にひっと悪戯っぽくサラは笑った。その子どもながらの表情がどこか不気味でのんびり屋の恐怖をさらに誘った。

 

のんびり屋は恐怖に驚き戦いて、地面に再び転がり、言葉にならない悲鳴を上げていた。顔面はひきつっており、この世の終わりとでも言うようだった。

 

「おーい!まだ縛りあげてねえのかあ?」

ピータが遠くから吠えた。二人を豪快に蹴り落とした後に自分も下りてきたようである。だが歩調は二人に比べるとかなりゆっくりであくまでマイペースだった。

 

「ああ!今やるところさ!」

ヤムチャが吠え返す。しばらくしてわかったー頑張れよーと元気な返事が返ってきた。あいつ手伝う気ねえな、とヤムチャは渋い顔をした。

 

そんな距離間のあるやりとりを交わしているうちにのんびり屋は腰にさしてあった銃に手をかける、と同時に引き抜いた。歯を食い縛り、顔を歪める。

 

サラはのんびり屋を縛る紐が絡まったらしく、ほどくのに苦戦していた。

 

ヤムチャはサラが縄をほどいている中、のんびり屋のバイクを軽く弄りながらどこからバラすか頭を捻っていた。

のんびり屋がここで逃げ出すほどバカではないとさすがのヤムチャも考えていたが、武器を持っているということは想定外であったのだろう。

 

 

構えた銃の銃口が真っ直ぐヤムチャの胸を背中から撃ち抜くべく怪しく光る。

しかし手元が確かに小刻みに震えており緊張感がその銃の握り方に現れていた。焦点も一秒が経つうちに徐々にずれているようでもあった。

 

 

そのとき三人の中で唯一、ピータだけがのんびり屋の行動を目でしっかり捉えていた。

 

ピータはすぐさま足下の砂を一握り掬うとのんびり屋の目めがけて思いっきり投げた。

 

丸くなった砂はその形状を保ったままのんびり屋の眼球にしっかり直撃した。

 

そして先に銃を構えたとはいえ人を標的に引き金を引くことに抵抗があり、また心中で葛藤していたのんびり屋は飛んできた砂を避けることはできず、呆気なくピータの得意技「目潰し」を食らったという次第である。

 

 

この間約3秒とちょっと。

 

 

ピータの物事に迅速に対応できる常日頃から心に置かれる冷静さが活かされたわけである。

 

しゅっと風が切れた音がしてのんびり屋が宙を舞い、どすんと尻餅を付いて地面に落ち、気絶した。銃はその辺りに転がった。

 

サラはその瞬間に丁度、紐がほどけたようで一人歓喜していた。ヤムチャは突然の出来事に愕然となりながらも哀れんだ目でのんびり屋に駆け寄って

「悪いな。あいつ手加減ってもんを知らないんだ」

と小声で言った。

 

ヤムチャは銃がどこかに飛んでいってしまったため、まだのんびり屋が先程まで自分に銃を向けていたことには気づいていなかった。いつまでも幸せなやつである。

 

 

 

ピータがその場に着いたときには地獄のフリーザみたくぐるぐる巻きになったのんびり屋がぐったり白目を剥いて地面に転がっていた。側でもうちょっと綺麗に縛れなかったのか?とサラがヤムチャに文句を言っていた。

 

 

「えーと…死んでないよな?これ」

 

ピータが頭を掻きながら苦笑して言った。やっちゃったか?とピータなりに申し訳なさそうに姿勢を低くしているつもりだ。

 

縄の縛り方の話をやめて二人は振り返った。

「息はあるみたいだぜ」

サラが木の枝でのんびり屋の顔をつつきながら言う。苦しそうにのんびり屋が唸りを上げた。

 

「気絶してるだけか。よかった。で、どーする?」

まあよくはねえんだけど、とサラが苦笑した。

 

「無理矢理起こせばいいんじゃねえか?」

ヤムチャが澄ました顔で言った。

珍しく意見をだしたことにヤムチャの成長をサラはしみじみ感じていた。というわけでもない。

 

「起こすったってどーやって?」

 

「とぼけんなよ。オレのこと起こすときはいつもあーやってんじゃねえか」

サラとピータをヤムチャがじっと睨む。

 

二人は顔を見合わせるとしばらく時間を置いてこっちを向いたときには顔色が恐ろしいほど曇っていた。

「いい!?あれはまずいって。潰れるって。男のシンボル。オレらみたいに体鍛えてないんだぞ、このおっさん」

 

ピータが焦りながら決心したような目付きのヤムチャを諭すように言った。はて、男のシンボルとはなんなのか。作者も書いてはみたもののさっぱりわからない。

 

「潰れたなら…潰れたならそれまでだ!」

ヤムチャがいつになく真面目な顔をして言うもので二人とも吹き出した。

 

「それまでだじゃねえよ、バカ。それで起きたとしてもオレだったらまた気絶するわ」

 

「ならどーするってんだよ」

 

「うーん考えてみたんだけど…火で炙ってみない?この前読んだ呪術の本に火炎儀式は最高の崇拝…」

 

「なんかお前も色々危ないな」

悪い流れになりそうだったのでサラがピータの猟奇的な呪術うんぬんかんぬんを遮った。

 

 

 

結局話は纏まらず、まあ逃げ出さないだろうということでのんびり屋は外に放置されて寒い荒野の真ん中で一晩をすごすことになったとさ。

 

 

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